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『霊夢「凄いのぉっ、良いのぉ、もっともっともっとぉぉHAAAAAAAAAAAAAAN!!!」』 作者: フェイトちゃん

霊夢「凄いのぉっ、良いのぉ、もっともっともっとぉぉHAAAAAAAAAAAAAAN!!!」

作品集: 23 投稿日時: 2011/01/26 04:24:31 更新日時: 2011/01/26 13:24:31
高地から落下し、全身を激しく打ち付ける衝撃。
そこで、霊夢の目が覚めた。

周囲を見渡せば、赤く焼けただれた建造物がそこかしこに倒れ伏している。
辺り一面劫火に包まれ、激しくゴウゴウ唸りを挙げる炎壁が霊夢をグルリと360度囲っていた。

「ここは……?」

鋭い痛みが頭を襲い、マトモな思考が働かない。

何とか上体を起こし、少しでも状況を把握しようと、霊夢の脳が働く。
ただ、モクモクと舞い上がるどす黒い煙幕の風景が、視界に映る。
鼻の奥に、粘りつく不快な臭いが霊夢の嗅覚を揺さぶる。
霊夢は、頬の肌に炎の高温を感じて、ここが危険だといち早く判断し

「とにかく、ここを離れないと………って、あれ??」

上空へ高く高く飛び上がった。

「ちょっと!? これ、どうなってるの!?」

霊夢はまき上がる煙を切って、グングン上空へ。

「あれ? あれ、あれぇ? なんで?? どうして? ちょっと、ちょっとぉ!!??」

地上の有毒な煙幕も、空気の澄み渡った上空遥かまで登り切ってしまえば何のことはない。

「能力が封じられている!? 飛べないっっ!! 飛んで! 飛んでぇっ!!」

霊夢は、新鮮な空気を肺一杯に取り込むと、大きく深呼吸をした。
見渡す眼下に、地上の阿鼻叫喚の惨事がポツンと小さく見える。

「どうして?? どうして飛べないの!? 誰か、誰か誰か助けて!! 熱い熱いぃぃ!! 火がそこまで……!」

安全地帯に避難した所で、霊夢は今自分が置かれている状況を冷静に分析し始めた。

「火が、火が、、熱い熱い熱い、ッチ! 誰か助けて助けてぇぇっ!! 助け助け助け、、あああああああ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!」



身体を火あぶりにされ高温の地獄にのたうちまわるような感覚。
そこで、霊夢の目が覚めた。

時計を見れば、もう既に15時を回った時刻。
外からは、放課後の小学生達が遊びにはしゃぐ賑やかな声が聞こえてくる。

「あ〜、今日も昼まで寝過ごしちゃったわ……」

霊夢は時計を憂鬱な気持ちでぼんやり眺めながらひとりごちだ。午前3時に眠りに着いたのだから、この時間に目覚めるのも仕方ない。
しかし、怖ろしい事にこれで、4回連続のサボりとなってしまった。
親に言われるがままに、勉学を積み、中学受験、高校受験、そして現在霊夢が通う2流国立大学にいたるわけだが、
いかんせん霊夢の中に、明確な目標が無かったのがまずかった。
地方では高名な大学に入学をしたまでは良かったものの、霊夢は大学受験という目標を通り過ぎた後の、目標設定が何ひとつ無かったのだ。

「5限開始まで41分ね……」

高校では、ライバルと偏差値の値でそれなり白熱の勝負に興じたものだったが、今の霊夢は

「あと少しだけ寝よ」

完璧に目標を失っていた。ゴロゴロと寝転がり、ゴロゴロと人生の坂を下るだけ。
が、しかし眠れない。
ならば、今からでも遅くない。授業に出て単位だけでも取得せねば、と頭の中で解ってはいても

「どうせ出席しても、ついてけないしなぁ……」

授業内容が、全く霧の中を手探りするような状態にまで陥ってしまっていた。
これも日頃、授業の出席を怠り、予習復習を軽んじたことに端を発するものである。

つまるところ、霊夢は完璧に目標を失っていた。生きる目標を。
働きたくもなく、交際相手もおらず、死ぬ必要もなく。
このまま、親の脛を齧り、喰っては寝て、喰っては寝て……
そのまま醜く続くおのれの末路を想像しそうになり、霊夢は慌てて思考停止した。

