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『幻想郷を最後に見る者』 作者: ヨーグルト

幻想郷を最後に見る者

作品集: 22 投稿日時: 2010/12/27 03:09:41 更新日時: 2010/12/27 12:19:12
*ストーリーが意味不明です、注意してください。




~ 序 ~





『魔理沙!!』

『魔理沙!! 魔理沙!!』

『魔理沙………!! 魔理沙!!!』

みんなの声が私の頭の中を離れない。
どうしてこんなにも皆のことが忘れられないんだ?
いつもいつも、出会ったって、通りすがったって、他愛無い世間話をしたりふざけ合ったりしてただけじゃないか。
私にはそんなに思い出が残ってなくとも、皆の脳内にはしっかりと刻まれるとでも言うのか?

顔もルックスも普通。
容姿などでモテたりする要素など無い。
いや、そもそも人間とかはそういったことが人気の出る秘訣じゃないが。

『魔理沙………魔理沙…………!! 魔理沙……!!』

それほど私のことを強く想っていたのか?
悪いとは言わない。
だが、私の脳に声が焼き付けられるほど、私のことを…………………想ったというのか?

ったく、物好きにもほどがある。

人それぞれが話し合い、笑い合い、そして、一緒にどこかに行こうと…………………そういって付いてくるのなら、良い、むしろ嬉しい。
だが、こんなにも私に取り憑くかのように想うのはおかしいと思わないか?
迷惑と言っても良いほど……………………。














































~ 事 ~

ある日のこと。
私はいつも通りに目覚め、いつも通りのように支度し、いつも通りのようにキノコ狩りに言ったのであった。

やはりこれがいつもと変わらない…………………といったところだろうか?

それなりに変わらない日常が好きだし、異変ほどの日常変化の要素が出てきたのなら、それも楽しい。
ただ、人間関係が変わると言った所での『変化』はさほど、望むべきものではないだろう。

「魔理沙、またキノコ狩り?」

私と同じ、魔法の森に住む七色の人形遣い、アリス。
こうやって話しかけてくれることは嬉しく、寂しさがまぎれるというのもまた良い。
周りに誰もいない状態や、誰かがいても話しかけてきたりしないというのは本当に嫌だ。

「あぁ、新作の魔法が欲しくてな」
「私の魔法もそれぐらい盛大にできると良いんだけどね………やっぱり努力家の魔理沙にはかなわないわ」
「努力家とは………良い褒め言葉だ、受け取っておくぜ」
「まぁ頑張りなさいよ。 私にはキノコ集めは出来ても、盛大な魔法を作ることは出来ないもの」
「そうか」

そう言ってアリスは帰っていった。

~

キノコ狩りを初めてから大体三時間。
さすがに飽きてきたっていうか、疲れたっていうか……………………………まぁそんな感じだ。
キノコが大量に詰まった袋をよっこらせっと担ぐと、家の傍にブンッと投げた。

ここからはいつも通り、霊夢の所に行って茶を飲ませてもらう習慣だ………いや、日課だ。
いつも世話になってるから賽銭でも持っていってやるか。

あったかな?
ああ、あった、外の世界の通貨の………………云々ドルコイン。

~

日々の挨拶こそ大事である。

「よぉ霊夢」

私の中、という考えではあるが、おそらく霊夢もそんなことは望んでいないだろう。
いつもの挨拶で良い。
別に、誰かが結婚したわけでもないし、誰かがクジや福引きやらで当選したわけでも大当たりしたわけでもない。

「あら………ああ、魔理沙か。 あの変態スキマ妖怪でも来たのかと思ったわ」
「な、なんで今の挨拶でそうなるんだよ」
「いや、あの妖怪もあることで忙しいんだけど、挨拶を変えてきたのよ。 あんたと同じやつに」
「良い迷惑だ」

紫は望んでいるのか?

「忙しい?」
「ん〜、急がしいことは忙しいんだけど、今回のは勝手が違うのよね」
「?」
「何でも最近、もの凄く珍しい異変が起きているらしいのよ。 その異変が発覚したのは今日から二日前なんだけど、とある人が失踪したらしいのよ」

霊夢の話は実に興味深いものだった。

何でも二日前、どこかに住んで居る妖怪、確か、リグルという名前の。
あいつが突然失踪したらしい。
それだけじゃなく、人里の大人が二十数名と人里の子どもが十数名も失踪したらしい。

紫たちの捜査網ですら見つからなかったらしい。
足跡も無く、関係者や知ってそうな人に訊いても「何も知らない」などの証言ばかりで、証拠というものが掴めないらしい。

「それで………?」
「捜査に当たりたいのはやまやまなんだけど、見つからない以上は捜すのは面倒くさいし、何より、次の失踪者が出るかも知れないからって。 昨日も何十人か消えたのよ」
「そうか………いや、まさか、その中に私たちの知っている奴が混じっていたりしなイカ?」
「いたわよ。 貴方も知っているはずの、藍がね」

昨日未明、人里の住民数十名が失踪。
それだけにとどまらず、二日前からかけて、著名妖怪も失踪?

