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『紅い悪魔の過去』 作者: 名前がありません号

紅い悪魔の過去

作品集: 15 投稿日時: 2010/05/10 19:10:34 更新日時: 2010/05/11 04:15:52
※例によって、キャラ崩壊に注意されたし。
※さらにかなり重度の独自解釈があるため、これを嫌う人もやはり見ない事をお勧めいたします。













0.


少女はとある高名な貴族の家に生まれました。
家族から愛され、使用人達からも優しくされました。
温かい食事に、柔らかいベッド。
何不自由無い生活を送っていました。
少女はずっとこんな生活が送れると思っていました。

彼女は知りません。

もうこの生活には戻れない事を。






ある日の夜。
少女はなかなか寝付けず、布団から出てしまいます。
少女は窓の外を眺めていました。
外には燃えるような真っ赤な月が昇っています。
少女はまるで魅入られるように、その月に手を伸ばします。

すると、目の前に男が現れます。
父親ほどの年齢の男です。
少女は叫び声を上げようとしましたが、声が出ません。
男の真っ赤な目を見た途端に、声が出なくなってしまいました。
逃げ出そうにも動くことも出来ません。

男が少女の手を掴みました。
少女は暴れることも出来ぬまま、男に抱きかかえられ、
夜の闇へと連れ去られたのです。






少女レミィの人生はここで終わります。
ここからは、新しい少女レミィのお話です。








1.


レミィが目覚めると、そこには大きなベッドと高級そうな花瓶などが置いてあります。
自分の部屋でないことは一目で分かりました。
目に痛いほどにあちこち真っ赤だったからです。
すると目の前の扉がゆっくりと開きます。

レミィの目の前には、自分を連れ去った男が居ます。
レミィは男に向かって言い放ちます。

「おじさん、誰? お父さんとお母さんの所に返して!」

しかし男は、ニヤニヤと笑っているだけで何も言いません。
その時、笑っている男の歯を見て、恐怖しました。
とても鋭く尖った歯だったのです。
そう、それは童話などで見たような化け物。
吸血鬼の歯にそっくりだったのです。

そして男は、ゆっくりとレミィに近づきます。
レミィは男からできるだけ離れようとしますが、体が動きません。

「い、いや、こわいよ、おじさん……」

そして、男は少女に覆い被さるのです。

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

男はレミィの首筋に、噛み付きました。
首筋からは血が流れていきます。
レミィは血を吸われていきます。

「いやぁ、いやぁ……」

ただ身体をびくびくと震わせます。
レミィは身体中を駆け巡るその感覚に混乱していました。
男は血を吸い終えると、噛み付いた首筋を一舐めして、出て行きました。
噛み付かれた場所からは、ジンジンと未知の感覚が流れ込んできます。
レミィはただ身体を震わせながら、ただ涙していました。









2.


次の日からレミィは、男から差し出された使用人の服を着させられました。

そしてレミィに次々と無理難題を押し付けては、
失敗すると、様々なお仕置きを行いました。

お盆に乗せられた紅茶を零してしまえば、
尻を何度も平手で叩かれ。

掃除をすれば、男がチェックして、
少しでも埃が残っていれば、
踏みつけられて、床を舐めさせられました。

毎回出る血の匂いのする食事を残せば、
無理矢理に喉に押し込まれました。
吐き出せば、それを舐め取らせました。

どんなにレミィが哀願しても、男はそうしたお仕置きをやめません。
この吸血鬼の男は、人間の少女を眷属にしては使用人にして、
失敗するたびにお仕置きを行う事に喜びを感じる男でした。

彼にとっては、眷属となった少女達はただの玩具でしかなく、
レミィもその一人に過ぎませんでした。

レミィは心配しているであろう、お父さんとお母さんの事を思い出しました。
使用人達のことも思い出しました。
しかし、お父さんやお母さん達との事を思い出すたび、
今の自分の状態にただ絶望することしか出来なかったのです。

その日から、レミィの中に暗い何かが生まれ始めていました。
しかしそれは吸血鬼の男も、レミィ自身さえも、知る由はなかったのです。










3.



吸血鬼の男との辛い生活がしばし続いたある日の事。
吸血鬼の男が、多くの男達を連れて館に戻ってきました。
レミィはいつものように、「おかえりなさいませ、ご主人様」と、
男に命令された言葉を発します。

男はやけに機嫌が良いようでした。
レミィはその姿に安堵していました。
今日は何もされないで済みそう、と。

しかし彼女は知りません。
男が何故機嫌が良かったのか。
その理由を。




男達は食事を済ませ、レミィはその食器を片付けている時のことです。
突然、吸血鬼の男に「片付けは後でいいから、地下室に来い」と言われました。
レミィは地下室の事をよく知りません。

場所は教えられていたものの、扉には厳重な鍵がされていて、
中の様子を知る事は出来なかったからです。
そんな地下室に来いという男の意図は分かりませんでしたが、
レミィには選択の自由はありません。
答えは決まっているのです。

レミィが薄暗い地下室への道を進むと、その地下室の扉が見えます。
重厚な扉。文字ともラクガキとも知れない紋様のようなもの。
そして、レミィはゆっくりと扉を開きます。
すると中には、吸血鬼の男と一緒に、吸血鬼の男が連れてきた男達が居ました。

レミィが部屋に入ると、地下室の扉が一人でに閉じました。
そして吸血鬼の男のあの笑顔。
レミィの首筋に噛み付いた時の、あの笑顔。

「いやぁぁぁぁ!!!」

少女はその笑顔で全てを悟りました。
自分は、これから、ここにいる男の人達全員に。


滅茶苦茶にされてしまうんだ、という事に。
気付いてしまったのです。









4.



