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『生まれつき』 作者: 上海専用便器

生まれつき

作品集: 18 投稿日時: 2010/07/13 23:21:19 更新日時: 2010/07/15 18:40:49
「死ね、クズ天狗!!」
「お前の記事は、嘘ばっかりじゃないか!!」
「あんたの記事のせいで、私の店の評判はガタ落ちよ!!」

今日もまた、読者からのクレームの手紙が来た。
これで何回目だろうか?
少なくとも、三桁は超えている。
確かに、事実を誇張して書いてある記事もたくさんある。
でもそれは、人を馬鹿にしたいからやっているわけじゃないのに。
それにデタラメな記事を書いた覚えは無い。

「文様、もう少し記事の内容についてお考えになったほうがよろしいのでは?」
「ねぇ、文………私はあんたを親友だと思ってるけど………
やっぱり、他人を馬鹿にするような記事はやめなよ。」
「ふん、お前のような天狗がいるなんて妖怪の山の恥だな。」
「言っておくけど、早苗のことを書いたらどうなるか…………分かっているよね?」

守矢神社での宴会に呼ばれた私は、椛、にとり、神奈子様、諏訪子様にこんなことを言われた。
私を宴会に呼んだのは、文々。新聞に対して圧力をかけるためだった。
しかも、数少ない友人だと思っていた椛とにとりまで協力していた。
どこに行っても、私がいると新聞のことで文句を言ってくる。
いや、もはや新聞なんて関係ない。
みんな、私を非難することを楽しんでいる。

こんなことじゃあ、私の新聞作成意欲も削がれる。
今日はあまり書く気にはならない。
明日の朝に書くことにして、今日は寝てしまおう。















「文様、新聞をお受け取りに参りました。」
私の新聞を印刷してくれる天狗の呼び声で、私は目を覚ました。
しまった、完全に寝坊してしまった。
彼を待たせて今から書いてもいいのだが、今日はそんな気分ではない。
仕方ない、今日は休刊にしよう。
「ごめんなさい、今日は休刊ということでお願いするわ。」
「え?そ、そうですか………分かりました、ではまた。」
「ええ、ありがとう。」

さて、早速明日の新聞の執筆に取り掛かろう。
今度はどんなネタを使おうか。
私は手帳や本を読みあさり、どんな記事を書こうか悩んでいた。
そのとき気づいたことがある。
私の手が、なぜか裏返っていたのだ。
何だろうか、この手の異常は。
でも、痛みは全くない。
痛みがどうこうというより、ペンが持ちにくくなって記事を書くのに苦戦してしまう。
おっと、今は手のことを気にしている場合じゃない。
号外で書かなければならないことを思い出した。
私はかつてない早さで、記事を書き上げていく。
手が裏返っていることなど、いつの間にか頭の中から消え去っていた。

「文様、お呼びですか?」
「ええ、号外を作ったから印刷をお願い。できたら、一緒に配達しにいくわよ。」
「号外!?おお、さすが文様です!」
「ふふ、ありがとう。」
「それで、どんな内容の記事で……?」
私は彼に、号外の記事を見せた。
それを読む彼の驚いた表情で私を見つめてきたが、私はにっこりと笑って返した。



「号外ー!号外ー!」
人里で私たちは、新聞をひたすらばら撒いていた。
なんだかんだ言って、みんな私の記事を広い読んでいく。
人間たちが大騒ぎするまでの時間は、それほど長くはかからなかった。

“文々。新聞、廃刊決定!”

この大見出しを読んで、驚かない者は少なくなかった。
なんせ、新聞は私しか書いていないのだ。
これで新しい新聞が作られるきっかけができる。
さて、次は他の誰かに新聞を書いてもらわなければならない。
しっかりとしている人でなければ、また同じことの繰り返しとなってしまう。




「ということで、貴方に任せようと思います。」
「私にやれと?」
「はい、私は今まで清く正しい記事を書こうと努力してきたつもりですが、
残念ながら私があまりにも無力であるあまり、
読者の皆さんの気分を害するような新聞になってしまいました。
なので、これ以上幻想郷の皆さんに迷惑をかけぬよう文々。新聞を廃刊した次第です。
しかし、新聞は情報を手に入れるための便利な道具であるのは確かです。
ですから、誰かに新たな新聞を作ってもらいたくて…………」
「新聞の必要性は、私も十分理解しているつもりだ。が、何故私に?」
「慧音さんは、人里の人間の方々からも一部の妖怪の方々からも信頼されております。
貴方なら、真実をしっかりとお伝えすることができるはずです。」
「妙なことを言ってくるな。何故急に、そんな手のひらを返したような態度を取るんだ?」
「手のひら返しだなんてそんな……………」
「まぁいい。試しに何回かやってみよう。もしも、私には合わないと思ったらやめさせてもらうぞ?」
「はい、ありがとうございます!」

