魔理沙に会いたい

作品集: 20 投稿日時: 2010/09/04 04:26:19 更新日時: 2010/09/04 06:15:58
ここは博麗神社。

境内では、巫女の博麗霊夢が箒を手に掃除をしている。

掃除中失礼だが、彼女に頼むとしよう。

背後から声をかけたらびっくりした後、それを隠そうとしてか、作り平然笑顔で挨拶してきた。
……『素敵な賽銭箱』の場所を教えるのを挨拶というのなら。

ポケットの小銭を『素敵な賽銭箱』に放り、2回ほど手を合わせ、しばし。
早速用件を霊夢に手短に告げた。



霧雨魔理沙を連れて来てほしい。



とたんに霊夢の笑顔が消え、いわゆる苦虫を噛み潰したような顔になり、
明確な断りの返答を表情と口頭で得ることに相成ったのである。

確か霊夢と魔理沙は親友ではなかったのか?
そのことを霊夢に問いただすと、

魔理沙のことをヒトに対して使ってはいけない蔑称で呼びながら、
否定の返事をしたのだ。

なおも魔理沙に会いたいと食い下がると、
『紅魔館』なる場所に行くように、ぶっきらぼうに言い放った。

あいにくその場所がわからない、というより動きたくないので、
霊夢に連れてくるように依頼した。
今度はお賽銭に紙幣を投入する旨も付け加えて。

しかし、なんということだろうか。
守銭奴の霊夢のくせに頑なにささやかな依頼を拒否するではないか。

曰く、好奇心旺盛な魔理沙はしばしばちょっとした『お茶目』をするのだが、
それに対して大人気なく激怒した『紅魔館』の連中に不当に拘束されたというのだ。

曰く、大人気ないのはその連中のほかにも霊夢を含めた多数いるとのこと。

曰く、彼女がいなくなったことを、皆が喜んでいるのだそうだ。

眼前の霊夢の表情を見ると、彼女が一番喜んでいるようだ。


なんとしても魔理沙に会いたいので、霊夢にふさわしい報酬を先払いで与えることにした。



霊夢を呼び、
振り向いた彼女の顔面に、
右手の拳を叩き込んだ。



社務所の前から鳥居まで、盛大に玉砂利を撒き散らしながら滑っていく様子は
彼女の無礼な発言を忘れさせるのには十分な効果を発揮した。



しかし、
貪欲な彼女は、
この報酬ではまだ足りなかったようだ。



左手で鼻血をぬぐい、右手で腰をさすりながら立ち上がり、
次の瞬間、無数の御札と針をこちら目掛けて放ち始めるではないか。

業突く張りな霊夢に追加の報酬を払うために、
子供のお遊びに等しい攻撃をかいくぐり、
霊夢の眼前に立つと、
右手と左手の拳を一発ずつ、顔面に支払いを済ませた。



鳥居から祭殿の『素敵な賽銭箱』まで、
空を飛ぶ程度の能力でも使ったのか、
猛スピードで飛んでいった。
そんなに賽銭箱が好きか。



『素敵な賽銭箱』は伊達ではなく、
霊夢が激突しても壊れることは無かったが、
その真上にある、大きな鈴の留め金は耐え切れなかったか、
半身を起こした霊夢の頭上に舞い降りたではないか。

霊夢の頭に狙い済ませたように直撃したさまに、
不覚にも吹いてしまった。
いや、失敬失敬。



さらに霊夢はパフォーマンスを披露しようとしているのか、
先ほどの倍の御札と針をどこからともなく取り出し、
さらに、彼女の周辺には陰陽玉まで複数個浮かべてきたではないか。



これはたんまりと礼を弾まなきゃならん。
この、欲張りさんめ。



小一時間ほど、両手両足を駆使した報酬の支払いに、
彼女は泣いて喜び、
可及的速やかに依頼を実行するように命じると、
スイングしながら『紅魔館』に向かってくれた。

お使いから霊夢が帰ってくるまで、
境内の白い玉砂利と紅い染みの色彩を楽しむとしよう。



空が青から赤に、藍に、黒になり、
境内の紅い染みがどす黒くなったころ、
霊夢が客人を連れて帰ってきた。

出かけるときには無かった包帯と絆創膏を身に纏った霊夢がつれてきたのは、

桃色の衣服を着て、こうもりの羽を生やしたお嬢さんと、

いかにもメイドといった感じの格好をした女性、



そして、



魔理沙―



闇より暗きオーラを身に纏い、
悲しみと絶望しか見せてもらえなかった眼をしているが、



それは、
まさしく、
霧雨魔理沙であった。



魔理沙を抱きしめた。
絶望のように冷たく、
地獄の業火のように熱いその華奢な身体を、

この私と同じ存在になった彼女を、

強く、強く。



可愛い可愛い魔理沙。
ちょいと『お茶目』が過ぎるけど、
霊夢が先ほどから念仏のように言っているように、
蝙蝠女の妹と親身になって遊んであげるような、
そんなやさしい性根を持っていることを、
私は知っている。



