超無縁塚 第一話

作品集: 23 投稿日時: 2011/01/15 13:22:48 更新日時: 2011/01/15 13:22:48
香霖堂が建てられて、まだ三日目の時

一人の少年と、一人の少女が、幻想郷の外の世界であふれるゴミ

ゴミが大量に埋め尽くされている無縁塚に二人で

すやすやと眠る赤ん坊を抱えながら立ちつくしていた

少女は、その赤ん坊の顔をじっと見つめながら、悲しい顔で赤ん坊の頬を撫でた

それを見た少年は、少女の頭を撫でて呟いた

『しょうがないよ。』

少女は、ただ無言で頷き、俯くだけだった

『僕たちには育てられない』

少年がそう言った瞬間、少女は涙を流した

そして、赤ん坊をゴミの山の上に乗せ、静かに赤ん坊から離れた

『不幸と感じる前に、妖怪が食べてしまうさ。』

少年は少女の手を握り、静かに、次第に早く走って行った。


無縁塚には、ゴミの山にはふさわしくない、美しい赤子が一際輝いて安らかに眠っていた












『香霖!!もっと早く歩け!!』

僕は今から、無縁塚に行き、いつも通りに珍しい商品を持って帰ろうとしていたのだが

無縁塚へ行く準備中に魔理沙と霊夢と、ついでに早苗とアリスに見つかってしまい、

僕単独で行こうと思っていた商品集めが、いつの間にか単独では無くなってしまった

一人で楽しむはずだった無縁塚旅行が、

二人の人間と、もう一人の人間と魔法使いのせいでほとんど台無しとなってしまった。

とりあえず、草薙の剣を隠し持っている事は黙っておこう

『てっ………店主さんに連れていって貰ってるんですから、そんな言い方は駄目ですよ。』

『でも、こいつ歩くの遅すぎ』

僕はわざとバツ悪そうな顔して魔理沙に睨みつけた

はいはい、すみませんでしたよーだ という顔をした魔理沙は、そっぽを向いてしまった

『魔理沙はともかく、なんで霊夢までついて来るんだ?無縁塚は面倒事が多いんだぞ?』

遠回しに『帰れ』と言ってるのだが、霊夢はまったく効かない様で

『霖之助さんはここらの妖怪に襲われないんでしょ?なら私たちだって結構楽に無縁塚に来れるじゃない。結構私達には都合の良い事なのよ』

と返してきた

僕は虫よけスプレーか何かか

『アリスは、無縁塚に行く理由はあるのかい?』

アリスは、早歩きで僕の隣まで進んで来た

『どうせ、帰って来るまで商品が買えないんでしょ。その間暇だから単なる暇つぶしよ』

『おいアリス、土が脚にかかってるぜ』

アリスは、踏む力と蹴る力を強くして前に進んでいた。

その反動で土が後ろに飛び、魔理沙に当たっていた

アリスは、不敵の笑みで魔理沙の方に振り向いた。また喧嘩をしたのか。

『早苗さんも、別にこいつらの相手なんかしなくても良いんですよ。』

『はい………そうしたいのは山々なんですが………』

僕がそう言うと、早苗は後ろを振り向いた

カラスの鳴き声と、鬼と思われる呻き声が聞こえた

その音を聞いた後、早苗はブルブル震えていた

『さすがにここまで来ると………一人では帰れなくて………』

確かに、この三人の中でわざわざ早苗さんをこの無縁塚の入口付近まで送り届けようと考える面子は居ない。

全員、早苗の顔を見ずに何も知らないし聞いてないという顔をしていた。

僕も当然、わざわざ入口まで戻ろうとは思わない。

そうすれば、全員からブーイングが来るに決まっていて、

早苗さん自らが『やっぱりいいです』と言うに違いないし、時間と労力の無駄だからだ

魔理沙とアリスが喧嘩をして、霊夢が香霖堂から無断で取ってきた煎餅を食べ歩きして、早苗さんはびくびくして前に進んでいる内に

ついに香霖堂の商品となるものがあるだろうと思われる幻想郷の外で忘れられた物達の場所に辿り着いた