地下室で行われた行為は、それはそれはひどいものでした。

ある男はレミィに自らの肉棒を咥えさせ、喉奥まで突きこみました。
ある男はレミィの腹を何度も殴り続けました。
ある男はレミィの未発達な秘所とその奥の処女膜を容赦なく、自身の肉棒で破りました。
ある男はレミィの首筋に噛み付き、血をすすりました。
ある男はレミィの指の一本一本を次々と曲げていきました。
ある男はレミィの顔を何度も何度も殴りました。
ある男はレミィの肛門に熱された棒を突き刺しました。
ある男はレミィの身体中を鞭で叩き続けました。
ある男はレミィを鉄の処女に放り込みました。

レミィは男達の慰み者になり、男達を楽しませる玩具になりました。

レミィは何度も死ぬような思いと、死ぬほどの痛みと、死にたくなるような苦しみを味わいました。
それでもレミィはこのぐらいでは死にません。
レミィはもう人間ではないのです。
男達と同じ、吸血鬼なのです。

レミィはただ泣きました。
男達が満足して、地下室から出て行っても泣き続けました。
ガチャリと鍵が掛けられる音がしても、泣き続けました。

しかし、ただ泣き続けるレミィに、突如語り掛けるモノが現れるのです。











5.




―どうして、貴方は泣いてるの?

「ひぐっ、えぐっ、うぅぅ……」

―どうして、貴方は苦しんでるの?

「痛いよぉ、苦しいよぉ、辛いよぉ……」

―どうして、貴方はこんなところにいるの?

「あの、吸血鬼のおじさんに、連れ去られて……」

―どうして、貴方はこんな事をさせられているの?

「あの、吸血鬼のおじさんが、そうしろって……逆らったら、お仕置きされて……」

―吸血鬼のおじさんが憎い?

「………」

―憎いよね? 憎いよね?

「………」

―こんなに苦しい思いをしているのに、吸血鬼のおじさんは笑ってばっかり

「………」

―不公平だよね? こんなの

「………」

―レミィが笑える方法を教えてあげようか?

「………え?」

―あの吸血鬼のおじさんを倒せばいいんだよ

「………でも、私、そんな事出来ないよ……」

―大丈夫、私が力を貸してあげるわ

「………本当に?」

―でも、条件が一つあるわ。

「何? 何でもするわ!」

―それはね……貴方の心の中に私を置いて欲しいの

「? そんなことでいいの?」

―うん、それでいいの。それだけあれば、充分よ

「わかったけど、どうすればいいの?」

―難しいことじゃないわ。貴方が私をイメージすればいいの

「イメージ?」

―そう。貴方の好きなものとか、大切なものをイメージするの。それだけでいいわ

「うん、わかった……」

―……ふふ、契約成立ね。それじゃあ、貴方に私の力をあげる。悪い吸血鬼のおじさんを倒しましょう?

「うん!」







6.





そして、翌日。

吸血鬼の男が、いつもどおり地下室のレミィを苛める事を考えていた時のことです。
強烈な悪寒を男が襲いました。
まるで上位の吸血鬼にあった時のような感覚でした。

それと同時に地下室の方から爆発音のようなものが聞こえてきました。
男が慌てて地下室に降りると、そこには。



コウモリの翼を生やし、鋭い爪を生やし、真っ赤な目をしたレミィの姿がありました。
昨日までの小動物のように怯え、竦み、恐怖に身体を震わせていた彼女とはまるで別人のようでした。
そのあまりの変貌ぶりと、彼女から感じられる魔力に男は足が震え、
歯をガチガチと鳴らし、目の前のレミィにただ恐怖していたのです。

そしてゆっくりと男の方へと、レミィは歩いていきます。

「や、やめろ。い、今までのことは謝る。だ、だから、来るな。 こっちへくるなぁぁぁぁぁ!!!」

男は必死に叫ぶ。恐怖のあまり吸血鬼の男は失禁してしまっていました。
身体を恐怖に支配され、男は指の一本も動かせませんでした。
そして、レミィの爪が男を容赦なく引き裂いたのです。何の躊躇もなく。
グシャリという、肉の裂ける音と共に、地下室の道は真っ赤に染まりました。