「あれ? 確か、私の記憶が正しければサニー・ミルクという妖精がいた気がするんだが」
「いたわね」
「確かあいつ、自分や他の人の姿を消すことが出来るはずなんだが。 失踪したように見せるんじゃないのか?」
「ああ、それね? 検討済みよ。 そいつの友達のスター・サファイアの能力を使わせてもらったけど、彼女の反応範囲に人の気配は一切無し。 紫の知る限りの幻想郷全土をまわってみても同じように反応が無し、人間一人のもね」

霊夢の話していることが本当なら、今聞いた話は全て本当になってしまう………………。

「本当なのか?」
「貴方に嘘をつく必要がある? これが本当なら、もうちょっと違う方法も使うだろうけど。 それに、貴方が自分の目で確かめれば良いんじゃない? 次の失踪者が誰かを」
「は?」
「今回の主な失踪者は人里の住民。 ここからはあまり何も感じないけど、リグルとサニー、そして藍よ? 失踪タイミングは誰にも見られない時間。 もう少し細かく言えば誰もに見られにくく、目撃されにくい時間帯。 すなわち、夜。 その中で見つかりにくい妖怪は一番にリグル。 そして、単独行動があり得なくない妖精………そして、式である妖怪、八雲藍は『八雲』の中で活動時間が一番長いといっても過言ではない妖怪。 冬はずっと起きてるし、他の人の為に休む間もなくはたらいている。 私が見たわけじゃないけれど、今までのそういったリグルやサニー、ましてや藍なんて、そうそう………私たちが見ることが出来る妖怪じゃないはずよ?」
「………判らないじゃないか? 皆がグルの可能性も」
「貴方は蚊帳の外? まぁいいわ。 とりあえず貴方も確認してご覧なさい。 次の失踪者が誰かを予想するのも面白いんじゃない? 夜になればその、サニーの説も無くなるでしょうよ」





































~ 事2 ~

夜になった。
霊夢が言うには、失踪者が出始めるのはこのタイミングらしい。
最も、目撃者でもない私が、失踪者を目撃できるのかどうかというものは本当に疑わしいような………。

事前にスターを呼び、気配を感じ取るように頼んでおいた。
しかし今のところ、怪しい動きをする奴は一人もいないらしい。

「………」

そもそも、霊夢の言っていたことが本当なのかどうかも問題になってくる。
千歩譲って本当だったとしても、その失踪者は、どうやって失踪するのか、という問題が残る。
自ら歩いて消えるのか、それとも、特定の時間になったら瞬間的に消えるのか。

本当ならば、今日消えるのも人目につきにくい人が消えることになるんだどう。
リグルとかは消えてもおかしくないのだろうか? 藍はむしろ、消えない方に属しているのではないか?

「サニーは………消えたその日、一人でどこかでかけてたんじゃないかと」
「?」
「私たち………いえ、ルナも直接スターを見たわけじゃないの………だから、出かけたって理由をつけた方が良いの」
「………」

それならば納得はできるが、問題はその後だ。
どうして、消えていかなくてはならないのか。

人目につきにくい?

「おい、スター。 もしかしたら、チルノ達は見かけていないのか?」
「この二日間は見かけてないけど………ルナは一緒にいたから………」

『当日』の失踪者?
ということは………失踪者が出るのは日付が入れ替わる頃?
月の位置じゃ細かい時間を特定できない………こーりんから貰った時計を見るか。

「今は十一時五十七分………あと三分か」
「それが?」
「いやほら昔、日付が入れ替わる十二時って、妖怪が大行進したりするっていう言い伝えっぽいのがあったろ?」
「それとは関係ないと思うけど」
「当日の失踪者ってことは………日が昇り始める前までの………夜の時間帯なんじゃ?」
「はぁ………」
「日付が入れ替わる頃………人目につきにくい人から消えていく………」
「!!」

