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『霧雨邸キノコ養殖場』 作者: sako

霧雨邸キノコ養殖場

作品集: 22 投稿日時: 2010/12/19 04:15:54 更新日時: 2010/12/19 13:15:54
「それでねママったら『アリスちゃんもそろそろいい人、見つけないとね』なんて言うのよ」

 ある日の昼下がり、大きな窓から差し込む冬の陽の光と赤々と燃える暖炉のお陰で程良く温まった店内、アリスと魔理沙は少し遅目のランチをとっていた。
 ここは幻想郷でも数少ない洋食屋さん。金髪碧眼の異人のシェフがイタリア料理を提供する美味しいお店だ。料理は二人してパスタのセットを頼み、アリスはボロネーゼ。魔理沙は納豆きのこスパ。付け合わせのサラダはほうれん草と薄く切ったパプリカにオリーブオイルと塩を軽くまぶしてあるだけのシンプルなものだ。二人はそれを舌鼓をうち、魔理沙がパスタをお箸で蕎麦よろしく音を立てながら食べているのをアリスがとがめたりしていた。そのうち、会話は他愛ないものに変わっていったのだが…

「いい人って…そんなの、簡単にできるわけないし…」
「ああ、そうなのか」

 ポリポリ

「わっ、私だってそりゃ…ちょっと、気になる人もなきにしもあらず…なんだけど…」
「へぇ、そうなのか」

 ポリポリ

「勇気が足りないっていううか…向こうが鈍感っていううか…って、ねぇ、ちょっと魔理沙。聞いてる?」
「ふぅん、そうなのか」

 ポリポリ

 魔理沙の答え…といううか条件反射じみた言葉を聞いて途端、アリスは肩を落とした。明らかに聞いていなかったからである。

「紅魔館の魔女が冬にエルシャダイ本だすそうよ」
「ほう、そうなのか」

 ポリポリ

「霊夢マジむかつく。ぶっ殺してやろうかしら」
「ふむ、そうなのか」

 ポリポリ

「隣の家に囲いができたってねぇ」
「へい、そうなのか」

 ポリポリ

「魔理沙、愛してる」
「ああ、そうな…って、お、お、お、おい!」

 ポリポリ

アリスの言葉に顔を赤くする魔理沙。

「なんだ聞いてるじゃないの。まぁ、それはいいけど、さっきから手、どうしたの?」
「手?」

 言われて魔理沙は自分の右手を眺める。少し爪が伸びている。風呂上りに切ろうかと魔理沙は思ったが、夜に爪を切ると目が潰れるというローカルルールがあるのでやめようと考えなおした。

「いや、そっちじゃなくて逆。さっきからしきりに掻いてたけど」
「私が? 完全に無意識だった」

 そういう魔理沙は右手で左腕を服の上からポリポリと掻いている。本当に自覚がなかったようだ。はぁ、とアリスはまたため息。

「見せてごらんなさい」

 言われるままに魔理沙は左手を伸ばす。袖のボタンを外してまくり上げると何度も掻いていたせいか肌の一部が赤くなっていた。

「虫刺されかしらね」
「んー、昨日、森の奥に行った時にみょんなのに刺されたかな」

 そう心当たりになりそうな事を口にする魔理沙。なんで、そんなところにとアリスが呆れながら聞くとキノコ採集、と魔理沙は応えた。続いてすごいのが採れたんだぜ、とも。

「フタナリになるキノコとか。一囓りで最高にハイ! になるキノコとか、ああ、タヌキの死骸から生えてるなんてすごいのもあったぞ」
「最初の以外は何がすごいのか理解できないわ」

 聞いてもいないことを矢継ぎ早に言ってくる魔理沙にアリスはこれだからオタクは、とげんなりとした顔をする。その間も魔理沙はポリポリと自分の腕を掻いていた。

「こういうのって掻けば掻くほど痒くなるものじゃないの」
「聞いたことがあるな。一度、吸えばやめるのは困難…って」
「ドラッグやめますか、それとも人間やめますか」
「穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた伝の戦士、で」

 掻きすぎたのか、魔理沙の皮膚から僅かばかり血が滲み出していた。もう、とアリスはナフキンを渡す。受け取った魔理沙はそれで傷口を押さえていたが、痒みは耐え難いのか、その上からぐりぐりと患部を刺激しているようだった。

「もう。あんまり酷いようだったら、竹林の医者のところへ行ってきたら?」
「そうするかな。まぁ、これぐらい別に大丈夫だろ」

 そうこともなさげに応える魔理沙ではあったが、アリスは最後まで可愛らしい眉毛をへの字に曲げながら魔理沙とその腕の傷を見ていた。










 その日の夜…

「っ…痒」

 ランプの明かりも消し真っ暗にした部屋の隅。魔理沙はベッドで横になっていたが寝付けずにいた。言うまでもなく左手の痒みが増しているからである。
 風呂上り、晩酌にと一杯やったのがいけなかったのか。血行が良くなったせいか痒みが倍増してしまったのだ。