『おっしゃー!!盗りまくるぜー!!』

まず最初に、魔理沙がはしゃいでその物だらけの中に入って行った。

瞬間、フライパンの持ち手を踏み、反動でフライパンが飛んで魔理沙の顔面にぶつかった。

その光景を見て。アリス以外全員が静まり返った。

アリスは爆笑していた

『さて、僕もしばし探そうかな』

僕はしゃがみ込み、物の影に隠れていないか、等を考えて物をどかして商品を探した

だが、案の定どこにも無かった。

女性の裸が書かれた本

子供を作らないようにするというゴム

男性器を突っ込む為の謎の物体

どれも興味の無い物ばかりだった。

だが、そこに一つ何か興味のある物を見つけた

『ダッフィー君』

という熊の人形が男同士抱き合っているポスターの下敷きになっていた。

その人形は、汚れもポスターに守られたからか、まだ新しいとも言えた。

これなら商品になりそうだな、と思っていたとき、

隣で早苗さんがその人形を観ていた

『あーっ!それダッフィー君ですよね。いいなぁ。そんな物も置いてあるんだぁ。可愛いなぁ。』

早苗さんが、輝いている目で人形を観ていた。

僕が最初に見つけた上に、商品にすると決めていたので、渡したくは無かったが

彼女には買い物してくれたり、商品等を詳しく教えてくれたりと結構お世話になっているので、さすがに渡さないという事もできなかった。

『じゃぁあげるよ。これは商品にならないだろうし』

少し嘘をついて早苗さんに人形を差しだした

『本当ですか!?やった!』

早苗さんは、ものすごく嬉しそうな顔をして人形に抱きついた。

商品にする物だった物を離すまいとぎゅっと抱きしめているのを見ているのは、悪い気はしなかった。

遠くで魔理沙と霊夢が不穏な顔でこちらを睨みつけていたが、無視をする事にした。

その後、早苗さんは張り切って無縁塚の商品探しを始めた。

正直、僕の商品にする分が無くなるので探してほしくは無かったが、さすがにそれは口には出せなかった

遠くにいる魔理沙と霊夢の舌打ちが、こちらにまで響いた

アリスは、小さく『バーカ』と魔理沙に向かって呟いた

しばらく散策していると、早苗さんが僕を呼びだした

『霖之助さん、ちょっと来てください』

僕は早苗さんが覗いている場所を見ると、そこには何か管があった

そう言えば、前来た時もこの管には気づいていたが、全く気にしなかった。

『この管、なんだかあっちにずっと続いてますよ』

早苗さんが指差した向こうをよく見ると、確かにこの管は向こうにつながっていた。

僕たちは、その管の向こうまで歩いて行った。

『この管はなんなんでしょうか?』

早苗さんが質問してきたが、僕も知らない事を僕が答えられるはずが無かった。

管の方を辿って行くと、そこには、崖があった

管は、その崖の壁をそって崖の下にずっと続いていた

いや、これは崖ではない。よく見ると大きな穴だった

向こうに地があり、綺麗な円を描いている穴だった

『この穴は一体なんなんでしょうか?』

僕は後ろを振り向くと、魔理沙がこちらにゆっくりと近づいていた

人差し指を口に抑え、静かにしろと小声で言っていた

それ以外を見ると、見覚えの無い木や墓が建っていた。

『分からないな。僕はここまでは来ないから』

早苗さんは、小さく返事をしながら下を覗き込んだ

早苗さんが石を穴に入れて、底はどれくらいか調べようとした瞬間、

魔理沙は後ろから早苗さんを押した

『わっ!!!!!!!』

『ぎゃあああああああああああああああ!!!』

早苗さんは、なんとか持ちこたえ、穴に落ちずに済んだが

『あっ!』

人形のダッフィー君は、穴の底に落ちていった

早苗さんはしゃがんで、穴の底へ手を伸ばしたが、ダッフィー君は、どんどん小さくなって、ついには見えなくなった