スターは走り出す。
私の発言が長過ぎたせいもあるだろう。
今回の異変が本当ならば………ルナ・チャイルドは消えてもおかしくない。
日付が入れ替わる前に見ておかなくてはならないだろう。

私も消えたくないから、スターの後に付いて行く。

~

「ルナ!! ルナ!?」
「………ぁ、いたか?」
「いない………もう…………いなくなってる!!」
「遅かったか………」

時計は十二時一分……………この異変が真実ならば、もう完全にルナはいない。
となると………チルノも、大妖精もいないことになる。
ザコ妖怪などから言えば、ミスティアはこの中で一番失踪率が低い。
屋台を開いていたらの話だが。

「お前………?」
「ルナは完全にいない………ベッドに入っていた形跡は残ってる、けど、家から出た形跡はない! 服が全着残ってるもの!!」
「非の打ち所無しか………間違えた、ぬかりはないってか? 証拠が一つとして押さえられないな」
「………」

他にも確認することはあるな。

「ちょっと付いて来い。 他にも失踪者がいるかも知れん」
「え、うん」

~

「………」
「確かこの辺………チルノちゃんの家」

氷で出来たドーム状の何か。
中には誰もいない。

「私が間違っていなければ、チルノちゃんは真夜中に出かけたりしません」
「?」
「それだけじゃなく、気配も感じられません。 半径八百メートル以内には」
「それが本当なら………やはり、失踪者の話は本当になる………あながち噓でもないか」

次はミスティアの方も………。

「やっぱりね?」

この声は霊夢か………。
ん?
霊夢の横にはこじんまりと………大妖精がいる。

「あなたも失踪者を確認しにきたのかしら?」
「ああその通りだ、全くだ。 霊夢の言ってたことは非の打ち所の無い完全な真実だ」
「で、そっちで確認できたのは?」

霊夢?

「今ここにいないチルノ、こいつの友達のルナ、今の所はそんな感じだ。 あとは、ミスティアとかも確認しておこうと思ったんだが」
「ああ、それなら私たちの方もよ」

~

いい匂いがする。
顔をしっかりと前に向ると、その先に弱々しい光が見える。

「あれがそうだよな?」
「ええ間違いないでしょうね………お客さんはいないからおそらく」

ここもかよ………。
本当に失踪者が出てるのか?

「この辺には?」
「人らしい人の気配はしない………ミスティアちゃんもこの近くにはいないと思う」
「………こう来ると………チルノはいなくて当然とも思えてくるが………何より、こーりんもいないことに?」
「り、霖之助さんが?! やっぱりか………若干怪しいとは思ってたけど………」

日付が入れ替わるちょうどに、誰かに姿を見られていれば良いのか?
だとしても、見られていた側は良いとして、見ていた側も誰かに見られていないと行けないのか?

「れ、霊夢………文を使うか?」
「無理ね………おそらく。 あいつも夜は飛び回るタイプじゃないと思うから………飛び回っていたとしても、誰かに見られていたというのはあり得ないでしょう」
「………あとははたてだけか?」
「確実じゃないけど、文がいないならはたてもいないと考えるのが良いわね。 とりあえず、日の出時刻に神社に再集合よ」
「「「了解」」」






























~ 事3 ~

日が出始めること、幻想郷はほのかな光に包まれ、これはまた幻想的とも言えるもの。
そんな頃に神社に集合するのだが。

「来たわね」

大妖精とスターはもう完全に眠っている。
二人で寄り添うようにして、鳥居にもたれかかっている。

「起こさないで良いわね」
「ああ」
「とりあえず、今日は文とはたての所に訪問しとくわね。 この様子だと、妖怪の山の所も危ないから」
「早苗が動いているかどうかじゃなイカ?」
「うん」

~

文の家(?)
日の出だから………というわけでは無いと思うが、完全に静まり返っている。
この時間帯ともなると、偵察の天狗が飛んでいたり、取材用の天狗が飛んでいたりするのだが、その姿が確認できない。

文は起きていて、既に飛んでいてもおかしくないが、私たちを見つけたならすぐに来るはずだ。
ただ単にすれ違ってすらいないというのもあり得るが。

「入るわよ」
「もう入ってるじゃないか」

文の家の中はかたずいてはいるものの、机の上には取材道具が散乱している。
ベッドは………!?

「人一人分の空間があるわね」
「今日までは寝ていた?!」
「だとすると………」

机の上にはカメラと取材用のバッグ。
出かけてはいない?
靴はある………しかし、文はこの家の中にはいない?

