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『産廃百物語「境界例(ボーダーライン)上の紫」』 作者: オレンジマイスター

産廃百物語「境界例(ボーダーライン)上の紫」

作品集: 20 投稿日時: 2010/08/21 21:32:22 更新日時: 2010/08/22 06:33:39
唐突に日誌を書きたくなった。
それも記憶を頼りに、過去数日を遡って今日に至るまでのだ。
ものぐさな私にしては珍しい気まぐれである。
きっかけはそう、数日前から私の身に起こった様々な出来事。
そして、それによって得た、身を焦がすような愛。
それら全てを記録として、物理的に残しておきたかったからだ。

記憶の中で過去は美化していく。
未来を過去よりも美しくするためのちょっとした摂理。
記憶の海という暗夜の底で、過去の中の非日常だけが煌びやかな『歴史』として箒星のように輝く。

そうして美化された過去はそれはそれで美しいけれど。
あえて、私はその残らない過去。
長く生きるうちに磨耗して消え失せる、”日常”の中のささやかな美しさを。
目に見える形にして残しておきたいと思ったのだ。
泡沫のように儚く消える命のありのままの軌跡を、残しておきたいと思ったのだ。


まことにもって、私らしくない。
珍しい気まぐれだった。




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博麗神社社務日誌
博麗神社巫女、博麗霊夢記す





●七月十四日

早朝、寝汗の気持ち悪さで目を覚ます。
長く鬱陶しい梅雨が終わると同時に、刺すような日差しの厳しい夏がやってきたようだ。
寝室から出て参道を覗き込んでみると、日が出て間もないというのに石畳がジリジリと焼けていた。
この調子だと日中には外仕事に向かない暑さになるだろう。と、ふんだ私は低血圧の体を引きずって境内の掃除に取り掛かった。
日光で皮膚が焦がされるような感覚はまさに地獄のようだった。
そうして、暑さでヘトヘトになりながら境内の掃除済ませ、縁側で喉を潤おしていると、
「よう! 今日は早起きだな!」
湿気で粘つく熱風と砂ぼこりを箒の風圧でかき混ぜながら、魔理沙が掃除したての境内に舞い降りてきた。
「暑さで目が覚めたのよ……。最悪だわ」
「そいつはご苦労なこったな。魔法の森は日陰が多くて涼しいぜ」
魔理沙はカラカラと笑う。
だが私はそれが嘘だと知っていた。
あの森は確かに日陰は多いが湿度が異常に高いために日中夜を問わず天然蒸し風呂と化しているのだ。
しかも年中黒尽くめの彼女の格好では僅かな日光でさえ吸収し、熱をこもらせる。
きっと彼女の体感温度は私に強がりを言えるのが奇跡なぐらいに凄まじい事になっているはずだ。
現に彼女の額には滝のような汗が滲んでいる。
だが負けず嫌いのこの友は、そんな些細な弱みすら私に見せまいと虚勢を張っている。

そんな彼女を私は非常にいとおしく思った。
ただし、それは恋慕といった感情ではなく、親が子に感じるような慕情に近い感情だ。
あくまで恋愛感情は抱いてない。彼女は恋愛対象にはなりえない。違うのだ。

魔理沙はその後ちゃっかりと昼飯まで食べ、しきりに暑い暑いと愚痴ったその後『図書館は涼しい所と相場が決まっているんだぜ』などと言いながら去っていった。
全く、何をしに来たのやら。

夜。
日が落ちても暑さは全く引かない。
むしろ、本来なら涼しげであるはずの空を覆う漆黒の闇夜が、このうだるような熱気の中ではまるで蒸篭(せいろ)の蓋の様に思える。

私はそんな熱帯夜の中、縁側で一人空を見上げていた。

―――今日あたり、来ると思ったんだけどなぁ

とりとめのないそんな考え。
だが、いくら空を見つめても見えるのは熱せられた大気で歪み光る幾多の星々だけだ。
暑さのために喉が渇く。
彼女が来た時のためにと井戸で冷やしてある酒を思い浮かべる。
だが、もしここで一人で酒を取り出してしまい、彼女が来た時にそれが既に温くなっていたら何となく決まりが悪い。
なので居間に放っておいた出涸らしのお茶で我慢して待った。

ふと、もし他の人間がまるで恋人を待ち焦がれるかのような自分の姿を見たらどう思うのだろうな、等と考える。
きっとその人の目には、私は恋する乙女のように可憐に映るのだろう。
なぜかその事がおかしくて、私はクスクスと一人笑いをこぼした。


結局。その日は誰も来なかった。






●七月十五日


昨日と同じように寝汗が肌に貼りつく感覚で目が覚めた。
寝巻きと皮膚の間には粘度の高いベトベトとした汗が吹き出ている。

―――まるで愛液

とくだらない冗談を頭の端で考え付く。

―――まるで、恋人に逢えずに火照る体を抱えて一人寝をする女から溢れた、愛液

くだらない。

夏の暑さからだろう。思考があやふやのうやむやで空を飛んでいた。
そんな千切れ雲のような思考を取りまとめて、なんとか体を起こし布団からのっそりと出る。
湿った寝巻きを着替え、なるべく風通しの良い涼しい服を着て境内へ出る。
腹は減っているが、昨日と同じくまず早朝のうちに掃除を済ませないといけない。
私はふらつく体を騙し騙ししながら、ギラギラと眩しい朝日の中で仕事を片付けた。

遅い朝食を食べ、昼まで少しだらだらと寝ていると来客があった。

「ごめん下さい。いるかしら?」
「いないわ」
「いるじゃない。暑いからってだらけすぎよ」

夏だというのに見てるだけで暑苦しいしつらえのメイド服。
だというのに、全くもってそれを感じさせない汗一つかいてないその白い肌。
(昨日の魔理沙とは大違いだ)
紅い館の悪魔の犬、咲夜だった。

「なによ、私は忙しいの。暑さの異変を解決しなくちゃいけないんだから」
「それにしてはずっと寝転んでいたじゃない。それに暑さは異変じゃないわよ」
「春に雪が降る事変があったんだから暑すぎる夏の異変があってもおかしくないじゃない」
「言っておくけど、お嬢様は犯人じゃないわよ」
「そりゃ残念ね。あのお屋敷の冷たいお酒をどさくさに紛れてあらかた飲もうと思ってたのに」
「どこぞの黒鼠みたいな事言わないの。そんな事する必要は無いわ」
「どういう事よ」
「今夜、お嬢様の思いつきで暑気払いのパーティーをする事になったのよ」
「へぇ」
「冷たい料理、冷たいお菓子、冷たいお酒。パチュリー様の協力で水の魔法を使った涼しい出し物も用意してありますわ」

