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『イラクサは、ぎゅっと握れば痛くない』 作者: 膝枕

イラクサは、ぎゅっと握れば痛くない

作品集: 24 投稿日時: 2011/02/13 06:09:11 更新日時: 2011/02/13 15:09:11
 空腹だった。
 しばらくに渡って異変が存在しなかったため、異変解決の代金も貰えない。
 もちろん霧雨魔法店などという胡散臭い店に、人が来るはずも無い。

 それならば何故友人に助力を求めなかったか。
 簡単だ。
 奢られてやるのは好きだったが、奢ってもらうのは死んでも嫌だからだ。

 目の前の鍋をみおろし額の汗をぬぐう。
 一つだけため息をつく。
 こんな辺鄙な場所に家を持っているのだから、ある程度は、いわゆる野性的な生活にも慣れている。
 しかし、いや、慣れているからなのかもしれない。
 やはりこれを扱うときだけは緊張が走る。

 ぐつぐつと煮える鍋。
 その中にあるのは、山のようなきのこ。

「カヤタケ……ヒラタケ……タマゴタケ……ベニテングじゃないから大丈夫で……これ全部食えば一日持つかな……」

 独り言が静かに響く。
 鍋が煮える音だけが、この空間を支配していた。

「その後は……その後は、どうしよう……」

 つい漏れる弱音。
 家には一文もない。プライドを売るわけにはいかない。マジックアイテムは売れる物は全てあの根暗店主に売ってしまった後だ。
 なら、当然の帰結として。

 何を捨てるのか?

 決めなければならないだろう。
 叩きつけた絶縁宣言。処女。自分の魔法使いとしての歴史を示す蒐集物。私は自立しているのだというプライド。

 どれを、捨てる?

「……あーあ。ま、いいぜいいぜ、構うもんか。 未来について考えることは無駄だ、何故ならばその時はまだ来ていないから」

 加速していく悪寒を、照らしかき消すための明るい声。

「過去について考えるのは無駄だ、何故ならばその時はもう既に過ぎ去ってしまったからだぜ」

 昔師匠に言い聞かされた、勇気の出る格言。

「そして考えるのは常にイマという現在ッ! 腹が減っては戦はできぬ!」

 もはや怒鳴るような声になってしまった。
 それを自覚したとき、一気に言葉すべてが、ため息とともにしぼんだ。
 私はどこで道を誤ったのか。
 本来ならば道具店の店長の一人娘で、毎日おいしい物を山ほど食べられて、きっとそこは温室のような場所だっただろうに……。
 いや、違う。
 だからだ。
 温室のような場所だったからこそ、私はこの荒野を行くことを決意したのだ。

 さぁ、元気を出そう。
 私は負けてはいけないんだ。
 不断の努力を続け、あの眩い才能に手を伸ばす。
 星を掴むような物だけれど、心配はいらない。
 だって、はしごを重ね月に手を伸ばした奴もいるじゃないか。
 紙を二百回折って太陽に手を伸ばした奴だっている。
 ならば、魔法を用いて星に手を伸ばすなんて、なんだ、一番簡単じゃないか。
 甘えも、いいところだぜ。全く。

「いっただっきまーすっ!」

 そして私はきのこの繊維を噛み砕き始めた。





「魔理沙、あんた大丈夫?」
「ん? 何がだ?」

 翌日。いつものように神社で霊夢と会って、会話する。
 こたつにくるまったまま出てこない霊夢は、どうせ何も手入れとかしてないだろうに、つやつやと濡れ羽色の髪の毛をしていた。
 クソが。

「いや……異変ないしさ、お腹すかせてるみたいだしさ」

 別に同情をしているわけではないだろう。
 絶対唯一の個の彼女は、常に超然たりながら幻想郷を支配している。
 つまり、彼女が他人に同情などするわけがない。
 だから、私は特に同情されていると思い腹が立つこともなかった。
 同情されるのは嫌いだ。特に腹がたつこともないけど。
 ごろごろとした違和感を目に感じ、

