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『霖之助が時を止めるお話』 作者: いぬうえ

霖之助が時を止めるお話

作品集: 24 投稿日時: 2011/02/10 20:06:48 更新日時: 2011/02/11 15:25:29
香霖堂



ある日曜日のこと。
時計の針が十二時をさそうとする頃だった。

「開いてますか?」

カランカランという入り口からの音とともに珍しくお客がやってきた。
だが、ただのお客ではない。

稀に見る僕の店のお得意様、完全で瀟洒なパーフェクトメイド(よく分からないが)。
その名も『十六夜咲夜』である。

「いらっしゃい。 なにをお探しかな?」

「そうね。私も余り暇ではないので手っ取り早く済ませましょう」

「?」

「私、ある物を落としてしまいまして...」


そう言うと彼女はスタスタと、他の商品には目も向けず僕の方へ歩いてきた。
見るからに不満そうな顔だ。

「さて、返してもらいましょうか」

「返す? 一体なんのことやら...」

「あなたねぇ!」


バンッ!と机を叩き、それまで隠してきた怒りの形相を露わにする。

まぁ、正直なところ僕には彼女をこんな顔にさせるだけの覚えがあった。
というか僕が確信犯だ。

恐らく彼女が返せと言っているのはコレ。
彼女の『懐中時計』だ。

いつも肌身離さず彼女が持っているこの一件なんの変哲もない懐中時計。
しかしこの懐中時計には世にも珍しい仕掛けが備わっているという。

それは『時を止められる』というもの。
この仕掛けによって十六夜咲夜は時を止め、現実的にありえないことを平気でやってのけられるという。

僕も以前にその不思議な力によって騙されたことがあった。

しかし何故僕がそんな代物を持っているのか。

それは今日の朝まで遡る。
珍しく僕は人里に行く機会があって、ある用を済ませ店に帰ろうと人中を歩いているときのこと。

道端にこの懐中時計がひっそりと、まるで捨てられた子犬のようにして落ちていたのだ。
不思議なことに誰もそのことに気づかない。そこになにもないように見えるのか?と疑問に思うくらいに。
僕は落ちている懐中時計を拾い上げ、家路についた。

僕は自分の持つ能力を使いその懐中時計を調べてみることにした。
するとそこには懐中時計としての情報だけでなく、あるもう一つの情報が単純にだが載せられていた。

それこそが『時を止める仕掛け』だった。

時を止める... 懐中時計...。

懐中時計の持ち主が分かるまで時間は掛からなかった。


そして現在にいたる、と。


「・・・負けたよ」

「ふん。 さあ早く私の時計を返してください」

「ん〜 残念だがそうはいかない」

「な!?」


ぶっちゃけておこう。
僕は前からこの懐中時計には興味を持っていた。

彼女はこの力を甘く見ているような気がする。

時を止める。時間を止める。
これは、はっきり言って神の持つ力だ。
もしこの力が悪人の手に渡ったらどうなる。それこそただの『悪人』を『神』にまで昇格させてしまえるほどの強大な力だ。
たちまち世界の情勢を変えてしまうだろう。


とは言ってみたもののその心配はなさそうだ。
どうやらこの力は彼女しか使えないものらしい。最初のうちは僕もついに天下を取った気分でいたが、あえなくこの懐中時計はいわゆる『売ってやってもいい商品』行きになっていた。