「駄目だ、寝れん」

 がばっと、布団から体を起こしランプに火を灯す魔理沙。布団から腕だけを出して、痒い部分を見てみる。赤く腫れ上がり引掻きすぎたのか擦過傷をおこし血やリンパ液がじんわりとしみ出していた。実は横になっている間にも駄目だと思いつつ掻いてしまっていたのだ。

「これはいかんな」

 むぅ、と呻る魔理沙。軟膏なり何なりと塗っておいた方が良さそうだが、生憎とその手の薬品は切らしてしまっていたのだ。どうするかと、腕を外気に曝しながら、患部を凝視し、マヒ凝視でも使えないかなとぼやく。
 と、室内とは言え冬の空気にさらされたせいか、その冷たさで幾分、腕の痒みは治まってきた。その感覚を確かに感じ取り、そうか、と魔理沙は体を起こした。

 魔理沙はごそごそと布団からでると素足でベッドから降りた。まるで御影石のように冷たい床にさむっ、と呟く。そのままスリッパも靴下も履かず魔理沙は火をつけたランプ片手に寝所から出て行った。ぺたぺたと素足で廊下の床板を踏みつける音が響く。パジャマのまま、上着を羽織ることもない。どうせ、そこまでだから、と。

「ううっ、しばれるなぁ」

 自分の腕を抱き、特に痒みを発する患部を強く締付けるように押さえながら目的地に辿り着く魔理沙。そこは台所だった。すっかり冷えてしまった豚汁に生乾きの布巾。水滴のついたグラスが流しの側に置かれている。魔理沙は台所を横切るとまっすぐ冷蔵庫の所まで歩いて行った。冷蔵庫、と言っても守矢神社に置いてあるような電気式の物ではなく昔ながらの最上段に氷塊を置いた幻想郷ではオーソドックスなものだ。もっともこの冷蔵庫は香霖堂の店主、霖之助のお手製で魔理沙が地下世界へ行く前に編み出した(パクったともいう)冷気を生み出す魔法、コールドインフェルノの力が流用されている。電気の代わりに魔力で動いている冷蔵庫、と言うわけだ。
 魔理沙は冷蔵庫の上部、冷凍庫の機密扉を開けるとそこからカチコチに冷えた氷を取り出した。いくつかを水を通さないヤギの胃で作った皮袋に詰め、即席で氷嚢を作る。冷たいそれを魔理沙はすこしの気合いを持って腕に押し当てた。

「っうううう、冷たい。ああでも」

 冷たさに末端神経もマヒしてきたのか多少は痒みがマシになった。もう少し冷やし続ければ何とかなるだろう。

「痒いのは痛いのの劣化版って聞いたからな。風邪ひいて酷い頭痛に悩まされるよりマシだぜ」

 氷嚢を腕に当てながら寝室に戻る魔理沙。この分なら朝までぐっすり眠ることが出来そうだった。




 朝までは…




 翌朝、疼くような腕の痛みに魔理沙は起こされた。見ればあの痒みを憶えた場所はぷくりと膨れあがり、血やリンパの乾いた物がこびり付いているという酷い有様になっていた。ここまで行けば最早、痒みどころか触れるのも躊躇われると言った様子。昨日、魔理沙自身が言ったように痒みの上位は痛みなのだ。

「うわっ、冷やしたのが逆に駄目だったか」

 晴れ上がった場所は熱を持ち、腕の血の流れをおかしくさせているのか、それとも神経を圧迫しているのか、どうにも左手が思うように動かなかった。これは敵わんと、魔理沙は結局、永遠亭の医者に診てもらうことにした。

 ところが…

「なんだって、あの藪医者は留守だってのか!?」

 片腕で何とか箒を操り、法定速度を無視してかっ飛ばし、竹林の中で何度も迷いながらやっとこさで永遠亭に辿り着いたというのに永琳は留守だった。

「ええ、暫くは帰ってこないって」

 師を藪と言われたことにむっとしながら対応に出た優曇華は魔理沙に言う。しまったな、と頭をかかえる魔理沙。暫く、唸りながら頭をひねっていたが、また優曇華に向き合う。

「この際、お前でもかまわん。虫に刺されたんだ。なんかいい薬があったらくれ」
「虫さされぐらいで…」

 そんな程度のことでうちに来ないで、と優曇華はぶっきらぼうに言い捨てたが、魔理沙に腫れ上がった腕を見せられ考えを改めた。

「こりゃ酷い。どうしてこんなになるまで放っておいたのよ」
「昨日の今日だしな」
「とりあえず何か軟膏でも渡すけど…これは本当に師匠に診てもらった方がいいかも」
「そのブラックジャック先生がいないんじゃしょうがないけどな」

