地獄の城 第三話

作品集: 24 投稿日時: 2011/03/08 20:13:37 更新日時: 2011/03/08 20:14:57
美しい絵の部屋の中で、

絵で無い、現実の場違いな僕たちが入ってきたのを、拒むかのように、

その大男は、こちらをじっと見つめている。

『……………お父様』

気まずそうに、主はその言葉を発した

『レミリア。その男は新しい召使か?』

そう、主の父がそう言った。

『…………そうよ』

しばらく間を空けて、舌打ちと同時に言葉を発した。

すると、男は急に態度を変えた

『男か!!あっははっはははあはは!!!良かったなぁ!!レミリア!!フランドール!!良かったなぁー!俺!!やっふぅー!!』

先程の重く、堅そうな男とは違い、陽気な態度になった。

しかも、僕はどうやら歓迎されているようだ。

だが、主は死ぬほど恥ずかしそうに顔を覆い隠した

『まずは自己紹介をしよう、お前の名前は?』

『……あ、はい。短期執事として働いている、森近霖之助と申します』

『短期と言わずに、もう一生世話してやってくれよ!!あ、俺の名前は”バロン・スカーレット”って言うんだ。よろしくな!!』

外見からは想像が全くできなかった、これほどのギャップの人物に出会ったのは初めてだ

バロンは、僕の肩に大きな手を回し、おおらかに笑った

『お前、外からの人間だろ?俺、外の世界って見た事ねえんだよ。もっと話しようぜぇ。』

『お父様!!少しは慎んでください!!』

『ええ。別にいいじゃねえか。俺、他人の男に出会ったのなんて久しぶりなんだからよぉ。』

もう、どちらが親か分からないほど、こいつは結構幼稚だった

『お父様!お久しぶりなんだから私とも遊んでよー!!』

『別に良いけど、お前暴れるからなー。もっと他の部屋に移動するときな。』

主の妹と、ほとんど精神年齢は同じのようだ

『お、そうだ霖之助。お前、絵に興味はあるか?』



この壁とか、床に描かれている、この絵の事だろうか。

西洋の絵だという事は分かるが、これは相当レベルが高い。

一つの作品に、ほとんどの描き込みがあり、描き終わるのに何年ほど掛ったのだろうか

『ええ、この壁や床に描かれている物とか、素晴らしい出来です。』

『召使!!おだてるのは止めなさい。ろくな事が無いわ』

主は、子供を叱るように、僕にも叱咤をした

『んじゃ、霖之助、お前ワインとか知ってるだろ?』

ワイン

酒の事だろう。どちらにせよ、酒は好物だった。

『ワイン以外の飲み物とか食い物とか、何か知らねぇか?』

ん?

ワインの話題では無かったのか?