「まぁ、いいわよね……」
「大丈夫よ、なんとかなるわ……」
「明日から、頑張ろ……」



安全だが行き詰った重苦しい憂鬱の中で、未来を唾棄する諦めの感情。
そこで、霊夢の目が覚めた。


「ついに、つきとめた!! 怪しいと思ったらやっぱり……!!」

魔理沙は密かに、霖之助と逢瀬を重ねていた。
不審に思い始めてはや2週間。霊夢は、正にその現場をつきとめたのである。

時は遡り2.5週間前。
普段通りの博麗神社の境内。普段通りの二人のやりとり。
そこに問題の一石が投じられる。

『普段、本ばかり読んでる奴って、何をプレゼントしたら喜ぶんだ? 本以外の返答で頼むぜ』

突然の魔理沙からの質問。
純粋に何を喜ぶか知りたいだけだ決してプレゼントをするわけじゃないぜ、とご丁寧に念押しをしながら尋ねてきたのだ、魔理沙が。
その目は、霊夢のそれを見ず、どこか宙を眺めて落ち着かない。ソワソワしている。
普段からハッキリと物を言う彼女のはずだが、今回ばかりは落ち着きを隠せないようだ。
奪ってばかりの、魔法使いからそんな殊勝な言葉が零れるとは思わなかった、というのが第一印象。
怪しいわなんだこいつ企んでいるのかしら、が第二印象。

(魔理沙が、プレゼントを??)

「あんたが、人にプレゼントを??」

素直な感想が、そのまま言葉に出る。
想った言葉が、そのまま。

『いや、その、なんだ、別にプレゼントってわけじゃないんだどな……何か、えーと流行りものとかで良いんだ、頼むよ、霊夢』

「はぁ? 手作りのお菓子でも持っていけば? アリスなんかよく持ってくるでしょ」

『……そうか、まずは食べ物からか、なるほど』

「そう」

『参考になったぜ、霊夢、またなっ!』

言うが早いが魔理沙は、箒に跨る亜高速で境内を後にしていた。
非常に早い合点、そして速い行動。これこそが彼女の売りである。

「ちょっと、あー、行っちゃったわね」


そして時は戻り、今この現場である。
周囲への聞き込み、魔理沙への尾行、証拠物の収集、何やら浮足立った魔理沙に感づかれることなく、霊夢の調査は順調に進行した結果がこれである。
霊夢自信、柄にも無いことをしてしまったと思う。
これでは、普段煙たがっている鴉天狗の記者とまるで同じ、パパラッチそのものである。
が、新聞にするつもりは無い。。流石に第三者に知らせる必要は無い。

己の目で、魔理沙の想い人を確かめる。

ただ、それだけ。
そう、ただ、それだけ。
ソレダケ。


なのに。
なぜ

この気持ちは

(魔理沙と霖之助さん……)

二人の逢瀬を隠れて眺める霊夢の気持ちは
ゴシップ発見の意気揚々としたそれではなかった。
己の推測と調査の成果の達成感

とは別にもうひとつ、複雑な感情が綯交ぜになり、霊夢の心を惑わす。

(二人とも幸せそうね……)

魔理沙がバスケットから、焼き菓子をひとつ取り出し、霖之助に食べさせている。
その表情には嬉しさ恥ずかしさの喜色満面に塗りたくられ、見る人が見ればバカップルと称さざるに得ない。



霊夢はそんな小馬鹿にする心では到底見ていられなかった。

魔理沙と霖之助が楽しげに談笑している。
お互いの瞳が、肯定の視線でお互いを捉え、認め合っている。
いつのまにか、魔理沙と霖之助の手が握られていた。
いつのまに手を繋ぎ合う関係になったのかしら……
いつのまにか、魔理沙と霖之助の距離が近づk


 ………認めたくないわ


人間は行動した後悔よりも、行動しなかった後悔の方が大きい、そんなありがちな概論で自らをごまかしながらも、
橋姫のようなどす黒くネチャネチャした嫉妬の重圧に苛まれる不幸。
そこで、霊夢の目が覚めた。


『おめでとうございますっ!!!!!!!!!!!!!!』

割れる様な拍手
飛び交う歓声
大仰なファンファーレ
一同に会した幻想郷の住人

「ふぇ?」

霊夢は間の抜けた声をあげるばかり


『おめでとう、おめでとう、おめでとうおめでとうおめでとう!!!』

博麗神社の境内、霊夢の眼前には幻想郷の住人がこれでもかとばかりに、ぎゅうぎゅうに駆けつけ、割れんばかりの拍手で、霊夢を祝福する。
その中には強弱問わず、妖怪や妖精がバタバタと興奮し、霊夢の知らない人里の普通の人間までいる。あと、馬とか牛も。
閉鎖的なはずの永遠亭の人間、友好的な命蓮寺勢、ライバルであるはずの山の神社、嫌われ者の地底妖怪達の姿も見える。
正に老若男女、人妖男女であった。人種のるつぼ。