これでいい。
慧音さんには迷惑をかけるかもしれないが、今の幻想郷には新聞はなくてはならないのだ。
……いけない、もう一つやっておかなければならないことがあった。
私は羽を広げて、地霊殿へと続く穴がある場所へ飛んでいった。

「慧音が新聞?」
「ああ、あの天狗が私にやってほしいんだと。」
「ふーん………ねぇ、慧音。」
「どうした?」
「どうして、あいつは新聞を書くのをやめたんだろうね。」
「……………さぁな。」
「そう………分かった。じゃあ、私輝夜と勝負してくるね。」
「夕方には帰ってこいよー」
「分かったー」
(妹紅の言うとおり、なぜ新聞を書くのをやめたんだ?
何を言われようとも、新聞を書くことだけはやめないと思っていたのだが………)



地霊殿へとたどり着いた私は、主のさとりさんと会った。
「あら、今日は何を企んでいるのかしらね…………え?」
「心を読んで、どう思いましたか?」
「もう、新聞は書かないですって………?」
「返答しなくても、分かってますよね?」
「…………本気みたいね、それで本当の用は何かしら?」
「それも分かっているでしょ?」
「………………………………どういうことなの。」
「貴方の第3の目は真実を見抜けます。貴方ならば、私の本心を知ることができます。
ですから、貴方にだけは伝えておきました。それでは、また会う日まで。」
それだけを伝えて、私は地上へと戻っていった。
さて、後は慧音さんの新聞が発刊されるまで待つだけだ。

「『今までご迷惑をかけて申し訳ございません。これからは、慧音さんたちが
新聞作りに奮闘する姿を皆さんに伝えるためにがんばっていきます』か………
あ。なぜ、わざわざ私に伝えに来たのか聞いておけばよかったわね。」



その数日後、慧音さんの作った新聞が発行された。
内容に嘘偽りはもちろん、誇張された記事すら無く、幻想郷で起こった事件を淡々と説明してあった。
もちろん、ちょっとした話題などもたくさん書いてある。
好評だったらしく、これからも書き続けて欲しいと人妖問わず言われたそうだ。
慧音さんも渋々了解したが、さすがに一人じゃつらいので何人か協力者を募ったらしい。
それで採用されたのが、魔理沙さんやアリスさん、レミリアさんや早苗さんなどといった人たちだ。
「あの天狗の新聞より、何倍もおもしろい。」
「さすが、慧音様がお作りになる新聞だ。どこぞの新聞とは大違い!」
慧音さんたちが作った新聞を評価してくれる人々がたくさんいてくれる。
それがまさしく、私の待ち望んでいたことだ。

それからの数十日間、新聞は発刊され続けていった。
作成者の人数が多いお陰で作業が分担されているため、慧音さんには苦痛ではないらしい。
教職もしっかりとこなしている。



慧音さんたちが新聞を作っている最中、私はこっそり新聞作成に奮闘する皆さんの写真を撮っていた。
早苗さんが記事のテーマにしている妖怪退治をするときの勇姿も、
魔理沙さんが取材をするときの立派な姿も、
レミリアさんが皆さんが楽しむことができる記事を咲夜さんと一緒に作っている姿も
アリスさんの…………………………………………………………ア、アリスさんらしい姿もすべて写真に収めていった。
もちろん、私はこの写真をばら撒くなんて考えていない。
単にばら撒くだけだと、逆効果となってしまう可能性が高いのだ。
皆さんの勇姿を伝えるためには、少し凝った方法でこの写真を使わなければならない。
だけど、少し疲れたので久しぶりに霊夢さんのところに遊びに行こう。


私は、霊夢さんのいる博麗神社へと遊びに行った。
相変わらず、縁側でのんびりと煎餅を食べてお茶を飲んで、ぼーっとしている。
「あら、文じゃない。遊びに来たのね。」
いつもなら冷たくあしらう霊夢さんだが、今回はお茶を出してくれた。
「霊夢さん、最近どうですか?」
「どうって?」
「いえ、慧音さんたちが新聞を書き始めてから―――」
「やめて。」
「え?」
新聞の話をしようとしたら、霊夢さんは急に制止してきた。
「あの新聞の話はしないで。」
「ど、どうしてですか?」
私は何故、霊夢さんが新聞の話をしたがらない理由を尋ねた。
「あの新聞は自分の周りのことや自慢話しか書いてない。
あんたが書いていた新聞のほうが、まだ読む価値があったわ。」
驚いた、まさか博麗の巫女たる霊夢さんが慧音さんたちの新聞に否定的だったなんて。
このままでは、新聞の評判は落ちてしまう。
早々に、対策を行わなければ…………!