 結局、魔理沙は緑色のひどい匂いのする軟膏を塗られ、一週間分のソレとヨードチンキを一瓶貰った。

「取り敢えずソレぐらいしか用意できないけど…一週間後に師匠は帰ってくるから、その時まで痛かったらまた訪ねてきて」
「こんなのがあと一週間も続いたら死ぬぜ。痛くて死ぬぜ」

 帰り際にそんな冗談を口にする魔理沙だったが、その想像は出来れば現実になって欲しくなかった。
 優曇華が請求してきた代金を今度払うぜ、と踏み倒し魔理沙は帰ることにした。




 
 結論から言うと、優曇華に貰った薬はまったく効果がなかった。
 触れれば破裂するのではと思えるほど痛く腫れ上がったそこに恐る恐る魔理沙は何度も軟膏を塗りたくったが、痛みが収まるのは塗り終えた後の数分だけでその後は皮膚の裏側からライターで炙られたような猛烈な痛みが襲ってくるのだった。
 痛みのせいで集中力から体力、魔力まであらゆる力を削られ、魔理沙はその日、一日中家の中で過ごすはめになった。
 日が出ている間はまだトイレに行く程度の余裕はあったが日が落ちてからはいよいよもって痛みは耐え難いものになっていた。

「っ…ううっ…くそ…」

 ベッドの上でうなり声をあげる魔理沙。額には汗が浮き、自慢の金髪は乱れに乱れている。パジャマに着替えるのも無理だったのか、キャミソールとその下の下着は汗を吸い重くなっており、腕の熱が全身にまで回ったのか、かなり熱を出しているようだった。浅く早い呼吸を繰り返しては辛そうに顔を歪めている。いっそ気絶するよう、眠ってしまえれば幾分、楽だったのかもしれないが焼きゴテを当てられたかのような腕の痛みがそうさせてくれなかった。そして、腕の方はというと…これは本当に酷い有様だった。左腕全体がむくれ、ぴくぴくと痙攣を起こしている。特にあの痒みの中心だった部分は熟れ過ぎて腐り始めたトマトのように腫れ上がっていた。真っ赤に染まった皮膚は膨らませた風船のように張り詰め、頂部分は裂け、血混じりの黄色い体液を流していた。そこは当然、触れずとも慢性的な痛みに覆われていたが、ちょこっとでも何かが触れればそれこそ悲鳴をあげるような痛みが魔理沙を襲った。そのせいで寝返りをうつことも出来ず、魔理沙は左腕だけを布団の上に乗せて、じっと痛みに耐えていた。






「…っう」

 何時間経過したのだろうか。気がつけば魔理沙は眠ってしまっていたようだ。いや、それは眠りというよりは電気ヒーターとアイロンと電子レンジをいっぺんに稼動させてしまって、配電盤が危険を察知、ブレーカーを落としたように意識が痛みに耐えかね脳機能をシャットダウンさせたがゆえの眠りのようだった。ようは気絶していたのだ。

「朝…いや、昼かな」

 それからどれぐらい意識を失っていたのだろうか、窓から差し込む弱々しい陽光に魔理沙は目を覚ました。全身が酷い倦怠感に包まれているが昨日程の酷さはなかった。かろうじて動ける程度には回復したようだった。
 寝ている間に多量の汗をかいたようで下着は絞れば雫が滴る様に濡れていた。また、漏らしてしまったのか、ドロワーズは汗ではない液体で重くなっておりひどい匂いを発していた。

 そして、左腕は…

「なんだこれは…」

 確認し思わず言葉を失う魔理沙。左腕は汗だけではなく血でも汚れており、腕に敷いていた掛け布団は赤黒く染まっていた。それはいい。確かに寝ている間に流血したのは大問題だったがそれよりも大きな問題が、そうして、痒みからひどい痛みの原因となったものをそこに発見したのだった。

「き、キノコか…これは?」

 そう、そこにはキノコが生えていたのだ。そことはつまり魔理沙の腕。ちょうどあの痒みから痛みへと変わっていった場所からぴょっこりと親指ほどの大きさのキノコが伸びてきているのだった。

「………」

 ためつすがめつ、きのこを観察する魔理沙。キノコは魔理沙の皮膚の上から生えているのではなく、どうやら内側、肉体から生えてきているようだった。なるほど、と合点が行く。あの痒みや痛みはこのキノコが皮膚の内側で育っているせいで起こったのだ。そうして、土の中の種が発芽し、地面を突き破って出てくるように魔理沙の皮膚を押し上げ、このキノコは頭を出してきたのだ。布団を汚している血は皮膚が裂けたから流れたのだ。キノコは寸胴な形をしており傘は小さい。色は恐ろしいことに生肉のようなピンク色をしており、うっすらと赤い血管のような筋が走っている。いや、腕から生えているところを見るとあながち間違いではないかもしれない。粘液に濡れ光っているが、それがキノコ由来のものなのか魔理沙の体からでたものなのかは定かではない。