「そういうお前こそ大丈夫なのかよ? 貧乏巫女」
「まあ、乞食っぽい感じで生き延びてるわ。蓄えもないわけじゃないし」
「趣味ないもんなあ、お前」
「ん……私は魔理沙を心配しているのだけれど」
「あ……? はは、なんだよ、お前らしくもない。お腹空いたのか? きのこ鍋でも奢ってやろーか?」
「要らないわよ、あんたの鍋、変なもん入ってるでしょーが」
「それも含めてきのこ鍋ってもんだ」
「全く。まあ、気をつけなさい」
「何が?」










「嫌な予感がするの」














 彼女は予感を一度も外したことがない。
 だが、私は自分に対して何も思い当たらなかった。
 せいぜい昨日きのこを食べたくらいか。
 そもそも、空腹で力が出ないから、最近一週間くらいは神社以外一日中家に閉じこもっている。
 ならばきのこなのだろうか。
 しかし、私は、自分で言うのもなんだがきのこについては一家言あるつもりだ。
 食用魔法用合わせれば、もう三千個はきのこを見分けてきた。

 そんなことを考えていると、私をとある症状が襲った。
 ……軽い吐き気。
 それを感じた瞬間、逆に私は安心した。
 なんだ、ただの食あたりか。
 霊夢の予感は、外さない代わりに、襲う悲劇の程度は予測できないらしいな。
 適当に嘔吐止めを魔法で処置してから、いつものように体を洗い、いつものように布団に入った。














 じゅうじゅうという焦げ音が聞こえた気がした。

「い、いえ、あが、あ、あ……ああああ!?」

 夜半にたたき起こされる。
 焼き尽くされる痛み。
 手の指の先が、陰核が、足の指の先が、鼻が、痛い痛いイタイ……!

「な、うぎええ、なこれ、なあああああ!?」

 こらえるため手をこすり合わせると、痛みがさらに加速する。
 鼻が痛すぎて、呼吸ができない。
 ぶんぶんと頭をかき混ぜたあと、耳も痛いことに気がついた。
 全身の末端が痛い。
 どくんどくんと焼け爛れ落ちていく指先を、切り落としたい。
 痛みを離そうとも、私を焼く焼けた鉄板は全世界。
 背中を丸めたり、逆にぴんと伸ばしたり。
 痛みを堪えるための努力は無駄に終わる。

「――――ゥ!?」

 声にならない。あまりの痛みで涙が溢れる。
 苦しみ藻掻く。
 助けを求めて手を伸ばして、そこには誰もいない。
 手をぎゅっと握りしめて、握りしめると痛いから、ほんの少しだけまるで赤ん坊がおぎゃあと泣くような手の形に

「ち、ちんつ、鎮痛魔法」

 痛みに耐えながら鎮痛魔法を詠唱する。
 それも私が知っている中で一番強烈なタイプの物。
 程度を間違えれば廃人になるような強力な奴。
 強力な奴。

「き、効か、効かっ、効かな、痛い、いた、あ、あああああああ!!!」

 頼れるはずの自分の魔法という手段を体に拒絶された気がした。
 痛い、痛い、助けて、助けられるのは魔法だけ、ならば魔法は何故聞かない。
 何度でも魔力を紡ぎ詠唱する。
 詠唱式を間違ったかもしれないと思い、いろいろ試す。
 そうすると逆に痛みが増すことすらあり、私は涙をぶわりと起こした。

