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『短いメディスン』 作者: フェイトちゃん

短いメディスン

作品集: 20 投稿日時: 2010/09/09 19:58:28 更新日時: 2010/09/10 04:58:28
 ――メディスンの驚きは120円に匹敵した。
 二階で爆音が、バイクが暴走するような、耳をつんざく爆音が聞こえてきたからだ。それは匹敵するのも頷ける。

 耳をつんざかれたそのままで、メディスンは尋ねた。

「あの爆音はなに?」

 迅速なる対応であったが当然の如く、メディスンの純粋なる問いかけは、激しい大音量の中で……ただの口パクの視覚情報しか伝わらなかった。
 読唇術(読心術)に心得のある人形遣い。
 耳を両手で塞ぎながらパクパクする毒人形メディスン。
 を一瞥すると、

『来なさい、二階に行くわよ』

 フリップを用意するフレキシブルな対応を魅せた。


 遠かった。
 出発してから、無限の時間が過ぎ去っていったと錯覚する。ああ、錯覚では無いな。こんなにも時計がまわっているよ? コチコチ東風
 途中で何度も心折れた。自分でもわかるぐらい限りない自棄に陥って立ち上がれない。
 だが、その度にメディスンは励まされた。
 ……あと少しで二階に着くわ、もう少しの辛抱よ、メディ?

 優しいのだ。
 アリスが。
 アリスの母性が。
 人形遣いに抱きしめられながら、メディスンは何度も励まされた。

『アリスはさー、良い匂いがするんだよね』
『アリスのお腹の辺りに、おでこを押し当てて力いっぱい抱きしめ返すと、ちょっと良い匂いがするの』
『それでまた、柔らかいし暖かいんだよねー』
『えぇ? いーえ、決してアリスを許したわけじゃないよ? 人形の解放のた

 過去を懐かしむメディスンはそう語った。

 アリスはメディスンのブロンドを撫でつける。大切な人を想う優しい手つき。透き通るような髪質ね。思いながら機嫌の回復を待っていた。
 もう何回目かしら。メディの心が折れたのは。それにしても

『普段メディは、人形を意のままに操るなんて人形の意思を無視してる〜、だなんて喚くんだけど』
『メディったら、着せ替え遊びに快く応じるの、本当は嬉しいの隠しちゃって』
『和服も似合うのねって笑いかけたら、日本人形じゃないんだからって言いながら恥ずかしそうに俯くの』
『何だかんだで、私の家に居座ってさ、気に入られちゃったのかしらないわね』
『あの時のメディときたら、本当に甘えんぼで〜〜〜

 とにもかくにも、こうして二階に辿り着いたのが、つい先刻。
 近づけば近づく程、爆音は激しい音波となり、衝撃へと昇華していた。
 衝撃はアリスとメディスンにも例外なく襲いかかり、継続的な振動を与え続けた。言うなればバイブである。みんなが大好きなバイブである。
 そして、耳をつんざかれた一人と一体は、つにバイク爆音の音源、震源地を目の当たりにすることになる。

そう、それは自然の摂理に逆らい奇態と化した魔――



 あっれー? ここで途切れてるよー? 魔……なんだろうなぁ
 ねぇお姉ちゃんー? これ続きはー?
 なーに? どしたの? え、この本? フフーン〜、ダメダメ返さないよ、折角お姉ちゃんの書斎で見っけたんだから これはー、わ・た・し・のっ! キャハッ
 しかも、これ手書きだよね? 手書きだよね? お姉ちゃんの字だよね? ハァーン、隠しても無駄だよ?
 こんな可愛らしちっちゃい丸文字なんて、地霊殿ではお姉ちゃんぐらいだもんっ! イシシッ!
 けどさー、これ続きがああああっ!! て、もーうっ、油断も隙もありゃしない〜
 何でこんな時だけ俊敏なのかなー、普段は本ばっか読んでるくせにぃー ふんだっ
 ダーメ、お姉ちゃんがこんな小話書いてるなんて、大だいだいニュースなんだもん。地霊殿の皆に見せないなんて道理が通らないわ
 ん? もちろん、私の道理よ?
 そう、今しがた私の中にできた新道理! ザ・こいし道理ばくたーん〜ウフフ
 お空はとにかくお燐には必ず見せたげないとねーっ!
 そーうだっ、こないだ新聞書いてるって言ってた『しゃめーまる』にも教えたげよっと〜
 それじゃあねっ、愛しのお姉ちゃんっ!!



