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『崩れ行く幻想 前編』 作者: 上海専用便器

崩れ行く幻想 前編

作品集: 19 投稿日時: 2010/08/08 00:59:45 更新日時: 2010/08/12 13:46:58
※かなり無茶な展開が続きます。






















「紫様、お伝えしたいことが………」
藍は神妙な顔で紫に声をかけた。
人里の現状を紫に伝えようとした。
しかし、紫は藍の言葉を無視する。
「天子、これを着てみなさい。」
「うん!」
「紫様、お聞きください。人里で……」
藍の言葉は全く、紫の耳に届いていない。
紫は、天子に自分の服を着させて遊んでいるようだった。
かれこれ、二刻は過ぎただろう。
見かねた藍が何度も声をかけるが、紫は無視し続けていた。
「私の服も似合うわね〜」
「かわいい?」
「ええ、もちろんよ。」
そう言って、紫は天子を抱きしめる。
天子はニコニコしながら、紫に頬刷りをする。
藍はもう一度だけ、紫に声をかける。
それでも無視されたなら、この日は諦めるつもりだった。
「紫様。」
「…………何かしら?」
紫はついに、藍の話を聞く気になった。
藍は人里の現状を伝えた。
「紫様、人里が妖怪との交流を止めると決定したようです。
このままでは、人間と妖怪の関係が――」
「それでいいじゃないの。」
「悪くなる一方…………はい?」
藍は、自分の耳を疑った。
幻想郷の管理者たる己の主が、今の状況を認めるはずがない。
認めてはならないのに、紫は黙認するというのだ。
「紫様!」
「天子、あっちに行きましょう?」
「わかった!」
「紫様、お聞きください!」

紫は天子と手を繋ぎ、奥の部屋へと消えていった。
藍は悔しさのあまり、唇を噛み締める。
血が流れた。
「私が……私が、あの人形の毒に侵されていなければ………くそっ!!」
拳で壁を叩きつける。
轟音が、空しく部屋中に響き渡った。
もしも、自分が毒に侵されていなければ。
萃香と橙を襲うことがなければ。
幽々子が自分の主を襲うのも止めることができたかもしれないし、
幻想郷の住人から疑われることもなかった。
藍は自分を責めていた。


妹紅が捕らえられてから、紫は幻想郷の管理をまともにしないようになってしまった。
何故なのかは、藍には分からなかった。
紫と妹紅の交流は殆ど無かったし、紫が同情することも無いはずである。
しかし、実際に紫は何かしらの影響を受けたのだ。
何が紫を変えてしまったのか、何が幻想郷を変えてしまうのか。
藍には、その答えは分からなかった。


「藍様………」
「橙?す、すまなかった………驚かせてしまったようだな。」
突然、壁を思い切り叩く音が聞こえてきたので橙は藍のいる部屋へと現れる。
藍から受けた傷はまだ癒えていなかったが、
普通に生活するだけならできていた。
「紫様………元気になりました?」
「………ああ、もう元気になったよ。さぁ、橙も部屋に戻るんだ。」
藍は橙を部屋に戻して、布団に寝させようとする。
だが、自分の肩に置かれた手を橙は振り払った。

「ちぇ、橙?」
藍は一瞬、自分はついに橙に見限られたのかと思った。
だが、橙は藍に触れられるのが嫌だったわけではない。
「もう大丈夫です。だから、私に家事をさせて下さい。」
「え?お前はまだ……」
「藍様。私は二度と藍様に甘えたりしません。
紫様と藍様が苦しんでいるのに、私だけ寝ているなんてできません。」

橙は、自分の主人たちに甘えてばかりだった。
苦しかったときも悲しかったときも、橙は藍や紫に助けを求めた。
藍が自分を襲い、紫が幽々子に襲われたのは自分が不甲斐無かったから。
橙はそう思い、大好きな主人のために強くなる決心をしたのだ。

「お料理も、お掃除も、私がします。
最初はできないかもしれませんけど………
頑張って、藍様と同じくらい上手にできるようになります。」
「橙………お前という奴は………!」
藍は嬉しさのあまり、涙を流す。
そして、橙を力強く抱きしめた。
最初は橙も抱きしめられて喜んでいたが、
徐々に呼吸ができなくなっていった。
「ら、らんさま………ぐるじぃです…………」
「はっ!す、すまん!あまりにも嬉しくて、つい………」
藍はとっさに橙から離れた。
橙はぜぇぜぇと息を荒げていたが、すぐに呼吸を整えた。
「と、ともかく。早速、掃除をしてもらおうか!」
「……はい!」
橙は満面の笑みでそう答えた。