「ちょっと、私の時計よ!?・・・窃盗!泥棒だわ!」

「君と魔理沙にだけは言われたくない言葉を聞いた気がしたな」

「返して!」

「まぁまぁ。そういえば、君は何故僕の店にあると?」

「はぁ... 自分の大事なペットに首輪をつけない飼い主がいる?」


なるほど、この懐中時計には『鈴のついた首輪』のようなものがつけられているわけか。
まぁ、余りにも彼女が気づくのが早いと思ったら、そういうことか。

「さて、おしゃべりはこれくらいにして ・・・なんの条件かしら」

「? 何を言っているんだい?」

「ふざけないで。懐中時計は何を条件にすれば返してもらえるの?」

「おいおい、君こそふざけないでくれ」

「え...」

「ここは店だ。商品は買うもの。常識だろ?」

「・・・ぷっ!」


ん?笑われた?また怒鳴られるかと思っていたが。


「あははは、はは、失礼。 余りにも期待はずれだったもので」

「? ・・・まあいいさ。さて、お探しの懐中時計だが家の店には一つしか置いてなくてね」

「んな! なによこの値段は!?」


僕が決めた懐中時計の値段。言うあれば駄菓子屋に置いておいてもいいくらいの価値、と言ったところか。

「馬鹿みたいに高いかと思いきや... むしろこの値段のほうが傷つくわね...」

「仕方ないさ。力だけで見ればそれなりに価値はあるが、ただの時計としては置時計のほうが遥かに高額といったところさ」

「む〜! 人の時計を持ち逃げしたばかりかこんな辱めを!」

「ふん。それで?どうする。 買うのかい。買わないのかい?」

「ぐむむむ...!」



今日の売れた商品。『十六夜咲夜の懐中時計』。




「私のコーヒー代が...」

「まいどあり」



僕は懐中時計を袋に詰めようと手を伸ばした。
僕の手は少し乾燥していたようだ。

懐中時計を手に取ったそのとき。
スルッと懐中時計が僕の手から逃げた。
そしてそのまま床へ―――

「あ...」

「え?」


カシャーンッ


突如目の前がグルグルと渦を巻いた。店内の景色が百八十度回転する。
僕の前にいる咲夜の顔もグニャグニャになる。
頭の中心から変な音が聞こえる。超音波のような、子どもにだけ聞こえるという『モスキート音』のようなそんな音。
世界中が色を失くし、自分が立っているのかどうかも分からなくなっていく。

僕が気を失う寸前で最後に目にしたものは、
硝子の破片を撒き散らした懐中時計だった。









「う...ん?」

気がつくと僕は椅子に腰掛けたままグッタリとしていた。
身体がやけにだるい。頭がクラクラする。
オカシイな... 酒を飲んだ覚えはないんだが...。

「・・・ハッ!」

僕の記憶が正しければ、僕は確か懐中時計を...!

「・・・なんてことだ」


案の定、懐中時計は壊れていた。
まるっきし動かない。針の一本もどこかへ行ってしまったようだ。

そういえば咲夜はどうしたのだろう。
嫌な汗が僕の頬をつたう。

だが心配するまでもなかったようだ。
咲夜は丁度、僕の座る椅子のすぐ真横に倒れていた。
大丈夫、息はある。

僕は自分の部屋に布団を敷き、その上に咲夜を寝かせた。

するとようやく安心したのか身体から力がフッと抜けるような感じがした。
僕はドサリと椅子に腰をかける。

しかし妙だな。懐中時計を落としたと思ったら突然気を失った。
僕だけが気を失うならまだしも、彼女まで...。

まぁ、とにかく彼女には謝らなければならないな...。
時計の弁償はもちろんだが、それ以上に殺されないか心配になってきた。

今の内に直せるところまで直そうか、と腰を上げたときだった。
ふと店内に掛けられている普通の時計が目に入った。

・・・オカシイ。
確か僕が気を失った時間は十一時五十分かそこらだったはずだ。
それから...少なくとも三十分以上は倒れていたはずだ。

それなのに、時計は十一時五十三分をさしていた。
ありえない。普通なら十二時は軽く越えているはずなのに。

それに妙だった。まったく一秒を刻む針が動いていない。
それどころか時計の振り子がありえない場所で止まっていた。

壊れた...?それも考えた。
確かにこの時計は年季の入ったものだが、今日の、それもすぐ数分前まで元気に振り子が揺れていた。

僕は胸騒ぎを感じ、部屋にあった河童が作ったとかいう電子時計を見てみた。
すると時計は[11:53AM]を表示したまま、やはりとまっていた。

また嫌な汗が流れるのを感じた。
僕は慌てるようにして店の外を見る。

外には妖精が三匹ほどいた。
だが何か違和感を感じた。

妖精たちは木の近くで遊んでいたのか。一匹は木の上から飛び立つ瞬間で静止していた。
もう一匹のほうは、これからその近くにいる妖精に葉っぱいっぱいに溜まった水をぶちまけようとしていたのだろう、水がその妖精にぶち当たる瞬間でやはり静止していた。
水はいくつもの雫を合わせたかのようにして大きく広がり、妖精の身体を包み込むようにして静止しており、まるで本で見たような美しいアートを切り取った場面のようである。

さらにもう一つありえないものを見つけた。
鳥だ。鳥が空中で静止していた。
はっきりと羽の裏側が見えるまでに。


「・・・」

これは...一体どういう...。


「店主...さん?」

「ッ!」


気がつくと咲夜が僕のすぐ後ろまで詰め寄っていた。
僕は一連のことを彼女に話した。

「まさ、か...!」

彼女は焦るように落ちていた懐中時計を拾い上げ力を込めるようにして両手で握り締めた。
だがこれといってなんの反応もない。
彼女はただひたすらに時計を握り締めて呪文のようなものを繰り返し繰り返しつぶやく。

・・・やはりなにも起こらない。


「なぁ、君。 これは...」

「・・・・・」

「これって、その...」

「・・・・」

「お、おい。何か話してくれてもいいじゃ―――」


「うるさいっ!!黙ってて!!!!!」


「ッ!?」


突如鬼のような形相で一喝された僕は怯んで声が出せなくなった。
一体どういうことだろう。いつもはどんなことがあったって、そうそう表情を崩さない彼女がここまで真剣になっている。