『はっはっはっはっはははははは!!すげぇビビりよう!!はっははははははは!!!』

魔理沙は大爆笑をしていたが、早苗さんの顔は、目に涙を潤ませ魔理沙の方へ向いた

魔理沙も、さすがに笑うのを止めたが、早苗さんは逆にさらに泣き顔になり、ついに泣き叫んでしまった

『うえええええええええええええええん!!!うえっ!!うえっ!!』

人形一つでこんなに泣き叫ぶとは、僕も少し引いてしまうが、今は魔理沙への怒りが強かった

『魔理沙、謝りなさい』

『なっ……なんだよそんなにビビったのか?』

僕は首を横に振り、穴の方に指を指した

『ビビらせたせいで、見つけた人形が穴に落ちていったんだ。』

それを聞いた時。魔理沙は少し申し訳なさそうな顔をした。

『あ―――――……』

声が出そうになった時でも、早苗さんの泣き声は止まなかった。

『ほら、とっとと謝りなさいよ、土下座でね。』

どこから湧いたのか、アリスが魔理沙の後ろで謝罪を要求した

ただ、それのせいで魔理沙は怒りに震えていた

だが、目の前では早苗さんが泣いている。

さすがに、魔理沙もこれは自分が悪いと思っているはずだ。

『ごっ………ごっ……』

声が出かかったが、泣き声のせいでかき消されてしまっている。

しかし、どうしてこんなに泣いているのか分からない。

ただの人形で、こんなに泣く人だとも思えないのだが

その時、魔理沙は癇癪を起したように大声を出した

『あ――――っ!!分かった!!分かったよ!!穴の底まで行って人形を取って来てやるよ!!』

そう言った後、箒にまたがって穴に近づいて行った。

さすがに、これで早苗さんは泣きやんでくれたようだ。

魔理沙は、ゆっくりとパラシュートのように穴の中に入ろうとしていた

『早く行きなさいよ』

『うるさいな!』

体全部が地面より下に行った瞬間、何か様子が違った

『なんだ?』

放棄が、ガタガタ震えているのだ

『どうした?魔理沙』

魔理沙の顔が必死になっていた。だが、それでもゆっくりと下降している。

だが、その下降はどちらかと言うと、何かに引っ張られているかのようだった

『なんだっ………よ!!これ…………!!!!』

瞬間、急に負けたかのように箒と魔理沙は真っ逆さまに落ちていった。

『ああああああああああああああああああああ!!!』

魔理沙は、叫びながら穴の底に引っ張られるように落ちていった。

僕たちは、その場で静まり返った。

早苗は、呆然とただその穴を眺めているだけだった

『どうしたの?』

霊夢が、さっきの叫びに気付いたのか、いつの間にかこちらに居た

早苗さんは、かばうように霊夢の肩にしがみついた

『魔理沙さんが!魔理沙さんが穴に落ちていったんです!!!』

早苗さんが、責任強そうに言ったにもかかわらず、霊夢の反応は薄かった

『ふぅん。猿も木から落ちるって言うしねぇ………』

アリスは、その言葉を聞いて少し笑みを浮かべた

『私が言ってきてあげるわ』

霊夢は、徐々に宙に浮いた後、その穴に入って行った。

霊夢は、魔理沙の時より格段に早く穴に入っていった

しかし、体が全て入った瞬間、魔理沙と同じような光景が映った

『なっ………何よこれ………!!!』

まさしく、それは何かに引っ張られるようにゆっくりと降りていく様だった

霊夢は、必死に脱出しようと踏ん張っているが、観ると引っ張る力の方が強いそうだ

『霖之助さん!!』

霊夢が僕に助けを求め、手を伸ばした。

僕も手を伸ばしたが、どう見ても届かなかった。

その瞬間、霊夢はあきらめたのか、穴の底へ真っ逆さまに落ちて言った。

霊夢の叫び声が響かなくなった後、またそこには沈黙が続いた

『呪われてるわね。この穴』

アリスが吐き捨てるようにそう言った