人里の寺子屋へとたどり着いた私は、慧音さんにある提案をしようとした。
ちょうど授業が終わったらしく、人間の子供たちが次々と外へ出て行く。
さて、慧音さんと話をしなければ。
そう思った瞬間、急に視界が反転して地面に倒れた
「「やーいやーい、射命丸のバカー!」」
子供たちが私にいたずらを仕掛けてきたのだ。
それだけなら可愛げがあるで済ますことができてよかったが、あろうことか私の大事な写真を盗んで言ったのだ。
「や、やめなさい!それは慧音さんに渡す……!」
「へへーんだ!オレたちが先生にわたしてやるよ!」
そう吐き捨てて、写真を盗んだ子供たちは逃げていった。
これはまずい。
私が直接あの写真を渡さなければ、効果が薄くなってしまう可能性がある。
何とかして、子供たちから写真を取り返さなければ。
「どうした、文。」
「け、慧音さん!」
ちょうど慧音さんも、寺子屋から出てきた。
私は先ほど、子供たちに写真奪われたことを伝えた。
「………やはり、そうだったか。お前、私たちの写真を隠し撮りしていたな?」
「え…………?」
隠し撮り?
そんなことした記憶はない。
「新聞を廃刊にしたから、自分にはあまり目を向けられないと思ったのだろう。
お前の目論見を見破るなど、私にとっては容易なことだ。
裏でこっそり、私たちの写真を撮っていたのは知っているのだぞ。
大方、誰かに売ろうとしていたのだろう?」
確かに慧音さんたちに許可無く写真は撮っていた。
でも、私はただ皆さんの頑張っている姿を…………!
「………今回は許してやる。だから今すぐ、残りの写真を渡せ。」
「嫌です!私は、売ろうとして写真を撮ったんじゃありません!」
「ほう………まだ白を切るつもりか。」
「違います!私は、私はただ…………!!」
私は無理矢理、慧音さんに荷物を調べられた。
しかし、写真はすべて子供たちに奪われていた。
慧音さんは、明日の寺子屋の授業で子供たちに持ってくるよう伝えて、
もしも捨ててしまったならどこで捨てたかを尋ねて、全て見つけるそうだ。
まだ証拠がないということで、私は一応解放された。
が、博麗神社で夜を明かすという条件をつけられた。
どうやら、私の無実がはっきりするまでは自由にはさせないようだ。
正確には、私を陥れるだけの何かを手に入れるまでは目を離さないつもりだ
今の慧音さんは、私の言うことは何も信用してくれないだろう。
でも、たとえ慧音さんに何を言われようとも…………
私は新聞のために、あの写真を取り返して、慧音さんと話をしなければ………!



「散々だったわね。」
私は今、博麗神社で夕飯をいただいている。
「ま、元気を出しなさい。」
霊夢さんがここまで私に暖かく接してくれると、何か裏があるのではないかと疑ってしまう。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
今日は精神的に疲れてしまった。
さて、もう寝てしまおう。
私はそのまま、深い眠りについた。





「文、起きなさい。」
霊夢さんに体を揺さぶられて目を開けると、いつの間にか朝になっていた。
日差しが眩しい位に天気が良い。
しかし、なぜか霊夢さんはあの無表情だ。
霊夢さんが怒っているときにしか見ることができない、一番恐ろしい表情だった。
「何か、あったのですか?」
「………………これではっきりした。」
「え?」
「あんたが眠った後、さとりが私に会いに来たのよ。話は全部聞かせてもらったわ。」
「………さとりさんが来たときに、どうして私を起こさなかったのですか?」
「ぐっすり眠ってたから、私が朝ごはんを食べ終わるまでは起こさないでおこうと思ったの。」
「それで………さとりさんは、何と………?」
「あんたの本心を聞かせてもらったわ。あんたは本気で慧音の新聞の評判を良くしようと思ったのね。」
「もちろんですよ!それなのに、慧音さんは………慧音さんは……!」
「大丈夫よ、今回はあんたの味方だから。大丈夫……大丈夫よ。」
「れ、霊夢さん…………ありがとうございます………!」
よかった、さとりさんなら分かってくれると思っていた。
でも霊夢さんまで、こんなに物分りのいい人とは思っていなかった。
「さて………そろそろ、慧音たちにも一言言っておかないといけないわね。
めんどくさいけど、阿求と妹紅に手伝ってもらわないと。」
