だが僕は気づいていたのかもしれない。
僕たちは...とんでもないことに巻き込まれたということに。












「時が...止まったまま動きません」

「・・・へ?」


ガシャーン、という音が店内に鳴り響く。
僕が運んできたお茶の湯飲みが割れる音だ。

「それは、どういうことだい?」

「言った通りです。 私たちは『この世界に』閉じ込められました」


何故彼女はそんなことを――


「私の能力ではもう戻せません」


――こんなに冷静に――


「・・・死ぬまで永遠にこのままです」


――言えるのだろうか。


「つまり、この世界は時間の止まった世界でそこに僕たちは閉じ込められた、と?」

「ええ」

「元に戻す方法は?」

「ありません。今のところ」

「何故僕は君の『時の止まった世界』の中で動けるんだ?」

「分かりません。今は」

「僕が時計を壊したのが原因なのか?」

「・・・・・」


「どうなんだ」


「分かりません。今は――」


彼女がいい終える前に僕は彼女の肩をきつく握っていた。
少し力を入れすぎている気がした。だが僕はそんなことも忘れていた。

「僕の...せいなのか...」

「分かりま――」

「何回同じことを言うんだ君はッ!!?」

「ッ!」


「何が完全だ!何が瀟洒だ!それくらいのこと分かって当然じゃないのか!?」


「そんな...分からないものは...分かりませんよ」

「なんでだよ!君の能力なんだろ!?何故その本人が分からないなんて言うんだ!!」

「・・・じゃあ」


彼女のなにも見ていないかのような冷たい目が僕の顔を映した。
・・・僕はただ慰めてもらいたいだけだった。こんなことを引き起こした自分を叱ってほしかったのだ。
彼女の僕を思っての気遣いが...堪らなく心苦しかった。
ただ、それだけだった...。


「言わせて貰いますが...」

「・・・ッ」

「あなたには責任は一切ありませんよ。私が間抜けだったのがいけないのです。私が懐中時計を...間抜けにも落としてしまったのがいけないんです。持ち主がこんな間抜けでは...ハハハ... きっと、これが運命だったんですよ。間抜けな私への...神罰なんです。 それなのに、霖之助さん...あなたまで巻き込んでしまうなんて。 本当に...ほん、とうに... うっ...」

「やめてくれ」

「ううぅぅ... ぅうぅうう」

「・・・すまなかった」



僕は、世界で一番最低な男だ。

自分の罪を認めないどころか... 
一番怨まれなくてはならない彼女を謝らせ、その彼女に自分の罪への許しを請うたのだから...











いつまでたっても、やはり陽は落ちなかった。
僕たちはそれからは何時間も口を利いていない。何時間と言っても時計が動かないので時間は分からないが。

咲夜はさっきからずっと壊れた懐中時計を眺めている。
僕はというと、ただただ本を読むだけ。それしか今の僕にはできなかった。

本を読んでいるといっても全然集中できていない。ただただ文章を絵のように見ているだけ。
いつもならもう日が暮れて電気を点けなければならないような時間のはずなのだが、時計はただ十一時五十三分をさすだけ。

だがそんなことより、さっきから一番気になっていることがある。そう、それは罪悪感。
僕がもっと几帳面だったらあんなことにはならなかった。いつの間にか培われた図太い神経のお陰で懐中時計を落としてしまう。
挙句の果てには壊れた影響なのか力の誤作動。
時を操る彼女までもがこの時の世界に閉じ込められてしまうなんて...。


「・・・・・」

僕はただ申し訳ないという感情でいっぱいだった。
はあ... 魔理沙たちはどうしているだろうか...。

「あ」

待てよ?魔理沙たち...?


「そうだ!」

僕は勢いよく立ち上がる。
咲夜はビクッとしてこちらを向いた。

「ど、どうしたの?」

「外だ。外に出てみよう」

「え...」

「さあ、準備しようか!」

「あの、霖之助さん...」

「ん?どうした」


「外の妖精たちを見たでしょ?みんな静止していた。 分かりますよね?今、世界は『止まっている』んです。幻想郷中みんな静止しているんです」


「僕一人だけで行く。僕はただ外を見に行きたいんだ」

「え...」

「僕は希望を捨てたくないんだ。・・・いや、そんなカッコいいこと言うつもりはない。そうさ、これは僕の単なる自己満足でしかない。 こうなったのは...僕の責任だ。だから、だからこそ僕が責任を持って解決策を探らなければならないんだ!!!」

「ッ!!」

「そうだな、まずは時計を直すことから始めよう。部品は...無縁塚辺りを回ればそれなりにいい物が揃うだろう。その途中で知っている奴らのとこに行こう。もしかすると僕たちみたいな状況の人も―――」


「クスッ...! ほんと、あなたって人は...」



・・・一瞬何が起きたのか分からなかった。
僕の目の前が銀色のなにかで埋め尽くされた。何故かすごくいい香りがした。
これは...髪の毛?
しばらくして口を動かせないことに気づく。咲夜の顔がすぐ近く、いや傍にある。
というよりこれは...