『霖之助さん………どうしますか?』

僕は、しばらく沈黙した後、決心した

この穴は、結構興味深い

『りっ……霖之助さん?』

僕は、その穴の中に思いっきり飛びこんだ

『ちょっっと!?』

『御二人さん、どうか自力で頑張って帰って下さい。』

穴の中は、落ちていると言うよりも引っ張られていると言った方が正しかった。

壁を見ると、テレビやレコードやジャンプという雑誌に埋め尽くされる壁が見えた。

だが、それが目に映るのは一瞬で、徐々に早くなっているため、壁の文字さえ読めなくなっていた

上の方で、悲鳴が聞こえている。あの二人はこの穴の中に入ったのだろう。

せめて待って居れば良い者を

その後、急に真っ赤な空が目に映った。

そして地に落ちた。地は全てガラクタで出来ていた

おかげで、腰を打ってしまって痛かった。

腰を押さえて立ち上がると、隣に魔理沙と霊夢がうずくまっていた

魔理沙は腹を押さえ、口から泡が吹き出し

霊夢は頭を押さえ、ぐずりながら泣いていた

そして間もなく、上から二つの物体が落ちてきた

人形を作っている方は、背中を抑えてうずくまっていて

緑色の髪の方は、上手く着地したのだろうか、傷の無い脚を抑えている。

おそらく、着地した時に大きなダメージを打ったのだろう。

だが、その後痛みをこらえながら辺りを探し始めた。

テレビの上に置かれていたので、見つけるまで時間はかからなかった

そして、目当てのダッフィー君を見つけた後、

それをもう二度と離すまいと母親のように抱きついた。

『痛った〜〜〜い…………』

アリスが背中を抑えて立ち上がった後、魔理沙の所へ歩いて行った。

そして、足で乱暴に魔理沙を起こすように蹴った

『ほら、起きなさいよ早くこんな臭い所から出て上に戻るわよ』

確かに、この場所は何か異臭が漂っていた

糞尿、生ゴミ、灰、血、等々の数倍の臭いがそこらじゅうに漂っていた

アリスは魔理沙の手を引っ張って無理やり立ち上がらせようとしていた。

僕は正直まだ帰りたく無かったが、皆は上を目指そうと空を飛ぼうとしていた。

だが、霊夢は何をやっているのか、ただ飛び跳ねているだけで

魔理沙は、箒にまたがりながら、ただ飛び跳ねているだけだった

上を見ると、あの小さい黒い丸が僕たちの落ちてきた穴なのだろうが、ここからおよそ2000mはあるだろうと考える。

よく、僕たちは生きていたものだ。

そしてついに諦め、彼女らは一言呟いた

『帰れねえ…………』

後先を考えず行動した結果か。

しかし、ここは本当に広い所だ。地下の世界と言うところだろうか。幻想郷よりも広いのではないだろうか。

果てしなく続くこの向こうには、一体何があるんだろうか。

僕はそんな期待が高まっているのだが、後ろには負のオーラが漂っていた。

早苗さん以外の全員は、落ち込んでその場所を掘るようにため息をつきながら地の物体をずらしていた

『死ね魔理沙』

『うるさい人形オタク』

『人形を返せ』

『金をくれ』

『あんたが押したから………』

『うるせぇっつってんだろうが黙れよ』

負しかない会話を交わしながら、さらに彼女らは落ち込んでいた

しかし、見れば見るほど奇妙な世界のように見えた。

空は夕日のような赤ではなく、絵具のような赤色の空で、雲が黒色なのである。

そして太陽と思われる物が青色だった。

空がそのような色合いから、辺りは不気味のように暗かった。

全てが日陰のような、そんな世界だった

後ろから蒸気機関車の音が聞こえた。

振り向くと、向こうから何か黒い物体が近づいてきていた。

『何だ?』

瞬間、蒸気機関車と思われる物が、僕たちを横切った。

その機関車は、ものすごく古いものである事が分かった。