『もう、ここ300年、ワインしか飲んでねえから、もっと他の奴を飲みたいんだよ。』

こいつは吸血鬼では無かったのだろうか。

外に出て、人間等の血をすすり、人肉を食うような生物ではないだろうか

『ならばお父様、外の出れば良かったのではなくて?』

『俺は、この地下城から出ると死んじまうんだよ』

言わせるな、と言うような態度を娘に取り、再び僕に目を向けた

『酒の種類ですか……、日本酒とか焼酎とか、ウイスキーとかなら知っていますが』

『もうアルコール取りたくないんだよ。マジ勘弁してくれ。他に美味いものとかあるだろ!?』

と言われても、僕は食べ物にはあまり興味が無いのだ。

そんな事を言われても、困る

『吸血鬼とかならば、人間の血とか人肉とか、そのような物は?』

バロンは、ため息をついて僕の肩を軽く二回ほど叩いた

『俺、ベジタリアンなんだ』

僕はその言葉に、吹き出しそうになった

自分の体が、分かりやすいくらい震えている

主は、顔も合わせられないくらいで、帽子を握り、下を俯き、

屈んで、しゃがんで、それはまるで防御をしているような体制だった。

主の顔が、分かるくらいに真っ赤になっている

主の妹は、ベジタリアンの意味が分からないらしく

防御の体勢になっている主を絵筆の柄の部分でつついていた

『そ………そうですねぇ………ならば…トマトスープとか、…他にきゅうりの漬物や、…スパゲッティ……等、…さまざまな物がありますが……』

僕は笑いをこらえるのに必死だった。

今は、笑えるような状況では無いはずなのに、なぜかこの男の言葉でほとんどがよく分からなくなった

『マジで!?野菜って調理出来る物だったの!?』

僕はすぐに部屋の隅に移動して、我慢していた笑いを吐きだした

腹が、ほとんど限界に近い

失礼に近いはずなのに、腹の奥底から笑いがこみ上げた

主は、腹では無く、恥ずかしさが限界らしく、顔がますます真っ赤になり、涙を流した

主の妹も、さすがにそれには驚いたらしく、顔を次第に真っ赤にさせていた

ようやく、笑いが収まり、落ち着きを取り戻した時、会話を再開した

『先程はご無礼、申し訳ございませんでした』

『いや良いよ、今日は勉強になったし』

しかし、ここまで年を食った男がここまで無知だと言う事は珍しい。

だが、それも頷けるような物が存在する

壁や床に描かれたこの絵には、限りない才能を感じるのだ。

天才と馬鹿は紙一重とは、このような事を言うのかもしれない

『お、と、う、さまぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!』

主が、顔を真っ赤にさせて、涙を流して怒っていた

『少しは慎めって言ったじゃない!!ふざけんじゃないわ!!うわぁああああああああああ!!!』

目を覆い隠し、倒れ、床を転げまわって泣き叫んでいた

主の妹は、ただその主をじっと見ていた。

『お父様、ビデオカメラある?』

『ああ。後ろのタンスの中に結構古いのが』

主の妹は、後ろに振り向き、タンスからビデオカメラを取り出し、転げまわって泣いている主にレンズを向けて

ピッと言う音をさせて、ただその主をじっと見ていた。

部屋に主の泣き叫ぶ声が響く、

バロンは、耳栓を耳に指して、僕の袖を掴んだ

『ちょっと、こっちに来てほしんだ』

バロンはそう言って、転げまわって泣いている娘をほっといて、

絵の中に存在する扉を開けて、奥に続く、絵が描かれた廊下を歩いていった。




進んで行くと、付きあたりに扉があった。

その扉も、彫り物がされていた。

その彫り物は、聖母が三人の赤子を抱いている物だった

扉のドアノブを握り、バロンは扉を開けた

部屋は、全体的には真っ白な空間だったが

真中には一つの大きな柱。

大きな真っ白な柱が立派に立っていた。

奥の壁に、一つの絵が描かれていた

その絵は、前の部屋に描かれていた絵よりも、質が上がっていた

一体、この絵はどのくらいの時間をかけたのだろうか

『まだ、この絵は未完成なんだけどね。』

バロンは自信満々にそう答えた

感想が欲しいのだろうか。

僕は、心に映ったものを、そのまま答えた

『おそらく、僕の住んでいたその町では、このような絵を描ける人は一人として居ないでしょう。色彩もほとんど完璧に近く、構図も完璧で、、発想も素晴らしいです。人間がこのような絵を描くのには、人間の寿命では足りないのではないでしょうか』

その絵は、一番上に白い髪の一人の少年天使が居て、下に二人の少女天使が、その下に居る多くの翼を生やした少女を黄泉の国に案内して、微笑みをかけている。一番下には、地獄と思わしき場所が存在し、