「ん...んぅ...」

「ぁ...」

口の中に何か入ってくる。それは僕の舌にまとわりつき離そうとしない。
それは咲夜の舌だった。

「・・・ぷはぁ」

「―――!!?」

「フフフ♪ これでチャラです」

「ちゃ、チャラ? は、はて、君にはツケはないと思ったが...?」

「クスっ それじゃあ、行きましょうか。外へ」



僕は...何故だかとても救われたような気がした。















店を出て数分といったところで咲夜がなにかを見つけた。
・・・それは僕たちの希望を早くも失わせるほどのものだった。

「魔理沙...」

そこにいたのは、今まさに飛ぼうとして箒にまたがる魔理沙だった。
手にはどこかで拾ってきたのか外の世界の機械といったものが沢山入った袋を持っている。
魔理沙が向いている方向。多分、香霖堂だ。
きっと魔理沙はこのガラクタを僕の店に売りつけようとしていたに違いない。

僕はそっと魔理沙の頬をなでるように手をやる。
とても温かかった。だが息はしていない。脈拍もない。
しかし死んではいない。

時間さえ止まっていなければ魔理沙は箒を飛ばして僕の店へとやってくるはずなのだ。
だけども僕はそれを迎え入れることはできない。

いつもは、
もう店に来ないでほしいとばかり思っていた。
はっきり言って五月蝿くて、やんちゃで目障りだった。
いい加減、僕のとこなんかよりも親父さんのとこに行ってやれと思っていた。
僕なんかに関わっていては良い旦那さんが見つからないぞと心配、いや呆れていた。

それが何故だろう。こんなにも魔理沙と話したい、本を読んでやりたい、・・・怒ってやりたい、面と向かって真面目な将来の話をしてやりたいと思ったのは。


「霖之助さん...」

「・・・すまない。先を急ごう...」


魔理沙、大丈夫だ。
必ずそのガラクタ、高値で買い取ってあげるから。














人里が見えてきた。
そうだ、朝に来たときに耳に挟んだのだが、たしか今日は人里で一番の祭りが開かれるらしい。人も妖怪も妖精も、一緒になって楽しむという。

きっと町中は賑やかだろう。
本来であれば...。


「やはり、人里もこの通りですね」

「ああ、全滅...か」


町は祭りの準備が終わり、いよいよ出店が立ち並ぼうとしているところだった。
当然のように静止していたが...。

遠くには神輿が見える。町中は様々な人でごった返していた。
いつもの里とは思えないくらい。

「なんか恐いわね。こんなに人がいるのに...。 あら変ね...いつも時を止めているというのに」

「・・・・・」


まさかいつも通いなれているこの世界に閉じ込められるとは思っていなかっただろうな...。


「あ、そうだ」

「どうしたの?」

「慧音のところへ行ってみよう」

「慧音? ああ、ハクタクの」


上白沢慧音。
幻想郷の歴史にを司る半獣だ。普段は寺子屋で里の子どもたちに勉強を教えているとか。
歴史、すなわち時、時間である。そんな彼女であればあるいは...!

「・・・霖之助さんはその人とどういう関係で?」

「ん?まあ、ちょっとした知り合いだ。お互い半分人間、半分妖怪の身だからね」

「そう」


・・・?
何か気に障るようなことを言ってしまっただろうか...。
もう少し考えてから発言するよう気をつけよう。

しばらくして慧音の寺子屋に着いた。
今日は日曜日だから多分、寺子屋はお休みだ。だが慧音はそんな休みの日にも歴史の編纂や子どもたちのテストを作ったりなどで実質、年中無休である。

「・・・人の気配はなさそうね」

「う〜ん... 兎に角、中に入ってみよう」


寺子屋の中は静かだった。
日曜日ということもあるし、今日は祭りだ。
子どもという子どもは皆、祭りに出掛けているだろう。

だが一つ気になるものがあった。
慧音の靴とは違う靴が靴置き場に並べられていた。
大きさや靴のデザインから見てどうやら子どもの靴のようだ。

「あらあら、お祭りの日に補修かしら」

「どうやらそうらしいね」


しかし、いくらあの慧音でも祭りのときくらいは多めに見てやると思うが...。
よく見ると奥の戸が開いているのに気づいた。
中から何かがチラリと見える。あれは...どうやら服のようなものだ。