私は裏返った自分の手に感謝した。



手がこんな風になってから、良いこと尽くめだ。



慧音さんはともかく、早苗さん、魔理沙さん、レミリアさんの“勇姿”は本当に立派なものだった。



あれだけの写真を子供たちに盗まれたのだ、一枚は必ず人里に出回る。



本当は、慧音さんに直接渡さなければ効果は薄い。



でも、霊夢さんがまさか私を擁護してくれるとは思わなかった。



霊夢さんがこちら側についてくれただけで、写真の失敗を心配する必要がなくなった。



霊夢さんの言葉は、慧音さんのものと同じ、いやそれ以上に影響力がある。



もうすぐだ。



もうすぐ、全て私の思い通りになる。




















文は


















どう見ても





















裏返っている



































とは思えない、綺麗な手を眺めてそんなことを考えていた。
最後だけ三人称になってしまった………
やっぱり意味不明になる、死にたい
この後、文と慧音がどうかるかは考えているけど、
ここで終わらせるのもありですかね?

続編を希望する方がいたので作ります。
が、次は手のひら返しではない作品を投稿するつもりです。
………もっと劣化した作品になったら怖い。
上海専用便器
作品情報
作品集:
18
投稿日時:
2010/07/13 23:21:19
更新日時:
2010/07/15 18:40:49
分類
慧音
その他大勢
手のひら返し
意味不明
1. 名無し ■2010/07/14 09:52:14
文が腹黒いこと考えてそうwwwwwwww
2. 名無し ■2010/07/14 14:59:36
生まれつき手のひらが返ってたってこと?
3. 名無し ■2010/07/14 20:30:23
どうにも意味が上手くつかめなかったが
作者本人が意味不明と言っている以上意味を考えるのは野暮な事なんだろうか
4. 名無し ■2010/07/14 20:41:07
なんか中途半端な気がするのは気のせい?
5. マジックフレークス ■2010/07/14 21:20:27
もともとの文の新聞は権力の監視や批判が主で殆ど全ての勢力及び支持者には疎ましい
生まれつきひねくれすぎていたあややは手のひら返し状態では善人 + 反権威の精神が無くなった
慧音は基本的には善人だけれど、霊夢の言葉から身内びいきや自己正当化工作を行っている可能性が示唆されている
写真はその証拠? そして結末と詳細はぼかして書かれている、と解釈したら非常に楽しめました

とはいえ最初と最後のあややもかなりくさい奴ですよねw
さとりと霊夢に良識があるのが救いですが……
6. 名無し ■2010/07/14 21:40:27
私は裏返った自分の手に感謝した。
手がこんな風になってから、良いこと尽くめだ。

この二行で文は手の裏返りにより性格が真逆になってしまったことを
しっかり認識しているのな
霊夢やぬえはあんま気づいていないみたいだったようだけど
異変を+に変換する文の適応能力の表れなのかね
7. 名無し ■2010/07/15 04:36:29
続き希望な面白さ
8. 名無し ■2010/07/16 02:41:20
生まれつき手のひらが物理的に返ってたあややが
翌朝さらに裏返ってまともな手のひらとまともな思考になった。その後撮った雄姿の写真もまとも。
従来の己の悪評判を自覚できたあややは、あややが撮った写真を何とかしてけーね新聞に有用に使ってもらいたかった。

しかし(恐らく途中で手のひらが返った?)けーねも、霊夢が訝しがる記事(里や協力者の広告塔のような)を書き、
綺麗なあややをして「慧音さんはともかく」と言わしめる態度になった。

従来の己の悪評判が事態を悪化させるであろうことを見越していたあややは、
保険の意味でさとりに会いに行き、本心の言質をとってもらった。
写真もけーねに握りつぶされることなく里に出回り、
味方してくれる霊夢によって確実にけーね新聞に有用に使ってもらえるだろう。

冒頭以外は終始綺麗なあややでハッピーエンドのお話、だと思う。
9. 名無し ■2010/07/17 00:28:27
文々。復刊の号外が近いな
10. ふすま ■2014/07/09 21:38:10
これハッピーエンドなのか?
正直射命丸が不憫で……。
それにしても霊夢が優しい奴なのは珍しい。
最後の一文を読むのが怖かった……
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