それは魅力的だと思った。
だが……

「……ところで。紫は招待したの?」

その時、つい言葉に出してしまう。
自分らしくない浮ついた言動にじわりと汗が浮くのがわかった。

「いいえ、さっき行ったら留守だったから」
「そう」
「なに? 呼んでほしいの?」
「いや、何でもないわ」

失敗した。これじゃ紫を待ち焦がれてるみたいじゃない。
私はただ友人として気にしただけなのに。

「来るなら午後七時から中庭で。お酒か西瓜あたりを持ってきてくれると嬉しいわ」
「そう、わかった」

伝える事だけ伝えると咲夜はスッと飛び去っていく。
さすが従者だ。去り際まで瀟洒だった。

こう暑いと暑気払いも悪くない。
紅魔館は立地と魔術と住んでる者の特性の関係で常に涼しい。
それに、氷室が無い我が家では食材を冷たいまま保存出来ないから、こういう機会でもないと冷たい料理は食べられない。
何よりもただ酒だ。いくしかない。
ただ、一つだけ心配があった。
もしも、もしも彼女とすれ違いになったら……。

「……書置き、残しておくか」

そう決めたが早いか、部屋の端の文机に向かった。
硯を取り出し、墨を磨る。
子供の頃から続けてきた、書を綴る時のごく日常的な事前準備だ。
だが古来、その作業は文字を記す前に心を無にする儀礼としての意味を持っていた。
私が出来合いの墨汁やもらい物の羽ペンを使わなかったのは、そういった理由からかもしれない。
だって、そうして心を落ち着けないと。
まるで恋文のような文章になってしまいそうだったから。



ちなみに紅魔館の料理は素晴らしかった。
冷やした焼酎に創作中華(という物らしい。咲夜の話によると)。
何でも、伝統的な中華料理は冷たい料理がほぼ皆無であり。
何とかして『冷たい中華』を作ろうとした咲夜は図書館や香霖堂のレシピ本を読み漁り、
早苗に外の新しい料理を聞いたりして、ようやく完成にまでこぎつけたそうだ。
ご苦労な事である。
まぁ、私はそんな咲夜の講釈など聞き流しながら冷たい野菜が載った辛目の味付けの麺料理を啜っていたわけだが。

また、パチュリーのアトラクションも非常に手が込んでいた。
中庭、館とパーティー会場との間の横に開けたスペースに歩み出たパチュリーは、一つコホンと咳をした後、
本を読みながら一息に呪文を詠唱する。
「天より巡りて地に廻る精霊。今こそ回帰の時、地より這い出て天に巡れ。『ウィンターエレメント』!」
すると、パチュリーを中心に横一列に三メートル大の無数の噴水が一斉に仕掛(ナイアガラ滝)花火のように噴出した。
見るだに涼やかなその光景にギャラリーから歓声があがった。
だが、中央のひと際高い噴水の上でプカプカと浮いていたパチュリーはそんな歓声を意に介せず、淡々とした表情でスッとその腕を横に走らせる。
その途端、なんと噴水の列が突然キラキラと輝きだしたのだ。
ギャラリーからは先ほどよりも大きな歓声が上がる。
よく見てみると、噴水の根元のちょうど死角になるような所でチルノが誇らしげに冷気を発散させていた。
どうやら、チルノで噴水を部分的に凍らせるというタネのようだった。
滝のように流れる噴水にクリスタルのような細かい氷粒が月の光を浴びて 薄い七色に燦然と光る。
まるでこの空間だけが氷河の空に輝くオーロラの中に取り込まれたかのようだ。
その様はそれこそ『幻想的』に美しく。
ここ数日べっとりと張り付いていた熱気がみるみる引いていくのが感じられた。

ただ、この光景を一緒に見られれば良かったのにな、と思った途端。
自分の体の中心が少し熱を帯びた。
その暑さはいくらその冷涼なアトラクションを見ても冷める事は無いのだった。







●七月十六日


涼を取ろうと冷酒をがぶ飲みしたのが良くなかったらしい。
空を飛んで帰るのが自殺行為になるぐらいに前後不覚になった私は仕方なく紅魔館に泊まった。
通された石造りの部屋は私の寝室よりも風通しが悪いはずなのに、やたら涼しかった。
きっと何かしらの仕掛けがしてあったのに違いない。
そんなわけで、ここ数日のうちで最も快適な目覚めを経験した私はいつもよりも好調子で帰路へ着く。
相変わらず早朝なのに日差しが厳しいが、昨日の暑気払いのお陰で何とか耐え切れた。
むしろ、家に帰ってきて目に付いた、その書置き―――正確には書置きの『書き足された部分―――を見た時。
冷えていた体の芯は一気に再加熱されてしまった。


 霊夢へ。
 話があります。本日午後3時までに妖怪の山の麓に来なさい。
 藍を迎えに向かわせます。


話があるなら直接自分で出向けばいいのに。
誰も見てないのに、いやだからこそふて腐れてみる。
そのいじけた自分の態度がまるで愛情の裏返しのようで一層動揺が深くなった。

「……こんなに暑いのに」

それもわざわざ暑い日中に会いに来いと。
全くいつだって神出鬼没で自分の都合しか考えない妖怪だ。
いっそサボってしまおうか。
心ではそう思いながら、着々と出かける準備をしている自分があった。




「で、話ってのは何なのよ」
「まぁまぁ、まずは紫様の所にまでお連れいたしますから、それからゆっくり」

昼を過ぎてはいるものの、まだ日はほんの少ししか西に傾いてはいない。
今だ力強い。むしろ最も力強いのではないかという太陽光線が日陰で待機している私をも容赦なく焦がしていた。
そこに現れたのはそんな熱気をより暑苦しく見せるフカフカの九尾を持つ妖狐。
同じ従者である咲夜よりもより一層暑苦しい尻尾と服装をしている彼女もまた、
咲夜と同じぐらい涼しい顔でニコニコとこちらを見つめてきた。

「それにしても暑いですね」
「あなたはそうは見えないけどね」
「紫様から差し入れを与っております。紫様の元に向かうまでにちょっと飲んでいきませんか」

そういうと狐は懐から銀色の筒を取り出した。
聞いたところによると魔法瓶という名前らしい。
何でも、まさに魔法のごとく温度を保持したまま液体を持ち運べる物だそうだ。
黒い上蓋に黒褐色の液体が注がれていく。
手にとってもいないのに漂ってくるコーヒー豆の香りからして、上物なのだと分かった。

「はい、どうぞ」
「じゃあ遠慮なく」

一気に喉に流し込む。

「……冷たっ!」

コーヒーは舌が痺れるほどに冷たかった。
しかも、冷たさに負けないぐらいにキリッとした苦味(コク)と、それを緩和しまた和らげる適度な量の砂糖が舌と喉を癒す。
まるで良く冷えた麦酒のように、夏の炎天下で飲む事を考え抜いた上での素晴らしい飲み物だった。
至極単純に言うと、もの凄く美味しい。

「……もう一杯」
「はいはい」

思わず座り込んで小休止してしまった。
胃と消化管から広がる冷気が体の熱を根こそぎ冷ましていく。
先ほどまで熱湯のような熱さでまとわりついていた汗が僅かに吹くそよ風を捉まえ、非常に心地良かった。

「どうします? 少し休んでいきましょうか」
「同意するわ。せめて日がもう少し傾いてから……」

そう言って木陰の隙間から頭上の太陽を覗き見る。

「……」

眼球の奥にギラリと日光が差し、思わず目を閉じる。
そうして目を閉じていると、そよそよと吹く風や木々のざわめきがまるで子守唄のように脳に響く。
まぶたの裏に隠れたままの目線がどんどん、どんどん上に揚がっていく。
私の魂を伴って、上へ、上へ。