「行ってみよう。もしかしたら慧音は僕たちと同じ状況になっているのかもしれない」

「・・・・・」


僕は「お邪魔します」と言いながら寺子屋の奥へと進んでいく。
返事はない。 ・・・やはりダメなのか。

「慧音、いるかい」

「霖之助さんやめたほうが...」


僕は躊躇することなく戸を思い切り開けた。

・・・そこには自分の目を疑うような光景が広がっていた。


「なっ!? 慧...音」

「ッ!」


そこにはまだ年端も行かない子どもに身を預けるあられもない姿の慧音がいた。
子どものペニスを美味しそうに咥える慧音のヴァギナ。もう何回もこのような行為をしたのだと分かるくらいにそのヴァギナは黒ずんでいた。
この少年にもうすでに何回か中に出されたのであろう、ブクブクと白い泡がアソコから溢れ出していた。

慧音は僕が知っているクールでポーカーフェイスな表情をズタズタに崩し、女の悦びを堪能している顔に成り下がっていた。



「慧音...」






僕は慧音とのあの日々を思い出していた。

僕がまだ里で暮らしていた頃のこと。まだ人間と妖怪の間に隠せない溝があった時代だ。
いつも僕は人間の子どもたちに虐められていた。

『お前の母ちゃん人喰い妖怪!』

『家の親父が言ってたぞ。お前らは毎晩どっかから人さらって喰ってるんだって!』

『あんたらが家のお兄ちゃんを喰ったんだろ!お兄ちゃん返せ!』


僕が言う言葉はいつも同じ。

『母さんは病気なんだ。人なんて食べられないよ』

それでもそいつらは止めなかった。


『病気だから人を喰ってるんだろ!やっぱお前ら人喰いだ!』

『お前らなんか死んじゃえ!』

『妖怪退治屋に頼んで殺してもらおうぜ!』


そんなときだ。

『お前たち!霖之助のお母さんは人を食べるどころか普通の食べ物すら食べることができないんだ!』


『う、うわ、慧音だぁ!逃げろ!!』


いつも助けてくれるのが慧音だった。

『ごめんね霖之助。あいつらには後でガツンと言っておくから...』

『いいよ。 ・・・いつもありがとう』

『・・・あいつらとあいつらの親たちには腹が立つ! 霖之助のお母さんは人間と仲良くなろうと必死に努力して、人を食べたことなんて一度もない人なのに!』

『・・・・・』

『そのせいで病気になって... 人の血だけでも飲ませなきゃ死んじゃうほどの重い病気なのに...それなのに一度も血を飲んだりしない人なんだよ? グスッ...可哀想だよぅ』


母は変な妖怪だった。妖怪なのに人間と同じものを食べて、人間と同じような生活をしていた。父とは普通に恋愛結婚をした。
人間である父側の家族は反対していたらしいが、

『俺が惚れた女に文句つける奴ぁ、例え親だろうと許さねえッ!!!!』

と言って反対派の親族を黙らせたらしい。
僕には父のような血は受け継がれてはいないが、父のような強い心に憧れていたのは事実だ。

だから、僕は母を非難する奴がいても決して屈しはしなかった。反論はしても決して手は出さない。それは己の弱さを露呈することに他ならないからだ。

本当に強い男なら拳より先に言葉で殴れ。

それが父が残してくれた言葉だ。



『慧音は強いんだね。僕の父さんみたいだ』

『そ、そんなことないよぉ。 霖之助のほうが強いよ!私ならあんなヒドイこと言われたらすぐに殴りかかっちゃうもん』

『でも、慧音は何も言わずに殴ったりなんかしないよ。 ちゃんと言葉で殴ってからだもの』

『そ、そう!? わぁい!霖之助に褒められたぁ♪』

『あははは』

『えへへへ』
















「・・・もう行こう」

「そ、そうね」


僕は... 今で言えばなんなのだろう。
初めて女の子として好きになった子が遥か遠くへ行ってしまったような気分になった。


そして僕たちは人里を後にした。
ここまでの探索の結果、得られた情報はゼロ。人里もまた時が止まっていた。

僕たちはしばらく会話もなくただただ歩いた。
僅かに膨らんだ希望がどんどん萎れていくのを感じた。
歩いても歩いても世界は止まったまま。動いているのは僕たち二人だけ。

途中、綺麗な川を見つけた。だがやはり流れは止まったままである。
咲夜は手で水をすくい取る。川の一部に手の形の穴が開く。
まるでゼリーをスプーンですくい取るような感じだ。

すると咲夜はその水を僕に掛けてきた。


「うわっぷ! なにするんだい」

「きゃは!冷たい。それ!」

僕も負けじと応戦する。
こう見えても小さい頃はかなり外で遊びまくったことがある。
今みたいに本には興味がなかったときのことだ。

・・・何年ぶりだろうか。こんなにはしゃいだのは。


「あはは、楽しかったー!」

「やれやれ、服がビショビショだ」


少し意外だった。
彼女がここまではしゃいでいる姿を見るのは初めてのことだったからである。
なんだかんだ言っても彼女もまた少女なのだ。普通なら遊びまわりたい年頃だろう。


