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『罪の価格 1』 作者: 名前がありません号

罪の価格 1

作品集: 25 投稿日時: 2011/03/13 18:31:55 更新日時: 2011/03/14 17:12:51
罪とは何か。

重さがあるのか。
価格が決まっているのか。
量が定まっているのか。



そんなこと分かるわけが無い。
罪の量を決めているのは、裁く側の裁量だ。

ただ、誰もがわかっている事はある。


罪を犯せば、罪が増える。
方法によっては、その罪を誰かに渡す事も出来る。
ただし、渡した罪が渡したその時より重くなっていることは。






罪が戻ってくるその時にしかわからない。




















「持ってくぜー!」
「待ちなさい! この泥棒ネズミぃ!」

今日も紅魔館の図書館にパチュリーの怒号が響く。
その後、げほ、ごほ、と咽るパチュリーに小悪魔が駆け寄ってくる。
この所、魔理沙の本強奪は悉く成功に終わっている。

あらゆるトラップを掻い潜り、パチュリーを嘲笑うように本を奪っていく。
無期限の借用は最早、強奪に等しいが魔理沙当人はこれっぽっちも気に掛けない。
日に日に減っていく本。
そして魔理沙のがさつさを知っているパチュリーとしては、本の事を考えると気が気ではなかった。

そして今日、また奪われる。
咽ながらも、逃げる魔理沙に呪いめいた言葉を吐きつける。

「次図書館にやってきたら、絶対ただじゃ済まさないわ……!」

それは背を向けて逃げる魔理沙が寒気を覚えるほどのものだった。














「流石にやりすぎたかな……?」

そう思うならばやらなければいい、などという言葉を聞き入れるような性質ではない魔理沙でも、
そう言ってしまうほどに、今回は寒気を覚えた。
今までは、なんのかんの言いつつも、パチュリーの寛大な心でお咎めがなかったものの、
次は本当に殺されるかもしれない。

とはいえ今回の魔法の研究には、絶対必要な本なのだからしょうがない。
と、魔理沙は自己弁護を済ませ、袋につめた本を探す。

「あ、あれ……?」

本が無い。
いや、あるにはあるが、お目当ての本だけ都合良く存在しない。
魔理沙は図書館での記憶を思い出す。
目的の本とついでに他の本を袋に詰めている時に、運悪く小悪魔と鉢合わせしたのだ。
その時、小悪魔を撒く際に本の一部をばらまいたのだ。
最近の小悪魔の粘着ぶりは魔理沙には脅威だった為、緊急に取った手段だったが、
ばらまく本を選んでいる余裕はなかった。

「おいおい……何やってんだよ、私」

これでは戻ってきても研究が進められない。
今回の研究は時間が決まっている。
特定の期日に、術式の準備諸々が必要なのだ。
今回進められないと、また半年近く先になってしまう。
妖怪なら悠長に待ってるだろうが、人間の魔理沙にそこまで悠長に待つつもりなど無い。

「とはいえなぁ……」

さすがにあのパチュリーを見た後では、魔理沙も尻込みする。
にとりに光学迷彩を借りて侵入した事もあったが、
最近になって熱源で反応する結界を作ったらしく、無効化された。

にとりの入れ知恵だった。
にとりが図書館に通ってる事までは魔理沙には読めなかった。

そうでなくても、最近の図書館は要塞化が進んでいる。
目に見えての変化は少ないが、あちらこちらトラップと特殊な結界が盛りだくさんである。
今回だって、実際かなり危なかったのだ。

「なんとか図書館に入る方法はないか……」

そもそも普通に借りるだけなら、何のお咎めも無いのだが、
その辺は頭の片隅においやっている。
素直に謝るという選択肢もなかった。
そもあのままだと、涙がかれるまで何をされるか分かったものではない。





そんな風に考えをめぐらせていると、コンコンと扉を叩く音が聞こえてきた。

「んー? 誰だ? こんなところまで……アリスか?」

とも思い、窓から覗くがアリスではない。
むしろ妙な奴が立っていた。

風貌は外来人のような独特の服装。きっちりした服装と言えばいいだろうか。
ただその上……頭の部分だけ、何故か白い袋のようなもので顔を覆っている。
息が出来るようにするためか、口元には小さな穴が開いている。
どう見ても胡散臭い。こっちの事を知っている上に、
どうやって魔法の森の中をここまで歩いてきたのか。
居留守を決め込もうと決めた魔理沙だったが、


「ごめんください。霧雨魔理沙様はいらっしゃいますか?
      何かお困りな事があるのではありませんか? 
               私ならお力になれますよ」


という言葉に、一瞬考えてしまう。
今現在の自分は八方塞がりだ。
研究はどうしても進めたい。しかしこのままパチュリーの元に行く事は出来ない。命の危険がある。

その男とも女とも知れない、
胡散臭い奴の手助けを借りようなどというのは、
どうかしていると自覚しながらも、

魔理沙はドアノブに手を掛けていた。


「ご心配なさらずに。必ずや貴女のお力になりますよ」


抑揚のない声で、眼前の人型はそう言った。

















魔理沙は今、図書館に居る。
パチュリーも小悪魔も、何もしてこない。
普通に本を読んでいる。
こちらの事を認識していないわけではない。
しかしこちらに明確な敵意を一切向けていない。

(昨日のことがまるで嘘みたいだぜ……)