その頃、天子は紫と一緒にいろんな遊びをしていた。
紫もその状況を楽しんでいたし、天子も嬉しそうだった。
だが、天子には、一つだけ疑問があった。
連日、自分と遊んでくれる紫にも、
衣玖と同じように仕事はあるのだろうか。
衣玖も紫と同じように、天子の面倒を見ていた。
しかし、衣玖には龍宮の使いとしての仕事がある。
そのため、何回も紫や萃香にも天子を預けていたのだ。
だが、紫にはそういったことはなかった。
天子は、そのことを気にしていたのだ。
「ゆかりんおねえちゃん。」
「な〜に?」
「おしごと、しなくていいの?」
「……………」
「ゆかりんおねえちゃんには、おしごとはないの?」
天子は首を傾げて、そう尋ねる。
そんな天子の頭を、紫は抱きしめる。
何も語らず、抱きしめ続けた。
「おねえちゃん?」
「…………さぁ、そろそろご飯にしましょうか?」
「う、うん。」
紫は何とか誤魔化して、天子の質問から逃れた。

『幻想郷の管理をするのが仕事よ。』

そう答えるだけでよかったのだ。
だが、紫は答えなかった。
答えることなど、できなかった。
(どうすればいいのか、分からないのよ………)
今の状況を何とかしなければならないのを、紫は十分に理解していた。
人里の人間を説得する必要があった。
だが、紫は自信を無くしていた。
慧音がかつての自分と一緒だったことに気づくと同時に、
迫害されないために幻想郷の管理をしていたことに気づいた。
人間と妖怪が手を取って共に生きる世界。
確かに、素晴らしい世界なのだ。
だが、もしもその世界で人間と妖怪の関係に亀裂が入ったとき。
人間と妖怪の戦争にも発展しかねない。
そうなれば、自分が迫害される可能性が高いのだ。
だから、妖怪が人間を食べて、人間が妖怪を退治する世界を作った。
小規模の争いが起こりやすい状況にしたのだ。
当事者たちの間に責任を負わせて、自分には飛び火しないようにするために。

(管理者として、失格ね…………)
紫は慧音の件でやっとそのことに気づいた。
臆病なあまりに、紫は自分の好き勝手な世界を作った。
確かに大きな争いは起こらなくなった。
だが、それは自分の保身のためのものだった。
(結果さえよければ、良いとはいえ……………)
「ゆかりんおねえちゃん、だいじょうぶ?」
「て、天子?だ、大丈夫よ。」
突然、天子に声をかけられ紫は慌てる。
が、すぐに平静を取り戻した。
「はやく、ごはんを食べにいこっ!」
「………ええ。」
天子との日常を暮らしていく。
それが今の紫にとっての、生きがいだった。












藤原妹紅が人間に捕らえられてから、数日後。
人間と妖怪の関係は、大きく様変わりしていくことになる。
妹紅が犯人だったのが問題なのではなく、
妖怪を助けるために人間を殺すその所業が原因だった。
上白沢慧音は妹紅が捕らえられて以来、家に篭るようになってしまった。
人間たちが見舞いに来ても、全然元気にならなかった。
そのこともあってか、、人里ではある重大な決定が下された。

「いいか!慧音様を苦しめるような妖怪たちとは縁を切る!!
今後一切、妖怪との交流をしてはならぬ!!
だが、神奈子様と聖様たちは我らを守ってくださった!
あの方たちだけが、我らの味方だぞ!」
人里の広場に人間たちを集めて、里長はそう告げた。
その決定に異を唱える者は、誰一人いなかった。
何せ、妖怪がいなくても暮らしていけるものが殆どだったのだ。
妖怪がいなくなるほうが人間たちにとって都合がよかった。
さらに、死体に賞金をかけるようになっていった。
人里が妖怪を排除していくようになるのは、明らかだった。

「もう一匹、ちょうだい!」
「待ってて、今作ってあげる。」
「チルノちゃん、食べすぎたらダメだよ?」
「大丈夫だよ、大ちゃん。チルノのお腹はバカだから。」
「バカがお腹なのは、ルーミアでしょ!」
「そーなのかー?」
「バカがお腹って、どういう意味なのよ。はい、八目鰻。」
「ありがとう、みすちー!いっただっきまーす!」
チルノたちは、竹林にあるミスティアの屋台で談笑していた。
八目鰻を口にしながら、楽しい時を過ごしていた。
そんな中、一人の男が屋台へと向かってきた。
「あ、お客さん。みんな、席を空けてね。」
ミスティアの言葉に従い、チルノたちは席を空ける。
その時のことだった。
リグルは蟲からの声を聞いた。
「何々、どうしたの?…………え?ほ、ほんと!?」
「どうしたの、リグルちゃん?」
「こ、この子がね!」
リグルはそう言って、小さな蜘蛛を指差した。
かなり慌てているようだったが、
チルノたちには変にしか見えなかった。
「また蟲と、おはなししてたの?」
「に、人間たちが!人間たちが、私たち妖怪を殺すって!」