 うわーうわーと恐怖と知的好奇心の入り交じった顔で自分の腕から生えるキノコをつつく魔理沙。ブニュッとした感触。爪の先に粘液が付き、糸をひく。
 と、

「あ」

 腕から生えていたキノコはなんの抵抗もなくポロリと取れてしまった。粘液で布団を汚しながら転がるキノコ。

「………っと、ミギーの事を気にしてる場合じゃないな」

 暫く魔理沙は布団の上に転がっていたキノコをじっと見つめていたが、自分が今怪我をし酷く汚れている事を思い出し、ミギーじゃなくてヒダリーだな、と言いながらベッドから出た。


 その後、魔理沙は救急箱片手に取り敢えず洗面所に向かった。
 痛みを堪え、傷ついた左腕を洗う。幸い、傷は浅く別のキノコが生えてきている様子もなかった。腕もきちんと動き、問題なさそうだ。きちんと傷口を消毒し、しっかりガーゼを当てて応急処置は終わった。ついでに魔理沙は汚れた下着を脱ぎ捨て、体を綺麗にすることにした。傷口を濡らさないよう気をつけながら、軽く風呂にはいる。

 体の疲れのせいかその作業に小一時間かかったが、それでも魔理沙は生き返ったような気分になった。

「ふいー、さて、生き返った死者は食欲に突き動かされるってのがトレンドだが」

 ほぼ、丸一日なにも食べていなかったせいで腹ぺこだ。何か栄養があって消化のいい物を食べよう、そんなことを考えながら、髪を拭きつつ部屋に戻ってくる。

「ん…」

 その時、ふと目を向けたベッドの上にまだあのキノコは落ちていた。いや、当然か。出生は不気味でも所詮はキノコだ。足が生えて動き出したり急に喋ったりするわけがない。ましてやブロックを叩けばそこからぴょっこり出てくるなんてありえるわけがない。腕からは生えてきたが。

 何を思ったか魔理沙は頭にタオルを被ったままベッド側まで歩み寄り、キノコをつまみ上げた。

「………」

 自分の血肉を吸収し、自分を苦しめ作られたキノコではあったが不思議と魔理沙はすぐに捨ててしまおうなんて気持ちにはなれなかった。

「まぁ、赤ん坊もそうやって出来る訳だし」

 ある意味では、とそんなことを口にする。もっとも、嫌悪は抱かずとも愛情なんてものは感じなかったが。ふむ、と再びつまんだキノコをためつすがめつ調べ始める魔理沙。心を満たしているのは寧ろ学術的な興味だ。魔理沙はキノコに関しては一言あったが、さすがに人体から生えるキノコなんて聞いたこともなかった。冬虫夏草と言って冬眠中の虫から生えるキノコがあるがその仲間だろうか、新種か、と体を拭くのも忘れ、仔細に眺める。

 ぐぅ〜

「あ」

 と、そういうことをしていると不意に腹が鳴った。体が温まり内蔵も本調子を取り戻してさっさと仕事をさせろと喚き始めたのだろう。臨時休業開けに熱心な奴、と魔理沙は台所に向かおうとして一瞬、迷いの表情を見せた。つまんでいるキノコをどうしようかと悩んだのだ。

「捨てる…のはもったいないしなぁ。サンプルとして置いておくってのもアリだけど、うーむ、いい保存の方法が思いつかないし…」

 キノコを手にしたまま呻る魔理沙。その時、きゅるる、とお腹がまた鳴り始めた。

「………いやいやいや、流石にそれはなー、人としてどうかと思うし、なぁ? 世間体ってものが…」

 魔理沙の瞳が潤い始め、学者のそれから獣のそれに変わりつつある。口端からは涎が垂れ始め、いよいよもってお腹の音は大オーケストラを奏でる。

「流石になぁ。うんうん、どうかと思うぜ。喰うのは。うんうん」









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「まったく…この所、なんの連絡もないと思ったら急に遊びに来てくれなんて」

 ぼやきつつも霧雨邸への足を急がせるアリス。言葉の割に顔に苛立ちが表れていないのはおおよそ一ヶ月ぶりに魔理沙と会うからだ。あの洋食屋でランチを一緒にしてからアリスは珍しいことに魔理沙にまったく出会っていなかったのだ。いつもなら放って置いても魔理沙はアリスを訪ねてきたりしていたのに。

