新・東方惨劇録 序章

「なあ・・・霊夢・・・」
「んー？」
魔理沙はいつもよりだいぶ、様子が変わっていた。
というより、何かを気にしている様子であった。
「幽々子の動機は、本当に西行妖の満開が見たかったのか？」
「生け贄でどうにかなるとは思いはしないけど？」
「まぁ・・・確かに・・・」
「まだ何か引っかかる件でもあるの？」
霊夢のその問いかけに、魔理沙ははっとし
「いや、何でも無いんだぜ？！　少し気になっただけだ！！」
「・・・」

実は。
「一理は有るわね・・・」
霊夢もずっと気にしていた。
今回の件で捕まったのは、
紅魔館の主、レミリア・スカーレット。
白玉楼のお嬢様、西行寺幽々子。
そして、
外の世界と幻想郷に境界を引いた主、
八雲紫。
霊夢はこの３人の誰かに疑念を抱いていた。

「誰が怪しいかは判らないのよね」
「霊夢も気になっていたのか」
「まあね・・・」

レミリアは捕まりそうになった時、記憶喪失のふりをした。
幽々子は捕まって取り調べを受けた時、目からは殺意が感じられた。
紫は復讐の眼。

「３人をグルと考える事は出来ないのか？」
「難しいわね・・・少なくとも、紫は犯人像にはならないわ」
「そうか・・・」

魔理沙と霊夢だけだった、この事に疑念を抱いていた人物は。

２人は正解だった。
この３人に疑念を抱いていた事が。
後、大規模な異変が再び起きる事になる。