『あやや、霊夢さん霊夢さんっ、おめでとうございます!! いやいやいや、あやや、本当におめでとうございます!! どれひとつ、如何ですが今のお気持ちは??』

霊夢が、状況を飲み込めずにいる中
湧きあがる群衆の中から、一人の天狗記者、射命丸文が華麗に踊りでた
その手には取材用のメモと筆
瞳は興奮の色に輝き染まり、大スクープだと言わんばりの表情。

「え? なによ、これ? どういうこと?? 何でこんなに人来てるの???」

『どういうことって、あやや、今更何をとぼけちゃってるんですかぁ〜〜もうっ、霊夢さんったら〜〜ったら〜〜ったら!!』

気持ち悪く語尾を伸ばす文の惚けきった返事。
現在の、状況を把握する材料にはならない。
霊夢はますます混乱するばかりであった。
何が何だかわからない。

『おかしなこと言わないで、今のお気持ちを聞かせてくださいよ〜〜』

「あ? ちょ、ちょっと、なによ? 何について話せばいいのよっ! ちゃんと説明しなさいよっ!!」

半ば怒鳴りつける勢いで、霊夢は声高く叫んだものの、群衆には暖簾に腕押し。
ガヤガヤと霊夢を賑やかに一方的に囃したてるばかりである。
関係の無い所で、鬼の飲み比べやプリズムリバーの生演奏が始まり、もはや楽しめれば何でも良いとでもいった風情だ。。

『あら霊夢、いつまで恍ける気なの? 選ばれたんでしょ、あなた?』

そんな中、紫が隙間から身を乗り出し、愉快に霊夢を見下ろしていた。
いつも通りの胡散臭げな表情だが、確かに群衆の喜びが伝播し、嬉しげに微笑んでいる。

「あ、紫。これ、どういうことよ? 皆何しにきたのよ?? 選ばれたって、何に?」

……紫しかいない。この面妖な状況をわかりやすく説明してくれるはず!
霊夢がそう答えると


その途端
水を打ったかの様に、群衆はシンと俄かに静まりかえる。

―――――ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ

あちこちで内緒の密談が仲睦ましげに展開された後
群衆は、お互いニヤニヤの訳知り顔を見合わせた。

そして、博麗神社の空気が無くなる勢いで全員がブレス。
境内の全空気が群衆の肺へと殺到し、一時的に博麗神社は真空空間へと変貌を遂げた。

『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』
『『『『『『『『『『『『『おめでとうございます!! あなたは、《選ばれない人》に選ばれましたあああああああああああ!!!!!!!!!!』』』』』』』』』』

大地震を呼ぶ大声。
怒涛の掛け声が博麗神社を駆け巡り、鳥居がバキバキに粉砕され粉末状となった。
激しい音波に空間が歪み、空の色が目まぐるしく照明の如く変化した。
空前絶後の衝撃に、地面という地面は地割れを起こし、あっちゃこちゃから地下水を噴出させた。
気圧の変化で、竜巻が生じ、賽銭箱をピンポイントで吹き飛ばす。
そして、雰囲気的に鳴っても良さそうだったから、雷も稲光とともにその猛威を奮った。

「はぁ〜?? 選ばれない人に選ばれたぁ〜〜?」

霊夢は群衆に圧倒されながらも、粉末にケホケホ咳き込みながらも、照明変化でやらしいシーンになろうとも、竜巻で可愛いおヘソをちらつかせながらも、地下水にびしょ濡れになりながらも、返す。