「家に着いたらその事もしっかり訪ねないと」

 とっちめてやるんだから、と憤っているような台詞。けれど、顔には笑顔が。

 魔理沙の家の前まで来たアリスは身だしなみを調えると玄関の戸を軽く二、三度ノックした。どたどたと慌ただしい足音が聞こえ、

「よぉ、来てくれたか」

 魔理沙が戸を開けて現れた。こんにちわ、と挨拶するアリス。

「ささ、上がってくれ。開けっ放しは寒いからな」
「お邪魔するわ」

 魔理沙に促され家の中へ。

「……?」

 何度も訪れたことのある魔理沙の家だったが、アリスはブーツを脱いだ時、僅かに違和感を覚えた。どことなく空気が滞っているような。傘立ても靴箱も花瓶もすべてアリスの記憶の通りの場所にあり、廊下のくすんだ輝きにも覚えがあるのに何処かしら不可思議な雰囲気を覚える。その違和感の正体を確かめるためか、アリスは靴を脱いだ姿勢のままぼぅっとしていた。
 と、

「どうしたんだぜ」

 不思議がられたのか魔理沙に声をかけられた。ううん、なんでもないと魔理沙の方に眼を向けるアリス。そこでアリスは先に行く魔理沙の歩き方がおかしい事に気がついた。妙にびっこを引いて歩いているのだ。

「足、どうしたの?」
「ああ、実験でちょっと」

 簡素に応える魔理沙。まるで、その話はしないでくれと暗に言っているように。アリスの中の違和感が増した。

「実験ね。このところ、顔を見せなかったのもその実験とやらのせい?」
「まぁ、な。ちょっと、キノコを栽培してて」
「キノコね」

 また魔理沙のキノコ講義が始まるかとアリスはやれやれと肩をすくめたがそんなことはなかった。魔理沙は黙したまま先に行く。
 元気が無いのだろうか。そういえば心なしか魔理沙の顔はやつれて見える。その実験とやらに精を出しすぎたのか。これは元気づけてあげないと、とアリスは考え、そこで思考を中断させられた。霧雨邸の違和感、その原因の一つに思い当たったからである。

「ペットでも飼い始めたの?」

 くんくん、と鼻をひくつかせるアリス。そう、なにかがおかしいと思ったら魔理沙の家の臭いが以前とは違っていたのだ。獣臭い臭い。悪臭、と言っても過言ではない臭いだったが、あえてアリスはオブラートに包んで質問した。

「いや…アレも実験で…」

 言葉を区切り魔理沙は答えにくそうにしていた。元気がないのはその実験がうまくいっていないからなのかな、とアリスは漠然と考える。

「ねぇ、何の実験してるの? 動物使うってことは結構、難しそうな実験だと思うけど」
「ああ、まぁな。なかなかうまくいかなくて。あの味が再現できないんだ」
「味? まぁ、いいけど…」

 そこでアリスは一旦言葉を区切った。

「ねぇ、その実験の内容を教えてくれるのなら手伝ってあげてもいいわよ。私も魔法使いの端くれだし、なにかの力になれると思うの」

 それは打算的な提案だった。実のところキノコ栽培と動物実験がどうつながるのかアリスにはてんで考えが及ばなかったし、そのどちらもが門外漢だ。だからどちらかと言えばこの提案は魔理沙を手助けしてあわよくば…そういう考えだった。

「本当か!? いや、それは助かる。どうしても、自分一人だと育てるのに無理があったんだ」

 アリスの提案に急に元気ずく魔理沙。よかったよかった、としきりに頷き沈んでいた気分を浮上させる。よし、と心のなかでアリスがこぶしを握りしめたのは言うまでもない。

「それで一体、どういう実験をしてるの?」
「ああ、それがな新種のキノコを見つけて、それを栽培してるんだが…」

 魔理沙の話を聞きながら部屋に通されるアリス。その部屋は魔理沙の工房になっている場所だ。重い木の扉を開けると中から獣臭さと腐敗臭が入り交じったものが漂ってきた。アリスはその臭いに一瞬顔をしかめ、そうして…部屋の中に置かれていたものを目にして言葉を失った。

「えっ…何これ…」

 そこに置いてあったのは牢獄のようなケージに入れられた狸や狐、鼠といった小動物だった。動物を使った実験、と聞いていたからこの場面を想像していないわけではなかった。アリスが言葉を失ったのは檻に沢山の動物が入れられていたからでも、その動物たちの大半が死に、かろうじて息をしているものの弱々しく体を上下させているからではなかった。その動物たちの体から大小様々なキノコがにょきりと頭を出していたからである。
 ピンク色をした腫瘍のようにも見えるキノコ。動物と菌糸類の混合するおぞましい風景にアリスは言葉を失ったのだ。