その地獄には、二人の男女が見上げて、手を振っていた

何より、描き込みが凄く、

これほどの天使を一つの壁、いやキャンパスに描くその精神は素晴らしい物だ。

だが、未完成と言えるのは、理由は分かった。

『ですが、やはり何かが足りません』

『だろうね』

何が足りないか。それは地獄に存在する男女の描き込みだ

男性の方は、もう完成されているのだが

女性の方は、あきらかに一つ足りない所がある

表情だ

この女性は、まだ表情が描かれて居ないのだ。

のっぺらぼうのような、何も描かれていなかった

目も、鼻も口も

『この女の人の表情がね、どう描けばいいか分かんないんだ。それが終われば、完成するはずなのに……』

男性は、優しく、温かい笑顔で見送っている

女性の顔だけ、なぜ思い浮かばないのだろうか

そう言えば、真中に描かれている多くの少女の天使達は、どれもどこかで見た事のある顔ばかりだった

それは、………よく分からない。

だが、霊夢は分かった。先程見た者だからだ。

恐らく、この男は何かを考えているのだろう。

だが、僕はあえてその事を口に出さなかった

『上に描かれている二人の少女は、娘達ですか?』

上に居る、蒼い髪の少女と黄色い髪の少女

『うんそうだよ。よく分かったね』

そして、上に描かれた少年は

『一番上の子供は、自分自身を表現しているのですか』

『いや、あれは俺の息子だ』

なるほど、年齢的に見て末っ子だろう

ん?息子?

『息子ってなんですか?』

『はっはっは。いやぁ一番年齢が下の息子なんだけど、これがまた、可愛いのなんのって、もう、パパーパパーってくっついてくるんだよ。おそらく、自分も永遠に離す事は無いだろうね。本当に俺の自慢の子供だよ。』

バロンは鼻から血を流しながらそう言った

瞬間、扉が大きく開く音がした

『お父様!!!』

主が、急な怖い形相で睨みつけていた

『私に!!私に弟が居たんですか!?全く聞いてないわよ!!』

どうやら主は、自分の弟の存在を知らなかったらしい

『そりゃぁ、産まれたのは100年前だしねぇ。』

十分すぎるほど長い時間だが

『お父様!?本当に私に弟が居たの……!?』

主の妹は、衝撃を受けたと共に、嬉しそうだった

自分の下に、さらに下の姉弟が居たからだろう。

主は、今まで知らなかった事に戸惑いを隠せないでいたが、

主の妹は、嬉しさで震えていて、期待の眼差しで笑顔でこちらを見ていた

『お父様!!弟はどこにいるの!?会いたいよ!!お父様!!』

『お父さんだって会いたいよ!!』

バロンは、そう大きな声で言った。

どういう事だろうか?