ミスティアは客と思わしき男の方を向いていた。
「いらっしゃいませ!さぁ、そこにお座りくださ………え?」
男は腕を前に出してきた。
何かを持っているようだったが、それが何かは分からなかった。
分かることはなかった。

「……………ミスティア、ちゃん?」
大妖精は、胸を刀で刺されたミスティアを見つめていた。
その場で呆然と立ち尽くす。
何が起こったのか、ミスティアに何が起こったのか。
大妖精には、何一つ分かっていなかった。
「っ!!よくも、みすちーを!!」
意外にも、チルノがいち早く行動に出る。
そして、ミスティアを刺した男に氷を飛ばす。
(これだけでお金が………妖精ぐらい、俺にも!)
そう油断していた男とチルノの勝負は、一瞬で終わった。
男の顔に、何本ものつららが刺さる。
フラフラと体を揺らしながら、男は力を無くして地面に倒れた。
即死だった。

リグルとルーミアは、すぐにミスティアの傍へと駆け寄る。
意識はなかったが、幸い息はしていた。
「みんな!周りに人間がいないか、見張ってて!」
「暗くするよー!」
リグルは蟲たちに見張りをさせて、ルーミアは屋台を闇で包み込んだ。
これで、自分たちの場所が知られることはなくなった。
だが問題なのは、どうやってミスティアを治療するかだった。
「ど、どうやって治そう………」
「れ、霊夢のところにいく?」
「あっ!え、えっと………永琳先生のところに行こう!」
やっと平静を取り戻した大妖精が、永遠亭に行くことを提案した。
今いる場所からは永遠亭は近く、永琳の腕前のこともあったからだ。
もちろん、反対するのは一人もいなかった。
今の永遠亭の状況を知っているのは、誰もいなかったからだ。

リグルが蟲たちと一緒にミスティアを運び、チルノが護衛をして、
ルーミアが通ってきた道を闇で包み、大妖精がミスティアに声をかける。
最強――チルノはそう思っている――の連携を取りながら、
チルノたちは永遠亭にミスティアを運んでいった。



「ここを抜けたら………」
永遠亭のすぐ近くまで来たと分かった大妖精は、
前へと進み、先に永琳を呼ぼうとしていた。
「やっと、着い……え!?」
そこには、確かに永遠亭があった。
大妖精が目を大きくしていたが、目に映っているものは永遠亭だった。
「大ちゃん、どうしたの!?」
「早く、えーりんを呼んで!」
「み、みんなぁ……永遠亭が………」
焼け落ちて焦げになった永遠亭に、チルノたちは辿りついた。
大妖精以外の3人も、愕然とした。

チルノたちは、よく永遠亭に来ていた。
正確には、チルノが大妖精やリグルを連れてきているだけだった。
「あたいたちのアジトにするわよ!」
そういう大義名分を掲げたチルノは、堂々と正門から侵入していた。
ただ、本気で永遠亭を支配しようとは思っていなかった。
そして、可愛げ気があるということで、
永遠亭の住人はチルノたちが来ることを黙認していた。
それどころか、永遠亭の住人と親しくなっていったのだ。
さすがに、輝夜や永琳と親しい関係ではなかったが、
鈴仙やてゐのような兎妖怪たちとは、友人関係にあった。
次第にチルノたちも、ケガをしたと嘘をついて遊びに来るようになった。

その永遠亭が焼け落ちていたのだ。
「う………そ………………おひめさまは?えーりんは?れーせんは?てゐは?」
「そん、な…………もしかして、人間たちが…………?」
「み、みんな!今からでも間に合うから、霊夢さんのところに行こう!」
大妖精は、ショックを受けているチルノとリグルに声をかける。
何度も何度も二人の体を揺さぶるが、何の反応も無い。
だが、ミスティアを助けるために、すぐに博麗神社に行かなければならない。
永遠亭が無くなってしまった事は悲しい。
大妖精は泣きたくなっている。
でも、今悲しんでいたら、大事な友達を無くしてしまう。
大妖精は泣きたい気持ちを堪えて、ミスティアを助けるために動いていた。
しかし、一向にチルノとリグルは正気を取り戻さなかった。

