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『鈴仙・アンフェタミン・因幡』 作者: sako

鈴仙・アンフェタミン・因幡

作品集: 15 投稿日時: 2010/05/02 15:05:32 更新日時: 2010/05/03 00:05:32
 白い部屋。
 消毒液の匂い。
 ジジジと静かに音を立てる紫外線ランプ。
 冷たいタイルの床。
 精密機械。ステンでできた道具。鋭いメス。鉗子。
 まばゆいランプの光り。低い空調機の鳴る音。














 ここは手術室。永遠亭で一番清潔な場所。幻想郷で一番清潔な場所。地上の穢れもここでは遠い。
 埃も、雑菌も、まっとうな生者もここへは立ち入ることはできない。
 病人と怪我人と死人と医者だけが入ることを許されたサンクチュアリ。









 その部屋の中央。備え付けられたリクライニングの椅子の上に鈴仙・優曇華院・因幡は横たえられていた。
 玉のような汗を肌から浮き上がらせ、浅くゆっくりとした息を吐いている。顔面には視界覆おう大きなラバーマスク。両腕は肘掛け、両足も足置きに柔らかいゴムのベルトで固定され身動き採れない状態。ゆったりとした、手術中の患者が着る上下一体型の萌葱色の服を着せられ、下には何も身につけていない模様。着衣は地肌に直接触れて、多量の汗を吸い身体に密着している。鈴仙の丸みを帯びた身体がありありとみてとれる。


 その有様から十分や二十分、ここに縛り付けられている訳ではないことがわかる。
 アイマスクで瞳が隠されているものの酷い疲労の色が鈴仙の顔からはうかがい知れた。

 と、







 ジリリリリリリ…!







 唐突に手術室の静寂を切り裂くベルのけたたましい音が鳴り響く。作業台の上に置かれた時計が機構を作動させて内蔵されているベルを打ち鳴らしたのだ。固い壁やタイルに反響し、耳を覆いたくなるような音をあげる時計。

 その音に驚いたのか、鈴仙が椅子の上でもがく。
 ゴムのベルトを引っ張り、音から逃れようと跳ねる勢いで立ち上がろうとする。けれど、ゴムの拘束は強力で逃れることはできない。力負けし、また、椅子に深く座らせられる鈴仙。

そこまでこのベルの音が気に障ったのだろうか。
 
いや、違う。

「ッあ、あぁぁぁぁぁぁ、ダメッ、ダメッ、ま、また、イっちゃう…イっちゃうッ!!」
 
ガクガクと身体を痙攣させ、喉から卑猥な言葉を迸らせる鈴仙。肌が紅潮し、耳まで熱したように赤く染まる。手術着越しでもそうと分かるほど双峰の頂はいきり立ち、両足は引きつったように伸ばされ、呼吸は不規則に強く繰り返される。



 オルガスムス―――絶頂を迎えているのだ。



「ッ―――あ、あ、あ…だめ、出る…出ちゃう…」

 そうして水音。見れば鈴仙が着ている手術着の股間部分が汗とは思えぬほど濡れていた。じょろじょろという水音も聞こえる。椅子の骨格を伝わり、タイルを打ち付け、隙間に沿って排水口へ流れていくそれは鈴仙の小水であった。臭気が立ち上る。

「六回目。感度は良。絶頂時に強制排尿」

 その様を見て事細かに鈴仙の様子、そうして、その身体に繋がれた機器が指し示す数値やグラフを書き写しているのは…白衣を着た八意永琳女史だ。

 銀縁の丸めがねをかけて、パイプ椅子に座り、手にしたレポートにさらさらとペンを走らせている。レポート上部には升目で区切られたタイムチェックのリストが。チェックマークは現在六個目。時計のタイマー機能が三十分毎に鳴り響いていることを確認すると、鈴仙はかれこれ三時間以上、こうしてベルが鳴る度に絶頂を繰り返していることになる。








 これは鈴仙の治療…ではなく、永琳女史が新しく開発した興奮剤の臨床実験だ。


 ある種の薬物の神経系の拡張作用に、共感覚と呼ばれる五感の相互増幅作用…例を挙げてみれば『星空を見ると舌先に痺れるような刺激を感じる』『強い光を見ると低い唸るような音が聞こえる』『冷たい物を不意に押し当てられると視界が紫に染まる』といった五感の一つを刺激すると別の感覚が誘発されたように通常、感じ得ない感覚を覚えるというもの、それらを組み合わせたまったく新しい薬物を鈴仙は実験的に投与されているのだ。