だが、あんな物は幻想郷では観た事が無い。

いやそもそも、幻想郷にあんな蒸気機関車などほとんど見た事が無い

『この線路の向こうに………街があるんですかね…………。』

早苗さんが人形を抱えてそうつぶやいた。

土も木も無いこの世界で、そんな物が存在するとは思わないが

『行ってみる価値くらいはあるんじゃない?』

霊夢がそう言って、線路の上に乗り、歩く準備をしていた。

空も飛べない場合では、やはりここは前に進むしかないのだろうか。

僕たちは、線路に沿って前へ前へ進んで行くと、

そこで、蒸気機関車が停車しているのが見えた。

蒸気機関車の隣には、大きな台らしきものがある。

空き缶や雑誌で作られているその大きな台は、僕たちの世界で言う駅なのだろうか。

その駅、信じられない物を見た。

駅で蒸気機関車を待っていたのは、全て人形だったのだ。

いや、あれを人形と言ってもいいのか分からない

プラスチックや布で構成され、中は人形の中身をはぎとって使われたと思われる綿が詰められている。

中身が全て空き缶で出来ている奴も居る

『なんだ………?こいつら………』

そいつらの目は、全員バラバラで、素材もバラバラだ。

目らしき物が付けられているのは、顔の他に腹や脚に付けられている者も居る。

口は、パペット人形のように、ただ顔が割れているだけの奴らだった

『化物、いやこの世界の住人さんかしらね』

アリスが、冷めた口でそう言うと、

『お前の人形みてぇだな』

魔理沙が返して来た

だが、アリスは魔理沙の言動を無視して再び前に進んだ

駅の方見ると、その人形の中に何か異様な誰かが居た気がした

だが、それを確かめるすべもなく、全員が蒸気機関車の中に入って行った。

『おい、出発するぞ』

蒸気機関車は大きな音を立てて、徐々に前へ前へ進んで行き、

そしていつの間にか僕たちよりも速度が速くなっていった。

『急がなくても、線路の上に沿って進めばいい』

魔理沙が追いつこうとするように走って行くのを見たので、僕なりの考えを言葉で魔理沙に突き刺した

そして、できるだけ体力を削らずに前に前に進んで行った。

しばらく歩いていると、向こうに何か建物らしきものが見えた

それも一つではなく、多くの物だった

最初は山かと思ったが、規則正しい四角の突起部分が並んでいたので、違う事が分かった

『本当に街があったんだな………』

僕は、向こうに見える多くの建物を眺めながら呟いた

あそこに、また駅があったが、もうすでに蒸気機関車は通り過ぎた後で、人形たちは誰も居なかった

『これが入口か?』

街の入り口は、すべて空き缶で作られていたが、それにしてもかなり大きな門となっていた。

幻想郷でも、こんなに大きな建物は無いため、少し圧倒されてしまった

その門の向こうには、大量のゴミを組み立てて作っていた、街があった

だが、その街もどこか見た事のあるような建物が多かった。

建物自体は、幻想郷にある民家とは違く、真四角な形をしているものの、配置的には少しだけ似ている

そこらじゅうは、どれも店のようだった。

空き缶を売る店、ガラクタを売る店、ボロボロの服を売る店…………

どれもゴミしか置かれて居なかった

しかし、住民はやはり人間ではなく、全て人形だった。

所々繋ぎあわされた、不細工な人形だ。

『なんだよここ………さっきの平地よりも臭いぞ…っ!』

魔理沙が不満を言った。

確かに、ここに来てから何か異様な臭いがさらに増していた

明らかに此処の方がゴミが多いからだろうか、

『なぁ……ちょっと悪い』

魔理沙は建物の影まで歩み寄って行った。

魔理沙は、そこでうつぶせになり、口から緑や黄色の混じった液体と、昨日食べただろう魚の切り身が落ちて言った

具体的に言えば、吐いた