「それでは、紫様の下にお連れします」

狐のその声を聞いたのを最後に、私の意識は遥か天空の眠りの世界へと誘われていった。





●七月十七日

体が軋む痛みで目が覚めた。
まだ醒めきってない脳をフル稼働し、自分の体の状態を確かめる。
両手両足は鎖に繋がれ、私が寝かされている台の四方へ体が大の字の形になるように固定されている。
全身、特に頭が寝過ぎた朝のように酷くダルい。
呼吸するたびに頭の血管が収縮して締め付けられるようだ。
無力化されているこの姿勢は精神的にも辛かった。屈辱感で死にたくなる。

「ちょっと……何よこれ……」

思わず呟いてしまった。
脳の奥に沈んだ記憶たちを一つずつ拾い上げていき、一つの結論に至った。

―――コーヒー……

あのコーヒーを飲んだ後、やたら眠気が襲ってきた。
きっとあの中に薬でも入っていたのだろう。
という事は、紫の差し金とみて違いない。

「あら、もうお目覚めなのね」

そうしているうちに諸悪の根源が現れた。
いつものように貝紫色の洋服を身に付けた彼女は、優雅に、そしてかなりの上機嫌な足取りで部屋の端の私に歩み寄ってくる。

「随分と素敵なベッドね、ぐっすり眠れたわ」
「でしょう? あなたのために設えた特別製よ」

恐怖を押し隠しての皮肉も軽くいなされてしまった。
さすが大妖怪だ。私程度では歯が立たない。

「……で、何が目的なのよ」

ニヤニヤと笑いながら紫は顔を近づけてきた。
悔しいがその顔はそのハッとするほど美しく、そしてだからこそより一層恐ろしかった。

「それはね……」
「ひゃうっ!」

紫の艶かしい唇から這い出た舌がヌルリと私の頬を舐めた。
ペロリ、というレベルの軽い愛撫ではない。
まさに頬を溶かしてすするかのように濃厚な、そして酷く卑猥な愛撫。
その耽美的な愛撫に思わず声が出てしまう。
のみならず、体の芯が―――告白すると、あり得ない事に秘唇までも―――熱くなった。

「あなたを食べたくなっちゃったの」
「!?」

紫の思わぬ発言に先ほどの愛撫で感じた甘い感情が吹っ飛んでしまった。
食べる? 私を食べるですって……?
と、私の心が何度も疑問符を浮かべる。

「何考えてるのよ!?」

妖怪は確かに人間を食べる生き物だ。
だが知っている人間、それも近しい人を食べるという感情は私の理解を遥かに超えていた。
そんな私の素朴な疑問に紫は眉一つ動かさずに真っ直ぐに答えた。

「だって、心の底から好きな人を食べたいって思うの、普通の事じゃない?」
『究極の愛はカニバリズムだ、なんて言うしね』などと余計な単語を付け加える。

「馬鹿じゃないのあんた!? 自己愛もいい加減にしなさいよ。好きでもない相手に食べられる私の身にも ̄\_....







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……しまった。筆が滑って書き損じてしまった。
私はもう一度追加の墨を磨った。硯に溜まった深い漆黒の液体を見つめ、気を落ち着かせる。
深い呼吸を一度した私は、筆を取って”続き”を書き始めた。

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「馬鹿じゃないのあんた!? 自己愛もいい加減にしなさいよ。す、好きでもない相手に……」
「あら、そんな事言って。じゃあ」

ニヤリと小悪魔的な微笑みを浮かべた紫は、その芸術品のような滑らかな指を私の秘所に滑らしてきた。

「ンンッ!」
「何故ここはびしょ濡れになっているのかしら?」

言い訳は効かなかった。
先ほどの舌の愛撫だけではない。
紫が言った言葉。
『心の底から好きな人を』という部分に反応した私の秘唇は下着を濡らすほどの量の愛液を分泌してしまっていた。
それどころか、

「んっ、美味し……」

ペロリと指に付いた私の愛液を舐め取る紫を見て私の脳は喜びと愛欲に支配され、それだけで絶頂しそうになっていた。

「で、霊夢。正直に答えて頂戴な。……愛し(たべ)て、良い?」
「ば、馬鹿言わないでよ……」

強がっては見たものの、私の声は酷く震えていた。
愛される者によって蹂躙され、食べられ、取り込まれ、同化していくその様を、具体的に想像してしまったのだ。
それはなんて素敵な愛情行為なのだろう。と、思う。

「そう、残念ね」
「……は?」
「愛している者とはいえ。いえ、愛している者だからこそ、愛情を押し付けてはいけないわ」
 愛とは『境界を越えて』同化する事、片方が拒絶していたら成り立たない。残念だけどこれでお別れね」
 さようなら、私の愛情。さようなら、私の恋心。霊夢、あなたは家に帰してあげます。二度とあなたの元には訪れないわ。安心して」

饒舌に言う彼女は口こそ軽かったが、伏せた顔を手で押さえ、立ち去ろうとするその姿は重く苦しそうに見えた。


―――それが、私にはたまらなく愛しく見えた。


これが、最後のチャンスだ。彼女が部屋を出て行けば、そこで何もかもが終わる。
愛情も、恋慕も、紫の心も、私の心も。

追いかけなくては。追いかけて捕まえなくては。
建前では拒絶していたけれど、内心では激しく燃えていた愛情を。

そうして、私はその時紫を追ってウサギ穴に落ちていったのだ。

「…………待って」
「……」
「……ぃぃゎょ」
「……もう一回言って?」
「いいわよ! 勝手に食べなさいよ!」

この時、振り返った紫が見せた涙交じりの歓喜の表情を、私は一生忘れないだろう。
その純情な乙女の様な満面の笑顔は、これから自身が食べられてしまう、という内心の恐怖を帳消しにして余りあるほどの極上の笑みであり。
転じて、私に向けられた最高の愛情だったのだから。





「骨が多い四股は食べにくいから、最初に切り離して食べやすくシチューにするわよ」
「悪趣味ね」

以前―――確か魔理沙に薦められて―――読んだ外の小説に出てくるラムシチューを思い出した。
あれはもの自体は普通のシチューだったが、状況的には人間シチューと同じぐらい悪趣味な代物だった。

「じゃあまずは右足からね」
「痛く、しないで」
「良いわ。でも麻酔は感覚を鈍らせるから……」
「仕方ないわ。あなたをずっと感じていたいから。麻酔は無しで構わない」
「分かってくれて嬉しいわ」

紫はそう言うと切れ味の良さそうなナタを取り出した。
本来なら茂みや材木、あるいは獲物を切り離し。そして場合によっては『人』を傷つけてしまう悪意の塊である。
だが、ギラリと光るそれは今に限って私と紫を繋ぐ道具(しゅだん)になった。

足を断つその刃は彼女の愛撫。
手を断つその刃は彼女の接吻。
痛みが伴ったとしても、それは純粋に愛情なのだ。

「叫びたくなったらこれを噛み締めなさい。舌を噛んだら困るでしょう?」

そう言うと、紫はたった今脱いだばかりの温かいショーツを私の口に押し込む。
鼻腔にラベンダーの香水と分泌物の混ざった背徳的な臭いが、舌には塩気のある淫らな粘液が広がる。

「さて、それじゃいくわよ……3」

紫がナタを振り上げる。

「……」

痛みに備えて目を瞑った。
さすがに愛があっても恐いものは恐い。

「……2」

さようなら。私の右足。

「……1」



―――ガシュッ!