その時、一人だけ様子がおかしい少女がいた。
「……………………私、抜けるよー」
ルーミアは突然、チルノたちの元から離れていったのだ。
「ルーミアちゃん!?」
「人間のところに行ってくるねー」
「どうしたの!?」
大妖精は大声でルーミアに問いかける。
ルーミアがミスティアを見捨てるはずがなかった。
ならば、どうして、このタイミングでどこかに行くのだろうか。
そもそも、どこに行こうとしているのか。
その疑問は、ルーミアの言葉を聞いてすぐに解消した。
「……………こんなことをした奴らを、食べに行って来る。」
その言葉を発したルーミアの赤い目は、怪しく光っていた。
大妖精の体は、恐怖で震える。
だが、ルーミアに怖がっている場合ではなかった。
「ルーミアちゃん、ダメ!
人間さんたちを食べたら、霊夢さんに怒られちゃうよ!」
大妖精は必死にルーミアの説得を行う。
そもそも、人間が永遠亭をこんな風にしたわけではない。
だが、大妖精たちは人間の仕業と信じきっていた。
彼女たちが知っているはずはないが、
今の時期に人間を食べてしまったら、取り返しの付かない事態になってしまうのだ。
しかし、あっという間にルーミアは竹林の中へと消えていた。
「ど、どうしよう…………ルーミアちゃんが…………グスッ………」
大妖精は度重なる苦難に、ついに耐えられなくなっていた。
ミスティアは人間に襲われ、永遠亭は焼け落ち、チルノとリグルからは反応が無い。
さらに、ルーミアを止めることはできなかった。
「う………ううっ…………妹紅さん…………うぇぇぇぇぇぇぇぇん………」
もちろん、妹紅が助けに来ることなどはない。
誰も、大妖精たちに救いの手を差し伸べない。
大妖精はただただ、その場で泣き続けるしかなかった。


「あら、こんなところで何をしてるの?」
「ちょっと穣子。泣いている娘にそんな言い方はないでしょ。」
「ふぇ………?」
大妖精は声が聞こえたので、顔をあげる。
秋静葉と秋穣子の二人がいた。
「大丈夫?何かあったの?」
「って、その雀の娘、怪我しているじゃない!」
「穣子、治療をしてあげて。私は何があったかを聞いてみるわ。」
「え、ええ!」
穣子はリグルに背負われたミスティアの傍へと近寄る。
その間、大妖精は静葉に質問されていた。
「誰かに襲われたの?でも、もう安心して。
私たちも本気を出せば、妖怪なんて……」
「ううっ………うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「ちょ、ちょっと?」
大妖精は救いの手を差し伸べられたことに感激するあまり、
泣き出してしまった。
静葉は戸惑ったものの、すぐに大妖精をあやし始めた。
「よしよし………もう大丈夫よ。怖くないからね。」
「えぐっ………みんなが………みんながぁ……」
「……穣子、どうかしら。」
「大丈夫よ、これぐらいなら私でも治せるわ。」
弾幕勝負は弱くとも、本気を出せばやれる姉妹。
それが、秋姉妹のモットーだった。
ミスティアの傷を、あっという間に治してしまった。
「お友達もみんな無事よ。さ、何があったか話して?」
(妹紅さんよりも………暖かい…………)
大妖精は、そう感じていた。
すると突然、大妖精は静葉に寄り掛かって寝てしまったのだ。
「え、ええ?」
「穣子、そっとしてあげましょう。多分、辛いことがあったのよ………」
「………この娘たち3人は、私に任せておいて。」
「ええ、お願いするわ。」
穣子は、チルノとリグル、ミスティアの面倒を見ていた。
寝息を立てている大妖精を静葉優しく抱きしめた。
大妖精は、静葉の暖かさを感じながらぐっすりと眠っていた。

ルーミアのことを完全に忘れてしまうほどに―――








永遠亭での火災後、命蓮寺の住人は因幡兎たちの治療を受けていた。
因幡兎たちは、白蓮たちを命蓮寺まで運んでいったのだ。
永琳には及ばなかったが、努力の甲斐があったのか。
矢が何本も刺さったというのに、白蓮の傷は数日で癒えた。
しかし、因幡兎たちは帰る場所を無くしてしまった。
永遠亭は燃え尽きているし、外を彷徨うのは避けたかった。
強い妖怪には太刀打ちできず、人間にも迫害される状況である。
そこで白蓮は、命蓮寺が保護することを提案した。
もちろん、因幡兎たちは即決だった。

命蓮寺の一室では、永遠亭の住人の4人が寝ていた。
てゐや鈴仙、輝夜、永琳も保護されていた
慧音に助けられたてゐも、白蓮の世話になっていた。
因幡兎の一匹が、竹林を彷徨っているてゐを見つけたのだ。
てゐの顔を見て、嘔吐する因幡兎が数人いた。
だが、白蓮はてゐの顔を見ても一切嫌悪感を示さなかった。
もちろん、因幡兎たちはてゐのことを嫌いになったりはしなかった。
だが、蓬莱人二人に関しては、因幡兎は目を向けなかった。
特に、永琳のことは完全に無視するようになっていた。

輝夜は、精神が崩壊していた。
「もこ………もこ…………もこ…………もこ…………もこ…………」
連日連夜、妹紅の名前だけを口に出している。
どれだけ声をかけても、もこ、としか答えることはなかった。
妹紅がこの場に現れても、妹紅がいると認識できるだろうか。
輝夜は、永遠に妹紅を探して彷徨い続けるかもしれない。
決して見つからないとしても、輝夜は探し続けるだろう。