『ちょっと、汚いわね』

アリスが吐き捨てるように魔理沙に言葉をぶつけた

『うるせぇ、もうすっきりした!!』

瞬間、多くの人形がこちらを向いていた

『なっ………何?』

人形は、魔理沙の嘔吐物の方に近づき、その嘔吐物を手にすくい、口に入れていった

それも上手そうに、どんどん口に中に入れていった

ネバ着いた液体が、人形の口をどんどん汚していった

アリスは、かなり気味の悪そうな顔をしている

そこで、早苗さんもついに吐いてしまった

ダッフィー君にも少しついてしまったが、早苗さんはそれを手で払った

人形たちは、早苗さんのゲロの方にも気づき、そのゲロの方に向かって歩み寄ってきた

そして同じく、その嘔吐物を美味そうに食べたり舐めたりしていた

早苗さんは、その光景をとても気持ちわるがって僕に寄ってきた。その状態であまり寄って来て欲しくはないのだが

人形は、早苗さんの持っているダッフィー君を奪おうと近づいてきている

『だっ…駄目です!!これは渡せません!』

早苗さんは、盗られない様に必死に人形を抱きしめていたが、

人形はそんな事知らないようにダッフィー君に近づいて来る

『逃げるわよ!』

霊夢がそう号令をかけて、僕たちは必死に逃げだした

だが、人形は全員近づいて来る。どんどん速さを増して近づいて来る

『くっ…来るな!!!』

僕たちは全力で走ったが、人形も脚の幅を全て使って走って来る

そして、住宅街が過ぎた後の道の隣に巨大な観覧車が崖の壁に設立されていた

観覧車は、真横に建設されながらも、かなり頑丈に補強されていた

『乗るわよ』

霊夢はそう言って、観覧車の扉を開ける事をせず、次に来るゴンドラの上に乗って登った

僕たちも続いてゴンドラの上に乗ったが、魔理沙だけ遅れて、僕たちの下のゴンドラの上に乗ってしまった

『で、これからどうすんだ?』

霊夢に質問した後、霊夢は指を指した

向こうの崖に続いているじゃない。そこで飛び下りればいいのよ

たしかに、一番真横の場所に行けば向こう側の崖に行けるが、

果たして上手くいくかは保証できなかった

そして、観覧車が一番上に差しかかった時、街の辺りが見えた

『なによ……これ』

アリスが、思わず口走った。

その街は、地が奇抜な形になっており、坂や奇抜な形の建物が多い

大きな建物があれば、さらに大きな建造物がある。

赤い空と黒い雲のせいで、その場所は暗く地獄のように見えた

さらに、一番遠いところには、城と思われる物があった。

その城だけ、真っ黒に塗られていて、全てレンガで出来ているようだった。

あそこに、何か一番偉い人が居るのだろうか

『うわぁああああああああああああああ!!!』

魔理沙の叫び声が聞こえた

下を覗き込むと、魔理沙はさっきの人形に脚を捕まれていた

人形は、観覧車の鉄骨などを登ってここまで来たのだ

『くっ来るなぁ!!こっちに来るなぁ!!』

魔理沙は、弾幕を打って人形を吹っ飛ばすが、数が多かった

魔理沙は、マスタースパークを撃とうと服をまさぐって探し物をしているうちに

多くの人形に体のところどころを掴まれていた

『止めろ!!止めろ!!』

魔理沙が人形に、地に下ろされようとしていた

『助けて!!助けて香りぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!』

魔理沙は、観覧車から引きずり降ろされ、地まで落ちて行った

崖の下に来なかった事が一番の幸いだったが、すぐに人形に埋まって姿が見えなくなった

その後、魔理沙を包んだその人形の山はものすごいスピードでどこか去って行った

『あの馬鹿!』

霊夢は弾幕や、呪文を人形の山に向かって放ったが、人形はもう見えなくなってしまい、当たらずに消えてしまった。

