使い魔と主人(後編)

作品集: 18 投稿日時: 2010/07/12 18:39:10 更新日時: 2011/05/31 22:37:30
ガチャ。

「パチュリー?居ないの?本返しに来たわよ」

紅魔館の図書館に人形使い、アリス・マーガトロイドが訪れる。

「あ、本を返しに来られた方ですか?」

本を並べていた小悪魔がアリスの対応をする。

「ええ。あと、パチュリーにも知らせたいことがあって…魔理沙のことで」

「私の口からお知らせしますので。魔理沙がどうしたのです?」

「パチュリーには会えないのかしら?」

アリスの声に疑問が浮かぶ。

「ええ…体調が優れないようなので」

「あの子が体調が良いときなんかあったかしら?」

「………」

そんなアリスの言葉に小悪魔が下を向いて黙り込む。

「あ、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて…」

「パチュリー様は今日はずっと寝室にとじ込もっています。声をかけても、一人のしておいてと言うだけで………」

アリスがそれを聞いて少し驚き、心配する。

「そうだったの………わかったわ。
実は魔理沙も体調良くないみたいなのよ。今もう永遠亭に見てもらったみたいだけど」

アリスはそれだけ言うと、小悪魔に本を渡す。

「わざわざありがとうございました。今日は借りていかれますか?」

「ううん。今日はいいわ。じゃね」

アリスは紅魔館を去っていった。





















「ご主人。聞いたか?」

「………」

寝室には悪魔とパチュリーがいた。パチュリーの魔法でこの図書館内の会話は全て聞こえるようになっている。

「聞こえてるんだよなぁ。あの白黒体調悪いとさ」

「………」

悪魔はパチュリーに囁くが何も言わない。だが、上体のみを起こして握りしめたシーツや固く閉じられた眼が言葉以上にパチュリーの状態を語っていた。

「いやぁ、どうすんの?早くあの娘っこ殺さないと白黒死ぬよ?
あ、白黒死んだら別にいいよ。そしたら契約を切ってやる」

「………」

「ご主人。なんとか言えよ。震えていりゃ俺がご主人を気の毒に思ってやめると思っているのかよ?」

悪魔がゆっくりパチュリーに近寄る。

「おーい、ご主人?」

悪魔がパチュリーの身体をペタペタ触る。

「へぇ。だんまりかい。そうかそうか」

そこで悪魔は水差しを取って、残りをパチュリーに頭からかけた。冷水がパチュリーの髪を、顔を、服を濡らす。

「………!!」

「フハハハハ!精々頑張るんだな────」

このようにして、寝室からも出ないパチュリーを悪魔は散々いたぶった。肉体的は暴力はしないものの精神はすり減らされていく。

やがて魔理沙が病に倒れてから5日が経過した。
魔理沙は永遠亭に入院したが、病は進行し痛みに呻きながら糞尿をベッドの上で垂れ流しているという。
永琳の必死の治療も全く功を成さず、いつしか幻想郷はその話題で持ちきりとなった。

