使い魔と主人(前編)

作品集: 18 投稿日時: 2010/07/06 23:15:27 更新日時: 2010/07/06 23:15:27
・オリキャラあり










珍しく動いた動かない大図書館、パチュリー・ノーレッジは上機嫌で紅魔館の門にさしかかった。

「♪〜 ♪〜」

「おかえりなさいませパチュリー様」

「ただいま。お勤めご苦労様」

門番にそう返して館に入って図書館へと向かう。

「パチュリー様〜♪」

図書館の中に入ると、司書の使い魔、小悪魔がパチュリーに抱きついてきた。

「ただいま。リトル」

パチュリーは小悪魔の頭を撫でてやる。

「おかえりなさいませ。
例の魔道書買えましたか?」

「バッチリよ」

パチュリーが空中に魔方円を描くと、一冊の魔道書が現れた。
魔理沙から香霖堂にその存在を聞いてパチュリーは直々に香霖堂に赴いて買った物だ。

店主は頑固でなかなか譲ってくれなかったが、自分も価値のある魔道書を何冊か渡して長い交渉の末ようやく手に入れた物である。

「わぁなんか禍々しいですね…ここまでの物は見たことがないです………」

「そうね。でもあの店の店主は直接の危険は無いって言ってたから」

心配そうな顔をする小悪魔にパチュリーが言う。

「さて、と。中身早く読んじゃいましょうか」

自分の机について魔導書をしなやかな指で開く。すると様々な姿をした生物の絵画のようなものが並んでいる。

「どんな子が来るのかな…楽しみ!私の妹か弟ですね!」

この本はいわゆる使い魔のカタログである。載っている使い魔はどれも一様にスペックが高く、また何らかの理由で使役が停止された使い魔もいるのだが、まだ使い魔に関する法律がなかった時代に編集されたものであるため、そのような使い魔も載っている。

始め使い魔のカタログを買いにいくと小悪魔に言ったとき小悪魔はパチュリーにしがみついて私を捨てるのかと言ってきたが、もちろん小悪魔を捨てる気はない。小悪魔はそれだけパチュリーを愛してくれてるのだから。

「さて、召喚の術式だけど…難しいわね………」

そこらの魔法使いでは理解すら出来ないだろう。かなり魔法に精通してなくてはならないだろう。
レミリアでもだめだ。幻想郷内でもこれを読めるのはパチュリーと八意永琳、聖白蓮、あと面識は全く無いが魔界の面々ぐらいだろうか。

「おう。入るぞ」

ガチャ

パチュリーが集中し始めたとき、図書館に一人の魔法使いが現れた。

「また本を借りに来たぜ」

「………………………」

「………どうしましょうか」

小悪魔がパチュリーに指示を仰ぐ。

「追い出し…………いいわ。相手してあげて」

「え…はい。わかりました」

普段のパチュリーなら怒鳴り付けて咳き込んだあと魔法の数発でも放ってやるが、今日は機嫌が良い。この魔導書も魔理沙のお陰で手に入れた線もある。紅茶ぐらいなら飲ませてやろう。

「ようパチュリー。お前香霖からあの魔導書を買っただってな。お前あの本読めるのか?」

「ええ。一応ね」

「そうか。大したもんだな。
邪魔しちゃ悪いから向こう行ってるな?」

「なら来ないでってば…」

「それは無理だな」

魔理沙がパチュリーから離れると再び本に意識を集中する。

(この子を呼ぼうかしら)

パチュリーの眼がとある使い魔の所で止まる。挿絵に小悪魔と同じ髪の色をした魔物がいる。悪魔と上級竜の混血だそうだ。ただ、主人が死ぬとこの使い魔も死ぬらしい。だからこそこの使い魔は高い戦闘力で主を守る。と説明にはある。

呪文を唱え魔力を紋様に供給し、術式を剥がしていく。そんな作業をしていると、突然紋様から手応えが無くなった。

「あら、成功かしら…」

どこも間違ってはいないはずだ。魔力の配分も術式の解放も。
だが何も起こらない。

再び紋様に魔力を込めるが、何も起こらない。全ての術式の解放も終えた。

他の条件があるのだろうか。

パチュリーはひとまず作業をやめて小悪魔の元へと向かう。

「リトル。魔理沙は?」

小悪魔は本の埃を払っている所だった。

「魔理沙ですか?ならもうとっくに帰ってますよ。
あ、本は持ってかれてません」

「そう。ありがとう。
あの本、一応1つだけ解いてみたけど、何も起こらなかったわ」

「そうですか…でもパチュリー様が失敗なんかしませんし、きっと1日経てばとかそんな感じなんですよ!」

たしかにその類いの使い魔ならいる。開放してからしばらく経たないと現れないとか、気温が高いと現れない。とかいろいろな条件がある。

「そうね…
今日は久々に疲れたからお風呂行こうかしら………」

「私もご一緒します!」

「ええ?」

パチュリーのような種族としての魔法使いは代謝というものがないため、食事や睡眠、排泄は基本的にはしない。
しかし、人間社会に溶け込んだ魔法使いの中には食事や睡眠をとる者もいる。食事などが出来ないというわけではないのだ。

