キスの練習

作品集: 25 投稿日時: 2011/04/13 00:40:44 更新日時: 2011/04/13 14:03:23
──私、彼氏できたの
日差しが強くなり始めた初夏の日に、霊夢はつぶやいた。

私が入り込む余地など、初めから無かったのだ。





鬱屈とした連日の梅雨が名残惜しくなるほどのかんかん照りの一日。暑さで指一本すら動く気になれなくなった私は、気紛れと暑さしのぎ半分で霊夢の淹れる冷たいお茶をたかるため神社に訪れていた。ずかずかと社殿に上がり、涼しい影になっている縁側に座り込むと
「霊夢の家は私の家でもあるだろう?」
当然のように言い放った。ため息をついた霊夢は苦笑して迎え入れてくれたが、取り立て話題もなかった私たちの会話は続くはずもなく、だんだんと口数が途切れ、蝉の鳴き声だけが騒がしく響いていた。

「魔理沙、そういえばね」
霊夢が何か言ったけれど、耳から耳へ通り過ぎていた。私はごろごろと寝っ転がって、影になっている床の板張りに頬を寄せる。冷たい。硬い床の気持ちよさがひんやりと伝わって来る。
「ねえ魔理沙ったら」
陽が差し込む縁側に座っていた霊夢は体を捻って私を見ていた。よくまあ日差し受けていられるね、という感心は纏わりつく暑気ですぐ頭から離れた。霊夢より、生温くなり始めた床板の方が気がかりだった。顔をずらし、新しい面に頬を付ける。ぺったりと張り付いたとき、んんっと嘆息して私は目を閉じた。未開の大地を荒らしている感覚、品の無いフレッシュな錯覚がとても心地良い。

「告白してきちゃった」

「あ、そう。お前でも誰かに懺悔するのか」
「違うわよ」
霊夢は湯呑みを置き、首を振った。
「金欠でも訴えて、賽銭無心してきたとか?」
気だるそうに口を動かす私をおかしく思ったのか、
「もう」
と、霊夢はくすっと眉尻を下げた。
「魔理沙ぁ」
妙に色気づいた声色だった。聞き慣れない声に振り向いた私が見たのは、両手を床に付け、四つん這いになった霊夢だった。ぺた、ぺたぺたっと膝小僧が擦れる湿った音を立てながら、
「ねえ」
どさっと、横たわった。私と同じように行儀悪く床板に頬を付けて、瞳をじっと覗き込んでくる。私は鼓動がどきりと鳴った。霊夢が頬を付けている場所は、さっき私の頬が触っていた場所だった。垂れ下がった幾筋かの黒髪が、汗の浮いたこめかみに張り付いているのが見える。霊夢の頬が触れている床板と浮きあがった彼女の額の汗粒を眺めながら
「な、何だよ」

どうしたのだろう。霊夢は何か言葉を選んでいるような気がする。神社に私が着いた時から、そわそわ、しているというか──落ち着きがない感じだ。そして、何か言いたそうにずっと私を見詰めている霊夢。彼女の考えが掴めず困った。ただ“告白した”と言ってそれから何も詳しい事を話さないから、言葉の返しようがない。熱っぽい空気の中で、浮いたような蝉の声だけが耳に響く。視線に耐え切れず、霊夢から目をそらしたとき


「好きな人ができて」

頬を赤らめた霊夢がつぶやいた。体がびくりと震えた。
「私、彼氏ができたの」
思いがけない霊夢の言葉に
「彼氏って、お前」
目を丸くして霊夢に迫ろうとした時、
「ねえ! 魔理沙。お願いがあるの。こんなこと魔理沙にしか頼めない」
大きな瞳をぱちぱちと瞬きながら私の言葉を遮って霊夢は懇願するように言った。

いつの間にか、私の小指は霊夢の指に絡め取られていた。体温で熱くなった床板の温度がじっとりと頬に及ぶ。隣にいる紅潮した霊夢の体温が伝わっているのではないかと錯覚しそうなくらい体が火照りを訴えていた。
「あの人のために、キスの、練習がしたいの」
恥じらいを含んだ言い方に耳を奪われていると、一瞬の間を開けて霊夢は私の顔に唇を寄せてきた。汗ばんだ鼻っ柱が触れ合い、生温かい吐息の香りを感じた時、
「ちょ待っ」
急いで霊夢の肩を掴んだ。
「んん?」
とろりと瞼の下がった霊夢は聞き返した。
「な、何なんだよ──彼氏が出来たって。いきなり過ぎて」
私はぱっと起き上って霊夢に背を向けた。