『それじゃ、そういう訳だから、皆で行ってくるわね〜』

傘をさした紫が応えたのを合図に、途方もない巨大な隙間が顕れた。
東京ドームが…などと表現するのがまだるこっしい。
楽に表現すれば、地球より巨大な隙間だった。


そして、群衆が次々と、その中へと飲み込まれいいや、自発的に飛び込み始めた。
まるで、大食いが旨い料理をかっこむかの如く、隙間は群衆をたいらげていく。

「………????」

霊夢が茫然とする中、幻想郷の生き物という生き物が、紫の隙間へと入り込んでいく。
神社を埋め尽くす群衆は次々とその姿を消し、賑やかな歓声は次第に遠ざかっていく。


『バーイ、留守番を頼むわね〜霊夢っ☆』

最後に紫が隙間に入り込む。
隙間は跡かたもなく消え去った、幻想郷の住人と共に。


その場に取り残されたのは
ずぶ濡れになった霊夢だけであった。
霊夢一人だけだった。


1分程あって、ようやく霊夢が我に返る。

巫女装束がびっしょり水を含み、霊夢のそれ程でもないボディラインを惜しげも無く披露してみせる。霊夢は下着を履なかい主義だった。

が、それを見る人間や妖怪はひとっこひとり居ない。存在しない。不在。

「……訳わかんないわ、皆して頭おかしくなったのかしら?」

とりあえず、霊夢は巫女服の袖をきつく絞り、服の水分を逃がすことにした。



「……やっと静かになったわね」




1年。

鳥も小動物すらもいないことがわかった。
稗田の御屋敷でくつろぐ。
山の神社をメッチャメチャに破壊してやった。
面白いかもしれないわ


2年。

香霖堂に住むことにする
虫はいるけどリグルは居ないみたい
人目を気にせず、排泄や水浴びができるのは案外気楽


3年

畑仕事にも慣れてきたわ
野菜以外が食べたい


4年

そろそろ誰かに帰ってきてもおかしくないのに
好き放題やっちゃったから、怒られるかもしれないけど


5年

馬鹿なサプライズはやめにしと欲しい
神社には誰も来ない


6年

誰もいない。
魔理沙や早苗はどこに行ったのかしら
寂しい


7年

誰か誰か
誰でもいいから
霖之助さん……


8年

動かなくなった星蓮船でチラシを見つけた



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   選ばれない人
    博麗 霊夢



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それから52年間

52年間の絶望。
そこで霊夢の目が覚めた。


朧げに聞こえる。
霊夢の聴覚が捉えた。
聞き覚えのある声が会話している。


「アハハハ、霊夢の奴、酷くうなされてんな」
「まぁ、あれだけナイトメアタイプを投与すればそうなるでしょうね」
「しかし、意外だったな」
「何が意外、なのかしら?」
「霊夢の夢の内容がな、思いの他普通だったことだぜ。私はてっきり博麗の巫女たる特別な予知夢や神夢を視るもんだと」
「まぁ、所詮はただのオンナノコってとこかしら」
「それにしても、霊夢の夢の内容は、他人に置いてけぼりにされるのを恐れる内容ばかりだったぜ」
「内面が潜在的に寂しんぼなのね、霊夢ちゃんは」
「どうやら、お目覚めのようだぜ」

恐る恐る目を開けてみれば、そこには見知った顔、見慣れぬ組み合わせ。
ボンヤリつ視界に映る二人は、白黒と赤青。
派手な彩色な二人といえば……だんだん、ハッキリしてきた

「…魔理沙? それに永琳?」

魔理沙と永琳が、霊夢の表情を興味深く覗き込んでいた。
その眼には心配の色はない。

「ようやく、目が覚めたのね」
「霊夢、おはようだぜ」

「これも、、、夢なのかしら……?」

霊夢は弱弱しく、問いかけた。
極限の悪夢の中で精神をすり減らし続け、大分限界が近かった。崩壊寸前。
夢の中での60年間は非常に長かったことが推し量れる。

いつもの気丈で無関心な霊夢はもうここにはいない。


「大丈夫だ、もうここは夢じゃない、現実だ」

魔理沙が優しい声御で、霊夢の手を握った。
ギュッと握られた少女の手。
そこには確かに暖かい血の通った人肌の温度があった。

……やっと、人間と出合うことができた。やっと生きて動く人間。知り合い。…魔理沙。

霊夢はそれだけでも、泣きそう泣きそうで、実際泣いてしまった。

「うぅ…、うぅぅーー……えぐっ、ヒッグズ…ばかぁ……」

「あらあら、随分と甘えん坊さんになったものね」

赤子のように、魔理沙にすがりつく霊夢。
その姿には、平静のツンと澄ました面影は完全に失い、ただただ甘えたいざかりの少女そのもの。
永琳がクスクス笑うが、そんな嘲笑はもうどうでも良い。
霊夢はこうやって、ずーっと誰か暖かい人の手を握っていたかった。