「霖之助さんって結構いい動きするのね。意外だったわ」

「ははは、そりゃ君よりは外で遊んだ回数は多いからね」

「あら、てっきり子どものときから本ばかりの人なのかと」

「む、それは心外だな」


他愛もない話が続く。
こうしている内に時間が動いてくれるとどんなにいいだろう。
咲夜の知られざる一面を見られた。慧音の...意外な一面が見られた。
僕の魔理沙への感情がどんなものなのかを改めて知ることができた。

もう十分だろう。頼むから、
頼むから神様。

時間を動かしてください。
















しばらく歩いているうちに霧の湖が見えた。
その湖の向こう岸に見える紅い建物。
紅魔館が見えている。

「行ってみようか」

「ええ、もう期待はしませんけど」

「・・・」


岸を目指しひたすら歩いた。
途中、氷の妖精が湖の一部を凍らせて眠っているのを見つけた。

「おーい!」

呼んでみたが返事はない。
次に咲夜が近くに落ちていた石を妖精目掛け投げつけた。

ゴツンッと鈍い音がしたが一向に起きる様子はない。
やはり静止している。

「ほっときましょう」


僕たちは先を急いだ。

紅魔館がどんどんと大きくなってくる。
遠くから見るとそうでもないように見えるが、近づくにつれてその大きさが分かってくる。

いつも思うのだがこんなに壁を紅くしてどうなるのだろう。
確かに『赤』という色は日本では縁起の良い色とされているが。
この館の主は日本人ではないようだし...。


「紅魔館は何故赤いと思う? それはね、お嬢様の紅茶になった人間たちの血で塗られているからなのよ」

「な!?」


「・・・冗談よ♪」

まったく冗談に聞こえないからさらに恐い...。
そうしている内に紅魔館の門が見えてきた。そしてその近くに立っているのは...。


「美鈴...」

「門番さん、か」


紅魔館の門番、紅美鈴もまた静止している。
これぞ門番の鑑だ。なにせ一寸たりとも動かないのだから...。

「お嬢様...!」

「お、おい!咲夜!」

彼女は何か見つけたのか館の中に入っていく。
僕は紅魔館内部に入るのは初めてなので咲夜を追いかけなければたちまち迷子になってしまう。それにしても見た目よりも広い屋敷だ。

途中途中でメイド服を着た妖精が静止していたが、僕は気にせず咲夜を追いかけた。
だが、そのとき見覚えのある人物を見つけ僕は立ち止まった。
『図書館』と書かれた扉が僅かに開いており、その隙間から紫色の髪をした少女がのぞいていた。

だが様子がオカシイ。
どうやら彼女は扉を開けたはいいが勢い余って前に転びそうになっているようだ。
確かこの人の名前はパチュリーかパチェリーとか言ったな。
魔理沙がよく話題に出す少女だ。直接話したことはないが姿なら以前、花見とかで見かけたことがある。

彼女が居座る大図書館には外の世界でも珍しい本がたくさんあると聞いた。
一度でもいいから見てみたいな...ってこんなことをしている場合じゃない!

僕は倒れそうになっている彼女の前に、近くにあったベッドのシーツなどが積み重なった山を置いてそこを後にした。


咲夜は意外と早く見つかった。
一際どの部屋よりも大きな部屋で彼女はある少女を抱きしめて泣いていた。
彼女が抱いているのは恐らくこの館の主であるレミリア・スカーレットだろう。


「お嬢様...!咲夜です!聞こえますか?!」


咲夜は無駄だと分かりながらもレミリアを揺する。
・・・この様子では恐らく紅魔館も時間が止まっているようだ。


「うぅぅうぅ... お嬢様ぁぁ」

「咲夜...」

「もうイヤぁ! こんな、こんな恐い世界はもうイヤよぉおぉおぉ!!」

「・・・・・」

「帰りたい...帰りたいよぉ。お嬢様ぁ」


彼女はずっと耐えていた。僕なんかよりずっと。
なにせ彼女もまた少女である。こんな世界に男と二人だけ。
普通は恐くて恐くて仕方ないはずだ。

だが彼女は耐えていたのだ。ほんの少しでも希望があると信じ、その希望を糧にしてここまできた。
だがもう限界なのだ。彼女もまた人間なのだから。完全になることなどできない。


僕が今、唯一彼女にできること。それは、


「許してくれ...咲夜。 僕が外に出ようなどと言わなければ...君はここまで...」


謝ること、それだけ。


「・・・やめてください」

「僕は認めたくなかった...どこかに救いの手があると信じたかった。だけど、そんなのただの理想でしかなかった...」

「・・・やめて」

「君には殺されたって文句は言えない。僕の甘い、短絡的な考えのせいで君をますます傷つけてしまった...!」

「やめてえぇぇえぇえぇ!!!」


僕は勢いよく彼女に押し倒された。手にはナイフを持っている。
僕の顔を映し出したその銀のナイフ、僕は色々な刃物を見てきたが、あの草薙の剣を見たときと同じように、やはり美しいと感じた。