──もう少しだったのに
横目で振り返ると、霊夢はそんな表情で口惜しそうに唇を尖らしていた。

せわしなくきょろきょろと私の目線は揺らいだ。霊夢がキスを迫ってきたことより、
──相手は? それにいつから? なんで……全然知らなかった
“彼氏が出来た”事に混乱していた。心の動揺が隠せずそわそわ、落ち着かない私の姿にどうしたのよ? と言った表情で霊夢は目をぱちくりさせていた。私は何も言葉が浮かばない。そんな私を見てふっと嘆息したあと、
「馴れ初めはね──」
と霊夢は思い浮かべるように天を見上げぽつりぽつりと話し始めた。


出会いから告白まで話している間、霊夢は徐々に興奮気味になって
「ほら見て、この髪飾り。交際一週間の記念だからって──ふふふ、ええ、そうね。あの人でも結構気の早い所があるのかも」
と幸せそうに目尻を垂れた。さっきからちらちら霊夢が見せびらかしている髪留め。丹念に縫い付けられた刺繍の意匠で霊夢の彼氏が分かった。

──ああ、あいつか。人里で服飾を営んでいる、あまり目立たないあの若い男か。

片手で数えるほどだが、私も彼の店に入ったことがある。繁盛している様子はなかった。特に記憶に残っているのは、えらく親切で物腰柔らかに接客されたとことぐらい。まあ、顔立ちはそれなりに良かったか。

──そういえば霊夢はよくその店に行ってたっけ

確かに霊夢とその男が親しげに話しているのを見たことがある。店主と常連の間柄だと思って気に掛けなかったが、霊夢の話を聞くとそれ以前から好意を抱いていたらしい。

「それでね、魔理沙」
らんらんと目を輝かせ
「好き、付き合って下さいって。自分から言ったの。生まれて一番どきどきしたかも」
霊夢は頬を染めながら言った。

──ああ、そうかい。私との弾幕勝負よりも胸が高鳴ったかい。

霊夢の事だから、どっちかと言うと金持ちか不良な奴に惚れ込むタイプだと考えていたが、まさかあの大人しそうな奴を好きになったとは。

──なんで? 霊夢。どうして“男”なんかに
心の中はずっともやもやしっ放しだった。仲の良い霊夢がこんなに喜んでいるのだから、私は彼女を祝うべきなのだろう。でもそんな感情はちっとも起らなかった。形だけの笑顔を張り付かせているが、霊夢の嬉しそうな表情を見るたびに、彼女と正反対の感情が沸き上がった。

「そう、だったんだ。あの服屋の人だろ」
馴れ初めを聞いてから初めて私は喋った。ええ、にっこりと返事した霊夢に
「良かったな──いい男じゃん」
本心と真逆のことを言った。
「でもさ、何て言うか、物静かっていうか大人しそうな感じっていうか。お前の好みに合わない感じするけど」
「私の好みをどう思っているのかしら、魔理沙は?」
霊夢は聞き返してきた。余裕ぶった口調だった。
「金持ち」
「まあ、越したことはないけど」
「あとな──」
私は瞼を閉じて少し考える振りを霊夢に見せた後
「口が悪いひねくれ者。いつもお前の所に遊びに来る、楽観的だけど影で努力している頑張屋──そんな奴がタイプだと思ってた」
霊夢を見詰めながらつぶやいた。
──なに言ってるんだ、私は
ばつが悪くなって視線を反らした。霊夢はきょとんと目を丸くした後、くすくすと手を口に当てながら
「何それ? ふふ。まるで誰かさんみたい」
ちらりと私の瞳を覗き込んで言葉を紡いだ。私は押し黙っていると霊夢はまた笑い始めた。

「まあ私の好みは置いておいて。魔理沙の言った通り、私の彼氏、思った以上に奥手な人なの。一緒に出掛けても、手を繋ぐことすら苦労するのよ。」
霊夢は
「夜に無理やり押し掛けて、彼の家に泊まった時だって別々の布団で寝たんだから」
と、ため息をつきながら話した。