「文も失踪したと考えるのが良いかしら、スター?」
「妖怪の山とその周辺の領域ですが、天狗の気配が確認できません。 厳密に言えば、集団の天狗以外の気配は………」
「文はその中に混じっていなさそうね………どのくらい?」
「集団と言っても………大きい存在の天狗が一名と………それ以外の同じような天狗が四名ぐらい」
「………靴とカメラとバッグはあるもんね、服も壁にかけてあるし………文は失踪したと見て間違いない………か」
「………」

「ああ、博麗の巫女さん!!」

「?」

あまり聞いたこと無い声だな。
男の声っぽかったが。

「あなたは、偵察天狗の一員かしら?」
「そうです。 あ、それに、魔法使いさんと妖精さん二名ですか。 良かったです」
「どうかしたの?」
「はい。 実は、文さんとはたてさんの姿が見当たらないのですが」
「奇遇ね。 私たちは夜明け前から失踪者探しをしてたのだけれど、文もその中に入ったのかしら?」
「いないですか」
「部屋の状況を見る限りは。 はたても同様に、カメラ、バッグ、服も家の中に?」
「そうです。 家から出た形跡はないのに、そういった取材道具一式は全て残っているのです」れいむさんじゃn「やっぱりか………これで、情報流すのにも一苦労………この様子だと、慧音もいないことになっちゃうわよ」
「!」
「これで、残ってる人も少ないわね………面倒くさいわ」

~

人里。
私はどうも好きになれない空気はあるのだが、異変捜査の為なら来ても良いだろう。
通りはほぼ一本道なのだが、やはり、人が少ないな。

霊夢と、妖怪の山の天狗やらが来たせいなのか、人里の人たちがこっちをじろじろと見ている。

そのうちの一人がこっちに駆け寄ってくる。

「………」

阿求か。

「霊夢さんじゃないですか」
「ああ、阿求、久しぶりね」
「何か用でしょうか? やっぱり今の異変のことでしょうか?」
「察しがいいのね………そこで質問なんだけど、慧音は今、いるかしら?」

霊夢………単刀直入すぎるが大丈夫か?

「いません………自宅にも寺子屋にも………おかげで、今の寺子屋の授業及び、関連のことは完全に手詰まりです」
「………」

霊夢の読みは完全に当たっている?

「慧音は日付が入れ替わる頃、何をしていたか知ってる?」
「知りませんが………寝ていたのではないでしょうか………寺子屋には夜勤なんてありませんし」
「………慧音と一緒に住んで居る人、もしくは、そのころだけ一緒にいた人は?」
「いないと思います………人里の住民と子どもたちに聞いてまわりましたが、慧音さんを目撃した人は深夜頃にはいませんでした」

慧音も消えた。
このままでは………幻想郷の人たちが全て消えてしまう?

「………このまま幻想郷中の人が消えていけば、幻想郷は絶対に終わるわね」
「ええ、霊夢さん、最後に残る疑問というのももう判っているのでしょう?」
「もちろんじゃない」

~

「………」

最後に残る疑問?
こんなに人が消えているのだから、今思うことは………次の失踪者のことなんじゃ。

「魔理沙も気づいてると思ったんだけどなぁ」
「?」
「最後に残る疑問って言うのは、この幻想郷を最後に見る者は誰かって言うことよ。 幻想郷の人が順々に消えていくのならば、最後まで消されなかった人がいるはずだもの」
「………」
「最後に残る可能性が高いのは紫、そう見て間違いもないはず」
「じゃあ紫が犯人かよ」
「そうとは言っていない………紫なら慧音達まで消さないと思うし、消すとしても最後の方に消えると思ってたのよ」































~ 事4 ~

最初の失踪事件から数日後。
幻想郷の住民は着々と減ったいった。

三日目:ルナ・チャイルド、チルノ、ミスティア・ローレライ、射命丸文、姫海棠 はたて、上白沢慧音、アリス・マーガトロイド、
    レミリア・スカーレット、フランドール・スカーレット、紅美鈴、紅魔館の妖精メイド九割。、森近霖之助、ルーミア、メディスン・メランコリー。
    他、幻想郷の住民数十名。

四日目:河城にとり、鍵山雛、魂魄妖夢、リリーホワイト、蓬莱山輝夜、八意永琳、風見幽香、小野塚小町、水橋パルスィ、星熊勇儀、
    聖白蓮、封獣ぬえ、多々良小傘、雲居一輪、雲山、稗田阿求、茨華仙。
    他、幻想郷の住民数十名。