先程、ずっと離れたくない、くっついてくると言っていたが

『お父様!?この城のどこかに居るんでしょ!?一目でも良いよ!!お願い!!』

『無理だ。もう私も3年ほど見て居ないんだ』

バロンは悲しそうな声でそう言った

三年程

『何か、心当たりは無いんですか?』

僕はそう尋ねた。

だが、

『この城は、俺も把握してないほど大きい、いや、日に日に大きさを増しているんだ、いつの間にか部屋が変わっていたり、とかな。だから分からないのだよ』

バロンは、俯き、寂しそうな声でそう言った

主は、何も言えぬように下を俯いていた

主の妹は、それでもあきらめていない表情だった

『それじゃぁバロンさん。消えたその日の前の事を教えてくれませんか?何かが分かるかもしれません』

僕はそう言って、情報を集める事にした

少なくとも、主の弟を探す為では無く

幻想郷の失踪、そして少女たちがあのような姿になった事が、

何か分かるかもしれなかったからだ。

『……………』

バロンは、しばらく黙った後、また口を開かせた

『私は、どこに居るかは見当がついているのだ』












95年前

『パパー。パパー』

息子、俺の初めての息子

その息子の可愛さに、僕は泥酔していた

これ以上に、可愛い者は居るのだろうか。

いや、存在しないだろうな。

『はっはっはー。なんだい?ミルゴ』

変な名前だと思っているが、本名はミゴルエモと言う。

私の妻が考えた名前だが、あまりセンスを感じない

本当は私が付けたかったのだが、

『何の絵を描いてるのー?』

『ん?これか?』

今描いているのは、本で呼んだ外の世界の風景だ

『これはなー。この城の外の世界の風景なんだぞー。』

『え?外の世界って、こんなに緑色なの?』

花畑の絵を描いている為、まず最初に草原を描いているだけなのだが

まぁ大体は緑色だろう。

『ああ。とっても気持ちの良い世界なんだぞー』

自分が行った事がないのに、

まるで自分が行った事のある様な言葉だが

そう言うしかなかった。

『本当!?じゃあ僕も行ってみたい!!』

ミルゴは笑顔で、綺麗な眼差しで俺の足からよじ登って、

肩の所までがんばってよじ登っていた

そして、俺の首に、弱い力でしがみついていた。

『ああ、ミゴルが大きくなったら絶対に行こうな。』

きっと、俺はいつか外の世界へ外出できるようになっているはずだ

その時まで、この子を守っていけば、

きっと、見つかるはずだ

『約束だよ!』

そう言って、俺とミルゴは指切りをした

『パパ大好き!!』

幼い男の子の声が、僕の頭の中を癒した

『はっはっは。まいったなこりゃ。』

『旦那様、鼻血が出ています』

俺は反射的に後ろに振り向いた。

そこには、地の上に建つ城の人間のメイドが居た

『何の用だ?』

『今日もおり言って話に来ました。』

また、いつもの話か

『帰ってくれないか』

俺は、ちり紙で鼻血を拭きながら返事をした

『ミゴル様も、紅魔館で育てる必要があるかと思われるかと。』

『余計な御世話だ』

『それに、旦那様も、久々にお嬢様と対面したらいかがでしょうか?きっとお喜びになりますよ』

俺は、ミルゴの頭を撫でた後に答えた

『あの娘達は、もう俺を必要としないだろう、何を今さら会いに行く必要がある』

『そんな事はございません。お嬢様も父親の愛をもっと知る必要があると思います。それに、まだミルゴ様の事をお嬢様にまだ伝えて居ないのでしょう?』

『親の代わりになるように、お前が居るのだろう?この子は俺が育てる。それ以外の無駄話は続けん』

その後、そのメイドは話す相手を変えた

『お坊ちゃま。私と共に上の城に遊びに行きませんか?』

口調を変えて、そいつはミルゴに近づいた。

だが、ミルゴはそのメイドに話しかけるどころか、近づこうともしなかった。

俺の脚を壁にしてしがみつき、そのメイドを警戒していた。

やがて、メイドは諦めたようにため息を吐いた。

『やがては、旦那様は後悔する事になりますよ?』

『今、ようやく筆が走りだしたんだ。黙ってくれないか?』

俺は筆を動かしながら、そいつを追い返すように言った。

『失礼します』

と、そいつは去って行った。






絵を一段落終えた頃、

俺はミルゴと遊びに行く事にした

『パパ!!こっちこっち!!』

鬼ごっこというのだろうか、そういう追いかけっこの遊びをした。