「いっやぁー、しかし霊夢ぅ」
「なによぅ…」

感動もひとしおの中、魔理沙がへらへら笑う。

「案外、つまらん内容の悪夢を視るんだな、お前。その辺の漫画読んでる方がまだ面白かったぜ」
「……ふぇ?」
「こら魔理沙、余り話してはいけないわ」
「いいっていいって、、、こんな面白い霊夢をからかう機会なんてまたと無いんだからさ」
「ふぇ? えええ? つまらないて何?? 何で? 何で夢の内容がわかるの??」

待ってましたとばかりに、壁にデカデカと設えたモニターを指さす魔理沙。
リモコンをいじると真っ暗だった画面にパッと映像が映し出される。

火事で燃え尽きる巫女
布団から出られない巫女
尾行する巫女
取り残される巫女

いずれも霊夢本人そのものだった

「ほら、面白いだろう? 夢の内容が観賞できるんだぜ?」
「偉そうにしないの、全く。全て私の技術でしょう?」

魔理沙は自慢げに、リモコンをもてあそぶと、夢の映像を観て馬鹿笑いし始めた。
霊夢が火あぶりに遭い燃え尽きる様や、畑仕事に悪戦苦闘する姿を観ると一層、声を荒げて笑う。
永琳も初めは、魔理沙を諫めていたが、やがて映像に魅入ると、一緒になって霊夢の姿を、笑い物にし始めた。


(……そっか)


ゲラゲラゲラ
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ


「あんたたちの仕業だったのね………」

霊夢の思考がようやくまとまり処断が通達される。魔理沙と永琳は許すことのできない罪を犯したと。
霊夢の身体に博麗の力場がおどろおどろしく発生する。

「…やべぇぞ、逃げるぞ永琳!」

魔理沙が言うまでもなく、永琳は既に退避していた。探さないでください、とご丁寧に書き置きまで残して。

「むそおぉぉぉおおおおぉぉふういんっっっ!!!!」

霊夢渾身のスペルカードで全方位攻撃を放つ。

永遠亭の狭い実験室に、破裂せんほどの光弾が飛び交い、安全地帯を埋め尽くした。
弾幕ごっこ用の生温い弾では無い。当たれば病院送りは免れない霊夢の必殺。

が、光の消えた中には魔理沙の姿はなく、開け話した扉があるのみ

「逃げたわね」

霊夢は瞬時に判断すると
ベッドから勢いよく立ちあがった。

身体に絡みつくコード類を引き千切ると、すぐさま廊下へ飛び出した。
まだ遠くへ逃げてないはず。
魔理沙に向けて追跡弾を打ちながら、彼女の逃げた方角へ。

「まりさぁぁぁっ!!」

いた。
永遠亭の廊下の突き当たり。
待ち構えている影が二人。
おそらく永琳と魔理沙は同時に、迎え撃つつもりらしい。

「えいりいぃぃぃんっ!!」

咆哮と同時に、霊夢は急カーブ弾を小刻みに放った。
怒りで頭は沸騰していたが、霊夢は戦術において冷静な態度を崩さない。
異変時には、体が自動的に動く。
何やらパッドという物で操られているらしいが、パッドに詳しい紅魔館のメイド長に聞いても、明確な回答は得られなかった。

霊夢の放った弾幕は、一旦は放射状に飛び出したが、グインとカーブすると、ただちに標的に向けて収束した。

「「霊夢」」

魔理沙と永琳は微動だにせず、霊夢の弾をグレイズした。冷静そのものだ。

「ちぃっ」

読まれた。
月の頭脳は侮れない。
その場を動かなければ当たらない。そういった手合いの弾を放ったが、グレイズを稼がせるだけの結果になった。
ならば、距離をいっきに詰め

「「ご覧なさい」」
「「己の姿を」」

そして、廊下の突き当たり、巨大な姿見が眼前に迫った時、
霊夢は停止してしまった。

「髪が……無い?」

巨大な姿見に映った、霊夢の頭部には一本も髪が無かった。

「「いいえ、違います」」
「「よおく、眺めてみなさい。」」
「「己の本体が見えるはずでしょう」」

髪が無いだけではなかった。
頭蓋骨が無い。
頭蓋骨の上半分がゴッソリ削りとられていた。
そして、鏡に映るのは、ピンク色の剥き出しの神経細胞の中枢。
霊夢は脳を大幅に露出させて永遠亭を飛び回っていたのだった。