一緒に出掛けたというくだりから、私は気が遠くなった。霊夢が男と親しくしている姿なんて想像したくない。霊夢のしぐさや表情はまさに恋する乙女そのものだった。今私と喋っているのに、心ここにあらずと感じでぼんやり天を仰いでいる。彼氏の事で頭がいっぱいなんだ。頭が悪酔いしたみたいにぐらぐらしている。言葉も浮かばないから適当な相槌しか返せない。

「もっと深い関係を持ちたい」
と再び霊夢は私に迫って来た。
「だからね、魔理沙。キスの練習がしたいの。明日も彼に会うから」

虚ろな表情の私の事など気にも留めていない様子だった。


「本当にやるのか?」
「魔理沙しかいないの」
私は縁側に隣接した廊下の柱に寄り掛かって座っていた。その真横に霊夢が座ると
「いい? 魔理沙は私の彼氏になって」
と言った。
「か、彼氏?」
私はあわてて聞き返すと
「役作りよ。演じるの」

──霊夢の唇がこ、こんなに近くに

すっと近づいてきた霊夢を薄眼で見詰める。私の顎に霊夢は両手を添えた

「最初のキスだから軽く、少しだけ──んっちゅ」
熱い吐息がこそばゆく肌をくすぐった。霊夢の呼吸が乱れているのを感じた時には
「霊夢、んん──」
湿ってぷるぷるとした柔らかい霊夢の体温が伝わっていた。触れ合ってから少しも動けず、互いの鼻息だけ聞こえていた。体が重なり合った所が火照って

──熱い、熱くて息が苦しい
汗が止まらない。霊夢も同じだ。ぬるぬると肌と肌が滑り合っている。

「ふぅ」
短く息を吐いた霊夢はゆっくりと唇を離した。私の呼吸は全力疾走した後みたく、激しく乱れていた。霊夢は何か得心したように微笑むと
「ちゅっ、んん。ちゅ、ちゅ」
ついばむようなキスを繰り返した。霊夢は私を柱に押し付けて強引に何度も何度も迫った。唇の感触を確かめている感じがあった。息をする間もなく、私は体が強張って身動きできなかった。

「魔理沙の唇──柔らかい」
霊夢は言った。
「あの人の唇も、こんな感じなのかな」
うっとりと満足そうな顔を霊夢は浮かべた。
「ありがとう、魔理沙。明日頑張ってみる」
その言葉に熱くなった頭が冷めていく。昂ぶっていた感情がみるみるうちに嫉妬に変わっていくのが自分でもわかる。

「私とキスしていたのに、彼氏を想像していたのか」
霊夢に聞こえないくらい小さな声で言った。

──嫌だ。霊夢の唇が男に……絶対に嫌だ


「待てよ霊夢」
離れようとする霊夢の腕を掴んだ。我慢ならなかった。霊夢の唇を、果実のように弾ける感触を、鼻をくすぐる唾液の残り香を奪われてしまうなんて。しかもそれが霊夢と知り合って月日も経たない男に。
「逆にキスされるなんて考えてなかったか?」

──私は幼いころから霊夢を知っているんだ

「私は霊夢の彼氏なんだろう“今は”」

──あんな男より、私の方が。私の方が霊夢の事を

「私が彼氏なら──」
離れようとした霊夢を引き寄せた。何をしようとしているのか分かっていないらしく、霊夢は首をかしげてこっちを見ていた。
「きっとこうするぜ」
「え、え! はむぅ、んんん!」
唇を覆い被せるようにして霊夢の口に吸い付いた。触れ合うだけの軽いキスでは済まさない。生唾を霊夢の唇をびちゃっびちゃっと塗り付けた。
「はあんむちゅう、ま、魔理沙、んん! ちゅっちゅ──」
顔を引こうとしたから、片手で霊夢の頭を抱き離れさせなくした。霊夢のうなじに手を回す。指先に伝わる彼女の体温は過剰に熱かったから、霊夢も相当興奮しているんだと思った。

「はあ、はあ。霊夢。ほら、口開けろよ」
「魔理沙、こんな」
霊夢は顎を引いて口を遠ざけた。額同士がこつりと当たった。
「もっと彼氏と仲良くなりたいんだろう?」
「でも」
涙の溜まった上目遣いで眉をハの字に下げている霊夢を見ていると
「あんな軽いキスだけで良いと思うか、霊夢? だよな? 満足する訳ないよな?」
霊夢を自分のものにしているという所持欲が芽生え、自分でも不思議なくらいえらく饒舌に言葉が出てくる。