相手は子供だ。息子だと言う事で手加減して走ろうとしたが。

迂闊だった。息子は恐らく家族の中で一番早いのだろう。

2秒で100M程の距離を移動した

このままでは、本当に離れ離れになる

いや、父親の威厳が無くなるのではないか

俺は、全速力で息子を追いかけた

笑顔で、笑い声も必死に出しながら追いかけた。

その姿は不気味に見えたのだろう。

妖精の召使は、皆叫びながら逃げていった

『ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!』

『あはははははははははははははははははははははははははは!!!待てよォォォ!!ミルゴォォォォォン!!』

『うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』

持っていた食器を落として割ってしまった召使も居た

47分程走り続けて、ようやく息子の姿が見えた。

そして、ミルゴンはついに行き止まりに捕まってしまった

『つーかまえた!!』

『うー!!負けちゃったー!!』

俺たちは、楽しくて笑った。

これが、父子の中で一番幸せの時なんだろうなぁ。そう思って笑った。

酸素、酸素が足りなかったが、笑った。

ほとんど酸欠状態に陥っているだろう。その時、

つきあたりに存在していた扉が開いた

そこから出てきたのは、

『バロンさん。あまり騒がしくしてもらっては困りますわ。』

見た目は、娘達とあまり変わらないが。

少なくとも、俺より2倍は年を食っている。

『ああ。ごめんごめん。』

『バロンさん。今日は来てくれますよね?』

『ん?何がだ?』

その女は、部屋の扉を指さしながら

『最近は、私が一人の時が多いような気がしますわ』

俺は、頭を掻きながら、返答に困った。

だが、すぐに答えを言った

『結婚してからかなりの年月が経つが、俺は君をまだ好きだよ。だけど、まだミルゴを一人で寝させるわけにはいかないよ』

そう言った後、妻は不機嫌になった

『上のメイドさんにまかせれば良いのではなくて?』

『頼んだのは君か。悪いけど、俺は上の娘に引き渡す気は無い。』

そう言って、俺はミルゴの手を握り、その場から去って行った。

『………………………』

その時から、妻に不穏な雰囲気が漂った








『その妻……て』

僕は、その女性について聞いてみた

『ああ、名前はブルーって言うんだけどね。』

『いえ、名前ではなく』

僕は、昨日拾った絵を取りだした

『この女性の事なんでしょうか?』

『ああ、懐かしいね』

『何かおかしいですよ。見た目が主と同じならば、どうしてこの絵は長身なのですか?』

『ああ、何もおかしくないよ。何故かブルーは見た目が幼いのを嫌がって、最初その絵を描いた時は怒られたから。このようになってしまっただけなんだ』

ああ。

僕はなんとなく納得した

だが、他にも気になる所がある。

母親の話をした瞬間、主と主の妹の雰囲気がおかしい

まるで、最初に出会った父親に出会った気まずさとは違く、

それは嫌悪しているかのだった








90年前

それは、毎日のようにあのメイドが私の部屋に毎日来るようになった。

内容は同じ、

『上の城に行かれたらどうですか?』

『余計な御世話だ』

毎回、そのような言葉の繰り返しを言って

あのメイドは同じように帰っていく

足音は、すぐに消えるようになった

毎回繰り返しているからか。速く歩くようになったのか

『誰とお話してたの?』

ミルゴは、俺の脚にしがみついて心配そうに見つめていた

『ああ、気にしなくても良いんだよ』

俺はそう言って、ミルゴの頭を撫でた。



そう言えば、最近、ブルーも美術作品を作るようになったらしい。

俺の作品と違って、それは立体の物だったらしい

『バロンさん』

幼い妻の声が、俺を呼んでいた

『完成しましたの。こちらに来てくれませんか?』

俺の作品は、作り終わるのに1年から最高10年かかるのだが、

妻の作る作品は、毎回5ヶ月から最高1年と、俺よりも早い物だった

だが、正直その趣味はあまり共感はできなかった。

美しいとは遠いような、化物を作っているような

『これよ。どうかしら?美しいでしょ?』

その作品も、あまり趣味が良いとは言えない

人間の顔に手足があり、

耳のある所に手、

首のある場所に脚があり、

目のある場所には犬の耳が生えていた