「一緒に入りましょうよパチュリー様!」

「う…………わかったわ」

「わぁい!」

跳び跳ねる小悪魔。

(………かわいいものね。使い魔って)

でもパチュリーにとっては小悪魔はもうただの使い魔ではなく、大切なパートナーである。
パチュリーは小悪魔と共に浴場へと足を運んだ───














「よう。また来たぜ………
って誰も居ないのか」

主が居ない図書館に魔理沙は降り立った。

魔理沙は本棚からまた魔導書をいくつか取っていく。借り忘れたのだ。小悪魔が守ったわけではないのだ。

「何をしてるのかしら?」

「!?」

突如背後からの声。

「咲夜じゃないか。突然驚かすなよ」

「殺すわよ?」

多少の殺気を帯びた咲夜の声。

「あ…ちゃんと返すから!じゃあなっ!」

「あっ!待てぇっ!」

魔理沙は一冊だけ魔導書を掴んで空いている扉から外へと飛び立った。

「はぁ………どうしたものかしら。ごめんなさいパチュリー様」

咲夜はため息をついてレミリアが借りていた本をあった所に戻した。本来の用事はこれだ。

「あれ?誰かいるの?咲夜?」

入浴を終えたネグリジェ姿のパチュリーと小悪魔が入ってきた。

「あら、パチュリー様。お嬢様の借りたものを返しに───」

「誰か来たでしょ?誰かの魔力が漂ってるわ」

パチュリーが咲夜に尋ねる。

「いや………その………ごめんなさい。守りきれずに………」

素直に謝る咲夜。

「いいわ。いつものことだし。
次あのネズミ通したら魔法の実験台にするって門番に言っておいて」

「畏まりました」

パチュリーのその冗談と本気ともつかない言葉に咲夜はそう答えて消えた。瞬間移動だ。

「それじゃあ、そうね…
今日は疲れたから寝ようかしらね」

「一緒に寝ていいですか?」

「えー…」

パチュリーは小悪魔を見る。

「一緒に寝たいです!」

「………わかったわ」

パチュリーは小悪魔と共に寝室のベッドに潜る。

「パチュリー様〜」

小悪魔はパチュリーに抱きつく。パチュリーもそれに応じる。

「あったかいです…パチュリー様」

「そう。私もよ」

パチュリーは小悪魔の髪を撫でる。このように姉妹の如く接するのは本来の使い魔への姿勢ではないがこうやってパチュリーになついてくれてるのだ。無下にはしたくない。

「それにいい匂いがします」

「香水よ」

「いいえ。パチュリー様の匂いです。
大好きです。パチュリー様………」

小悪魔がパチュリーの胸に顔を埋める。少しくすぐったい。だがパチュリーは幸せだった。

(私もあなたを愛しているわよ。リトル───)



















「おい。起きろご主人」

頭を軽く叩かれてパチュリーは目を覚ました。

「ほら、水だ」

「ん………」

パチュリーは渡された水を飲み干した。寝起きの頭を優しく覚醒させてくれる。

「ありがとう。リトル」

「誰だそれ?ああ。あの娘っこか」

「………!?」

違和感を感じてパチュリーは水が来た方を見た。ベッドの横に赤髪の悪魔が立っていた。まさか彼は………

「ああ。あんただろ俺を呼び出したのは。
よろしく頼むぜご主人」

微笑む悪魔。昨日の魔導書のあれだ。

「リトルは?」

とりあえずベッドから出るパチュリー。

「もうとっくに起きて仕事してるよ。顔は会わせてないがな」

「そう。
でもあなた、口の聞き方がなっていないわね。強かったのかもしれないけど私の使い魔なんだから───」

「ヤだよ」

悪魔は金色の眼を向けてパチュリーに返した。

「あなた、使い魔じゃ───」

「ああ。だからご主人に手を出す奴は殺してやるし、夜は俺が楽しませてやる。
本来使い魔ってそういうもんだろ?なのにご主人ときたらあの娘っこと添い寝たぁな。妹でも作ったつもりなのか?」