レミィの暴虐は止まりません。

目に見える全てを殺さんばかりにその暴威を振るうのです。
吸血鬼の男が連れてきていた、他の吸血鬼達を追い掛け回し、
次々と殺していきます。

レミィの暴力は無差別でした。

使用人の少女達さえ、彼女には区別がつかないのでしょう。
恐怖に怯え、逃げる彼女達を執拗に追い回し、
追い詰め、その爪で次々を身体を引き裂くのです。

血が床を、壁を、絨毯を真っ赤に染め上げていきます。
レミィは館の中に自分以外が居なくなるまで、その暴威を振るいました。
そして全てが終わったときには、館は一面真っ赤でした。

そして正気に戻ったレミィが見たのは、目を背けたくなるような現実でした。
レミィはこの手で、吸血鬼と少女を殺した事実にただ叫ぶように泣きました。








7.

レミィに語りかけたモノは、悪魔でした。
レミィの心に出来た小さな暗闇から生まれた悪魔でした。

やがて、レミィの身体からそれがゆっくりと姿を現しました。
その姿はレミィの5つ下の妹の姿にそっくりです。

しかしその背中からは、レミィのようなコウモリの翼ではなく、
七色の宝石が吊るされた木の枝のような翼でした。
それはレミィのお母さんが持っていた綺麗な宝石のようにも見えました。

「どう? レミィ。悪いおじさんを倒した気分は?」
「違う、違うよ。私はただ懲らしめたかっただけで……」
「懲らしめるぐらいじゃ、ああいうのは理解しないよ。ちゃんと殺さないと」
「違う、違うよ、あんなの私じゃない。私はあんな事しない」
「現実を見なさいよ、レミィ。あれは貴方がやった事よ」
「! 貴方がやらせたんじゃない! それに他の娘達まで殺す必要なんかなかった!」
「嘘ね。あれはあなた自身がやったことよ、レミィ。分かってることでしょ?」

レミィは何も言い返せません。
暴れていた間も、レミィには意識がありました。
そして、自分を見て怯えて、「化け物!」と言われた時、
レミィは彼女達への憎悪を暴力に変えて、彼女らに放ったのでした。

「レミィ、過ぎた事を悔やんでも仕方が無いわ。貴方はこの館の主として生きるの。吸血鬼の主としてね」
「そんな……嫌よ! なんでこんな館で暮らさなきゃいけないの!」
「じゃあ、貴方の家族の元に帰る? 帰り道もわからないのに? 太陽の下を歩けないのに?」
「う、うぅ……」
「諦めなさいよ、レミィ。あの吸血鬼に捕まった時点で貴方の運命は決まっていたのよ」

妹とそっくりの悪魔はレミィにそう言います。
レミィは後悔しました。

あの時、無理にでも寝ていれば。
あの時、窓を開けていなければ。
あの時、あんな赤い月を見ていなければ。

そうやって、何度も後悔し続けました。









憎い。

憎い。

憎い。





あの紅い月が。




本気で、殺したくなるほどに。





そう、レミィは憎しみを深めました。


あの憎らしく輝く赤い月を。




そして、自分を人殺しに仕立てた、“悪魔の妹”を。
「おしまい、おしまい」

フランドール・スカーレットはそう言って、パンパンと手を叩いた。
話を聞いていた魔理沙は、聞いて損した、というような顔をしている。

「むー、何よ。悪魔のお話が聞きたいっていうから聞かせてあげたのに」
「いや、そこまでえげつないのは想定外だぜ、色々と」

うぇ、という顔をして魔理沙は珈琲を口に流し込む。
少し顔色の良くなった魔理沙が改めて、フランに訪ねる。

「でさ、フラン」
「何、魔理沙」
「この話、何処まで本当なんだ?」

そう言う魔理沙の顔を見て、フランドールは悪戯をする小悪魔のような顔でこう言った。

「さぁ?」

魔理沙は能力だけでなく、性根まで完全に悪魔だな、と理解した。




     ※        ※


久々に長いのが書けた気がする。
紅魔館メンバーは誰一人としてバックボーンが無い。
ので、こういうレミリアとフランドールはどうだろう。
原作っぽさって何だろう。私には分からなくなってきたよ、先生。

今回は背景赤の文字黒にしてみた。
少し見づらいかもしれない。
雰囲気って大切だけど、余りに見づらいようなら、変更するよ。
名前がありません号
作品情報
作品集:
15
投稿日時:
2010/05/10 19:10:34
更新日時:
2010/05/11 04:15:52
分類
レミリア
フラン
過去
キャラ崩壊
独自解釈
1. 名無し ■2010/05/11 08:07:49
じきに慣れるよ。多分、紅色の世界も悪くないはず。
2. 名無し ■2010/05/11 14:47:02
イメージした結果が妹だったところがすてきで悲しい
3. 紅のカリスマ ■2010/05/11 19:56:08
スカーレット姉妹は、色々な過去が考えられるから素敵ですね。
4. 名無し ■2010/05/11 20:32:30
元人間・・・咲夜さんを眷属にしないのもそれが理由でしょうか?
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