アリスが魔理沙にプレゼントをするそうです

「お？　なんだよアリス、ずいぶんと上機嫌じゃないか」


森歩きの最中で目にした見知った姿に、霧雨魔理沙は声をかけた。
彼女の言う通り、アリス・マーガトロイドの顔には『ご機嫌』と書いてあった。
ついでに額に『肉』と書いてあるのが髪の隙間から見えたが黙っておいた。


「あら、ちょうど魔理沙の家に行こうと思ってたとこなのよ」


と、周囲に"るんるん"オノマトペを浮かべて言う。
……はて、いったい何の用だろうか？
幻想郷に異変があると、しばしば来訪者もあり、それがアリスであることも、ある。あるいは確かに置いておいたはずの人形素材やマジックアイテムが消失したと言い、悪名高い蒐集家として聴取にきたことも。
しかし今回のように嬉々として小躍りしながらやってくる用事というのは、ちょっと心当たりがなかった。


「喜色満面で気色悪いな」
「む、失礼ね、せっかくプレゼントを持ってきたっていうのに」


眉を吊り上げて怒ったポーズを見せるが、口元は笑っていた。
それにしてもプレゼントとは……。何事か企んでいるのでは、と魔理沙は思い始めた。


「ほら、私って魔理沙のこと好きでしょ？」
「ん？　……ん、ありがとう？」



「性的な意味で」
「お友達でいましょう」


周知の事実がごとく淀みない言いよう。しかし氷山の一角のフラグも立った覚えはなかった。
なにやら異質放つアリスに対し、魔理沙も思わず敬語になろうものだ。
いや待てこれはあれだ、動揺を誘っているんだ。こっちが取り乱した隙に何かする気でいるんだ。
そう思い探りを入れてみることに。


「その……プレゼントっていうのは？」
「ええ、実は魔理沙の像を作ってきたんだけど」


像。像ときた。
ええ、実はクッキーを作ってきたんだけど。……よく分かる。プレゼントの定番だ。
ええ、実は魔理沙の人形を作ってきたんだけど。……なるほど、実にアリスらしくて可愛いじゃないか。

像。像ときた。


「それでね、それを作るのにまずはうんこを出そうとしたんだけど」
「待って」



「待ってくださいアリスさん」



「何故……何故そのタイミングでそれを出そうとしたのですか！？」


魔理沙の中で、お友達改め顔見知りの知人となったアリスは、さん付けで呼ばれた。

いや待て落ち着けこれは動揺を誘ってこっちが取り乱した隙に何か企んでそうきっとただの悪い冗談で


「何故って、うんこを固めて魔理沙の像を作ろうとしたんじゃない。
　そうよそれでね、まずはうんこを出そうとしたわけよ……そしたらびっくり！
　なんと出したうんこがすでに魔理沙の形をしてたのよ！
　すごいわ私！　魔理沙を愛するあまり腸内でうんこを造形しちゃうなんて！
　魔理沙も嬉しいでしょう！？　こんなにも私に愛されてるなんて！？
　……そしてこれが、私がお腹を痛めて産み出した、うんこでできた魔理沙像よ！」


なんということでしょう！（CV加藤みどり）
足はすらりと細く長く脚線美を描き、スカート越しに表現されたお尻のラインはキュッと引き締まり扇情的。腰のくびれには匠の技が光ります。体を反らせた構図からくる背中の曲線も美しく、同時に前に突き出した双丘は……どひゃあ！　おいしそーう！（CV滝口順平）
口元は優しげに微笑んでおり、鼻もやや高く整った丁寧な造り。目尻がきりっとした活力ある眼は、まさしくパワー溢れる魔理沙らしいもの。ウェーブがかった髪も見事に再現されており、見る者に柔らかな印象を与えます。この魔理沙像いただきました、星３つ！（CV堺正章）



魔理沙はもう何も言えねぇ。
目の前にいる少女は、きっと顔見知りの知人でも何でもなく、ただのマーガトロイドさんに違いなかった。
うんこのくせして本人より美形なのがムカつく、その像を掲げ、アリスは魔理沙に駆け寄った。
興奮して髪を乱すその下、額に『魔理沙の肉奴隷』と書かれているのが見えた。見えてしまった。





一抹の憂いも躊躇もない、それはそれは良いマスタースパークでした。