霊夢は目を反らした。考え込んでいるようだった。
「魔理沙の言う通り──かも」
そのつぶやきを聞いて私はくくっと、喉の奥を鳴らして笑った。
「優しくして、ね」
顔を上げ口を半開きにして目を閉じた。薄暗い口内に見える桃色の粘膜が私の舌を受け入れる。そう思うと辛抱たまらなかった。私は再び唇に吸い付くと、迷わず霊夢の口内に舌を入れた。
──ちゃぷ、ちゅううう、ちゅぴちゅぷ
霊夢の舌はとても熱かった。熟れた果肉みたく、じゅくじゅくに唾が溜まっていて、柔い舌の肉同士が融け粘着質な水音を出した。霊夢は私の舌の動きを受け入れ、控えめに舌を動かしていた。
「んんん、ちゅうっちゅう」
調子づいて私はもっと舌を暴れさせた。霊夢の唾の味を忘れないように、糸切り歯の先や舌の裏側のつるつるした粘膜にも舌先を突っ込んだ。霊夢は眉尻を下げ、動き回る舌を必死に耐えているようだった。


夢なのか、現実なのか。夏の暑い空気と、熱っぽい霊夢の体温に当てられ、頭がくらくらして区別がつかない中、はっきりと意識していたのは、もうこんなことはできない心残りと

──霊夢の彼氏は、こんなこと当たり前にできるようになるのか

霊夢のキスを享受できる、彼女の彼氏に対する途方もない妬みだった。

「んんん──ちゅ」
霊夢が私の肩に手を回してきた。小声で何か言っている。妙に艶っぽいその言動を良く聞くと
「──さん、好き……」
霊夢は彼氏の名前を呼びながら、おずおずと舌を絡ませた。

「霊夢っ!!!」
私の理性は吹き飛んだ。膝をつき、そのまま硬い廊下の上に霊夢を押し倒すと
「んんっんんん!」
無意識に霊夢の下半身に跨って、抵抗を抑えようとしていた。
「ちょ、まり、さっ! んむうう!」
顔を背け私から逃れようとする霊夢の片手を指で絡め付け、再び唇を奪った。自分の唾液を流し込んで無理やり飲ませようと、伸びる限り舌を突っ込ませた。
「はあ、はあ。霊夢──大人しく、しろよ」
「いや、魔理沙──やめ」
頭を振るたびに口が離れ、唾液が口の端からこぼれて霊夢の髪や服を汚したが気にもならない。霊夢が暴れて体が床や戸板にぶつかり、物々しい音を立てる中

「お前の事、ずっと好きだったんだ」
目を剥いて、私は心の底を吐き出した。
「どうしてだよ霊夢──なんであんな男なんかに」
「いや!」
霊夢が小さく悲鳴を上げたが、私の自制心は働くことはなかった。巫女服のノースリーブから手を突っ込んで霊夢の胸元を狂ったようにまさぐっていた。下着の感触は無かった。サラシを薄く巻いているだけ。それが分かった私は小さな突起を布越しにつまんだ。霊夢は体をよじらせ
「魔理、沙ぁ──」
吐息を漏らした霊夢の唇をもう一度塞いだ私は、サラシの隙間から指を差し入れ、霊夢の大きな乳房を掴もうと──

「痛っ!」
顔が歪むほどの鋭い痛みが舌先に走った。反射的に霊夢から離れ、彼女を見ると
「はあ、はあ──霊夢」
全身総毛立った。あからさまに蔑んだ目で私は見られていた。

「ご、ごめんなさい魔理沙!──大丈夫?」
霊夢ははっと表情を変え、心配そうな声を出した。焼鏝(ごて)押し付けられたようなじくじくした熱さが舌先にあった。
「あ、ああ」
舌を口内に押し付けると、先の方が二つに割れていた。噛み付かれたんだと、鉄臭い、血の味で自覚した。
「血が──魔理沙」
唇に血が付いていたのか。霊夢は立ちあがって私の手を取った。

部屋の奥に行くまで、霊夢は何度も何度も何度も口を拭っていた。


「ん」
口を開けるよう霊夢は顎で指図した。塗られた軟膏の苦みが口内に広がる。気まずい空気がぴんと張り詰めて、私は一言も喋れない。口の中がぱさぱさに乾く。背中の汗が冷え切って、夏なのに寒気を感じた。背を向けて膏薬を箱にしまおうとしていた霊夢に私は恐る恐る話しかけた。
「──なあ霊夢。さっきは悪かった。お前の事」
「私が好きって本当なの」
私の喋りを霊夢は遮った。言葉に詰まって、こくりと頷くことしかできない。それを見た霊夢は少し押し黙った後に