「!!!!!!!!!!」

右足に今まで体験した事の無い、冷たくて強烈な衝撃が走った。
目には火花が散り、脳が真っ白になる。
そして、ワンテンポ遅れて燃える様な熱さと心までえぐりそうな痛みが襲う。

「ア゛ア゛ァァァ……」


痛い。痛い痛い痛い。痛い痛い痛い痛い痛いいいいいいいいい!!!!!!!!!


気を失いそうだ。
右足から血と共に生命がどんどんこぼれていくのを感じる。
そのせいか、傷口からじわりと広がった寒気が全身をガタガタと振るわせる。
脳の許容量を遥かに超える程の痛みと寒気の情報に侵食された私の頭に、ただ死という文字が一つ浮かんだ。
このまま絶望で精神が死ぬと共に絶望で体が死んでいく。
それは十秒後には現実になる未来だった。
だが、

「……ごめんなさい」

―――チュッ

もし、紫がショックで気を失いそうになる私に口付けをしてくれなかったら。
実際私は死んでいただろう。
鎮痛剤(キス)は口から全身に回る。
体から苦しみや絶望が消えうせ、代わりに愛が満たされる。

「左足、いくわよ」

紫が言う。
その表情は酷く複雑で。
その時唯一分かったのは、愛する者の苦しむ姿を見る事に心痛を感じている事だった。

「……」

だからこそ、私は強い肯定の意志を持って頷き返した。

これは自分で決めた事。
愛のためであればこの程度の痛みなど耐え切ってみせる。

紫はそんな固い決意を含む私の顔を見て、身の内の躊躇をかなぐり落としたようだった。
そう、それでいいのだ。
紫は私を苦しめている訳ではない。
ただ、『愛している』のだ。
それを紫が自覚してくれたのが、とても嬉しかった。

―――ガシュッ

再度、今度は左足への衝撃。

「……ッ!!!!」

冷たい刃の暴力に体が一度痙攣する。
だが、意地でそれを押さえつける。

痛みは無い。痛みは無い。痛みは無い。痛みは無い。

ひたすら紫の愛情を考える。
鼻の奥ににじむ涙も悲鳴と共に飲み込んでいく。
そうして、紫の愛を噛み締める。

「右手」

紫の声にももう迷いは一塵たりとて無い。
ハッキリと響くその声がしたとほぼ同時に、三度目の斬撃が振るわれる。

―――ザシュッ

「……ガッッ!!!!」

足よりも心臓に近い分、より一層衝撃が激しい。
だがそれも無理矢理に飲み込む。
三度目ともなると慣れたもので、最早痛みというものは完全に麻痺していた。
脳内麻薬でも出ていたのだろうか。
その時の私は、高揚を通り越して恍惚感すら覚えていた。

「最後、左手」

淡々と―――もしかしたら、これで最後なのを惜しむかのように―――紫が宣告する。


―――ザシュッ


「あ゛あ゛っ!!!!」

思わず口から声が漏れた。
だが、それは悲鳴ではない。
驚いた事に、私は左手を切り落とされたと同時に絶頂に達したのだった。

「ああああああああっ♪!!!!」

絶頂の波は途切れる事無く体を痙攣させた。
性器が、乳首が、乳房が、肛門が、皮膚が、内臓が。
そして、何よりも脳(こころ)が。
強烈な喜びと愛欲の激情で震えた。

―――ジョロロロロロ

だらしなく開いた膣から尿が愛液と共に噴出した。
尿道から尿が出るたびにその刺激で絶頂する。
絶頂するたびに弛緩した尿道から尿があふれ出す。
繰り返す絶頂に脳が蕩けてしまいそうになる。

私の淫靡な無限ループは尿が膀胱からすっかりなくなり、さらにとうとう脳がオーバーヒートして意識が失われるまでずっと続いた。







●七月十八日

失神から目が覚めた時はもう既に日が変わっていたらしい。
といっても窓一つ無い地下室の事だ。時間の感覚も何も無い。
後の紫からの伝聞で分かった事だった。
目が覚めた私は寝起きの朦朧とした意識の中で汗をかいている自分に気付き、額の汗を拭おうとして

―――その時ようやく、手足が完全に失われた事を思い出した。

「……」

不思議と喪失感は無い。
それよりも傍らに紫がいない事の方が酷く寂しかった。

する事も無く天井をじっと見つめる。
私の心の中では寂寥、恐怖、歓喜、欲情、あらゆる感情がない交ぜになっていた。

―――もう、戻れない

四股という重大なパーツを失った。
恐怖を感じないはずが無い、人間が自己を確立する要素を大きく欠落したのだ。
だが、それと同時に。
自分が。最早何もなしえなくなり、他者に存在を依存しなければならなくなった自分の体が。
完全に紫の愛玩物になったのだな、と思うに至った。
ただひたすらに嬉しくて、涙が出た。

「悲しい?」

いつの間にか傍らににじり寄ってきた紫が気遣うように訊ねてきた。
憂いを帯びたその顔は、いつもと違う美しさがある。

「……いいえ」

悲しくは無かった。嬉しい。いや、嬉しく『ありたかった』。
紫は無言で、そんな私をじっと見つめていた。



「さて、今日はお腹をもらうわよ」

三十分はそうしていただろうか。
紫は何かを振り切るかのように言い放った。

「お腹って……内臓食べたら私死んじゃうじゃない」
「あらあら、私がそんな粗忽をすると思って?」

何でも紫が言うには、私がどれだけ体を欠損しようとも脳が無くならない限り死なないようにした、とか。
今考えてみると当たり前の話だ。だって、

「だってそうしなきゃ昨日の時点で失血性ショックで死んでるじゃない」

そりゃそうである。



四股で台に固定していた体を僅かに残る手足の付け根部分で固定しなおし、

「それじゃ、頂きます」

そういうが早いか紫は私の腹にカプリと齧りついた。

「……ンッ!」

紫の白く鋭い歯が皮を貫いて脂肪にささるのを感じた。
だが、昨日に比べれば痛みは全くといっていいほど無い。
まるで意識の中から『痛み』という感覚だけがすっぽり抜けてしまったようだ。
その代わり、心地よいくすぐったさが強く感じられた。
それは肉体的な意味だけでもなく、
紫の歯で腹の肉をどんどん抉り取られ、初々しいピンク色の臓器が露になっていく事に対して精神的な恥じらいがくすぐったさを。

―――正直な話、俗に言う露出的な快感を。

心底感じていた。



―――ムシャッ ムシャッ



「あっ……あ……っ!!」

腹が食いちぎられるその何とも甘美な感触に、堪えきれずに喘ぎ声を漏らしてしまう。
紫はそんなはしたない私をニヤニヤしながら咀嚼を続けていた。

「くちゃっ……くちゃ……っ。んんっ、霊夢のお肉美味しいわ」

トウモロコシの粒の様な脂肪、ササミのような筋肉と横隔膜、蕎麦のように長い血管や神経系。
それらを妖艶に、淑やかに、愛しむように、犯すように。
紫は、咀嚼する様を私に見せ付けてくる。
精神が陵辱されるその行為に、まだ本番(ないぞう)前だというのに私の欲情がとめどなく沸き立つ。