「ま、魔理沙…?」
「この前さ、ほら、腕が痒いって言ってたじゃん」

 一体なんなのか、訪ねようとしたアリスに魔理沙が後ろから抱きついてきた。悪夢のような光景と突然の抱擁にアリスは混乱する。

「あの後、酷い痛みに襲われてさ。のたうち回ってたらあの狸みたいな感じに私の手からキノコが生えてきたんだ」

 動物や人に寄生する新種のキノコらしい、とアリスに抱きついたまま説明する魔理沙。その腕には力が込められアリスを逃さまいとしてかしっかりと腰を押さえつけている。もっとも半ば放心状態のアリスは逃げようなんて考えさえもいだいていないのだが。

「でさ、生えてきたキノコは簡単にとれたんだが、私もキノコマニアとしてはその人体から生える菌についても詳しく調べなきゃいけないと思ってな」

 魔理沙の言葉を黙って聴き続けるアリス。といっても混乱しているがゆえ、勝手に耳に入ってきている言葉を何とか解釈しようとしている程度だが。

 「標本にするとか組織を調べるとか、まぁ、色々あるんだが、ナニワトモアレ食べてみることにしたんだ」

 だんだんと落ち着いてきたのか、アリスは魔理沙がしていることを理解し始めた。食すのはどうかとは思ったが。

「な、なるほど、それでああやって動物で育ててるのね。うん、人や動物に生えるキノコなんて危ないものね。できれば、絶滅させないと…」

 なんとか自分の考えをまとめて応えるアリス。と、ぎゅと自分の腰に回された魔理沙の腕に力がこもった。

「何いってんだよアリス。あんなうまいキノコを絶滅させるなんて。養殖していつでも好きなだけ食べれるよう、そう考えてるんだよ私は」
「えっ…」

 揺るぎのない、けれど何処か狂っているような気がしてならない魔理沙の言葉にアリスは息を飲んだ。落ち着き始めていた心はまたも混乱し始める。ただし、今度のそれは理解不能が故の混乱ではない。どこか、直接、アリス自身に関係するような恐怖を抱いたのだ。

「でも、駄目だ。どうしても、人で育てないとあの味が出ないんだ。狸で育てても狐で育てても。猿でやったときは近かった。でも、あの味を一度、口にしていたらまがい物じゃとても足りない。試しに自分の足に種菌を植えて育ててみたんだがこれは成功だった。前に食べたものと同じ、美味しい味がしたんだ。本当に、本当に美味しかった」
「………」

 びっこを引いていたのはそれが理由か、とアリスは生唾を飲み込む。いくらおいしいキノコが食べたいからって自分の体にキノコを植えつけるなんて。

「あの味は多分、人の体で育てなきゃでない味なんだろうな。うんうん。お前も食べてみればきっと気にいるとおもうぜ。世の中にあんな美味いキノコがあったなんて信じられないくらいだ。香りマッタケ味しめじなんていうけれど、もはやその言葉は古いぜ。これからはあのキノコがそこに収まる」

 否、違う。人の体から生えてくるという不気味さ、自分の体を苗床にする狂気を差入引いても十分だと思えるほどの美味さがそのキノコにはあったのだ。声高らかに語る魔理沙の言葉にはその熱が確かにこもっていた。魔理沙、とアリスは逃さまいと腰にしがみついているキノコ狂いの魔法使いの名を呟くが拘束は解けなかった。

「ああ、でも、やっぱり、自分の体を苗床にし続けるってのは無理がある。三つぐらい足で育ててみたんだが、酷い熱と体調不良に襲われてな。あれは苗床にしている人を介護する人がいるぜ。ああ、だから、アリスの提案はホント、助かる。二人がかりならなんとでも出来るからな」
「えっと…つまり、二人でキノコの栽培をしよう、って話?」

 恐る恐るアリスは魔理沙に訪ねてみた。答えは…

「ああ、そうだぜ。アリス、苗床になってくれよ」

 途端、逃げ出そうともがくアリス。だが、遅かった。いつの間に用意していたのだろう。魔理沙はスパーッアと呼ばれる眠り茸の胞子をまぶしたハンカチをアリスの口元へ押し当てた。
 一瞬で糸が切れたように体の力を失い膝から折れるアリス。その体を魔理沙は大事そうに抱きとめた。

「まぁ、安心しろ。アリスにも食べさせてやるからな。ほ、本当に美味いんだからあのキノコは…」

 じゅるり、とあの味を思い出し零れてきた涎をすする魔理沙。今の魔理沙にはもう、眠りに落ちようとしているアリスが一個の大きなキノコにしか見えていなかった。









 熱したフライパンにバターを一欠片、落とす。じゅうぅと音を立てバターが溶け始めたのを見計らって包丁の背で潰したニンニクを一欠片入れる。フライパンをぐるぐると火の上で回すといい香りが厨房に漂い始めた。タイミングを見計らってそこへ一口サイズに切ったあのキノコを入れる。バターを焦がさないよう気をつけながらキノコをソテー。仕上げに白ワインをふりかけ、ピンクペッパーをまぶし蓋をして僅かに蒸し焼きにすれば完成だ。出来上がったキノコのソテーをお皿に移し今日の昼食が出来上がった。