永琳もまた、精神に異常をきたしていた。
「月も地上も………クズばっかり…………どいつもこいつも………」
永琳は常に、ブツブツと何かを言っていた。
暴れるようなことは今のところ無かったが、
白蓮はともかく、因幡兎たちの目には危険な生物にしか見えていなかった。
そもそも、因幡兎たちは既に永琳を見限っていたが。


鈴仙とてゐは、そんな輝夜と永琳の治療を懸命に行っていた。
鈴仙に関しては、傷が時々開いて苦しむこともあった。
だが、彼女はそれに耐え続けていた。
因幡兎たちに反対されていたが、鈴仙とてゐは治療をし続けた。
「姫様、妹紅はすぐ会いに来てくれますよ。
みんなでまた、どこかに遊びに行きましょう。
妹紅と一緒にピクニックなんてどうですか?」
「もこ………もこ………もこ………もこ………」
「姫様、また遊びに付き合ってあげるウサー。
そのときは、妹紅を呼んであげるウサー」

「師匠も早く元気になってくださいね。
そして、いろいろと私に教えてくださいよ。
退院祝いには、温泉にでも行きましょうか。」
「クズばっかり………私が悪いっていうの……………低脳ども…………」
「永琳、また胸が大きくなってるウサー。
私にも少しぐらい分けろウサー」
いろいろな話題を取り上げて、輝夜と永琳に話していく。
心に届いているのかどうかは分かっていなかった。
治療、というよりは、もはや精神障害者の世話だった。
だが、二人はあきらめない。
百年後。千年後。
自分の寿命が来るその時まで、鈴仙とてゐは治療を続ける決心をした。


しかし、ある夜のことである。
永琳はふと、因幡兎たちの会話を耳にしてしまった。
「知ってる?妹紅が………人里で拷問されてるんだって。」
「え………う、嘘……?」
「なんか、妹紅が人里の人間を殺したらしいよ。」
「妹紅がそんなことするの!?」
「そんなことしないと思うんだけどなぁ………」
あの妹紅が、人間たちに翻弄されている。
人間の分際で輝夜の大事な人を汚している。
輝夜と妹紅の関係を壊したのは、人間たち。
人間たちがいなければ、永遠亭は燃えなかった。
輝夜も壊れなかった。
鈴仙が襲われることもなかった。
自分がこんなに辛い目に遭うこともなかった。
人間たちが、人間たちさえ、いなければ―――

永琳は突然起き上がり、輝夜の傍らへと近寄る。
そして、輝夜の耳元で何かを囁き始めた。
「輝夜…………起きて、輝夜………」
「もこ………?」
輝夜は目を覚ましたが、未だに妹紅の名前以外の言葉を発さない。
すると永琳は、妹紅のことについて輝夜に語り始めた。
「聞いて、輝夜。妹紅は、人間たちに消されたわ。」
「っ!?」
「妹紅はもう、会いに来てくれないわ………
人間たちはね、私たちを苦しませるために妹紅を利用したのよ。」
永琳はあることないことを、輝夜に吹き込んでいった。
頭がおかしくなっていようとも、
輝夜は、永琳をしっかりと認識していた。
そのため、永琳の言うことは間違っていないと思っていた。
「妹紅………妹紅………!!」
「輝夜………これは許せないわ。さぁ、復讐に行きましょう?」
「妹紅!!妹紅!!」
そして、輝夜も起き上がり、髪や服装も乱れたまま部屋から出る。
永琳は輝夜と共に、命蓮寺から去っていった。

永琳は、自分の思い通りにならなかったことに憎しみを抱いていた。
全ては、人間たちのせい。
一番弱い人間たちがあまりにも無能すぎたから、全ておかしくなってしまった。
輝夜と妹紅の幸せを本気で望んでいたのに、それも壊された。
「人間たちよ、輝夜………人間たちが、妹紅を殺した。」
「妹紅………妹紅………妹紅!!」
輝夜は、永琳の言葉全てに頷く。
疑う余地など、どこにもないと輝夜は思っていた。
「慧音が守っていた人里。あれが諸悪の根源なのよ。」
「もこ………もこぉぉぉぉ!!」
「駄目よ、輝夜。あせっちゃダメ。ここは、私に任せて……ね?」
輝夜はすぐに黙って、首を縦に振った。
そして、永琳は輝夜を連れて、永遠亭があった場所へと向かっていった。

永琳たちは、永遠亭跡に辿りついた。
「フフフ………私の最高傑作を見せてあげるわ。
安心なさい、紫。妖怪には、指一本触れないわ……ククク……」
輝夜ですら見たことの無い、恐ろしい笑みを永琳は浮かべていた。
永琳は、永遠亭の焼き跡にある木々を退け払っていく。
すると、鉄の箱ような四角い物体が出てきた。
鬼ですら破壊できない頑丈さを持ち合わせている上に、
鍵がかかっていたが、永琳はその鍵を常備していた。
常備しなければならないほど、危険なものが入っていたのだ。
開けてみると、中には数十個の薬品ビンが入っていた。
そのビン全てに、このようなラベルが貼ってあった。