『ああ。良いんじゃないかな?』

そう言うと、ブルーは微笑んだ。

だが、その作品は生きているようで

時々うめき声をあげたり、歩き回ったりする

『ママー。これもパパの言うゲージュツって言う物なの?』

ミルゴがそう言うと、ブルーはただ微笑み、

ミルゴの頭を撫でた

それを見ると、俺は少しだけ嬉しくなった。

だが、ブルーがミルゴのお姉ちゃんに見えた







それが、ずっと数年前まで続き、

ブルーはずっとその作品を作るのにはげんでいた

作っては、必ず俺を呼んで感想を求めた

次第に慣れて、まともに感想をするようにもなった。

それが嬉しかったのか。ブルーは子供が無邪気に笑うように

嬉しそうな顔をして、さらに作品を作るようになった











そして、数年前

『ブルー!!!ミルゴをどこにやったんだぁぁぁぁぁぁ!!!』

昨日から、ミルゴの存在が消えていた。

心当たりがあったのだ。

昨日

ブルーはミルゴを連れて廊下を歩いていた

それが、最後に見たミルゴの姿だったからだ

『ブルー!!』

俺はブルーを見つけ出し、服を掴み上げた

『ミルゴはどこに行った!?どこに行ったんだ!!!』

どんだけ脅すように、責めるように言っても

ブルーは表情の一つも変えなかった

『バロン』

ブルーは、俺の口に手を突っ込んだ。

そして、すぐに引き抜いた

『ゴホッ!!ゴホッ!!』

何かを飲み込んだ。

何かを考えているうちに、睡魔が俺を襲った

『ブル…………』

そいつの名前を呼び、問い詰めようとしたが

その力はすぐに失なわれ、指を動かすことすらままならなかった

だが。聴力だけが動いた

『バロン、愛してるわ。愛してるから。』

ブルーの声が聞こえた

『もうしばらく時間を頂戴』












目を開けると、その場には誰も居なかった

『ブルー……?』

『何かしら?』

ブルーは後ろに居た

『俺に………何をした』

そう言った後、ブルーは俺の手を握った

『…………』

その冷たさに、俺は絶句した

『おい………どういう事だ?俺は死んだのか?』

ブルーにそう問うと、彼女は答えた

『違うわ。その逆と言う方が近いよ』

『どういう事だ?』

『貴方はただ3日ほど眠っていただけ。私は、その間に二人になったのよ』

言っている意味が分からなかった

『何を言っているんだ?』

『必要があったから二人になったの。私は、貴方に連絡やスキンシップをするためだけの存在』

どういう意味なのだろうか?

『目を凝らしなさい』

すでに、目は健全のはずだったが

ブルーをじっと見つめていると、そこには別の物が映った

あの、ブルーが一番気に入っていた作品だ

彼女が作った作品が、彼女の声を出し、僕と会話していた

頭はえぐれた腹の中に収まっており、首のある所は女性器の内臓が貼り付けられ、

腕は小腸と繋がって、足は無くなり、下半身がミミズのような生き物の物とされている

頭の方も、眼球が牛の男性器と思われる物が付けられている

なぜ、そのような物をブルーだと思い込んでいたんだ

『どういうつもりだ?』

『しばらくの間、貴方は私にもミゴにも会う事はできない。』

『何を企んでいる』

『しばらくが経った後、知りますよ』

そう言った後、作品に命を宿したブルーは去った

『待て!!』

すぐに追いかけ、扉を開けて右に曲がった所に目をやったが

そこには、誰も居なかった

それ以来、あの不気味な作品がちょくちょく話に来るくらいしか、

生物に会っていない










『………知っている事はそれで全部ですか』

『ええ。』

僕は、幻想郷の真実を知った。

あの廊下にも出てきた作品は、バロンの愛人だと言う事だ

主と、主の妹も絶句していた。

だが、主に関してはやはりかというような態度だった

『先程、その貴方が言っていた作品に会いました』

『そうか。』

『ですが、その者は亡くなってました』

『ならば、もう用は無くなったのだな』

幻想郷の少女失踪の真実

それが分かれば、あとはやる事は決まっている

その犯人、ブルーに会う事だ

『お父様…………』

主は、声を震わせながら問いた

『じゃぁ………じゃぁ咲夜が居なくなったのも、パチュリーが居なくなったのも、門番が居なくなったのも、小悪魔が居なくなったのも、幻想郷の少女が失踪したのも全てあの女が悪いのですね』