 メニューはキノコご飯にきのこのスープ、きのこのナムルにきのこサラダ。そして、今出来上がったばかりのキノコのソテーだ。
 コップに冷たい水を注ぎ、椅子に腰掛けいただきますと手を合わせる。

「美味い。美味すぎる…っ!!」

 一口だけスープを飲んで、出来上がったばかりの湯気が立ち上っているソテーを口にし顔をほころばせる魔理沙。その面持ちは観音か或いは白痴か。魔理沙はまるで飢えた子供のようにせわしなく箸を動かしてはきのこご飯を、ナムルをサラダをソテーをむしゃむしゃと勢いよく食べはじめた。けれど、お腹がすき過ぎて兎に角胃に入れようという食べ方でもなかった。しっかりと上下の顎を動かし、きのこの食感を味わいながらその味に舌鼓を打っている。気がつけばあまりの美味さに魔理沙は涙を流していた。一口食べることに顔には幸福が広がり、噛み締める度に恍惚と笑みを浮かべている。山海の珍味を一級の料理人が趣を凝らして調理したものを食べたところでこの顔にはならないだろう。

 その味は形容できない。否、してはいけない味だ。

 甘味辛味酸味苦味旨味、その五つを超えた味が舌から伝わりそうして全身を襲ってくるのだ。それは味覚だけに飽き足らず触覚や視覚、聴覚を犯す。通常の五感のみを覚える人には過ぎたる味だ。故にキノコを食べる魔理沙の顔は天上に住まうもののソレに見ゆるのも無理はない。地上にはない幸福。それをこのキノコを食べる事によって味わえるのだ。
 その幸福感は容易く既存の価値観を破壊し、倫理をねじ曲げ、理性をつぶし、物事の優先順位をいっぺんに塗り替えてしまうだろう。まるで麻薬。いや、副作用がないだけある意味で更にたちが悪い。
 そんな事なぞまるでお構いなしに魔理沙はキノコ料理を食べ続けた。その様子はある種の浅ましささえ覚えさせられる。キノコの繊維の一本、その味が染み出た油の一滴までも食い残さないよう、皿を舐めるまでしている。どんなに飢えた餓鬼でもここまではしないだろう。
 天上の住人と言ったがこの魔理沙の光景を見れば或いはあのキノコは悪魔の誘惑じみた何かなのかもしれなかった。

「ふぃー、ごちそうさま」

 お腹いっぱいにあのキノコを使った料理を食べ終える魔理沙。食事時間はゆうに一時間を超えていたが幸福感からか魔理沙にはあっという間の出来事に感じられた。

「さて…」

 使い終わったお皿でも洗うのかと立ち上がった魔理沙だったがどうやら違うようだ。よく見れば料理はもう一人分、用意されている。それも食べやすいよう食材は細かくカットされている。それらの料理をお盆に乗せると魔理沙はキッチンを後にした。向かう先は自分の工房、兼…

「アリス、お待たせ」

 キノコの養殖場だ。
 扉を明けた先からはまたも酷い匂いが漂ってきた。けれど、今回は獣臭さやその死骸の臭いではない。汗と糞尿、浮浪者の臭いににた人の体臭だ。部屋にはソレと唸るような声とじゃらりという重い鎖を揺らす音が聞こえた。

 すっかり色々なものを片付け広々としている工房の壁際にアリスはいた。汚く汚れた布団の上、足を投げ出すような格好で、両手を掲げるよう鉄の鎖で壁に拘束されながら。その口には金属で出来た口枷もはめられている。開けっ放しの口からはだらだらと涎が流れだしていたが、アリスにそれを気にする余裕はなさそうだった。
 薄汚れた体はやせ細り、身につけているものはかつてはブラジャーだったであろう汚い布地一枚だけだ。冬の陽光のような薄く細い金髪も今は観る影もなく縮れ伸びている。アンダーヘアーも手入れもされず伸びきりひどい悪臭を放っていた。だが、恐ろしいのはその汚れた体ではなかった。

「よう」
「アーーーー」

 近づいてきた魔理沙に反応してあげたアリスの顔には一本、親指よりもなお太いキノコが左の頬から伸びていた。
 いや、顔だけではない。体の随所からあのおぞましいピンク色をし紅の筋を走らせるキノコが生えているのだ。腕や肩、無造作に投げだれた足、お腹、胸。ありとあらゆる場所からキノコは伸びている。キノコが生えてきたせいでできた傷口からは血とリンパ液がどろりと溢れ出しており、膿み、腐ったように爛れている患部もあった。