 ご覧いただけただろうか?
 無垢な少女が楽しげに話す、、、、、、その背後を。

 解らなかった人のためにもう一度
 この赤いサークルに注目して頂きたい。

 3、2、1

〜〜ゃんがこんな小話書いてるなんて、大だいだいニュースだもん。地霊殿のみ

 お解りいただけただろうか?

 スロー再生でもう一度

ががこぉぉおおんんなぁぁああこばなぁぁしぃいいいかいてぇぇぇえるな

 キャー
 スタジオ戦慄、こいつはぁ間違いなく……


「完全な憑依霊ね」
「憑依霊……ですか?」
「ええ、この種のタイプは非常に危険だわ、冒涜想主一定バイオ型危険3種指定ね。それに厄介なのが縛り付けられているこの娘」
「冒涜想主バイオ3種? えー、このー黄色いリボンの帽子被った子、ですか?」
「この子は会話から察するに妹よね? 妹に憑依霊が憑いてるなんて非常にまずいわ」


「えええぇ!? ちょっと待ってください、霊夢さん! まさか私の妹に憑依霊だなんてそんなのい
「いるものはいるの! 悲しいけどこれって現実なのよね」
「そんな……これは光の加減の類じゃあ」
「ありません」
「そんな! そんなことって、私の妹にそんあああ、、こいしぃいー!! こんな」
「少し落ち着きなさい!」
「……すみません、私としたことが」
「貴方が嘆いても霊は祓えないわ、このままでは霊障が徐々に妹さんの身体に影響を及ぼす可能性があるわ。何か心当たりはない?」
「……そうですね、最近妹は中々寝付けないらしくやせ細っていってます
「第四霊撃工場骨法の疑いありね、他には?」
「工場骨法? あ、私の作った料理をあまり食べなくなりました。食欲が無いだとかで…」
「ゲマンジャクゲーママンジャクの疑いもあり、と」
「こいしが家に帰らないのも…」
「それは関係ないわ」
「それで、、、祓えそうですか? 霊夢さん」
「闘!!!」
「うわ」
「在!!!」
「ちょ」
「前」
「しっ、さとりさん、静かにっ! 始まりましたよっ」
「列開陣!!!」
「え、何? え?」
「滅! 滅滅滅!! めめめめめええええぇぇぇぇぇーーーーっつ!!!!!!!!」
「闘在前列開陣!! めつ、めつめつめつ!!! ホァタタターーーッ!! めぇつっ」
「闘ぉ! 在ぃ! 前ん! 列ぅ! 開ぃ! 陣ん!」
「滅メッツ滅滅滅滅滅滅めつめつめつめめめつつ!!!!」
「METU! METU!! VERY METU!! OH! YES、YES、YES I AM METUUUUUUUUUUUUUUUUU!!!!!!!」

 除霊が始まりました。

 ビシィッ

 スタジオに緊張が走る!

 数珠振り回す! 霊水飛び散る! 棒で依頼者叩く! 依頼者に憑依する! 霊が依頼者乗っ取ったぞぉ! 霊が暴れる! スタジオ動揺!

 御札だ、御札はどこだぁ!? 闘在列開陣滅宋叛ッ!! 霊が落ち着いた! 説得きた! おや、霊が泣き始めたぞぉ?

 霊夢さんが親身、珍しいっ! 痛っ、殴られた! おおー、無事憑依が解けました! ご覧ください、さとりさんの晴れやかな笑顔!!

TVをご覧の皆さま、本日は本当にありがとうございました。
来週もまた観てくだち!

 司会者、サタデーナイトフィーバーの格好でスポットライトを浴びる。
 湧きあがる完成。

SOREDEHA MATA RAISHU!!   




 ゴリアテから涙が零れたのかと思ったが、暗雲から零れ落ちた一滴の雨だったらしく、輝く雫はそのまま母なる幻想郷の大地へと染み渡って行き、その雫はいつしか地霊の賑やかな喧騒の街の一角の雨漏り、それも薄汚い赤錆びのへばり付いた不潔の雨漏りの雫として、知性の無い住民に嫌悪されるだろうも、宿命だと結びつける以上はこの先に何もなくても仕方ない東方を諦めないで
※ここに気の利いたアスキーアートを淹れたい
フェイトちゃん
作品情報
作品集:
20
投稿日時:
2010/09/09 19:58:28
更新日時:
2010/09/10 04:58:28
分類
メディスン
アリス
こいし
さとり
霊夢
衣玖
ゴリアテ
1. 名無し ■2010/09/10 05:46:06
理解に苦しむ
結局なんだったのwwww
2. 名無し ■2010/09/10 18:26:46
何だこれはwww
しかし、コメントするのを諦めなかった
3. 名無し ■2010/09/24 00:36:09
メディスンにゃーん
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