『それは分からないな』

意外な答えが返ってきた

『何故!?』

咲夜の遺体が見つかった時点で、完全にその女が犯人だと分かるはずだが

『ブルーもこの城から出られないんだ。月の光も太陽の光も浴びられぬ。浴びたら石になる。到底、あれ程の多くの強者を作品に改造したとは考えにくい』

城から出られない

何故

ならば何故、この場所に異形となった少女たちが存在するのか

『あ』

バロンが、口を開いた

何かを見たのだろうか

僕たちは、全員バロンの視線の先の方に振り向いた

その場所に、人が立っていた

『どこぞの店主さん、お久しぶりですね』

本を抱えた紫色の魔女は、

口元だけ微笑んだ後、この部屋から出て行った

『ちょっと待ちなさいよ!』

主がその紫色の魔女を追いかけた。

『ほっとけよ』

バロンが、忠告するように娘に言った

だが、主は足を止めずにそのまま走り続けた

『主!!』

離れては駄目と言ったのに

また離れては、何か恐ろしい事が起こるだろう

先程の話のように、咲夜が死体となったのだ

あの女の、何かが終了した

廊下を走り終わり、紫の魔女は扉を開けた

それに続き、主も紫の魔女を追いかけた

だが、距離は全く縮まらず、一定の距離を保っていた

そして、ついにこの絵の描かれた部屋から出て行った

『パチュリー!!』

紫の魔女は扉のすごそこに曲がり、主も曲がり、僕たちも曲がった

走っても、走っても距離が縮まらない

そして、次の曲がり角で曲がった時、ついにその魔女は居なくなった

『ふ………ふざけんじゃないわよ………』

また、咲夜と同じように見失ってしまったのだ

ここは迷宮なのか。

その曲がり角の奥には大きな間があった

舞踏会を開くための場所だろうか、真中にはパイプオルガンが存在した

『霖之助、あれ』

主の妹が、指を指した。

その間の真中に、一人少年が居た

その少年は、バロンが描いたあの少年と同じ顔をしていた

それで、僕たちは何かが分かった

『私の弟よ!!』

主の妹は嬉しそうに僕から離れて、その弟の方へ走って行った

『ねぇ!!ちょっとそこのお前!!』

少しだけ荒い口調になって、少年に近づいた

少年は動じず、ずっとその顔を見ていた

『はじめまして、かな。』

主の妹は、服装を整えて、仁王立ちをして少年を見下して

『私は貴方のお姉ちゃんよ。お姉ちゃんって言ってみなさい!!』

少年は、何も言わずにそのお姉ちゃんから離れて行った

『あっ!!ちょっと!』

主の妹は、弟を追いかけていった。

だが、しばらく追いかけた後、

その弟は、逃げるように体を徐々に薄くさせ

最後、透明人間になるかのように居なくなった

その光景を見た主の妹は、そのまま立ち止まって呆然としていた

『……………』

まるで狐に包まれた気分なのだろう

主の妹は、ただそのまま立ち止まったままだった

『あまり、動かない方がいいんだけどな』

後ろで、バロンの声が聞こえた。

すると、主の妹はすがりつくように、ゆっくりだが振り向いた。

『お父様!さっき………さっき居たんだけど………消えて……』

『さっきの魔女の事だろう?あれは亡霊だ』

その言葉を聞いた直後、また再び沈黙が流れた

『…………亡霊?』

『ああ、最近になって出るようになったが、どうせ捕まえられねえしすぐに消えちまうからほっとけ。話しかける事はできるがな』

バロンは誰の事を考えていないかのようにそう答えた

主は、それを知って、ショックを受けたのか膝から崩れた

主の妹は、先程の弟のその後を知って、泣きだしてしまった

だが、この男はまるで知らないかのようだった

自分の息子が、亡霊になっていると言う事に

『なんで、このような亡霊が出てきたんですか?』

『さぁー。そこに関してはおじさん知らないなぁー。』

そう言った後、バロンはその場で座りこんだ。

亡霊