しかし、見れば分かる事を理解しようとしない輩が、
魔理沙の背の向こうにいる。



霊夢は、蝙蝠女の背後で頭を抱えてうずくまっている。

メイド女は、手品でも使ったのか、無数のナイフを周囲に浮かべている。

そして、蝙蝠女は、
愚問とはかくあるべきというような質問をした。



私は誰かと。



「新参者の蝙蝠の小娘。私を知らないのかえ。」





未来なんて無いと思った。
マラソンで例えるなら、ゴールが鼻先に吊るされているようなものだ。
最愛のものから裏切られ、
まさか、こんな些細なことで、私の自由が奪われるとは。
あまりにも理不尽なり。私の人生。
リスクが高くても、それを上回るリターンを提供するというのに。
頑迷な思考の持ち主は、目先のことばかり考えて、
遠くにあるがいずれは訪れる栄光を溝に捨てる。
運に賭けろ!!夢を見ろ!!人生をたのしめ!!

*上記の文章は、霧雨魔理沙の遺品である八卦炉に挟まっていた耐熱紙に書かれていたものである。
産廃の皆さん、始めまして。
NutsInと申します。階級は万年曹長です。

今までは、素晴らしい作品群に名無しで感想を書いたりしておりましたが、
ウイスキーをストレートで飲んでいたときに、辛抱たまらなくなり、
不意にひらめいたものを、酔った勢いでつらつらと書き留めたものです。

…我等が無敵の霊夢様をボコりたかったというのもありますが。
NutsIn先任曹長
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/04 04:26:19
更新日時:
2010/09/04 06:15:58
分類
魔理沙
霊夢
ぼろもうけ
1. おうじ ■2010/09/04 07:46:07
はじめまして

なんだろう、僕も霊夢ぼこりたい
2. 名無し ■2010/09/04 11:12:15
賽銭と賄賂の区別がついてない辺り、
ミマーも産廃の住人の資格がありそうだ。

>魔理沙のことをヒトに対して使ってはいけない蔑称で呼びながら、

ここ詳しく。
3. NutsIn先任曹長 ■2010/09/04 16:45:57
新参者の駄文に感想を下さった皆様に感謝いたします。


>おうじ様

これはこれは王子様。ようこそいらっしゃいました。
私も、王子様のような短いながらもキャラへの愛情にあふれた作品を書けるように
精進いたします。


>2様

お賽銭の他に、やたらキャパのありそうな袖の下にポチ袋をねじ込めばよかったですかね。

魔理沙の蔑称ですが、いじめスレが原点のカタカナ4文字です。
本来、その単語の前に『可愛い可愛い』が付きますが、当然付けずに発言しています。
本文中では、霊夢は悪意と嫌悪感をこめて吐き捨てるように発言したと思ってください。
4. 名無し ■2010/09/04 19:46:03
霊夢は「神社なんだからお参りしに来たら賽銭入れられて当然じゃない!」と思ってそう。
外の世界的にも正しいが、産廃的には間違っている。

霊夢は物理ダメージは食らっても、決して心が折れないのが素敵。
5. 上海専用便器 ■2010/09/04 20:02:49
おぜうが中途半端なカリスマ出してて、ヒャッハー!
6. NutsIn先任曹長 ■2010/09/05 02:30:26
再び、感想を下さった皆様に感謝を。


>4様

産廃ルールだと、目が合っただけでお賽銭の強制徴収ですかね。

霊夢の素晴らしいところは、挫けぬ心だと思います。
だから、拷問や陵辱には屈しないが、さとりにトラウマを突かれて
ペットに成り下がる二次話を読むと、イッちまいそうになります。


>上海専用便器様

なんと!!皆が分岐で最悪のルートを選択する話を執筆されている、あの上海専用便器様ですか!!
ようこそいらっしゃいました。

レミリアは、ボコられパシらされた霊夢を守るためと、
魔理沙の件のケジメをつけるためにご出陣と相成りました。
ただ、旧作キャラはご存じなかったようです。
7. シ骸中尉 ■2010/09/05 17:08:40
魅魔様が登場してるのでしょうか?理解力が無かったりする私の独断ですが。

それでも、霊夢がパシられたのはスカッとしました。いいぞもっとやれ
8. NutsIn先任曹長 ■2010/09/05 19:47:15
>シ骸中尉殿

これは中尉殿!!フロイライン幽々子とは相変わらずラブラブなことで。

旧作をやったことがないので、このようなぼかした表現となりました。
後、魔理沙の遺書をひらがなにして縦読み。

現在、霊夢の無敵の秘密について執筆中です。乞うご期待。
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