「ご主人。早く娘っこ殺せよ」

悪魔はあいも変わらずパチュリーに絡み付く。

「………」

そしてこの5日間、パチュリーは口1つ聞いていない。

ノックの音が鳴る。

「パチェ。私よ。レミリアよ」

「おっと」

レミリアの訪れに悪魔の姿がかききえる。パチュリーは悪魔がいた空間を忌々しげに睨み付ける。

「パチュリー。開けて」

「………」

パチュリーは久しぶりにドアノブに手をかけてドアを開けた。外にはレミリアと心配そうな顔の小悪魔がいた。

「………なに」

5日ぶりに言葉を紡ぐ。

「何じゃないわよ。図書館にも入らず引きこもって。
一緒に食事しない?」

レミリアはそんな提案をパチュリーに持ちかけた。

「いらないわ」

「血とか入っていないわよ」

「でもいらないわ」

パチュリーは表情一つ変えない。
「どうしちゃったのよ。魔理沙のこと───じゃないわよね。
魔理沙があんなになる前からあなたはおかしくなったから」

「………」

「なにか悩みでもあるの?言いなさい」

「………ないわよ」

「だったらなんで………」

「図書館取り上げて出ていけってなら話すわよ」

「!!」

レミリアの顔が一瞬ひきつる。普段ならここでレミリアは言った者を痛め付けているが、レミリアは辛抱強く聞く。

「パチェ。この子も心配してるわ」

「パチュリー様………」

小悪魔が涙を浮かべてパチュリーの手を握る。

「やめて」

振り払うパチュリー。

「………パチェ。待ってるわよ。来てね。一緒に食べましょう」

レミリアはそれだけ告げて図書館を去っていった。

「パチュリー様。私のこと、嫌いですか………?嫌いに………なりましたか?」

とうとう泣き出す小悪魔。そんな小悪魔にパチュリーはさらに言葉を叩きつける。

「あなたのことは元から嫌いよ。リトル───いいえ、悪魔」

「………え」

「あなたがいたからこんなことになったのよ!あなたが全部悪いのよ!」

「パチュリー様………?」

「出ていけ!出ていけぇっ!」

パチュリーが魔力による念力で小悪魔の身体を浮かして図書館の扉を開ける。そして小悪魔の身体を図書館の外へ放り出した。
小悪魔は身体中を床に打ち付けてエントランスの床を転がる。

「!?
リトルっ!?」

エントランスにいたレミリアと咲夜は小悪魔の元に駆け寄る。レミリアは図書館の方を睨み付けるがドアはもうすでに閉められていた。

「うっ…ぅっ………ぇぇぇぇん!パチュリー様ぁ!パチュリーさまぁ!」

声を上げて泣き出す小悪魔。そんな小悪魔をレミリアは優しく抱き締めた。

「リトル………大丈夫だから。リトル」

「お嬢様。パチュリー様がこんなことになるなんて………」

咲夜が信じられないと言わんばかりに呟く。

「ぅぅぅぅ………」

抱き締めてからしばらくすると泣き声は小さな嗚咽になる。それを見計らってレミリアは小悪魔に囁いた。

「リトル。今日は私と寝る?」

「えっ………?」

顔を上げる小悪魔。

「あら、私じゃダメかしら?」

「………私みたいな下級悪魔がそんなこと………」

するとレミリアは優しく微笑んだ。

「あなたは下級悪魔なんかじゃないわ。私が決める。
ここで一番偉いのは私。その私が言うのよ。あなたは下級悪魔なんかじゃない」

「………レミリア様」

小悪魔はさっきとはまた違う涙を流す。

「お嬢様。食事、もう一人分手配させますわね」

「ありがとう。お願いね」























「ねぇ」

「うん?」

夜が明ける頃、 パチュリーは悪魔に話しかけた。

「あと、魔理沙はどれくらい生き延びれるの?」

「殺す気になったのか?それとも見捨てる気になったか?」

「答えて」

パチュリーは感情が全く無い声で話す。

「32時間後ぐらいだな。
明日の正午、午の刻白黒魔法使いは苦しみまくって死ぬ」

「そう」

「フフフ…やっと決断したか。そうかそうか。よろしく頼むぜご主人。俺の息子共々な。
ああ、ご主人がレズなら女の姿にもなれっからな」

軽口を叩く悪魔を無視してパチュリーは寝室から、そして図書館から出た。
薄暗い館内の階段の下に隠れる。図書館に行くときはこの階段を使わなければならない。

パチュリーは神経を研ぎ澄ませ、魔力を集中する。

日符「ロイヤルフレア」

これならレミリアは近寄れない。咲夜も生身である以上時を止めてもスペルは防げない。

「───!!」

近付いてきた。小悪魔の魔力が。階段を一歩一歩降りてきている。どうやら一人らしい。よし。

小悪魔が階段を降りきった瞬間、パチュリーは階段の陰から姿を表した。

「死ねっ!」

「!?」

驚愕する小悪魔にパチュリーは全力でロイヤルフレアを放った。
小悪魔の身体が高温に焼かれる。やった。これで魔理沙を救えた。
のたうち回る小悪魔を更に焼く。焼く。
焼く。
動かなくなるまで。
消し炭になるまで。
形がなくなるまで。

「あ゛あ゛あ゛あ゛!」

言葉にならない悲鳴を上げる小悪魔。
まだだ。
まだ足りない。
もっと燃えろ。
死ね………
死ね………!

バシュッ!