「ふふっ、御開帳♪」

突然の強い開放感を感じたと同時に、紫が跳ねた口調で囁く。
どうやら内臓にまで届いたらしい。
かすかに腹腔内に残っていた血液がドロリと垂れる。
大きく開いたその穴におもむろに顔を埋めた紫は、その端正な顔を血液でまだらに赤く染めながら、ピンク色の腸を咥えて引き出す。

「や……っ……。恥ずかしい……」

それは下手に全裸を見られるよりも恥ずかしかった。
人の腹には三尸の虫が棲むという。
だとしたら、腹を食い破られて中を白日の下に晒された今。
私の素行、感情、罪悪。全てが紫の前へ暴かれてしまっている事になる。

「大丈夫よ。霊夢のお腹、とても綺麗だもの」

それは見た目の事なのか、それとも私の腹(たましい)の事なのか。
どちらにせよ、好きな人に綺麗と言われる事はとても嬉しかった。

紫はその後も、腹を空かせた赤ん坊が胸に吸い付くかのように私のお腹に顔を埋め、
臓器を引きずり出してはそれを私に見せつけながらじっくりと味わっていた。



「腸はやはり歯ごたえが素晴らしいわ。中にある『モノ』の苦味と塩味が良い味付けになってて美味しい♪」

「肝臓は柔らかくてとっても濃厚ね。……ちょっと脂が強いわよ? 食生活に気をつけなさいな」

「腸のシコシコとした歯ごたえもいいけど、胃の噛み応えも独特で良いわ。胃液の風味がまた食欲を刺激するのよね」

「これは腎臓かしら。特有の臭みがあるからきっとそうね」

「さすが心臓。筋肉が発達してるお陰で適度に硬くて凄くジューシーなお肉」

「まぁ、可愛い子宮。血の匂いが濃厚でたまらないわ。それにしてもこの濃厚さ、ちょうど排卵期だったのかしら」


よくもまぁここまで言葉を尽せると思う。
だが、その言葉の量こそが私を愛する言葉とイコールなのだ。
つまり、紫は今言葉を尽して、そして舌と消化器を尽して私を愛してくれている。

紫の口に私が取り込まれていくたびに、私と紫が一つになっていくのを明確に感じる。
幾十回も体を重ね、幾百回も言葉を重ねたとしても到達し得ない、本当の意味での同一化。
生きたまま食べる、食べられる。という、背徳的な、だからこそ濃密な愛情行為。
まさしく『愛』の真なる具象が、そこにはあった。

昨日から体を陵辱されるたびに感じていた恍惚感はもはや多幸感へと変わり、
体も脳も、数え切れないほどのエクスタシーを体験していた。

「ああんっ! 食べてっ! もっと私を食べてえええぇぇーーーっ!!!」
「良いわ。あなたの全て、食べつくしてあげる。存分にイキなさい」

体の痙攣が止まらない。
四股がないために踏ん張りがきかず、全身の筋肉が狂ったようにビクンビクンと跳ねる。
尿や愛液は出なかった。なんせ、内臓も生殖器もとっくに無いのだから。
脳にスパークが飛び、目の前が真っ白になる。

「ああああああーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」

そして、あまりの快感に私は昨日のように意識を失った。







●七月十九日


昨日よりは明確な目覚めだった。
記憶は鮮明。自分がどうやって意識を失ったのかも完全に覚えていた。
さらに、『息が出来る、という事は肺は取らないでくれたのかな』などという無駄な判断力まであった。
年中低血圧気味の自分としては珍しい事である。

―――あぁ、今考えてみれば当然の事だった。
   なんせ、血圧もなにも関係ない体になっていたのだから。

台に寝転んだ状態のまま見回してみると、台のすぐ横で紫が椅子に座ったまま居眠りをしていたのに気付いた。
スースーと寝息をたてて寝ている彼女の寝顔は生まれたての子供のように清らかで幸せに見える。
また、口周りには子供が食べ汚した後のように所々私の血と脂がこびりついていて。
それが彼女の無邪気さと残酷さの入り混じった奇妙な二面性を表しているかのようだった。
その愛らしい寝姿にゾクゾクした私は―――手が無いので―――頭の中の妄想だけでオナニーをし、軽く絶頂してしまった。
正直、その紫の姿はかなりゾクゾクするものがあったのだ。
だがそれだけでなく、今日はどう『愛して』くれるのだろう、という期待で私のリビドーがどうにかなってしまいそうだった。
私は絶頂後特有の虚脱感を味わいながら、なおも眠り続ける紫を眺めて二度寝した。




「で、今日は?」

時間の感覚がわからなかったが、恐らく二時間ほどだろう。
ようやく起きた私は朝の挨拶もそうそうに、寝ぼけまなこの紫に今日の食事(セックス)について聞いた。

「脳、よ」

とうとうきてしまった。そう思った。

「つまり、私は……」
「死なないわ。私と一緒になるだけ、そう考えて頂戴な。霊夢は……嫌?」

嫌ではない。だが、自分が消えてなくなる、というのはやはり抵抗があった。
ある賭博師の言う所の「3%の未練」という奴だ。
しかし、ここまで来て引き返すという選択肢はなどありようがない。
脳を食べられ、たとえ私という存在が消えてしまったとしても。
彼女の中に取り込まれることによって、私と、私の愛は永遠に生き続ける。
そう考える事によって、私は3%の未練を殺した。
だから、

「愛してるわ、紫」
「ありがとう」

それだけで十分だった。



「てっぺんの部分だけとはいえ、やはり気が進まないわね」

そう言いながら紫が私の髪を剃っていく。

「これから脳を食べるって奴が何を情けない事言ってるの」
「それとこれとは別よ。これは美意識の話」

そういう物らしい。
あまりの会話のくだらなさに、二人揃って微笑をこぼした。

「あまり良い姿じゃないから、すぐ開くわよ」

頭がスースーした。当然ながら見えないが、頭を剃り終わったのだと感じた。
きっと河童のような情けない姿なのだろうな。と想像したら何となく気分が悪くなった。

「……とっとと済ませて」
「言われなくても」

傍らから取り出したノコギリで紫がギコギコと頭蓋を切り開く。
その耳障りな音に思わず顔をしかめてしまう。


―――ギコ、ギコ、ギコ、ギッ


数分にわたるノコギリを引く音の後、ボコッ、という音とともに頭に衝撃が走った。
続いて、今まで体験した事のないような奇妙な開放感。

「開いたわ」
「みたいね」

頭蓋が鍋のふたのように外れ、脳がひょっこりと現れるのを想像する。
私の魂が丸裸になってしまった。

「灰色、では無いわね。ピンクがかった白といったところかしら」

聞いていてあまり気持ちの良い話ではなかった。
紫が余りにも顔を近づけてくるので『脳に鼻息が当たる』のが感じられる。
頭がスースーしている上に、何かこそばゆいのだ。
こんな奇妙な感覚、恐らく体験できるのは私ぐらいのものだろう。
と、紫が突然首を傾げたかと思うと