あの胡散臭い奴の言うとおりになった事がいまだに信じられない魔理沙は、
昨日の会話を思い出す。











「改めましてこんにちは。私、こういうものです」

そういってスーツのポケットから名刺を取り出す。
その作業は速やかで、無駄が無い。
名刺には“罪袋”という言葉と、“山田太郎”という名前が書かれていた。

「あぁ、どうも……」

霧雨魔理沙は警戒しながらもそれを受け取る。
どうみても怪しい訪問者を招き入れるのだから、当然の反応ではある。

「なぁ、この罪袋ってのは何だ?」
「あぁ、それは私の所属している仕事場ですよ」
「ふぅん……」

変わった名前だ、と魔理沙は思う。
罪の袋。余りいい印象は受けない。
しかしそれよりも魔理沙には重視すべき事がある。

「なぁ、さっきの力になるってのは、本当なのか?」
「勿論でございます。貴女は酷く困っていらっしゃる
 ご友人と喧嘩をして、次来たら容赦はしない。
 しかし魔理沙様の目的の品は、そのご友人の所にしかない、と」
「……友達かはまぁ置いといて、気持ち悪いな……」
「あぁ、申し訳ございません。図星でいらっしゃいましたか?」

お前の事は全て知っている。
そんな様子で喋る山田太郎に、魔理沙は警戒感をさらに強める。
もしかしたらパチュリーが報復の為に用意した奴かもしれない。
そう思いエプロンの中のミニ八卦路に手を掛けようとして、

「そんなに敵意を向けずとも。私は貴女の味方ですよ?
 それにここで私を倒したところで貴女には何の得にもならない。
             私なら有効な方法を用意できますよ?」

何処までも見透かされているらしい。
ミニ八卦路から手を離し、再び山田太郎を見据える。
すると山田太郎は、鞄から紙とペンを取り出した。

「なんだこれ?」
「この紙に貴女がこれまでしてきた事をお書きください」
「は? してきた事ってなんだ?」
「おや。自覚していらっしゃらない?
 貴女がこれまで犯してきた罪をお書き下さいと言っているのです」
「……」
「貴女の犯した罪をこの紙に書けば、貴女の罪はこの紙に乗り移りますので」
「? それで何が変わるんだ?」
「少なくともご友人の貴女に対する認識は大分変わりますよ」

淡々と山田太郎は言う。
魔理沙の中で思い当たる罪といえば、図書館での盗みである。
魔理沙としてはそれを認めるのは、負けた気がして嫌なのだが、
背に腹は変えられない。
研究のことで頭がいっぱいの魔理沙は、その胡散臭い山田太郎の紙に、
“図書館で本を盗んだ”と書いた。
そして、紙を山田太郎に渡す。しばしそれを見つめると山田太郎は鞄に紙を入れる。

「……はい。確かに」
「えっと、私の名前とかはいらないのか?」
「ええ、必要ございません」
「そうか。これで本当に大丈夫なんだろうな?」

「勿論ですとも。“効果は絶大”ですよ。
 っと、そろそろ次の顧客の所に向かわなければなりません。
          私はこの辺で失礼させていただきます」

そういって、山田太郎は魔理沙の家を出ていく。

「って、おい帰り道……」

ふと思い出して魔理沙が戸を開けると、山田太郎の姿は何処にもなかった。

「……ま、いいか。ここに来たんだから帰り道も分かるよな」

そう言って、家の扉を閉める。
しかし、早まったかもしれないと今更のように後悔する。
そも何故あんな胡散臭い奴を招き入れてしまったのか。
幾ら研究のことで頭がいっぱいとはいえだ。

ともあれ、効果が出ているなら明日にでも図書館に行こう。
万が一、捕まって殺されたら山田太郎を一生呪ってやると心に決めながら。











意を決して図書館に向かうと、パチュリーが眠たげに魔理沙を見てこういった。

「何よ、またきたの?」
「あ、あぁ」
「何? そんなにびくびくして」
「いやぁ、昨日色々あったしさ……」
「昨日? あぁ。貴女が本を奪っていったわね」

昨日の記憶はあるらしい。
しかしパチュリーからは明らかに昨日の呪いと怒りに満ちた気配は感じられない。

「普通に借りて返すだけなら私も怒らないのだから。あと本をばらまかない事。いいわね?」
「あ、あぁ……わかったぜ」

山田太郎の言うとおり、効果は絶大だった。
パチュリーは眠たげに、近場の本を読み始めた。
しばらくすると小悪魔が現れて、魔理沙の方を見るなり近寄っていき、

「本、投げないでくださいね」
「き、気をつけるぜ……」

小悪魔はめっ、と指差しながらそういうと、パチュリーの為にコーヒーを入れにいく。
あまりの変化に魔理沙自身、どっと疲労感を覚えながらも、
パチュリーに目的の本を借りる旨を伝えた。
これで研究が再開できると魔理沙は、内心小躍りした。
続く

※追記
タイトルに数字追加
何処まで続くかは分かりません。
名前がありません号
作品情報
作品集:
25
投稿日時:
2011/03/13 18:31:55
更新日時:
2011/03/14 17:12:51
分類
魔理沙
罪袋
1. 名無し ■2011/03/14 03:35:53
いきなりの変色に焦った
2. NutsIn先任曹長 ■2011/03/14 07:53:35
どういうオチがつくかと思ったら、続き物ですか。
続きは、さぞや『因果応報』という言葉を絵に書いて額縁に飾ったような話でしょうね。
3. 名無し ■2011/03/14 08:07:59
コメントがブラインドナイトバード
4. ■2011/03/14 14:25:40
人の物盗みまくってる者に似合う死にざまを希望
5. 名無し ■2011/03/15 00:34:06
(展開も感想も)読めないww
6. 名無し ■2011/03/15 01:54:13
ぉお、連載楽しみ!"魔理沙さん"を読んでから、不快のジャンルに魅せられました。
どんな風に汚すのか期待して待ってます〜
7. 穀潰し ■2011/03/17 01:43:11
因果応報と聞いて
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