五日目:犬走椛、永江衣玖、洩矢諏訪子、火焔猫燐、古明地さとり、キスメ、村紗水蜜、寅丸星、西行寺幽々子、ルナサ・プリズムリバー、リリカ・プリズムリバー、
    東風谷早苗、十六咲夜、パチュリー・ノーレッジ、他のザコ共。
    他、幻想郷の住民数十名と紅魔館の妖精メイド全員。

こんなところなのだが、一つ引っかかる所がある。
幻想郷全般だけでなく、冥界や彼岸にも影響があるようなのだ。

六日目:四季映姫、メルラン・プリズムリバー、魂魄妖忌、伊吹萃香、因幡 てゐ、鈴仙・優曇華院・イナバ、藤原妹紅、小悪魔。
    他、幻想郷の住民数十名(現時点で、確認できる人里の住民はゼロ)。

~

もう何が何だか判らない。
一週間のうちに、何人もの人が消えていき、知っている人はどんどん姿を消していった。
こんなにも酷いことって何だよ………誰が何をどうしたらこんなことになるんだ………。

霊夢は霊夢でなんかくつろいでる。
今まで一緒にいる大妖精とスターはまだ大丈夫なようだし、これはこれで良いのかも知れないが。
最後は私たちか。
逃れられぬ運命とはこのことなのか………。

「あ、霊夢さん」

大妖精が霊夢の名前を呼んだ。
こんな名前ももう少しで消えてしまうかも知れない。

霊夢はさっきまでどこかに出かけていたようだ。

「ええ、ちょっとタイムカプセル的なものを」
「?」
「最後まで生き残った人か、あるいは、外の世界から来た人が見てくれたら良いものよ。 私たちの代わりにこの謎を解けってね。 魔法の森の、大木の根元よ」
「………」

霊夢もどうやら生き残る自信は無いようだ。



七日目:大妖精。



「………」

これで、残る妖精はスターだけか。
今、私たちが確認できる人物は、私、霊夢、スターと言った所だろう。
他に生きている人を捜す気力なんて、もう、ひとかけらも残っていない。

そもそも、大妖精はどかにフラっと行ってしまったせいで、私たちが捜す余裕が無かった。
いつどこに行ったのかが判らなかったせいで、消えてしまったのである。

「これで? チェックメイトか、霊夢?」
「ええそうね、あとは、明日にこの三人のうち誰が消えるかが鍵なのかしら?」
「あとは、消えた人たちを私たちの目で確認できるかどうかだな」

~

夜。
もうそろそろ日付が入れ替わる。
もうこんなのはいやだ………皆をもとのように戻してほしい………幻想郷からどんどん、人やら妖怪やらを消していく輩は誰だ。

今は神社に霊夢と私の二人だけであった。
スターは、家に戻ってお菓子を取ってくるとのことだった。

今は後悔している。
何故、私たちのどちらかか、または、私たちが付いて行かなかったのか。
ある意味見殺し。



八日目:スター・サファイア、博麗霊夢。







~

霊夢は消えた。
スターが消えた当日、日付が入れ替わる直前、茶の葉を取り替えるということで台所に向かった。
茶を持ってきた霊夢に気づかず、私はずっと外を見ていた。

音に気づいたのはその時。

ゴトッという音がした。
私が何事かと振り返ると、床には湯のみが三つとおぼんが一枚。

それっきりだった。

霊夢は姿を現さず、気配すらも感じさせてくれなかった。
何だよ………私だけ置いてきぼりかよ。

あとは、紫だけか?
紫が生きているのなら、もう一人生きているのかも知れないな。

~

時間は午後の三時。
重たい足を持ち上げて、箒にまたがり、出かけることにした。
どうせもう長くない人生なのだから、最後に何かやっておきたいものだ。

紫の家にでも行くか。

~

「紫ー、いるかー」

シーン。

「おーい、ババァ、ババァ!! 幻想郷一の年増野郎!!」

シーン。
返事が無い、ただの屍のようだ。

こんなに呼びかけても飛んでくるどころか、反応すらしないとは………消えたな。

ガラッ。

玄関に勝手に入ってみたが、靴が二足ある。
おそらく、橙と紫のものだ。

何度もババァババァと叫んでみたが反応がなかった。

~

これで、幻想郷最後の生き残りはこの私か?
ふざけんじゃねぇよ。

れいむにしろよ。

なぜれいむにしなかったんだよ。

レイムガコノゲンソウキョウデイチバンタイセツナニンゲンダロウガ。

「?」

最後に思い出した。
霊夢がどこかに埋めたというタイムカプセル的なもの。

私にはもう、謎を解く気力なんて無い。

でも、私はこの異変を、誰かに伝えることは出来るはず!!