「ちゅっ♪」

脳へ、キスされた。

「んあああああああああああぁぁぁーーーーーっ!!!」

そのくすぐったくて歯がゆい甘美な感覚に、全身へ電撃が走った。
体より脊椎を経由して精神から、ではなく。脳、神経から直接与えられる事によって 全てが余すことなく変化した至上の快楽。
人間が脳で動いている生物である限り究極たりえるその快感に、私は悶え狂った。

「にゃあああぁぁぁっ!!!!」
「あら、脳って案外ビンカンなのね」
「うにゃああああああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!」

後に紫が数えた所によると、たった一度のキスで私は四回も絶頂したそうだ。
当たり前のことながら私は脳自体を犯されていたわけで、それを知覚する事など出来ようもなかった。
十分ほど経ってようやく痙攣が治まり呼吸も整ったものの。
一度ギアが入った精神の昂ぶりは収まらず、際限なく次の欲求を欲していた。

「もっとぉっ! もっと愛撫してぇ!」

おねだりなんて生易しい物ではない。
『懇願』よりも逼迫した、それはまさに気が狂わんばかりの哀願。
体が、精神が、何よりも脳が。
愛と快楽、そしてその先にある甘い死の感触を求めていた。

「本当に、食べちゃって良いのかしら?」

これが最後通告だ、とばかりに優しく紫が問う。
返答は決まっていた。

「もちろんっ! だからっ!」


―――食べてぇっ!


思わず部屋に響くほど大きくなってしまった私の嬌声が、紫と私を二度と帰って来れない兎穴へと突き落とした。

「まずは一口。言葉が話せなくなると寂しいから、今日は言語野のある左は避けて右半分だけね」

言ってる意味は分からなかったが、趣旨は理解できた。
なので、私もなるべく饒舌に話す。……いや、『愛を語る』ことにした。

「早く……。早く私を食べて! あなたと一体化させてぇ!」

体中が期待で火照ってたまらない。
血液もなく、何も循環するものが無いはずなのに。体中で何か、情欲自体が体液になったような物が駆け巡るのを感じる。
それが今の私を造り、突き動かしている。
いわば、私は愛によって生きていた。
そして、死んだ後も、愛と共に生きるのだ。
私はまさに愛だ。
愛の化身だった。
そう、霊夢は愛の結晶だったのだ。
だから私は食べられるのだ。


―――スッ


「う゛な゛あ゛あぁっ!」

脳にスプーンが入るのを感じる。
まるで豆腐のようにスプーンですくわれたその物体の色と香り、そしてプルプルとした感触を楽しんだ後。
紫はそれを

「ぱくっ」

一口で食べた。

「くちゃぁっ……。くちゃぁっ……」

まるで乳首や陰核を愛撫するかのように、口の中の脳を舌で弄ぶ。

「ほのかに血液の鉄と塩の味が香っているわね。そして、まるでこのわたみたいな食感……」

紫は陶酔した顔で私の脳を味わっている。

「ゆっくり味わって……。だってそれ、私なんだもの……」

紫の蕩けるような笑顔を見ていると、私もとても嬉しくなる。
私たちはとうとう一緒になれたのだ。
魂を愛撫し、交わり、咀嚼し、一体化する。
SEXなんて目じゃない。
これこそが真の愛。

―――スッ

「はむっ!」

今度はさっきよりも大きい塊が紫の口に放り込まれる。
紫の笑顔がより深まっていく。
それと同時に、私の思考がどんどんにぶくなっていく。
かんがえが纏まりつかなくなる。
どんどん私が消えていくのがわかる。
ただ、ただ愛だけが体と脳と魂をしはいしている。
紫の中にまた一口、また一口と脳が放り込まれる。
もはや視界すら定まらない。
なにもかもが不定形だ。
ただ、紫の中に私の魂が入っていくのを感じる。


私は紫で、紫は私。
二人はこの瞬間、一人になったのだ。



きっとそうだ。




きっとそうだきっとそうだきっときっときっときっときっときっときっときっl





_____________________________________





「紫様」

私は漫然とした思考の渦から自分の精神をすくい出した。
全身の感覚が戻り、自意識が『紫』として覚醒する。
日記を書く手を止め一つ息を吐いたあと、首だけで振り返る。

「なに、藍」
「お客様ですが」
「今日は誰も通すなと言っておいたはずだけれども?」

相変わらず主人の言いつけを守らない従者だ。
式神のくせにここまで役に立たないとは……。後でお仕置きを考えておこう。

「あの、ですが……」
「なによ」
「来たのがですね、その……。魔理沙なんですよ」
「……あぁ、なるほど」

納得がいった。
用件が用件だけに追い返すかどうか判断に困った、と。
それに加えて、恐らく『会わせないとこいつをぶっ放すぜ!』などとでも脅されたのだろう。

「いいわ、客間に通しなさい」
「仰せの通りに」

目を離しておくと魔理沙が何かしでかしそうで恐ろしかったのだろう。
藍はバタバタと廊下を駆けて玄関へ戻った。

「さて、じゃあ私も急いで着替えて……と」

さすがにこの格好のままで来客を迎えるには障りがある。
一回り小さい(特に胸が)窮屈な洋服を脱ぎ捨て、いつもの貝紫のドレスに袖を通す。
脱いだ服は折りたたみ、リボンと『袖』を上に重ねて箪笥へ仕舞った。
これから幾度も着る服だ。丁重に扱わなくては。
支度を整えた私は客間へ向かった。





「よう、今日もお邪魔してるぜ」

客間では白黒とした魔法使いがのん気に茶を飲んでいた。

「で、昨日から進展はあったの?」

その傍若無人ぶりを賢者の余裕で見逃してやり、対面の座椅子に腰を下ろす。

「いや全然。あいつが行きそうな場所は一通り探してみたが全然見つからん」
「行きそうな場所?」
「紅魔館、妖怪の山、地霊殿、早苗の神社とかだな。あぁ、もちろんここもだ」
「で、結局」
「手がかりゼロだ。まったく、霊夢はどこに行ったんだかな」

そう言って彼女は大げさに肩をすくめてみせた。
緊張感など感じさせないその素振りが『知っている』私から見てとても滑稽で笑ってしまいそうになる。

(ここで本当の事を教えたらこの小娘はどういう反応をしてくれるのかしら)

などと、とめどなく悪戯心が湧き出てくる。

「異変を解決するってんなら私に言うなり書き置き残すなりするからな、いつもは」
「そういう類のものは何も無かったのよね?」
「あぁ。……いや、一つだけあったな」

私の心中に動揺が走る。
まさか何か決定的な証拠を残してしまった、なんてことは無いだろうか。
藍にはそんな事が無いようキツく言い含めておいたし自分も軽く部屋を検めたが、
霊夢がどこかにメモでも隠し置いていてそれを見つけられなかったという可能性もゼロではない。