「やめてよ...なんでそんなこと言うの? 私は...私は...」

「僕は...最低な奴なんだ。女の子が悲しい顔をしていると当てもないのに勇気づけようとしてしまう。 魔理沙もその一人だ。彼女が泣きながら魔法が使いたいと言ってきたときだ。僕は何も考えず彼女に魔法の知識を与えてしまった。結果、彼女は魔法の道を選んだ。親父さんの...魔理沙の家族はバラバラになった...。
 分かるかい?僕は、与えられるものは与えられる。だけど、本当に大事なことを何一つ与えることができない!」

「何を当たり前のことを言ってるの?」

「え...」

「あなたはただの雑貨屋じゃない!なにも与えられなくて当然。あなた何様のつもり!?」

「・・・」

「謝ればいいと思わないでよ。もう、私たちはこの世界から出られないのよ!」

「じゃあ、僕はどうすれば...」

「私はあなたを怨んだりしない。だって、チャラにしたでしょ...?」


・・・え?
でも、あれは...。


「私は、あなたの言葉が嬉しかった。もう絶対に無理だとばかり思ってた。 確かに...ほんの、ほんの少しだけあなたを怨んだ。だけど、それじゃダメだと思った。だってあなたが言ってくれたから『希望を捨てたくない』って」

「ッ!」

「私の心の奥に少しだけその言葉があったの。だけど燻ぶってた。だって分かっちゃうから... でも、あなたの言葉には、なにか特別な力があるみたい」

「咲...夜...」


咲夜が持っていたナイフがカラーンと音を立てて床に落ちる。

「希望はまだあるわ。きっと...!」

彼女は勢いよく僕を引っ張りあげた。
そうだ、希望は捨ててはいけない。だって決めただろ?


――魔理沙のガラクタを高値で買い取ってやるって――














部屋を出て次は博霊神社に向かおうと図書館の入り口前を通ったときだった。

「あれ?」

そこにはシーツの山に埋もれるパチュリーかパチェリーの姿があった。
僕はその異変にある希望を確信した。

「時間が、少しだけ動いたんだ...!」

「え?」

「ついさっきまでこの子は転ぶ直前で静止していた。僕はその前にシーツの山を置いただけなんだ。 よく見てみるとドアの開き具合も違う...やはり少しだけ時間が動いたんだ!」

「つまり...!」

「時間は再び動こうとしている!」


僕たちの希望は確証へと変わった。
急いで香霖堂へ戻ると懐中時計に異変が起きていた。

なんと、時計が少しずつではあるが修復されているのである。
最初見たときよりも時計に入ったヒビはたちまち消えてなくなり、どこかへ行ってしまったと思っていた針も元通りになっていた。


「まさか... お嬢様が...?」

「それって、まさか...」


レミリア・スカーレットの運命の操作によって時計は再び時を刻もうとしているのだろうか。それともこの時計に元からある自動修復能力なのか。
理由は分からないが時計の修復は自動的に進んでいるようだ。

「・・・よ、よかったぁ...」

「ええ、そうですわね」


肩の力がふわっと抜けたような気がした。
ああ、今まで積み重ねてきたことは無駄ではなかったんだ。
僕は安心したのか腰が抜けるようにして椅子に腰掛けた。

「これで... 戻れるんだな」

「クスッ 戻るって、最初から私たちはここにいるわよ?」

「あ、そういえばそうだ」

不思議なものだ。あんなに大冒険をしたような気持ちでいたのに。
考えてみれば僕たちは何一つ冒険などしていない。

「・・・ふふ」

「? どうしたの」

「いや、可笑しくてね。僕たちがこの世界で見てきたものは結局、全部十一時五十三分の間のものばかりだったと思うとね... ははは」

「・・・そうね」

「はは... ん?」


すると突然、咲夜は僕にまたがってきた。


「どうしたんだい。 咲――」


まただ、僕はまた口を動かせなくなった。そればかりか僕の上半身はなにか温かいもので覆われた。
それは咲夜の身体だった。だが身体と言っても、胸の辺りを大きく肌蹴させて、だ。