 今回の場合は聴覚に触覚が追随するように調節された薬品が注射されている。それも特に人体の敏感な部分、俗に言う性感帯への刺激を錯覚するような薬物を。











「はぁー、はぁー、はぁーっ」

 そういった理由で鈴仙は三十分毎にけたたましく鳴り響くベルによって絶頂を引き起こされているのだ。

 いや、ベルだけではない。換気口から聞こえてくる空調機の唸るような低い音や部屋の隅に置かれた滅菌用の紫外線ライトのジジジという放電音、自分の身体のバロメーターを見るためにスイッチを入れられた機器の電子音、そうして、同じ部屋にいる永琳の呼吸や衣擦れの音によって鈴仙は常時、愛撫されているも同じ状況に置かれているのだ。

 顔に浮いている疲労の色はその為。しかも、五感の一つ、視界を奪われている状態であればなおのこと、聴覚が鋭敏化されてしまうのは当たり前。今の鈴仙は自分の呼吸でさえも艶めかしいポルノを見せられているも同じなのだ。









「はぁ、はぁ、はぁ、し、師匠…っう♥」

 やっと絶頂の波から上がってきた鈴仙が首を気怠げに動かし、見えぬ永琳に視線を向けて呼びかける。その自分の声色で軽く達する。耳に一番近い部分で音が鳴っているのだ。あまつさえ、その音が鈴仙が最も信頼している人物を呼ぶ声であるならば興奮も一押し、ということなのだろう。また、火照った身体が落ち着くまで数分を要した。

「し、師匠…そろそろ、終わりにしませんか…私、もう、体力が…」

 荒い息。それさえも耳に好い。助けを請うように鈴仙はたどたどしい言葉を続ける。
 けれど…

「………」

 返事は返ってこない。
 永琳が鈴仙を置いて何処かに行ったわけではないのは、耳に届く微かな呼吸音で分かる。気配がする。部屋の隅にでもいったのかな、と鈴仙は耳に意識を集中、すませようとして、

「ッう、あ」

 鼓動を高鳴らせた。だめだ、と、内心でかぶりをふるう。耳を澄ませばより多くの音が入ってきてより多くの性的刺激を受けることになってしまう。ただでさえ断続的な激しい刺激で身体は敏感になっているのだ。これ以上の刺激は危険すぎる。鈴仙は考え直し、また、たどたどしく声を発した。

「師匠…、何処にいるんですか…そろそろ、もう、限界で…」

 大きな声は出せない。膣孔に張り型をいきなり突っ込むような暴挙だからだ。ゆっくりと手探りで進むような緩慢さで鈴仙は声を上げ、











 ジリリリリリリ…!!











 その声がベルの音にかき消された。






「ひぃやァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ♥」

 弓なりに身体が仰け反る。高く浮かせた腰から激しい勢いで吹き出した液体が手術着の裏面を激しく叩く。喉から甲高い悲鳴を漏らし続け、その音にまた身体が反応してしまうという無間地獄じみた快楽の無限ループ。

「ッあ、あああ、あ、あ、あ、あし、し、師匠、だめっ ♥ ダメです… ♥ 壊れ、私、壊れるっ♥ これ、キモチいい、ダメ…気が狂う…お願い、です♥ やめて、やめないで、もっと、ダメ、音を消してェェェェ♥」

 呂律が回っていない口で精神と肉体に浮かび上がる相反する感情を混ぜ込んであふれ出てきた物を言葉に代えて発する。がくがく、と身体は打ち震え、幾度も鈴仙は後頭部を椅子の背もたれに打ち付けながら絶え間なく絶頂を繰り返す。

「タイムスケジュール外の音にも反応…条件反射、ではないわね」

 その様子を見て冷静に判断を下す永琳。鈴仙の言葉も耳には遠く、まるで意に介さないといった様子でレポートに書き加える。

「し、師匠…」

 絶望さえ含んだ声をあげ、助けを求める鈴仙。しかし、永琳に慈悲はなく、ちらりと実験動物(モルモット)を見るような瞳を投げかけただけだった。
 まだ、当然、実験は続くわよ、と暗に言っているような態度だった。