『…………』

早苗さんは、言葉を失っていた

確かに、これは少し危険な状態だと思った。

『魔理沙……。大丈夫なのか?』

だが、以外に霊夢は冷たい反応をした

『此処では空も飛べないし、しょうがないでしょ。魔理沙なら大丈夫よ、あいつらは殺す事はしないと思うし、魔理沙もあいつらに負けるほど弱くないでしょ』

そう言った後、端の崖の方に向かって霊夢は飛び降りた

『今考える事は、これからどうするかね。魔理沙ならどこかでバッタリ会うだろうから考えないとして。』

僕は霊夢が魔理沙を信頼しているのかしていないのかよく分からなかった

だが、確かにあの人形相手なら魔理沙も負けないだろうから、あまり心配はしなくても良いか。

僕たちも崖の向こう側に飛び降りた後、後ろを振り向かずに前に進んだ

『本当に大丈夫なんでしょうか………』

『大丈夫よ。だってあいつらは人形よ?』

霊夢はそう言って休まず前に進んだ。

坂の方に差し掛かった時、アリスは少しため息をついた後登り始めた。

しばらく登っているうちに、人形の住民の中で一人、異様な雰囲気な人形を見つけた。

『何?あいつ』

霊夢も、何か察したようである。

その人形は、大きな袋を抱えてこの坂も平然と登っていた。

他の人形も平然としているが、そいつだけ何かが違った

『ちょっと見てくるよ。』

僕はそう言って、ほぼ全力を出してその異様の人の方に向かって走って行った。

しばらくして、ようやく追いついた時、僕はその人の前に立ちはだかるようにその人の前に出た

その人形を正面から見ると、表には出さなかったが、内心ものすごく驚いた

その人形は、どう見ても人間の女の子だった。

年は見た目は霊夢と同じくらいで、髪は赤色で、目は少し大きく、眉毛は太く、肌は白色で顔の整えは結構良い方だった。

だが、そいつは結構汚れており、ボロボロの服、いや布というべきか、そういう物を身にまとっていた。

牛乳の蓋でアクセサリーのように服の右上に貼り付けていた。

そいつを見ただけで、僕は絶句してしまったが、

そいつは、僕を見て目を潤ませて顔を真っ赤にさせた

『仲間………』

『は?』

『仲間だぁぁ―――――――!!』

そいつは、僕に急に抱きつき、強く抱きしめてきた。

そいつは胸が異様にでかいため、体に圧力がかかっているようだった

『うわぁ!』

僕は思わず倒れこんでしまった。

それを見た霊夢達は、僕の元に走ってきた

『霖之助さん!?』

霊夢の声を聞いたそいつは、振り向いて霊夢の顔を見た

『にっ……人間?』

そいつは、本当に嬉しそうな顔をして皆に指を指した

『仲間だ!!いっぱい僕の仲間!!』

『ちょっと待って!?あんたもここで迷い込んだ人なの!?』

アリスが質問をしたが、そいつは何も迷いのない答えを出した

『違うよ?僕はこの街に住んでる”ザハンズ”っていうんだよ!』

そいつは、袋を抱えて笑顔で飛びあがりながら答えた

『ザハンズ…・…?あんた幻想郷の奴じゃないの?』

『幻想郷?何それ?』

おそらく、この少女は産まれたときからこの地下で産まれたのだろう。

だが、少し疑問に残る事がある。

他の住民はつぎはぎの人形なのに、なぜこいつだけこんなに人間に近いのだろうか。

こいつは人間なのに、何故こいつは此処で他の人間を見た事が無いのか

考えているうちに、そいつ、ザハンズは腹の音を鳴らしてしまい、考え事が中断されてしまった

『あははは……。』

ザハンズの顔が少し赤くなった後、袋を掲げて笑顔で答えた

『今日は結構食べ物を手に入ったんだ!ねぇ皆も僕の家に来てよ!!』

その袋には、やはり異臭の臭いが漂っていた。

正直、この臭いのせいで全く食欲が湧かず、何も食べたく無い状態に陥っている。