『VX』

「さぁ、輝夜………これを人里の広場で割るのよ。」
「妹紅………妹紅…………」
永琳と輝夜は、VXのビンを手にして人里へと向かっていった。
ちょうどその時、二人はチルノたちとすれ違ったのだ、
しかし、互いに気づくことはなかった。
むしろ、チルノたちにとっては、永琳に気づかなくて正解だった。









その頃、命蓮寺では白蓮たちが星を見送っていた。
自分の未熟さを恥じた星は、しばらくの間、法界で勤行を行うと決めた。
もちろん、数ヶ月の話ではなく、数十年単位の話である。
「星………本当に、行くの?」
「聖、私の決意は揺るぎません。」
「……………寂しくなるわね。」
「一輪、聖をよろしく頼みます。」
「ご主人…………」
「ナズ、毘沙門天様によろしく伝えてください。
それと………私を破門にして下さっても結構です、とも。」
「…………大馬鹿者だよ、貴方は。」
皆、悲しそうな顔をしていた。
水蜜とぬえに至っては、既に泣き崩れていた。
「行かないでよ、星!いやだよ、星がいなくなるなんて!!」
「大丈夫ですよ、ムラサ。私は必ず、ここに戻ってきますから………」
「星のばかぁ!星なんかいなぐでも、寂しくないがらね!」
「ぬえ………………」
星の目からも涙が零れ落ちた
だが、彼女はすぐに涙を拭う。
そして、笑顔を白蓮たちに見せた。
「聖、ナズ、ムラサ、一輪、ぬえ。それでは、行ってきます。」
白蓮たちは星の背中をしばらくの間、見つめていた。
いつかまた会える、そう信じて白蓮たちは星の無事を祈った。
その数分後、輝夜と永琳が命蓮寺から失踪していることが発覚した。


(しかし、法界に行くのも苦労しますよね………霊夢のところに行くべきでしょうか。)
勤行をすると自分で言ったのはいいが、法界に行く方法を確保していなかった。
とっさに、霊夢の力を借りて、そこまでの道を作ってもらおうと考える。
「ま、まずは博麗神社に行って、挨拶をしないといけませんね!」
星はなぜか、自分のやることをアピールするように大きな独り言を言ったが、
あいにく、周りには誰一人として聞いている者はいなかった。
「……………い、いけない!こんなことでは、聖のために強くなれないですよね!」
顔を真っ赤にした星は、駆け足で博麗神社へと向かっていった。

『法界に行くために、博麗霊夢の力を借りる。』

この決断が、幻想郷の人間たちの運命を左右するものだったなんて、
誰が想像できただろうか。







場所は変わり、紅魔館。

慧音からの手紙が送られて以来、パチュリーやレミリアたちは紅魔館から出なかった。
というのも、魔女狩りは本当に行われるかもしれないと判断したからだった。
そのため、外の情報を自分から手に入れることができなかった。
さらに、射命丸文がいつものように新聞を持ってくるはずのなのに、
魔女狩りの話が出てきてからは、何故か文は紅魔館を訪れなくなった。

そのまま、数十日が経つ。
妹紅が人間たちに捕らえられる日になった。
「来ないわね、パチェ。」
「……………アリスと白蓮を狙っている?」
「その可能性は十分にありえます。
アリスは一人暮らしですし、聖白蓮は他人を傷つけることなどしません。」
「もしそうだとしたら、このまま動かないのも癪だわ。
フランと美鈴は残しておくから、パチェはここにいなさい。」
「ちょ、ちょっと………」
「咲夜。」
「かしこまりました。」
レミリアは人里や魔法の森に様子を見に行こうとしていた。
咲夜も、朝まで長引いたときのために、日傘を持って付き添っていく。
「パチュリー、私とお留守番だね!」
フランは、パチュリーとの留守番を楽しむつもりだった。
姉に仕事を任されたことがよほど嬉しかったようである。
「………嫌な予感がするのよ。」
「何がですか?」
小悪魔がパチュリーに尋ねる。
「新聞を持ってきてくれるあの娘に何があったのか……」
「お、お嬢様〜!!」
突然、美鈴の声が廊下から聞こえてきた。
そして、パチュリーたちのいる部屋の扉を勢い良く開けた。
「はぁはぁ、お嬢様は何処に!?」
「美鈴ー、一緒にお留守番だよー!」
「フ、フラン様!?え、えっと…………」
一刻を争う事態が起こっていることを知り、焦っていた美鈴だったが、
笑顔のフランに抱きつかれてしまったせいなのか、
その場の緊張感が一気に無くなってしまった。