「ひぃぃぃ♥」

 三十分経過。





「ああ、ダメっ、ダメっ♥」

 一時間経過。





「あーっ♥ あーっ♥」

 一時間半経過。





「……………!」(びくっ!)
 二時間経過。











 それだけ経ってやっと永琳はペンを置いた。

 立ち上がって休憩するように少しため息。観察実験といえど五時間も座ったまま一個所でじっとしているというのは存外に疲れるものだ。

 レポートを今まで自分が座っていたパイプ椅子の上に置き、永琳は様々な薬品が入れられている棚の前までぺたぺたとゴム底の靴を鳴らしながら歩く。カギのかかっている戸を開けて、中から一本、アンプルを取り出す。

 無色透明の液体が封入されたそれを振って確かめ、不純物が入っていないことを目視で確認すると、永琳はアンプルの括れた首を折り、作業台に用意していた注射器でその中身を吸い取った。15cc。僅かな分量。容器内に入った空気を抜くために少しだけピストンを押し込んで中身を棄てさせ、もう一度だけ内容量を確認。

 もう一本、同じ手順で薬液を入れた注射器…こちらは量が多い、を用意して、永琳は部屋の中央へと足を進めた。








 部屋の中央。備え付けられたリクライニングの椅子の上には果たして、息も絶え絶えな鈴仙が身体を横たえていた。

 暴れ回ったせいか、手術着ははだけ、解れた部分から鈴仙の腰の骨の突起が見える。股の間に挟まれた服は汗や小水、淫液で盛大に濡れて今も雫を滴らせている。手首や足首、ベルトで拘束されている部分は、柔らかい布地で縛られているとはいえ何度も暴れたせいで裂傷をおこしていた。白いベルトに鈴仙の赤い血がついている。

「鈴仙、鈴仙、起きなさい」
「うあ、し、師匠…」

 鈴仙の傍らに立った永琳はその頬を何度か軽くはたいた。程なくして寝起きのような緩慢さで頭を持ち上げる鈴仙。

「聴覚対触覚の実験は終わりよ。頑張ったわね」

 感情の込められてない言葉。形式上だけの労いだと言うことは鈴仙にも分かったが、実験から解放される安堵で嬉しそうにはい、と応えてしまった。

「あ…そう言えば、声…音が」

 普通に聞こえることに気がつき、鈴仙は素っ頓狂な声を上げた。

「投薬後五時間ほどで効果はきれる、説明したでしょ」

 実験前に聞いた話だがそんなもの荒々しい快楽の波の前にはすっかり霧散してしまっていた。すいません、と自分の非を恥じる鈴仙。

「注射、打つわよ」

 その言葉を聞き流し、永琳は用意していた注射の内、液量の少ない方を手に取る。
 汗で汚れた自分の腕に永琳の綺麗な指先が触れる感覚を鈴仙は覚える。二度三度、肘の関節の内側を叩いただけで脈の位置を特定し、そこに細い針を差し込む永琳。鋭い痛みに顔をしかめる鈴仙ではあったがあの快楽地獄の前ではいっそ心地いいぐらいまともな感覚だ。

「師匠、今のは中和剤ですかね。あ、それとそろそろ手とか足のとか、それより目のやつを外して欲しいんですけれど…」

 そう鈴仙はせがむ。
 聞き入れてくれたのか、永琳は鈴仙の視界を覆っていたアイマスクを取り外す。

 そうして、









「中和剤? 何言ってるの、次の実験の投薬よ」
「え?」

 感情のこもっていない言葉でそんな死刑宣告めいた言葉を発した。
 五時間ぶりの光りに目がくらんで永琳の表情は鈴仙には見えなかったが、やはり無表情だと言うことはわかった。

「師匠、次の実験って…もう、私、体力の限界なんですけれど…」
「それも承知済みよ。栄養剤も投与するから。これで平時の九割方までは確実に体力が回復するはずよ」

 言って薬液を沢山入れた方の注射器をかかげてみせる永琳。先ほどと同じ手順でそれを鈴仙の腕に差し、栄養剤を注射する。

「そんな…師匠…また、私はベルの音であんな…あんな恥ずかしい目に…」
「違うわよ」

 説明を続けながら永琳は鈴仙の頭を押さえ、アイマスクの替わりにヘッドギアのような器具を鈴仙に取り付け始めた。丁度、おでこの部分から二本のアームが伸びている。そのアームを鈴仙の瞼の所へ持って行くと、アームの先に付いていた小さなクリップでその肉をつまみあげた。強制的に両方の目を開けさせられる鈴仙。