流れるように話す悪魔。

「あ、あんた………!」

「いっとくが追い返すなんてことは出来ないぞ?俺は強いし血も割りと優秀だ。
多分ここのコウモリ当主様より強いんじゃないのか?」

「………わかったわ」

この悪魔は悪魔と上級竜の混血。十分にレミリアより強いことも考えられる。

「じゃあ、リトルに挨拶して仕事教わりなさい」

「ヤだよ。あんた下級悪魔と仕事なんざしたくねぇ」

「あんたねぇ………!」

パチュリーの言葉に怒りが混じる。

「あの娘っこ送り返せよ。そうしたら死ぬまで死ぬほど働いてやるし、魔法の研究もいくらでも手伝ってやる」

悪魔はそんなことを言いながら扉に寄りかかる。

「嫌とは言わせんよご主人。
霧雨魔理沙とかいう人間の魔女とご主人って結構な仲だったよな?」

「それが何よ………」

仲が悪い。と言ったら嘘になる。寧ろ仲は良いし、パチュリーにとってはレミリアと同じく大切な親友でもある。

「あいつが昨日本棚から本を盗みに来たとき、呪いをかけた」

「!?」

「疫病のように苦しんで1週間で確実に死ぬ。確実にな」

「あんた…なんてことを!」

怒りに震えるパチュリー。手元にある魔導書を開いた。

「おっと」

悪魔が自分の髪の毛を一本引き抜いて投げつける。

「サイレントセレ………!」

パチュリーの腕に髪の毛が絡まって食い込んだ瞬間、パチュリーの体が重くなり、パチュリーの体内の膨大な魔力が一瞬で消失した。

「あー。髪の毛、皮膚に食い込んでっから取れないよ。
まぁこんなもんだ」

悪魔がそう言ったあと指を鳴らすと絡まった髪の毛が消え、魔力が戻った。

「じゃあ、あの娘っこ、送り返してくれよ」

「無理よ。永久契約したから」

パチュリーは悪魔を睨んで言う。くやしいがこいつにはかなわない。

「じゃあ始末しろよ」

「始末?」

「生命活動を停止させろ」

「ふざけないで!」

「じゃあ霧雨魔理沙は死ぬ」

「………」

やがてパチュリーの眼に涙が浮かぶ。

「泣くなよぉ。前の俺のご主人は古くて雑魚の使い魔を殺して俺を使って戦場で利益あげて大量の勲章を手にいれたぜ。
俺とご主人二人で城一個落とした時は楽しかったぜ?ご主人が爺になって死にそうになったら契約を切ってもらったがな」

「だから何よ!私はあんたやその魔法使いとは違う!」

「そうかい。
まぁ、1週間霧雨魔理沙が死ぬまでに決めな」

悪魔はそう言い残して消えた。

小悪魔を殺さないと魔理沙が死ぬ。レミリアに相談も恐らく出来ないしたらレミリアも殺される。

「酷い………!!」

なんでこんなことになってしまったのだろう。
パチュリーはシーツを握りしめながら自分の愚かな行動を省みて涙を流した。
IMAMIです。
幻想侵略記の方が時間かかりそうなので繋ぎとして書きためていたこちらをあげました。
かなり前に書いた作品なので文章は(修正はしましたが)未熟な面が多々あることでしょう。
この作品も面白いと感じていただけた方、ありがとうございます。
つまらないと感じた方、…努力します。
いつかオリキャラ物ではない作品も書きたい…
IMAMI
作品情報
作品集:
18
投稿日時:
2010/07/06 23:15:27
更新日時:
2010/07/06 23:15:27
分類
パチュリー
小悪魔
オリキャラ(使い魔)
1. 名無し ■2010/07/06 23:20:46
夜は楽しませる・・・ごくり
2. 名無し ■2010/07/06 23:30:35
この使い魔欲しいな
夜に楽しませてくれるんなら尚更欲しい
3. 砂時計 ■2010/07/07 07:16:15
魔理沙なんてゴミだから、後はこぁをどうにかするかだな
こぁ可哀想
4. 名無し ■2010/07/07 07:55:13
この使い魔には好感を持ったw
5. 名無し ■2010/07/07 19:52:17
使い魔は別に仕事こなしてるだけだからなぁ。酷いわけでもない
こあ……
6. 名無し ■2010/07/07 20:26:14
やばい超続編楽しみだわWWWW
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