そのとき、パチュリーの右腕が血液と骨の欠片を撒き散らして粉々に爆ぜた。

「え…………
ひぎぃぃぃぃぁあ゛あ゛!」

今度はパチュリーが悲鳴をあげてのたうち回る。スペルも停止した。

「パチュリー。動かないで」

この声は………

「あなたの頭の目が今私の手の中にある。魔法を使う素振りを見せたらあなたの頭を壊すわ」

「妹様………!どうして………!?」

宝石の羽が生えた悪魔の妹、フランドール・スカーレットがそこにいた。

「どうして?
全部答えてあげるわ。
ちょっと最近美鈴と仲良くなってきたの。力の使い方を少し教えてもらった。あなたが引きこもったあたりかな。力の使い方を教えて貰ったら意味の無い破壊衝動なんか無くなっちゃったわ。
だからお姉さまに昨日から館内なら歩いていいって言われたの。
でも、私の本当の意味を持つ力を使う相手があなたなんて、本当に残念」

「あ…そんなっ………!!」

小悪魔に近寄る美鈴の姿が見える。そしていつの間にか咲夜とレミリア、妖精メイド達の姿もあった。

「パチェ………あなたなんてことを………!どうして自分をこんなに愛してくれた使い魔を!」

レミリアがパチュリーに向かって言う。眼には怒りと悲しみから涙が浮かんでいる。

「パチュリー様。残念でなりません」

「小悪魔はもう、息がありません」

美鈴がパチュリーに言うとパチュリーは微笑んで答えた。

「そう。よかったわ………」

「!?
この………!」

グシュッ!

今度は左腕が吹き飛んだ。

「あああ…」

そこでパチュリーは意識を手放した。






















数ヶ月が経った。

「おいご主人………聞こえるかご主人」

「………」

パチュリーはあのあとフランがいた地下室へと送られた。代わりにフランはパチュリーの部屋を使っているという。

「ご主人。何べん言ったら分かるんだ。両腕なら治してやるし、こっからも出してやる」

「………いい」

小悪魔は死に、魔理沙は回復したそうだ。でももうそんなこと少なくとも魔理沙が生きている内は外に出られないであろうパチュリーには関係の無いことだ。

「ご主人。あんたそれでいいのか?」

「じゃあ一つお願いがあるわ。
殺して」

「あん?誰をだ?」

「わたし。パチュリー・ノーレッジを殺して」

「………はぁ、わけわかんねぇや。んじゃあ契約切るぜ」

と、悪魔は懐から紙を取り出した。あの魔道書の自分のページである。そこだけ破って持っていたのだろう。

と、そのとき───

「パチュリー」

外からレミリアの声がした。

「何か必要な物は無いかしら?何でも言って」

レミリアは定期的にこのようにパチュリーの元に来る。そして最近幻想郷であったことを話してくれるのだ。

「………」

「………パチュリー。いい知らせか悪い知らせか分からないけど、知らせがあるわ」

そこでレミリアは一拍置く。

「魔理沙が道具屋の店主と結婚したわ」

「………!!」

「あの道具屋の店主、病気やってた魔理沙の世話を甲斐甲斐しくしてたのよ。憧れるわね。
でもやっぱり咲夜の伴侶を見てやるのが先かしら?しっかり主人として主人をみてやらないと。なんてね。
………じゃあね」

レミリアは扉の裏の不穏な殺気に気付いてか、足早に地下から出ていった。

「………ねぇ、あんた」

しばらくしてパチュリーは地獄のような声を悪魔にかけた。

「おう」

「さっきの願い、取り消すわ」

「そうかそうか!いいぜご主人。取り消しだ」

悪魔は喜色満面の笑みを浮かべて紙を閉まった。

「まず、腕を治してほしいわ」

「寿命50年分貰うぜ。出血大サービスだ」

「あと、ここから出して」

「それは無料だ」

悪魔はうんうんと頷きながら微笑む。

「あと、最後のお願いよ」

パチュリーは最後の願いを悪魔に告げた───
なんかずいぶんクオリティーが下がった気がします・・・
この作品のパチュリークズだな。
レミリアがなんか優しすぎると思いますが、原作でのレミリアはなんかこんな印象を持ってます。
そして今回のデウスエクスマキナ、機械仕掛けの神、フランちゃん。まぁ、この作品ならありかな。
IMAMI
作品情報
作品集:
18
投稿日時:
2010/07/12 18:39:10
更新日時:
2011/05/31 22:37:30
分類
パチュリー
小悪魔
オリキャラ(使い魔)
続かない
1. 名無し ■2010/07/12 22:29:29
デウスエクスマキナってマッドネスコンバット?
2. 名無し ■2010/07/13 00:08:52
↑困った時に現れて、何でも解決すごいやつ

それはそうと子悪魔カワユス
3. 名無し ■2010/07/15 08:57:24
後編ってことは…続かない?
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