そのような物が、何故出てくるようになった

先程見た、足に根が生えていない霊夢も、亡霊だったのか

だが、ならば何故、作品となった霊夢は僕に話しかけたりが出来たのか

『店主さん』

振り向くと、そこに早苗さんが居た

目玉に浸食されていない方の、早苗さんだった

『お久しぶりです。店主さん』

そう言って僕の方に駆け寄ってきた。

駆け寄って来ている途中で、早苗さんの姿は消えた

彼女も死んでいるのか

そのまま逃げてしまって、自殺してしまったのだろうか

それとも、霊夢の件のように何かが特殊なのだろうか。

それとも、法則なのだろうか

『あ―――!!店主!!』

後ろから声がした

振り向くと、あの霊夢に本を盗られた妖怪が居た

『今日こそあの本を返してもらうわよ!!』

その言葉を言い終える前に、彼女の姿は消えた

あまり聞きたく無い声だったので、そんなに喪失感は無かった

『霖之助』

今度は目の前から徐々に現れた

教育の仕事をしている、あの女性だ

確か僕と同じ半分妖怪だったような

『……………あのさ』

顔を俯いて、恥ずかしそうな様子だ

顔も、亡霊なのに赤くなっているような気がする

『あのさ……今だから言えるかもしれないけどさ………その』

彼女は、言いたい事を言う前に消えた

残念だ、何が言いたかったのか、僕に何の意見があるのか

あまり話した事が無い彼女からは、聞いてみたいと思ったからだ

『主』

僕は、主の元へ行こうと、その場から動いた

だが、どこを見渡しても主の姿は無かった

『主?』

主だけではない、主の妹も、先程まで泣いていたのに、今は泣き声さえも聞こえないのだ

先程、床に座り込んでいたバロンも、煙のように消えていた

『!?』

いつの間にか、僕一人になっていた

『主………レミリア!!フランドール!!バロン!!』

誰も、名前を呼んでも、その場所でその声が響くだけだった

主にとっては、僕に名前を呼ばれるのは不愉快で、主の術がこちらに飛んでもおかしくないのだが

その場所に存在したのは、ただの空虚感だった

『嘘だろ………』

いつの間にか、また皆が居なくなっている

この城は、迷宮どころではない

迷宮どころでは無い何かの理不尽が、存在している

すると、今度は目の前に霊夢が現れた

『霖之助さん』

霊夢は少し微笑み、

そして、徐々に透けていった

『霖之助さん。私達に会いに来てくれてありがとう。』

本当に嬉しそうな声をしていたが、悲しそうな表情をしていた。

少しだけ、泣きそうな表情だった

そして、完全に消えようとした時、霊夢の最後の言葉が聞こえた

『この場所から早く逃げて』
そういえば私、東方のBLのSS書こうと思って、資料に山川純一の作品が全部見れる場所見てきたら、

もう、レベルが違っていて創作意欲が喪失しました。
あれを超えるBLってそうそう無さそう。
有っても見ないけど
ND
作品情報
作品集:
24
投稿日時:
2011/03/08 20:13:37
更新日時:
2011/03/08 20:14:57
分類
霖之助
レミリア
フランドール
紅魔館
大長編
1. NutsIn先任曹長 ■2011/03/08 21:03:57
…一筋縄ではいかないですね、こりゃ。

スカーレット家の秘密とは?
考えてみれば、手練の異変解決人を含む、様々な種族の主要人物をヤッちまうことなんかできるのだろうか?

やれやれ…、弟君がらみで、私も大冒険せにゃならんようですね…。
2. 名無し ■2011/03/08 21:21:37
霊夢が可愛すぎて感動。
どうか皆に幸あらんことを。
3. 名無し ■2011/03/08 22:25:31
あれ・・・魔理沙が迷子・・・・・?

東方のBLてw霖之助が男たちに集団レイプされるとかしか思いつかんww
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