「それで………美鈴、何があったの……?」
フランに頬刷りをされている美鈴は、パチュリーにこう答えた。
「やっと新聞が来たのですよ!」
「本当!?」
普段は大人しく、物静かなパチュリーが大きな声を上げた。
それぐらい、今の紅魔館の住人にとって重要な出来事だった。
「は、早く見せなさい!」
「それなんですが………」
「どうしたのですか?」
小悪魔は美鈴が、中々新聞を見せようとしないことに疑問を抱いていた。
美鈴は新聞を見つめたまま、何も語ろうとしなかった
「美鈴、新聞読めないのー?じゃあ、私が読むよ!」
「フ、フラン様!だ、だめ―――」

「えっとね…………あ、これぐらいだったら、読めるや。
『藤原妹紅、子供を殺害!?人間たちに捕らえられる!』
…………………………………あれ?」

美鈴は、新聞を読まれてしまったことを後悔していた。
パチュリーと小悪魔は、口をぽかんと開けていた。
フランはよく意味が分かっていないようだった。
言葉の意味が分からないのではなく、
何故こんなことが書かれているのかが分かっていなかった。

「どうして?どうして、妹紅が?」
「…………………」
フランは美鈴に、妹紅が捕まった理由を尋ねる。
新聞の記事を全部読んだ美鈴は理由を知っていた。
しかし、それに答えることはできなかった。
「パチュリー様、これは………」
「………甘く見ていたわ、上白沢慧音。
妹紅と仲が良いと思っていたのが、間違いだったのね。」
そう言うと、パチュリーは魔道書を数冊小悪魔に持たせる。
外出の支度を瞬時に終わらせた小悪魔は、その本を手にした。
「パ、パチュリー様?」
「美鈴、貴方はここで妹様と一緒にいなさい。決着をつけてくるわ。」
「パチュリー」
フランはパチュリーの服の袖を引っ張った。
すると、パチュリーはフランに優しく微笑んだ。
「妹様、心配しないで。私は必ず、ここに帰ってくるわ。」
「私も行く。」
「え?」
フランはパチュリーに同行する気満々だった。
「どうして?」
「私とお姉さまを仲直りさせてくれた妹紅を苛めている奴らを壊したい。」
「……………私の言うことをちゃんと聞く?」
「……うん!」
結局、フランは自分についてくる。
そう判断したパチュリーは、フランの同行をすぐに認めた。
「私はここに残っておきます。どうか、無茶だけは止めてくださいね?」
「もちろんよ。」
「留守番お願いします。」
「美鈴、いってきまーす!」
そして、パチュリーと小悪魔、フランも紅魔館から出て行った。
だが、レミリアと咲夜の二人とは違う場所へと向かっていた。
慧音のいる家、パチュリーたちの目的地はそこだった。




パチュリーは、大きな失敗をしていた。

『苛めている奴らを壊したい。』
パチュリーはそんなことを許さなかった。
人間を殺すことだけは、絶対に避けなければならなかった。
だから、『私の言うことをちゃんと聞く?』と言ったのだ。
しかし、フランはその言葉をこう解釈した。

『パチュリーの言うことを聞いたら、妹紅を苛める人間を壊してもいい。』










再び場所は変わり、地霊殿。

「嘘でしょ……?」
「本当なんです!妹紅が、妹紅が……!」
さとりは、死体集めのために地上に出ていたお燐から
妹紅が人間たちに捕らえられた知らせを聞いた。
心を読んでみるさとりだったが、お燐は嘘をついていなかった。
「うにゅ………もこぉ……………グスッ……」
「お空、落ち着いて………まだ助けることができるわ。」
「ほんと、ですか……?」
「ええ………大丈夫よ、大丈夫。」
さとりは、お空の頭を優しく撫でる。
お空はさとりの言葉に少し安心した。
「………お燐、行きましょう。」
「へ?」
「妹紅を助けに行きます。
私の能力を用いれば、誰も殺すことなく妹紅を助けることができます。」
「さとり様……!」
「たとえ彼女が大きな罪を犯したとしても、
私たちにとっては大事な人です。
もしもの時は、ここ地霊殿で彼女を保護しましょう。」
その言葉を聞くと、お燐とお空の顔は明るくなった。
「うにゅ………私も!」
お空は、さとりについていき、地上へと出て行こうとした。
「お空は駄目です。」
「えっ!?」
一緒に行くことを断られたお空は唖然とした。
「貴方の力では死者が出てしまいます。
それは妹紅の望むことではありません。
ごめんなさい、お空。今回は我慢して………」
お空は自分の力が危険なものであることは自覚していた。
もしかすると、さとりすらも巻き込んでしまうかもしれない。
だから、お空は渋々さとりの言葉に従った。

