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『こいしがみてる』 作者: kks

こいしがみてる

作品集: 20 投稿日時: 2010/09/02 04:08:56 更新日時: 2010/09/02 13:08:56
 地上の山の神様に振り回される異変から数年が経ち、地霊殿はすっかりと以前の平穏さを取り戻していた。
 唯一変わった事と言えばお空が山の神に新たな仕事を任され急がしそうな日々を送っている、というぐらいか、まあ充実してはいるようなので特に気にしない。

とある春の日の午後二時、私はいつも通りにお茶を楽しんでいた。窓から刺さる寒々とした地獄の陽を浴びながら黒猫と過ごすこの時間はもはや何物にも変えられない。
とある夏の日の午前十時、私はたまにはと地獄を散歩してみた、立派な角を生やした背の高い鬼から酒の席を用意されたが正直この日の事はあまり覚えていない。
とある秋の日の午後六時、私は釣瓶落しと土蜘蛛の話を聞いていた、想像していた通り余り役に立つものではなかったが存外に楽しめた。
とある冬の日の・・・何時ごろだったか、妹が久しぶりに家に帰ってきた。

「ただいまお姉ちゃん!あ、これお土産ね」
こいしの右手には鮭が一匹、これでもかと言うほどの存在感を醸し出していた、恐らく地上の誰かに持たされたのだろう。お燐が足元でなにやら興奮したように鳴いているが今は気にしないでおくことにする。
「確か鮭の旬はこれからだったわね、良い肴が入ったわ、お燐に調理させた後鬼でも呼んで宴会を開きましょうか」
私の言葉を聞き終えるまでもなくお燐は待ってましたとばかりに人の形に姿を変え鮭を抱えて調理場へ走っていった、後はもう時間が経つだけで宴会の形が出来るだろう。
「まあ玄関先ってのもあれだからとりあえず中に入って紅茶でも飲みましょう?」

 妖怪の寿命はやたらと長い、必然的に暇になる時間が増えるためどんな妖怪でも暇潰しの手段をいくつも持っている。
「そう、外ではそんなことがあったの」
 あるものは歌を歌いあるものは仕事の時間を長くする、そしてあるものは呆けているだけの時間を作る。
「魔法の森のキノコ狩りとかもう最高だった!・・・けどまあ、やっぱり我が家が一番だね、安心感が違うよ」
 そして私は・・・妹の土産話聞くのが一番の楽しみ。
「だけどねお姉ちゃん、そんなことよりももっと良い事があったの!」
 席を立ち満面の笑顔でずずいと近寄ってくるこいし、そして第三の目を指差すと。
「あたしまた見えるようになったの!」
「・・・え?」
 場の空気が凍った。

 そして少しだけ時間が経ち地霊殿庭では宴会が始まっていた、向こうでは既に出来上がってしまっているのかはわからない立派な一本角がこいしの背をばんばんと楽しそうに叩きながら話しかけたり酒を飲んだりしているのが見える。
「そうかそうか、とうとうこいしもさとりとして一人前になれたか!」
 そしてそれに笑って答えている妹も見える、やはり楽しそうだ。
 それを遠めに見つつぼんやりとしていると我が愛しき愛猫が話しかけてきた。
「それにしてもこいし様もとうとう読心復活かー、一時期閉じちゃったときはどうしようかとおもったけど・・・あたいも感慨深いよ」
 やはりお燐も同じ気持ちであったのだろう、しかし魚にがっつきながら言われてもと思う・・・がやはりそこは猫なのだ、仕方がないことにする。
「そうね・・・でもこれで無意識の内にどこかへいっちゃう事も無さそうだしそこら辺の事は一安心といったところかしらね」
 自分で言ってて確かに、なんて思ってしまった。しかも遠くに居るはずのこいしがこちらに向き「うふふ」なんて仕草をしている、そうか、向こうももう読めるんだ、これからは色々手間がかかりそうだ。なんて事をさらに考えてたら立派な一本角に見つかってしまった。
「おーい!せっかくの酒の席なんだからさ!さとりさんもこっちで一緒に飲まないかい!」
 笑顔で手を振られる、これはせっかくの酒の席でぼんやりしている私への気遣いなんかじゃなく一緒にのむ仲間が欲しいだけなのだろう、席を立ち未だに頬張っているお燐を連れ勇儀の元へ向かう。
  
 そして思った、眼を開けたこいしはこれからどんな子になるんだろう、と。
皆さんの作品を見て自分でもやって見たいという気持ちが強くなってあげてしまいました・・・が、すみませんが習作です、望む望まぬにかかわらず続きを書いてます。

意見、講釈等は色々承りたいのでお願いしたいと思います。
kks
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/02 04:08:56
更新日時:
2010/09/02 13:08:56
分類
さとり
こいし
地霊殿
習作
1. 名無し ■2010/09/02 13:52:16
きっといい子になるよ、今まで以上にいい子に
2. 名無し ■2010/09/02 14:00:43
冒頭の春夏秋冬の出来事を表した文章で、
平穏な、取り立てて何も無い日は時間まで覚えているということは、
他に記憶容量を割く事柄が無かったということ、つまり暇だということを表現しているのですね。
冬の出来事で時間を覚えていないところで、楽しみができたことが文面から伝わってきます。

さとりはいちいち能力を使わなくても相手のことを察することができますが
(お燐や勇儀姐さんが分かりやすい性格というのもありますが)、
こいしちゃんは大丈夫ですかね。トラウマは治りかけが一番危ないですから、
下手したら廃人になりかねません。
3. 名無し ■2010/09/03 00:42:38
ここは産廃・・・ハッピーエンドなどありえない、ありえない・・・きっとこの後ものすごいカウンターパンチがくるはずなんだ・・・ッ
4. 名無し ■2010/09/03 00:52:14
なに、存外書いているうちに慣れるものさ
少々読みにくいところはあるけど続きはすごく気になる面白いOPだと思いますよ
期待ー
5. 上海専用便器 ■2010/09/03 09:41:31
心が読めるようになったのに、自分ほど嫌われないこいしに嫉妬したさとりが云々
それで、こいしとさとりの仲は悪化するわけか
6. ぐう ■2010/09/03 11:42:43
それにより無意識を操る能力が無くなるか否かで、この後がかなり変わると見ました
7. kks ■2010/09/03 11:44:48
おお、コメントが付くというのは嬉しい物ですね。

やっぱりバッドエンドにしたほうが産廃的にはよろしいのですよね?
それと掲示板を見てて思ったのですが一話二話〜と続いてくよりも長編を一個ぽんと置いたほうがいいみたいですね、ちょっと色々修正してきます。
8. 名無し ■2010/09/03 11:58:22
まぁ、この長さで1話2話と続かせるのは避けるべき
9. 名無し ■2010/09/04 01:06:47
うん、OPだから今回はこの長さでも気にならないけど、こっから先はちまちまやってくよりそれなりの長さ会ったほうがいいかと
オチは心の赴くままでいいですよ
ハッピーでもバッドでも、どこか傷残るベター&ビターエンドでも
初書きだそうですしまずは自分が書きたいもの書いて楽しんでくださいな
10. kks ■2010/10/02 05:13:46
ごめんなさい、言い訳をします。

長編にするため各話の接合部をちょっと書き換えようとしたら話がちょっとおかしくなっちゃったんで今必死に書き直しています。
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