「なんだこれぇ……なんなんだよこれェ……ッ!」

 痛い、痛い、痛い。
 収まることはないその痛み。
 私は自らを気絶させることによって痛みから逃げようとした。
 気絶魔法を詠唱……うう、まどろむ中に私の意識が埋没すれば、痛みは、痛い、痛い痛い痛いぃっ!
 気絶すら許されない痛みに私は戦慄した。
 ふざけるな、ふざけるな!
 私が何をした?
 ただ、平凡に、ささやかな努力をしながら、暮らしていただけじゃないか?
 神め、もしお前が存在するのなら、殺してやる、クソ、お前のせいなんだこの痛みは、痛い、ああ痛い、いたああああ……痛いいいいいいいいいいッ!
 ごめんなさい、ごめんなさい!
 神様を否定してから痛くなったのですよね!?
 私は貴方を尊敬しています!
 毎日祈りを捧げてこそいませんが、ずっと尊敬していました!
 だから助けろ、クソ、痛い、ああ、ああああああああ!
 そろそろ慣れろよ、この痛みに、痛さに慣れろ、クソ、なんで、痛い、痛い、痛いいいいいいいいいい、ずきんずきんが収まらない、それどころかこれはきっと、いつまでも痛いと感じられるならそれは、だんだんと、痛みが増して行っている!?
 イヤだ!
 イヤだ、そんなのイヤだ!
 痛みの極限値を越し、死ぬのはイヤだ!
 じわじわと永遠の苦痛が続くのもイヤだ!
 うう、あああああああああああああああああああああああ!
 助けて!
 誰か……助けて!!!!!




















「師匠、このキノコなんですが」

 永遠亭の一室、普段永琳がさまさまな雑務を行う部屋。
 近代的なデスク、永遠亭におよそそぐわないような洋室に、鈴仙はとある食物を持ち込み疑問点を質問しに来ていた。

「何? ……ああ、ドクササコ。それがどうかしたの?」
「いえ。原理が分からないので、ヒントだけでも頂けたらな、と」
「んー、実は私もまだ調べてないのよねぇ」

 驚愕する鈴仙。

「どうしたのよ、大げさな」
「いえ、師匠に分からない事があるなんて、と思いまして」
「まあ、調べれば分かるとは思うけど……ちょうど良い機会だし、自分で調べてみたら?」
「ん……結構調べたんですけどね」
「もうちょっと頑張りなさい。イラクサとか、単体だと全く関係ないような物質が二つ合わさるだけで、とても面白い効果を示してる物は自然界に山ほどあるから、そういう意味の鍛錬も悪く無いわ」
「師匠、私、頑張ります!」
「ええ、精進しなさい」

 言うと、永琳は机に視線を戻した。
 それは消えろという合図なので、鈴仙は黙って従った。
 まずは成分組成を正確に導きだしてからかなぁ、なんて考えながら。

「これを探せれば、私はほんの少しだけだけれど、師匠超えができる!?」

 最近、つまらない修行ばかりだったため、鈴仙は少しだけわくわくしていた。
 縁側から見上げる空には、ただ、青だけが広がっていた。
巫女が超然と描写されているのは魔理沙の主観だからです。
普段の僕もこんな感じですがそれ以上にやりました。ゆるせ。
可愛い可愛いゴミクズの魔理沙という単語は、共依存に陥った魔理沙のみに許される単語です。はぁぺろぺろ。
ゴミクズと気軽に呼称するゲロカスどもは皆死ねば良い。
死ね。
だいいち魔理沙の可愛さを描写すれば100kb程度で収まるわけがない。チルノの可愛さは1000kb要るけど、この十倍の差もまた魔理沙の可愛さ。
ぺろぺろっ!
ぼっろぼろのほつれた金髪、僕満足っ!
痛みの描写はとても難しい。というか、できてない。クリトリスぺろぺろ!いい加減きのこ中毒は食傷だと思う。
これ書くのに一時間かかった、あとがき書いてる今は射精してるみたいな感覚だけど投稿したら虚しさに包まれる、懐かしい強さを持つSS投稿サイトはオナホのようだね
飽きた
膝枕
作品情報
作品集:
24
投稿日時:
2011/02/13 06:09:11
更新日時:
2011/02/13 15:09:11
分類
霧雨魔理沙
1. 名無し ■2011/02/13 22:54:53
作者の変態め……(褒め言葉)
神様に縋ったり罵ったりする魔理沙がリアルだなと思った
共依存に陥る魔理沙かわいいよ だれか書いてくれないかなあ(チラ
2. 名無し ■2011/02/14 02:30:26
鉄鍋のジャンのマジックマッシュルームのスープを思い出した・・・
魔理沙も変なところで意地を張るから
3. 名無し ■2011/02/15 03:17:33
だからキノコには気をつけろとあれ程…
一ヶ月もすれば痛みは引くから頑張れよ魔理沙!
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