~

「はぁっ!! ………ぁ、くそっ!! ………これか」

魔法の森の深部。
私も知っている、最も魔力が強い大木………。
この根元に…………。

あった、一部だけ盛り上がっている………。

「ここにか」

道具など使わず、自分の腕だけで地面を掘り進める。
他には誰もいないんだ、人目を気にせずに地面を掘れる。

腕はドロだらけで、手の平はかすり傷だらけ。
そんなことは気にしない。

日付が入れ替わる前には掘り当てられそうだ。



現在、午後十時五十五分。





























~ 事件5 ~

「やったぞ!!」

霊夢が地面に埋めたというもの。
黒い箱に包まれている………。

しかし、この箱をどうすれば良いのかを、全く持って考えていなかった。

外の世界からの流れ者?
無理だろう。

いや待て。



月の民………。



駄目だ。
ロケットがあるわけじゃないし、紫がいるわけでもない。

そこで最後の手段。

私も魔法を持ってして、月面都市にこの箱を届ける。
確率は百%じゃない。
軌道がずれれば月には届かない。
その策には、考え済みで、月の羽衣の切れ端を張っておけば良い。

完璧。

「あぁ、誰かこの謎を解いてくれよ?」

箱を月に向けて突き出し、魔力を込めて空に飛ばす。

「月まで届けえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!」


















































某月某日未明。
月面都市に謎の飛来物。

月の民の一人がこれを、綿月姉妹に届け、幻想郷出の異変が発覚。
月の民、地上に降り、これを調査。
日付が入れ替わる前に毎度月に戻る。

今でもこの謎は解かれていない。

幻想郷の賢者である八雲紫の姿は見当たらず、気配も感じられず。

調査を進めるにつれ一つだけ判明したのが、魔法の森の深部、そこに遺留品と思われるものが落ちていた。








魔法使いの帽子であった。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
死手帳の最終回の前にこんな作品もどうかと。
ふと思いついたので書かせていただきました。
新しい条例のせいで、この幻想もこんな感じで消えていくのでは、
と、おもうとゾッとしますね。
知らない間に好きだったものや人が消えていく………。
そう言う意味では、このSSのようには消えていかないと思いますが。

文章とストーリー構成が適当でしたが、本当にすいません。
しっかりと考えるべきでしたね。
ありろあらゆる指摘をお待ちしております。
ヨーグルト
作品情報
作品集:
22
投稿日時:
2010/12/27 03:09:41
更新日時:
2010/12/27 12:19:12
分類
幻想郷
1. sako ■2010/12/27 13:56:07
あえて集団失踪の理由原因そのヒントすら描かず出来事と狼狽えるマリサだけを書いているのが上手いですね。
徐々に消えていく幻想郷の住人たち。多くのものが戸惑いつつも何処か霊夢の様に諦めている感があるのは滅びを悟っているからなのか。最後の最後で抗うマリサが実に、らしい。冷たい炭酸水を飲んだような読後感のあるいい終末ものの短編じゃなイカ。
2. n ■2010/12/27 14:18:49
そして誰もいなくなった。
3. 名無し ■2010/12/27 15:36:56
続く
4. 名無し ■2010/12/27 17:59:06
ふむ、今までの氏の作品で一番良かったんじゃないか?
ちゃんとまとまりもあるし、安易なクロスでもないし
まさしく終末だったな
原因もとかは完全に謎扱いだが、だが、それがいい
全ては消えても余韻は残る
5. NutsIn先任曹長 ■2010/12/27 22:32:59
これは事件でも異変でもない。
単なる事象である。

この物語は謎解きではない。
いつもと少し違う日常を送った普通の魔法使いの記録である。

良かったよ〜!! こりゃ面白いSSだ!!
6. ヨーグルト ■2010/12/27 23:27:33
>sako様
裏を返す→意味がない。
→単にそう考えた方が○

>n様
一人ぐらいはそうくると思っていましたよ^^

>3の人(様)
魔理沙「どうするの? どうするの?! 私!?」

>4の人(様)
ある意味ネタで書いたから、真実は考えていません;^^

>先任曹長様
ならいいのですが。
気が向いたら続編は出すかも。

ごもっともです。
7. 名無し ■2010/12/28 03:32:53
月の民
こんなん調査しないわけにはいかないよねw
乙です
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