 魔理沙はそんなアリスに嫌な顔ひとつせず近づくと持ってきたお盆を一旦、傍らに置きアリスの顔の方へと手を伸ばした。その間、アリスは魔理沙の方ではなくじっと料理のほうに視線を向けていた。

「よしよし、じっとしていろよ。今外してやるから。本当とこんなの付けてやりたくないんだがな…お前がせっかく育ってきたキノコ、生のまま食べちまうからいけないんだぞ」

 そう言いながらアリスの顔から口枷を外す魔理沙。口枷を外されたアリスはパクパクと口を動かすが言葉を発していない。まるで言葉なんてものはとうに忘れてしまったような反応だ。

「ほら、あーん」

 そうして拘束を解いた魔理沙はお皿を手に箸でキノコソテーをつまみ上げるとアリスの口のところへ持っていったやった。飢えた犬のように箸まで噛み付くような勢いでソテーを食べるアリス。それまで死んでいたような表情に薄ら寒ささえ覚えるほどの幸福そうな表情が浮かんでくる。

「おいしいだろう。なんってったってお前の体で育てたキノコだからな。美味しいに決まっている」

 魔理沙の言葉なんて聞かずもっと食べさせてと声にならない声を上げるアリス。急かすなよ、と言いながら魔理沙は介護するようアリスの口へキノコを運んであげた。それを幸せそうに噛み締めて食べるアリス。

 その味は恐らく真に美味いと言えるものなのだろう。
 友人を犠牲にし、道徳なんてものも投げ捨て、自ら苗床になってただキノコに栄養をとられるだけの家畜のような存在に成り下がったとしても、決して辞められぬ味なのだろう。
 それは魔理沙の、そしてアリスの幸せそうな顔を見ればわかる。

 このキノコは、本当に、本当に、美味しいキノコなんだろう。









「………でも、そろそろアリスの体も限界っぽいな。うーん、適当にまた誰かに苗床になってもらうか。パチュリーか霊夢あたりかな」




END
たまにはアリマリちゅっちゅ物とか書きたいな…(迫真
sako
http://www.pixiv.net/member.php?id=2347888
作品情報
作品集:
22
投稿日時:
2010/12/19 04:15:54
更新日時:
2010/12/19 13:15:54
分類
魔理沙
アリス
苗床化
キノコ
1. 名無し ■2010/12/19 14:15:13
昔「マタンゴ」という映画があってだな…
2. 名無し ■2010/12/19 14:29:23
すげえ
聴覚すら犯す、か

料理の説明が上手すぎて涎が出てきたぜ
そして狂いだす魔理沙、細かな描写、素晴らしすぎる

痛みに関しては菌だけどたぶんゆうかりんなら少しはなんとかしてくれたと思う
と、今更なことをいう
3. イル・プリンチベ ■2010/12/19 14:37:13
これはいい意味でヤバイでござる。
アリスの末路はこんな感じでいいと思います。
だって、アリスだしねぁ…
読んでるうちに脳汁がいっぱい出て、本当に大変でした。
我輩もこんな面白いSSを書きたいです。
4. 名無し ■2010/12/19 14:40:34
読んでて涎出そうになった。すげえ

あうあうあーなアリスかわいいよぉ…
5. NutsIn先任曹長 ■2010/12/19 15:04:15
あ…、ああ、なんと素晴らしい!!
やはり、魔理沙は冷静な思考を保ったまま狂気に堕ちるのが良い!!

もし、あの時永琳がいたらどうなっていただろうか。魔理沙から摘出したブツを見て…。
蓬莱人だったら苗床にしても死なないからな〜。
6. 名無し ■2010/12/20 00:15:03
意外な場所で意外なものに会うもんだなと切に思う
幼少期に見てトラウマになったあのマタンゴを東方で見られるとは…
今夜眠れるかな
7. 名無し ■2010/12/20 02:20:52
これは予想外だった
魔理沙にキノコが寄生するのかと思って、食ったときには一巻の終わりだと思ったら。
まさか全然無事(?)な上にこうくるとは
しかしアリスの様子からしても本当に美味しいんだろな
倫理を壊すほどの上手さか。なんて恐ろしい
8. 名無し ■2010/12/20 07:50:01
そもそも、幻想郷でえーりんが一週間も開けた理由は何なのか?
魔理沙以外にも急患などが現れたらどう対応するようにうどんげとかに伝えていたのか。
そういったところだけが気になるおれ
9. 名無し ■2010/12/20 18:04:17
↑解答1:月
解答2:えいりんはババレンジャーというものに所属していてだな…
10. 名無し ■2010/12/20 20:44:14
ヒトニタケが幻想郷入りしていたとは・・・
オオコワイコワイ・・・
11. 名無し ■2010/12/20 23:29:01
ヒトに食べられることで繁殖するキノコなのかなとか思ったり
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