「な、なにをするんだ...」

「これは、はぁ、はぁ...十一時五十三分の間に起こった、こと...」

「だから、なにを――」


咲夜は僕のズボンを下げる。そのままパンツもだ。
一体何が起きているのか分からなかった。

「んぁ...」

「な、や、やめろ咲...クッ!」

咲夜は僕の股間のモノをそのまま自分の股間へと押し付ける。
僕はこれがどういう行為なのかを知っている。

慧音が少年としていたのと同じだ。僕はそのような行為に対してこれといって関心は湧かなかった。
だが、まさか咲夜とすることになるなんて夢にも思わなかった。


「りんの...しゅけ、さぁぁぁん!イク!イッちゃうよぉぉぉ!!!」

「咲夜、ダメだ...こ、こんなこと...んぐっ!」


腰の振りが止まらない。
咲夜が胸を顔に押し付けてくる。僕は顔を反らすが意味はなかった。
無理やり乳首を僕の口にねじ込む咲夜。
いっそう激しくなる腰の振り。アソコからこみ上げてくるなにか。


「さ、咲夜!な、なにか出るっ!!」

「霖之助さぁん!いいよぉ!ちょうだい、もう、終わっちゃうから...ちょうだい!いっぱい! 霖之助さんの、いっぱいちょうだい―――ッ!!!」


僕は咲夜の身体をギュッと握り締める。だが力は余り入れなかった。というより入れられなかった。
どうしてかは分からないが彼女が壊れてしまう気がしたから...。

そして僕のなにかは彼女の中にたくさん出た。
僕のアソコをギュッと包み込む彼女の中はとてもシアワセな感じがした。

僕はそのまま深い闇へ落ちていった。
















ジリリリリッ

甲高い音が部屋を埋める。耳がはじけそうなほど五月蝿かった。
新しい目覚ましはやっぱり普通の音がするものにしたい。

あれから一週間がたった。
・・・とは言うものの、あの出来事は今でも現実だったのかそれとも夢だったのか全く分からない。

咲夜に尋ねてみたが...。


『ん〜、一体なんのことかしら?』

とのことだった。
あの後僕は丸二日は寝ていたらしい。魔理沙が言うには、

『机に突っ伏せたままずっと眠ってたんだぜ』

ということらしい。
やはりあれは夢だったのか?しかし、夢にしては、その...!

突然、咲夜の顔が浮かんだ。
何故だろう。あれからというもの、ことあるごとに咲夜の顔ばかり頭に浮かぶ。
一体僕はどうしてしまったんだろう...。

「・・・まあ、気にしてもしょうがないか」

僕は夢だったのだと思いながら、ペラペラと本のページをめくる。


そのとき、カランカランと入り口の扉が開きお客がやってきた。

「いらっしゃ――」

「よぉ!こーりん、遊びに来たぜ!」

「霖之助さん、聞いてよ!さっきあそこでまた本読み妖怪が!」

「クスッ 開いてますか?」


はあ、今日も一段と疲れそうだ...。
少なくとも厄介者が三人も。勘弁してほしい。


「あら、霖之助さん。なに?その顔」

「別に。厄介者が三人も大変だな〜ってね」

「はぁ!?こーりん、その言い草はないぜ!」

「そうよ霖之助さん!巫女服の新調はあなたにとっても貴重な仕事じゃない」

「またかい...。 それで?君は何の用だい咲夜」


ん...やはり何故か引っかかる。どうしても咲夜の顔を直視できない。
本当にオカシイ...。一度病院に行って診てもらおうか―――


「『僕は希望を捨てたくないんだ。・・・いや、そんなカッコいいこと言うつもりはない。そうさ、これは僕の単なる自己満足でしかない。こうなったのは...僕の責任だ。だから、だからこそ僕が責任を持って解決策を探らなければならないんだ!!!』」

「なっ!!?」

「おいおい咲夜、なんだ?その漫画みたいな臭いセリフは」

「どういう意味よ咲夜」



「クスクスっ 内緒です♪」

「お、おい待ってくれ咲夜...!」













「これで例の件はチャラですよ。霖之助さん?」



































































 
産廃の皆様は本当にお久しぶりです。いぬうえです。

はい、そうです。東方香霖堂読んで影響されました。
はい、そうです。うらんふさんの作品に影響されなかったと言ったら嘘になります。

色々やっつけで書いたのでメチャクチャなお話ですが、ご意見ご感想お待ちしております。
いぬうえ
作品情報
作品集:
24
投稿日時:
2011/02/10 20:06:48
更新日時:
2011/02/11 15:25:29
分類
咲霖
1. IMAMI ■2011/02/11 07:21:38
用意したティッシュで全部拭いた。
濡れ場あっさり だがそれがいい
2. NutsIn先任曹長 ■2011/02/11 09:56:27
ほんの刹那の、夢の出来事。
良い事も、悪い事も、夢の中の出来事なのだから、気に病む事は無い。
胸の内が、ほんの少し、暖かくなればそれで良い。
3. 名無し ■2011/02/13 01:25:33
咲夜って暇つぶしに時間停止でしょうもないイタズラしてそう
4. 名無し ■2011/02/13 09:11:02
タイトルでエロしか連想してなかったが良い意味で意外だった
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