「ごめんなさい、無理」

私の目を避け、壁に向かってつぶやくように言った。私は必死に言葉を探した。霊夢に嫌われたくない一心だった。キスをしている間、もしかしたら今の彼氏と別れて、私と添い遂げてくれるのではないかという根拠の無い身勝手な自信があった。
「で、でも霊夢!」
私は食い下がった。しつこいと言われても構わない思いだった。霊夢からキスを誘われたから、原因は霊夢にあるかもしれない。でも無理やり押し倒したのは私だ。悪いのは私だけど、霊夢が取られるなんて嫌だったんだ! 男なんかに、男の所なんかに霊夢が行ってしまうなんて許せなかった! だから!


「私は本当に! 誰よりもお前の事!」
「やめてよっ! 気持ち悪い」


声を張り上げた霊夢に私は硬直した。
「魔理沙が、私を好きだったなんて──」
うつむきながら話す霊夢を見て耳を塞ぎたくなった。





「私、同性愛とか考えられないから」






夕日が沈み暗くなった境内。無言で私は神社に背を向けた。霊夢に気付かれないよう一人で神社を後にしようと思っていた。
「待って魔理沙!」
霊夢が小走りで私の所に来た。
──見送りに来てくれた
沈んでいた心が少しだけ晴れた。霊夢ともう話もできないと思っていたから。
「今日はありがとう。魔理沙。私に付き合ってくれて」
私からの告白など微塵も気に掛けていない笑顔があった。
「私のこと好きだっていうのは、嬉しかったよ──もちろん友達の意味でね」
そう言うと霊夢は私の袖をぎゅっと掴んだ。私の体を引っ張りながら霊夢は



「ねえ、魔理沙ぁ──また、今度も、相談──乗ってくれるよね?」

──よしてくれ霊夢。そんな目で見られたら私は──私はまた



霊夢は私の顔を下から覗き込み、ねだるような視線を再び送っていた。
返す言葉が出なかった。






いつか、きっと、霊夢と一緒になる日をずっと夢見てきたのに。
私の思いはどうすればいいのだ。

見てしまったんだ。霊夢が彼氏と唇を合わせているところを。

どうして彼氏とのキスを見ようとしたのか自分でも分からない。出所不明の欲求が沸き上がって、気がつけば私は、物陰から逢瀬を、目に焼き付けていた。

体を彼氏に押し付けて舌を絡ませ合っていた。私が霊夢にしたように、何度も何度も口を開いて唇をあてがっていた。彼氏も呼応して、霊夢の口に舌を入れていた。それを見ている間、無意識に霊夢に噛まれた舌の傷を自分で何度も噛んでいた。再び出血して鉄の味が広がったが構わなかった。鈍い痛みは、甘辛い心地良さに変わっていた。
魔理沙、来てくれたんだ。うん、またお願いがあるの。
やっぱり、こんなこと魔理沙にしか頼めない。
え? 当たり前じゃない。私の彼のためよ。


また“練習”がしたいの。今度の練習はね──
狂い
作品情報
作品集:
25
投稿日時:
2011/04/13 00:40:44
更新日時:
2011/04/13 14:03:23
分類
魔理沙
クズ霊夢
キス
彼氏
1. 名無し ■2011/04/13 01:02:53
新ジャンル「寝取らせ」ですね。
2. pnp ■2011/04/13 07:31:12
こういう霊夢も悪くないかもしれない
3. NutsIn先任曹長 ■2011/04/13 11:17:51
魔理沙ぁ、とかいわれたら、そら、理性はぶっ飛びますわな。
私がそんな鼻にかかったような声で名前を呼ばれたら、弾幕ごっこのアグレッサーだってやりますよ!!
『こんなこと』の練習台である魔理沙は、東側諸国の戦闘機に見立てた旧式機みたいなもんか。
4. 名無し ■2011/04/14 13:14:45
なにこの霊夢かわいい!!
計算とかじゃなく無神経でもなく、ナチュラルに狂ってる感が最高。
あとエロい、キスしてるだけなのにすげぇエロい。
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