「何が……残ってたのかしら?」

探りを入れてみる。
思わず声が震えてしまった。
幸運な事に魔理沙はその事に気付かなかったようで、困ったような顔をして答える。

「いやそれがな、日誌なんだよ。社務所の日誌。と言っても霊夢個人の日記みたいなもんなんだがな」
「あぁ、そうなの」

肩の力が抜けた。
何だ、あの日誌か。
あれなら見られても特に害は無い。
だからこそ参考にしただけでそのまま放置したのだ。

「最初は何かしらヒントがあると思って読んでみたんだがな、これが酷いのなんのって
 今日も暑かった。だとか、今日は宴会をした。だとか。
 そんなくだらない文章が”一行程度しか書いてなかった”んだよ。
 日記というか単なる覚え書きだぜあれじゃ」

「面倒臭がりやの霊夢らしいわね」
「違いない!」

そう言うと魔理沙は、ははは!と少女らしい大胆ながら可愛らしい笑い声をたてた。
そう、あの日誌はその程度の事しか書いてない。
それは読んだ私も知っている。それともう一つ、あの日誌には……

「そうそう、その日誌には『紫マジうぜー』って書いてあったな。霊夢が見つかったらあんたも付き合い方を考え直した方がいいかも知れないぜ」

笑いながら魔理沙が笑えない冗談を言う。

「霊夢もずいぶんと酷い言葉を使うのね。あの新入り巫女に教わったのかしら」

全く酷い言葉だ。彼女の本心は真逆だったのに。
私を愛していたのに。何であんな事を書いたのだろう。
何で愛してると書かなかったのだろう。何で?
私は愛してるんだから霊夢も愛しているでしょう。愛してるわ。愛してる。愛してる。
愛してるもの。愛してるじゃない。愛してるわよね。愛してるって言って。愛してる。
愛し


「で、今日も何か発見が無いかと思ってここに来たわけなんだが……」

魔理沙の言葉で我に返った。
彼女は額をポリポリと掻きながら続ける。

「どうやらここにも手がかりは無さそうだな。まぁあいつの事だ。滅多な事は無いだろうしすぐ見つかるだろう」

それにしても、何故この娘はこんなにも霊夢を信頼してるのだろう。
友人だから? いえ、親友だから?
もしかしてそれ以上の?
そんなわけは無い。こんな小便臭い小娘になわけないなわけない。
そんなわけ―――――





面白いことを、思いついた。





「さて、じゃあそろそろお暇するぜ」

そう言って席を立とうとする魔理沙を手で制する。

「まぁお待ちなさいな。そんな急いで見つかるものでもないでしょう」
「そりゃそうだな」
「ちょうど、良いお酒と『肴』が手に入ったのよ。景気付けに冷酒でもいかがかしら」
「おぉ、今日も外は暑くって喉が渇いてたんだ。ありがたくご馳走になるぜ!」

……フィッシュ。
さすが酒に目が無い娘だ。ニコニコ顔で再び腰を下ろしてくれた。
さて、お客様にそんなに期待されたら私も最高の『酒肴』を用意するしかあるまい。

「藍。ちょっと来なさいな」
「な、何でしょう紫様」

ビクビクしながら私と魔理沙のやり取りを聞いていた藍が襖を開けて静々と顔をのぞかせる。

「土蔵にある磯自慢を持ってきて。いつも使ってる薩摩切子も一緒にね。
 それと肴ね。地下に昨日残しておいた『白子』があったから出してくれるかしら。
 鍋で煮込んである『和風ビーフシチュー』も一緒にね」

「あ、あの、白子を……? 私に出してこい……と?」

驚愕と恐れの混じった顔で藍が問い返す。
それもそうだ。なんせ、白子は……。

「聞こえなかったの? 早くしなさいな」

真っ青な顔で藍が台所に向かう。
その足取りは重く、悲壮感すら漂っていた。。
一方、対面に座った魔理沙は不思議そうな顔でをそれを見送り、

「おいおい、なんであんなに狼狽してんだあの狐は?」

などと疑問符の弾幕を私にぶつけてきた。

「あぁ、簡単な事よ。白子を持ってる『魚』はまだ『生きて』るの。
 あの子は生きた魚をさばくのが苦手でね。何でも『残虐すぎて自分には無理』なんだそうよ」

妖怪の癖に何を言ってるのかしらね。と付け足す。
魔理沙はなるほど、などと合点がいった表情をし、
酒肴が出るまで場を繋ぐためだろう、幻想郷では見ることのできない白子について語りだした。

「白子……っつうと海魚の精巣だっけか?」
「川魚で白子は聞かないわね。とろける様な食感に濃厚な味で、中々の珍味よ」
「ほう。本で見た事はあるが、食べるのはさすがに初めてだな。楽しみだ」

好奇心の権化らしい純粋な笑顔で魔理沙が言う。
その笑顔が私の嗜虐心を掻きたてる。

「楽しみにするといいわ。とっても、とっても美味しいのよ」

魔理沙の笑顔に私も心からの純粋な笑顔で返す。
もっともその笑顔の純粋さは、これから相手を悪戯にひっかける悪童のそれだったが。

その時、

                                       「や゛あ゛ぁぁぁ……。だ…ずげ……」

台所からか細い叫び声が聞こえてきた。

―――チッ

下品な行為だと自覚しながらも小さく舌打ちを打ってしまう。
あの臆病な式神は仕事を早く終わらせようとはやるあまり、魚の口に手ぬぐいを詰めるのを怠ったらしい。
全く。本当に使えない子だ。
台所が客間から遠かったからいいものの、もし私が客間でなく私室で応対していたら確実に来客へ筒抜けだっただろう。

「おい、今何か変な音が聞こえなかったか?」

訝しげに魔理沙が尋ねる。
幸い、彼女は声というより音として認識したらしい。
ならばその声が『聞きなれたもの』とも気付いていないはずだ。
仕方無しにその場を取り繕う。

「実はね、今日出す白子はフグの白子なのよ」
「フグ? そいつはまた危ない物を出してきたな」
「魚はまだ生きてるって言ったでしょう? フグって殺される!って時に威嚇のため胃を膨らませるじゃない。
 で、藍がその膨らんだお腹に包丁を入れると……」
「音がする、と。そりゃあの狐も生きた魚を調理するのが嫌いになるわけだな。
 さばく時にあんな”断末魔みたいな音”をたてられちゃ寝覚めが悪い」

その悪気の無い魔理沙の表現に思わず顔がほころぶ。
最高に笑える冗談だ。

どうやら上手く誤魔化せたらしい。
警戒心など皆無な魔理沙に今日出す酒の薀蓄を語っているうち、先ほどより一層顔が青くなった藍が盆を抱えて入ってきた。

「お、お待たせしました……」

紫檀の座敷机に給仕するその手もカタカタと震えている。
よっぽどあの『調理』が堪えたらしい。
ややぎこちないながらも酒器と食器を揃えた藍は、吐き気をこらえるようにして『失礼します』と言ったかと思うと返事も聞かずに部屋を出て行った。