「あ、れ、これは………?」

霊夢の脳には男性器ほどの太さの電極が3本突き刺さり、柔らかいピンク色の脳細胞に立派にめり込んでいる。
めり込んだ地点からは、何やら粘性の液体が噴出しており、血の気泡で泡だっていた。

「どうして、これ、あああああ、、あああああ、あああ!!!!!」

クモ膜を取り払われた、霊夢の本体は、外気に触れ、その無残な姿を晒している。霊夢が頭を振るたびに、霊夢の脳はプルンプルンとある種美味しそうに身を震わせた。
最強であるはずの博麗の巫女は頭蓋骨を失い。蓋を失った。見える。霊夢そのものが見える。丸見えだ。

腕を切り落とされても死なない。
心臓を人工心臓に取り換えても死なない。

しかし、脳を人工頭脳に取り換えても一個人は死ぬ。

「こんなのって……こんなのって……ああ、、、ああ、あ、、」

そして、霊夢はピンク色の己自信を数秒程見つめて、納得した。

(……そっか)

(……これも夢だわ)

判断後の
霊夢の行動は非常に速かった。

男性器によく似た電極をガッシリ霊夢は握り、その接続部を鏡越しに注視する。

「えへへ、、私の大事な所に、三本も入っちゃってるよぉ……」

霊夢の脳からは、粘性の液体と泡がジュブジュブと溢れ滾っている。電極の接続部の脳皮質がまくれあがり、さながら女性器のよう。
まるで激しい性交時の男性器と女性器のようであった。

「はぁ、、、私の処女が……」

実際、霊夢は処女だが、今、脳の処女は失った。

「あぅ……こんなに大きいの我慢できないよぅ…」

霊夢は、電極を握りしめた腕を、ゆっくり上下させた。
ぶっとい電極は血飛沫をあげながら、霊夢の脳を出たり入ったりして、血の噴水となる。

「やぁっ……奥まで入っちゃう〜……すっごくジンジンして気持ちよくなっちゃう…」

電極が奥を突くたびに、霊夢は文字通り頭の中を掻き回される間隔で、眼球から血を零しながら、歓喜の声をあげた。
先端のかえし部分が海馬をゴリゴリと心地よく削る音が、直に脳内に響く。
霊夢は、霊夢の一番大事な部分を弄んで弄んで、オーガニズムに達していた。

勢いのついてきた霊夢は、両腕で電極を激しくピストンさせると、秘部から愛液を撒き散らしながら









死んだ。


霊夢は死んだ。

ええそんなぁっ!
他の皆さまの作品にコメントしたいのですが
リアルにコメントの仕方がわかりません。

パスワード未記入だと
エラーでるし


適当に記入しても、投稿パスワードが違います
て出るし
誰かたすけて
フェイトちゃん
作品情報
作品集:
23
投稿日時:
2011/01/26 04:24:31
更新日時:
2011/01/26 13:24:31
分類
霊夢
魔理沙
永琳
気持ちいい
1. 名無し ■2011/01/26 14:37:15
この夢なのか現実なのかよくわかんない感じがたまんないっす
2. 名無し ■2011/01/26 15:03:45
4行目
さにーで記しす→サニー溺死す

えぇ、そんなぁっ!?
3. 名無し ■2011/01/26 16:03:26
マジでええそんなぁっ!w
最初は真面目なホラー系かと思いきや、ギャグ系かと思わせておいてからのやっぱり猟奇ホラー展開で、最終的にはギャグエログロで死亡ってww

パスワードには適当なパスワードを設定すれば良いだけ。極端な話、「abc」とかだって良い。まぁそれだと人に破られて悪戯される可能性が無きにしも非ずだけれど。
投稿パスワードは ☆産廃創想話 の赤字 ※連絡※ を読むべし。
4. おうじ ■2011/01/26 23:46:33
霊夢可愛くなったなww
5. 名無し ■2011/01/27 03:15:08
60年ww妖怪なら一瞬だけど人間で60年は長いw
6. 名無し ■2011/01/27 11:16:40
永琳と魔理沙に人体実験させられていたのか
選ばれない人のエピソードはかなりきついな、やられると
7. 名無し ■2011/01/28 05:02:47
大学生霊夢が今の自分の現実と瓜二つで泣いた
8. 名無し ■2011/02/10 16:06:46
……うん、コレハヒドイ(褒め言葉)
セルフ脳姦とか誰得だよ、読んでて頭抱えちまったw
9. 名無し ■2011/02/17 17:41:33
本当に大事なところだな
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