「え…し、師匠、なんだか目が…なに? 触られてる? えっ? まさか…」
「次は視覚対触覚の実験よ。今度は二時間。ああ、ただの風景より、人物を見ていた方が効果が高いのはてゐで実験済みだから、まぁ、つまらないとは思うけれど私がモデル…? マネキン? ショーガール? まぁ、なんでもいいわ、私がモデルになっていてあげるから、いい結果を残して頂戴、鈴仙」

 椅子を操作して、自分が座っていた椅子の方へ向きを変えさせる永琳。それで、準備は完了したようで、ペタペタと足音を立てながら永琳は戻っていった。

「え…あ…、し、師匠の顔が…お胸が…身体が…肌が…うわっ、ああ…」

 恍惚の表情で椅子に物憂げに座る永琳を凝視する鈴仙。ぷつり、とその鼻から赤い雫が垂れてきた。栄養剤の弊害か、興奮の余り、鼻腔内の毛細血管が破裂したようだ。
 その事を永琳は言葉を探しつつ新しいレポートの頁に書いていく。

「ああっ、師匠♥ 師匠の姿が♥ き、綺麗です♥ 師匠♥」

 今の鈴仙の心中を言葉にすることは今の人類にはできない。未踏の快楽に身をよじり、熱っぽい視線を鈴仙は永琳に注ぐ。対する永琳は、

「………」

 冷ややかな視線を投げ返すだけだった。














―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――










「おいひぃ♥ おいひぃです、ひひょぉ♥」

 口の中から半分溶解した白米の粒を飛ばしつつ恍惚の笑みを浮かべる鈴仙。
 その呆けた表情、呂律の回っていない言葉、首からかけた前掛けを汚らしくよごす様は痴呆症の患者のよう。

 左手に持った杓で用意された白粥をつぎつぎすくい上げて口の中へ持って行っている。

 そうして右の手はというと…

「ああっ♥ イっちゃう♥ またイきますひょひょぉ♥」

 自らの股の間に伸び、ぐちゃぐちゃと泥でも捏ねるような音を立て秘所をまさぐっている。親指と人差し指で淫核をつまみ上げ、残り三本の指で器用に三個所違うところを刺激している。座っている座布団は鈴仙が滴らせた淫液や溢した粥で汚れ、もはや使い物にならなくなっている。

「ひっ、アァァァァァァァァァ♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」

 お粥をかきこみ、ぐちゃぐちゃと飲み込むようなことはせず口の上で咀嚼し続け、同時に強く淫核をつまみ上げる鈴仙。絶頂に達する。

「白粥でも感度良好。薄味でも十分な刺激が得られるのね」

 対面に座っている永琳はレポートを付け続けている。
 お粥の欄にそう説明文を書き加える。既に味噌汁や山女魚の塩焼き、味噌田楽など感嘆に手に入る食材とその反応に関しては十分な調査が施されていた。

「味覚対触覚はこれで十分ね。次の実験の準備をしないと…」

 レポート用紙はまだ十枚以上残っている。

 味覚・視覚・聴覚・嗅覚、そして触覚。P(5,2)の順列の組み合わせ、二十五パターンの共感覚の数だけ実験は行われる予定なのだ。

 いや…






「三重の組み合わせもやるべきかしら…」

 思い立ったように床の上に身体を横たえる鈴仙に視線を投げかける永琳。
 月の頭脳、稀代の大天才の探求心は飽きるところを知らないようだった。



END
もろみ旨ぇ。
チンザノレモネード呑みながら書きました。



ここまで行くと化学反応じゃなくって神経系のバイパスっぽいなぁ。ナノマシンなのかも。ヤゴコロなら作れるはず…!
sako
作品情報
作品集:
15
投稿日時:
2010/05/02 15:05:32
更新日時:
2010/05/03 00:05:32
分類
鈴仙
永琳
拘束
共感覚
1. 名無し ■2010/05/03 00:20:25
鼻血のくだりでワロタ

食べながらだと、器官に詰まりそうだな……
2. 名無し ■2010/05/03 02:50:27
これはえろい

拘束されて限界以上に器具や薬物でビクンビクン!な話は個人的に大好物です。
3. 名無し ■2010/05/03 03:31:21
これは前作の仕置きも兼ねているのだろうか?
それにしてもエロい

てゐにも試したという話を詳しく聞きたい
4. 名無し ■2010/05/04 00:50:22
ぎゃふん
5. 名無し ■2010/05/04 09:59:32
永琳怖いよ
6. 機玉 ■2010/05/04 22:54:08
永琳がいい感じにマッドですね
余程暇なんだろうな……
7. 名無し ■2010/05/26 03:19:29
ちんこもげた
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