「おいおい、随分な従者だな。礼がなっちゃいないぜ」

お前がそれを言うのか、と思いつつも並べてある酒器に手を伸ばす。
青を基調とした涼やかな柄の薩摩切子のグラスを冷えた日本酒で半分ほど満たす。

「まずは一杯」
「ありがたく頂くぜ」

―――乾杯。

私にとっては祝い酒。
彼女にとっては弔い酒。

同じ酒でも意味は違う。
もっとも、彼女はそれを知らないのだけれども。

酒飲みらしくグイと一息で飲み干した魔理沙は『こいつは美味いな!』などと言いながらいそいそと箸を取った。
どうやら、初めて食べる白子に興味津々のようだ。

「ほう、もみじおろしとアサツキとポン酢か……。これは酒に合いそうだな」
「でしょう? 湯通ししてあるから食中毒や寄生虫は心配しないでいいわよ」

ゆっくりと、おっかなびっくりといった風で魔理沙が『白子』を口へ運ぶ。

私の心にとめどなく優越感が湧き出す。
霊夢から受け取った全身の愛を他人へ分け与えている、という事実と、そこから生まれた魔理沙への勝利感。
持てる者、本当に愛されてる者だけが持ちえる優越感を、私は魔理沙が『霊夢の魂(のう)』を食べているその時に。
存分に味わっていた。

「ふむ……。魚臭さというより獣臭くないか? だが食感は良いな。こいつは酒が進むぜ」
「シチューもどうぞ。和風に作ってあるからシチューというより煮込みに近くて、日本酒ともよく合うの」

それじゃ試してみるかな、とばかりに魔理沙は今度はシチューの皿に箸を伸ばす。

「うむぅ……。味付けは確かに良いがちょっと肉が硬くないか? スジばかりで脂が全く無い。安肉使っただろ」
「ご馳走になってる身で言うわね」
「事実だろ。味は褒めたぞ」

胸を張って魔理沙が言う。

「まぁね、確かにその肉は脂が少ない安肉よ。だってただで手に入れたものだもの」
「おいおい、ただで手に入れたって何の肉だよ。山で獲ったにしては猪でも鹿でも無い味だったが」
「さぁ、何のお肉かしらね? 猫かも知れないわよ。シュレディンガーという名の」
「おいおい、相変わらず人を食ったような冗談が好きだな」

そう言う魔理沙は朗らかに笑っている。
彼女はあくまで、『冗談』だと思っているのだ。
その私を信頼している笑顔がどう恐怖で歪むのか、今から楽しみで仕方が無い。

「ふふふ。私は人を食う妖怪ですから」
「洒落にならない冗談だな」
「じゃあ、その肉を見せてあげましょうか」

手を叩いてげっそりとした顔の藍に指図する。
趣味悪いなぁ。と苦笑いする魔理沙の顔。
それを私は微笑んで見つめる。
さながら、罠にかかる獲物を見つめるように。

「お、お待たせ……しました……」

藍が障子を開ける。

何がくるかと期待していた魔理沙の顔が、盆の上の『頭』を見て言葉を失う。


「あ゛……あ゛ぁ゛……だず、げで……ぇ……」
「れい……む……?」







―――聞くところによると、恐怖や苦痛でアドレナリンが分泌された家畜の肉は大変美味なのだそうだ。







”今度”は楽しむ必要は無い。グチャグチャに挽き潰して、ハンバーグにでもするかな。

恐怖で失禁した魔理沙を眺めながら、私はペロリと舌なめずりをした。
















■ 境界例
境界例(きょうかいれい。ボーダーラインの訳語)は精神医学の用語である。

境界例とは、旧来の境界例概念に基づく、人格障害における広義の疾患概念であり、
主にB群人格障害(反社会性人格障害、境界性人格障害、自己愛性人格障害、演技性人格障害)の病理を持った患者を指す。


■ 反社会性人格障害
反社会性人格障害(はんしゃかいせいじんかくしょうがい、Antisocial Personality Disorder)とは、
他者の権利や感情を無神経に軽視する人格障害である。人に対しては不誠実で、欺瞞に満ちた言動をする傾向がある。以前は精神病質人格、社会病質人格(いわゆるサイコパス)と呼ばれていた。


■ サイコパス

サイコパスは社会の捕食者であり、生涯を通じて他人を魅了し、操り、情け容赦なく我が道だけをいき、心を引き裂かれた人や期待を打ち砕かれた人、財産を奪われ尽くした人を後に残して行く。良心とか他人に対する思いやりに全く欠けており、罪悪感も後悔の念もなく社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手に欲しいものを取り、好きなように振る舞う。





出典:wikipedia





【終】
日記調に書いていたはずがいつのまにか単なる一人称になっていた。
むしろこれこそがホラーな気がする。

オレンジマイスターです。どうも。

書きはじめたのはいいけど、言いたいことが上手くまとまりませんでした。
暑さで脳がゆだってたせいです。
ごめんなさい。次は上手くやります。

あと執筆期間中、Fate/hollowを久しぶりにやり直してた影響が文章にモロに現れてます。
何かもう色々とごめんなさい。

それにしても、産廃でホラーって難しい気がする。
だってカニバリズム書こうがサイコ書こうが人体欠損書こうがホラーとして扱われないんだもん。
オレンジマイスター
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/08/21 21:32:22
更新日時:
2010/08/22 06:33:39
分類
産廃百物語
ちょっと何よこれホラーじゃないじゃない
純愛ね、間違いなく
カニバリズム
博麗霊夢
八雲紫
人体切断
1. 上海専用便器 ■2010/08/22 07:12:10
失禁魔理沙はおいしいのか………!
2. 名無し ■2010/08/22 09:23:16
相変わらずオレンジマイスターさんのゆかりんは、シン・レッド・ラインを
踏み越えちゃってますね。

霊夢と紫の境界があいまいになってゆく…。
3. 名無し ■2010/08/22 13:48:49
日記内の霊夢が読んでて痛くなりながらもにやにやだったなあ
あっはっはっはっは
……うん、にやつきながらも警戒心全開だった俺は間違いなく産廃なれしてっぜい
4. 名無し ■2010/08/22 18:21:38
霊夢かわいい
5. 名無し ■2010/08/23 04:29:39
ゆかりんサイコパス的なのとみれば霊夢は…
間違いなく純愛じゃない
6. 名無し ■2010/08/23 15:54:16
えらくロマンチックな霊夢だなと思っていたら…
ゆかりんマジサイコパス
7. 名無し ■2010/08/23 20:53:22
俺も霊夢のシチュー食べたい
8. うらんふ ■2010/08/23 22:25:24
色々想像してしまいました・・・
そして想像の斜め上でした・・・
9. 機玉 ■2010/08/24 23:21:39
紫がヤンデレになったら誰にも止められませんね。
この後も色々な理由から霊夢の知り合いに嫉妬して殺していくのだろうか。
でも大事な霊夢の肉を魔理沙にも食わせるのか……ううむ妖怪の考える事は分からない。
10. 名無し ■2010/08/25 18:32:14
霊夢の巫女服着て性的興奮覚えてる紫想像したら二重の意味で怖くなった。
サイコパス的な意味とババア無理すんな的な意味で。
11. 灰々 ■2010/08/27 04:11:27
サイコパスにカニバリズム……大好物です。
確かに、産廃の日常ではありますがホラーには違いないですよ。
紫も食材の声を聞ける者だったか……
12. 名無し ■2010/10/03 15:03:43
俺は恐ろしい調理をさせられている藍様のほうを見てみたい。
>>10
ちょっ・・・発狂するとこだっただろうが。
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