「それでは、行ってくるわ。」
「お空、心配しないでよー」
「二人とも、ケガをしないでねー!!」
お空は地上へと向かっていったさとりとお燐を見送った。
「はぁ…………そういえば、こいし様は大丈夫なのかなぁ。」
その言葉を発した時だった。

「ひさしぶりー」
「うひゃあぁっ!?」
「えへへ、お空ー」
「こ、こいし様!?」
突然、お空の後ろにこいしが現れた。
お空は驚くと同時に、こいしが帰ってきたことに喜んだ。
「こいし様、やっと会え―――」

こいしのお腹は、大きく膨らんでいた。
一瞬、こいしは太ってしまったのかとお空は思った。
そうであって欲しいと思っていた。
鳥頭と馬鹿にされるお空でも、性知識は持っている。
このお腹が意味するのはどういうことなのか、お空は十分に理解していた。
「こいしさ、ま………?」
「見て、私に赤ちゃんが出来たよ♪」
「…………………」
お空の動きが止まる。
「あのねぇ、人間のみんなが私のことを大好き大好きって思ってくれたんだ♪
それでね、私がみんなとエッチをしてたら子供ができたの♪
お姉ちゃんに言ったら、喜んでくれるよね?お空も嬉しいでしょー♪」

確かに、こいしは自分から身を差し出した。
だが、お空にはこいしは無理矢理襲われたように見えていた。
お空は純粋だった、純粋すぎたのだ。
女がたくさんの男と関係を持つことなど、
お空には信じられないことだった。
まして、自分の主人の妹がそんなことを自分からするとは思わなかった。

お空の心に、怒りがこみ上げる。
(人間に孕まされた……人間たちが、こいし様を犯した……
こいし様を騙して、こいし様を孕ました……
妹紅を捕まえたのも、人間がこんな奴らだからだ……
さとり様とお燐は?あの二人も、犯される?
私の大事な家族がみんな、人間たちに壊される!?)









そして、お空の中で何かが切れた。

































「映姫様、どうするのですか。」
「………………」
「あたいは、映姫様に従います。
命を投げ捨てる覚悟だってあります。」
「私は………腐っても、閻魔です。」
「映姫様。」
「閻魔としての仕事をするだけです。」
「………分かりました。ならば、あたいも死神としての仕事をします。」
「…………私のせい、でしょうか。」
「………誰のせいでもないですよ。
上白沢慧音のせいでも、藤原妹紅のせいでも。」
「………そうですか。」
「それじゃあ、あたいは持ち場に戻りますよ。」
「はい、分かりました。」
映姫と小町は、これから仕事で忙しくなると覚悟した。
もうすぐ、大量の魂が彼岸へと送り込まれてくると確信していたからだ。

「誰のせいでもない………か。
こうなってしまうのは、最初から決まっていたのでしょうか………?」
映姫は、幻想郷のために何もできないことに悔やんでいた




人間と妖怪が共存する楽園。
それは今まさに、崩れようとしていた―――
とある人物に大活躍してもらう予定なので、
下手をすると前中後編と続く可能性もあります。

色々な意味で滅茶苦茶になりますので、
話の質がかなり落ちるかもしれません。
最後までお付き合い頂ければ、幸いです。

コメありがとうございます

>>1
ありがとうございます
ただ、今回は楽しんでもらえるか些か不安です……

>>砂時計さん
最近の幻想郷は、絶望に飢えているのですよ。

>>ああああさん
VXガス、怖い!

>>4
しまった、DEAD SPACEやりたくなってしまった
最高難易度はやりがいがあったなぁ

>>5
ルーミアに食べられて、永琳と輝夜にVXガスを吸わされて、
フランに破壊されて、お空に核で(ry
白蓮も大変ですなぁ
上海専用便器
作品情報
作品集:
19
投稿日時:
2010/08/08 00:59:45
更新日時:
2010/08/12 13:46:58
分類
『もてもてもこたん』の後日談
慧音と妹紅以外
1. 名無し ■2010/08/08 10:48:07
続きを楽しみに待ってます。
2. 砂時計 ■2010/08/08 13:40:08
この幻想郷には
『どうあがいても、絶望』
そういう様な言葉が合う気がします
3. ああああ ■2010/08/08 22:51:51
VX=ベリー臭いガス(屁)
ですね

……なんて恐ろしいものを!!
4. 名無し ■2010/08/09 23:20:11
その後紫が壊れ行く幻想郷を目の当たりにし精神崩壊、
スキマの力が大暴走して幻想郷が第二のUSG石村状態になるんですね? わかります
5. 名無し ■2010/08/10 04:21:26
ある瞬間に南無三を唱えようとも
次の瞬間に更なる南無三を唱えなければならない

なんともまぁ壊滅フラグが乱発されてどうしようもない
オーバーキルは妖怪の嗜み
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