霊夢も、その食べ物の入った袋については全く興味を持っていなかった

早苗さんも、冷笑を浮かべながらただ愛想笑いをするだけだった

アリスは、何の表情もない

だが、ザハンズは僕たちの話を聞きたい、ぜひ家に来てほしいという顔をしており、さすがに断るわけにはいかないだろう。

それに、断ったらどこで寝ればいいのか分からない。宿を取るにも必要だった。

『分かった。泊まる場所もないし、少しお世話にならせてもらおうか。』

僕がそう言った後、霊夢が小声で

≪霖之助さん!!本気!?≫

と言ってきたが、無視をした











魔理沙は、目を覚ますと、明かりの無い暗い所に居た

場所的には、そこは室内だと言う事が分かったが、気づいたら服が無い事に気付いた

『おい!!私に何をする気だよ!!おい!!!!』

私は叫んだが、返事は全くない

しかし、どこからか小声が聞こえた

この部屋ではなさそうだが、耳を澄ますとよく聞こえた

『…………』

私は、声を殺して耳に集中させた

そして、一つの言葉が聞こえた



『捨ててやる』
あけましておめでとうございます。
お正月がとっくに過ぎて、おせちを食べて、お年玉をもらって。餅をのどにつまらせて病院行った人を見て、
今年に入って早くも救急車を二回ぐらい見ました。

この話は、お正月が終わって、ごみ箱が信じられないくらい多くなって、処分に困ってしまったときに思いついた話です

途中であきてやめてしまう可能性がございますが、できるだけそのような事態を避けたいと思いますので、よろしくお願い致します。
ND
作品情報
作品集:
23
投稿日時:
2011/01/15 13:22:48
更新日時:
2011/01/15 13:22:48
分類
霖之助
霊夢
魔理沙
アリス
早苗
大長編
オリキャラ
無縁塚
1. NutsIn先任曹長 ■2011/01/15 14:15:19
NDさんの新しい香霖ワンダーランドを往くシリーズ、始まりましたね。
今回の香霖一行はまた賑やかですね。後から『幻想郷の管理人』さんも合流するのかな?

皆、飛行能力を失った。まるで見えざる『手』に引きずり込まれたみたいに。
香霖が出会った『The Hands』の名を持つ少女。
彼女は『作り手』であり、差し伸べられた『救いの手』か?

今回の面子。
捨てられた物を拾う者。
物に関心を持たない者。
物を捨てられない者。
物を作り出す者。
物を大事にする者。

今後の話、楽しみです。あきないで〜!!
2. 和みの志 ■2011/01/15 19:03:58
面白いですね、
何処か[警報]と世界観が近くて好い感じです。
続きが楽しみです。

件の[管理人]は今回も出るのでしょうか?
出るので在らば霖之助御一行と同様、
被験者の立ち位置でお願い出来ますでしょうか。
彼女が黒幕又はキーマンと為るのは割と有り触れていますし、
その後の展開等が凡そ見当付いてしまうので、
可能為らば避けて頂きたいのです。
3. 名無し ■2011/01/15 20:47:42
ND氏の世界観には圧倒されますわ。
そこらのファンタジー小説の比にならないくらい物語にのめり込んでしまう。

おや?今回紫さんは出ないのか。いや!それ以前に早苗さんが可愛すぎる!!
4. 名無し ■2011/01/17 12:10:30
うんこかあ
俺だったら空腹に耐えかねて喰うな
いや、普通に食えるののがデフォかな?ここ排水溝民的にはww
5. 名無し ■2011/01/17 22:04:37
早苗が真人間かつ神経細そうなのは珍しい。

>放棄が、ガタガタ震えているのだ
箒?
名前 メール
パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード