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『東方奇黒球 ~ mission1』 作者: ヨーグルト

東方奇黒球 ~ mission1

作品集: 26 投稿日時: 2011/05/03 02:27:39 更新日時: 2011/05/04 09:57:05
*注意事項*
本作品は東方Projectの二次創作であり、GANTZとのコラボものです。
そういったものが嫌いな方や苦手な方は、このシリーズをスルーするか、ブラウザバックする事をお勧めします。
なおこの作品には「GANTZ」のネタバレ、及びシリーズ後半には「GANTZ PERFECT ANSWER」などの、原作版と映画版のネタバレが含まれます。
前編と後編を未視聴の方はこのシリーズを見ないことを推奨致します。
それでも大丈夫な方は、このままご自由にどうぞ。
なお、この作品シリーズの上では、ガンツの設定を東京に合わせているので、多少の間違いはご了承ください。
それに加え、戦闘シーンは一部オリジナルです。


~
 MISSION1
~

「うわあああぁぁぁああぁあああぁぁぁぁぁっっっ!!!」

魔理沙は目を覚ますなり、大声を上げた。

「……は、はあぁ?」

理解ができなかった。
自分自身はついさっき襲われて、意識は薄れ、死んだはず。
しかし今はこうして息をし、腕も足も正常に動いていて、それとなく目立った異常はない。

そもそも生きている事自体が異常であった。

魔理沙は周りを見回す。

「……」

気づいた事が幾つか。
まず一つ目、自分自身は今、見た事も無い部屋に居て、何故か生きている。
二つ目、他にも誰かが居た。

「魔理沙……?」

窓側の壁に寄りかかっていたのが話しかけてきた。

「にと、り……」
「あんたも死んだか」

話しかけたのは河童の河城にとり、妖怪の山のどこかにある工房に住まう妖怪。
他にも知っている顔の妖怪が何名か。

「後ろを見て見なよ」
「あ?」

にとりに言われるなり、魔理沙は後ろを振り向いた。
そこには真っ黒な球体、幻想郷には存在し得ない、綺麗で玉を描くフォルムではあったが、反対に奇怪な存在を放っていた。
表面は黒光りしていて、とても、この世のものとは思えなかった。

「にとり、もか?」
『あんたもその玉から出てきたんだよ』

他の声がする。
魔理沙は声のした方向に顔を向け、その声の主の話に耳を傾けた。

声の主はチルノ、霧の湖周辺に住んで居ると言われている氷精。

「何でお前が?」
「あたいもよくわからないよ。 変な奴らに襲われて、何かされたとこまでしか覚えてないの」
「あっ……私もだ」
『やっぱり?』

また、別の声。

リグルだった。

「私も変な奴らに襲われた」
「じゃあここに居る皆も、謎の集団に襲われて、こんな所に居るのか……?」
「まだ皆が事情を話したわけじゃないから、皆が皆、そうではないと思うよ」
「そうか」

他に、この部屋に居る面子は誰なのかを、魔理沙は確認する。

にとりとチルノ、それに加えてリグルは確認した。
その三人は並ぶようになっていたから確認は簡単であった。そこから隣に顔を回すだけ。
見られる順に小悪魔、パルスィ、霖之助、萃香、早苗、ナズーリン。

「これって、何なんですか?」
「説明を……!」

小悪魔とパルスィはにとりに迫り、今起きている事を事細かに説明するように要求する。
しかしにとりは動じない。

「あのぁ、私はあんたらより前からこんな事を経験してるから」
「それは」

二人を押しのけて、霖之助が前に出た。

「お前さんは、この状況がどういう事か知っているのかい?」
「ま、知ってるよ」
「だったら皆に説明ぐらい」
「これから判るよ、それくらい。 説明した所で対処はできないでしょ」

萃香は話に興味があるのかどうかは分からないが、顔だけは魔理沙達の方に向けていた。

「開きませんね、ドアも窓も」

早苗は部屋の入り口の方から戻ってきた。

「そんなところなのか」
「出られないよ、まだ」
「おいにとり……何だか知らねえが、この事を知ってるんならどうすればいいか教えろよ」
「それは今はどうでもいいって……」

その瞬間、魔理沙達の居る部屋に聞き覚えがあるような無いような曲が響き渡った。

『あーたーらしーいーあーさがきたっ、きーぼーおのーあーさーだ』

「……」

部屋中の、詳しく言えばにとり以外の部屋中の視線が、部屋の中心にある黒球に注がれた。

『よーろこーびにむねをひーろげ、おーおぞーらあーおーげー』

『ラージオーのこーえにー、すーこやーかな、むーねをー』

『こーのかおーるかぜーにひらーけよ』

その曲、『ラジオ体操の歌』は黒球から流れてきていた。
所々ノイズまじりで。

『そーれいっちにーさん!』

曲が終わった。
部屋中がシーンとしていて、誰一人喋ろうとはしない。

そして曲が終わった数泊後、黒球の表面に文字が表示された。



『てめぇ達の命は無くなりました
 新しい命をどう使おうと
 私の勝手です。
 という理屈なわけだす』

「はぁ?」

ナズーリンが眉をひそめる。

『てめえ達は今からこの方をヤッつけに行って下ちい』

そして、怪しげな物が表示される。

『ねぎ星人
 特徴:つよい、くさい
 好きなもの:ねぎ、友情』

表面に表示されたその写真の者は、頭の頂点に緑の毛を生やしていて、ネギみたいであった。

ガシィン!!

同時に、黒球の左右後方から、ラックのようなものが飛び出した。
そのラックには、怪しげな銃、それ以外の色んなものがぶら下がっていて、どれも幻想郷では見る事の出来ないものだった。

小悪魔が銃を手に取る。

「何ですか、これ、おもちゃ?」

他の人も手に取り、確かめる。
小悪魔はその銃を早苗に向けた。

「こっちに向けないでください」
「いや、でも、穴空いてないですよ」
「向けないでください」

小悪魔は銃を下ろした。

「うわあぁっ!!」

リグルが突然、大声を上げた。

「な、何だよ」
「中に、中に人が……!!」
「人ぉ?」

リグルが黒球の中を指差す。
魔理沙はそれを確認しようと、黒球の中を覗いた。

「……何だ………これ…」

黒球の中には人が入っていて、口の部分には酸素吸入器のようなものが取りつられている。

「生きているのか……?」
「息しているな……ほら」

霖之助が言う通り、球の中の人が息をするたびに、球の中の人の肩は上下している。
生きて入るようだ。

「これは?」

パルスィがラックから、何かを取り出した。

「それはアタッシュケースだね」

霖之助が教える。

「待って」

チルノがアタッシュケースの表面を指差す。

「名前が書かれてる……『すいか』……これ、萃香のじゃない?」
「あ? 私?」

萃香は起き上がると、チルノのものに歩み寄ってケースを受け取った。
受け取った後でも怪しんで、ケースを開けようとはしなかった。

「……」

ナズーリンはケースのふたを開け、全体が見えるように持ち上げた。

「何これ、コスプレ?」
「……」

パルスィはラックからケースを取り出し、ケースの表面の文字を読んで、その持ち主を呼んでいく。

「『りんのすけ』」
「ああ」
「『まりさ』」
「おう……」
「『りぐる』と『ちるの』、『こあくま』に『さなえ』、『なずーりん』、さいごに私」

全員スーツを受け取った。
魔理沙は疑問に思っているがそれも些細な事、にとりに質問しても答えてはくれないだろう。

魔理沙、早苗、リグルの三人はスーツを着ると、皆が居る部屋の中央に戻ってきた。
他の皆(にとりを除く)は、まだスーツを着ていない。

「うわああああっぁぁぁっ!!!」

小悪魔が叫び声を上げた。
何ごとかと思ってにとり以外の皆が振り向くと、皆の視線の先でにとりに異常が発生していた。
にとりの腕先と足先が消え始めていたのだ。
その消え方はなんとも不気味で、輪っか状に、解剖された物の断面図のようだった。

「ぎゃあああぁぁぁぁぁっっ!!!」

他の人たちも叫び声を上げ始める。

「何だ!!?」
「……始まった」

にとりは立ち上がって、皆の方に振り向いた。
もうほとんど消えていて、首から下は無くなっている。

「あんたたちも精々頑張りなよ」

にとりはそれだけ言い残して、体の全てが消えた。
他の皆も体がどんどん消えていく、もちろん魔理沙も。

他の皆の叫び声がどんどん消えていき魔理沙の姿も消えかかる瞬間、その視界には黒球に表示された文字が見えた。

『行って下ちい
 01:00:00』

~

「……」

そして外。
先程まで謎の部屋に居たメンバーは全員、外に転送されていた。

「ここ、外?」

ナズーリンがそう言う。

「これ、帰れるんじゃない?」

パルスィはそう言って、帰ろうと歩き出した。
しかし、にとりがそれを止める。

「あ、ちょっと待って、ズルしたくないんで皆に言います。 これ、遊びだよ」
「あ?」

魔理沙はにとりに振り返った。

「皆は催眠状態で参加してるんだよ」
「(変な集団にやられたアレか……?)」

にとりは言葉を続ける。

「ここを侵略する星人を倒すミッション、倒したら賞金が一千万」
「一千万?!」

チルノが一千万と言う単語に、妙に反応する。
意味は判っていないはずだが。

「あ、あれ」

リグルが何かに気づいたようで、皆に知らせた。
その視線の向こうには、身長の低い何かが立っていた。

「よーく見て」

にとりが指示する。
『それ』は走り出した。

「さっきの球に表示されていたターゲットだよ」
「ああ、さっきの」
「最初に倒した人が、賞金一千万と独り占め」

にとりのその言葉を聞いて、何人かが先程の影を追い始めた。
その場に残っているのは魔理沙、早苗、にとり、それに加えて小悪魔とリグル。

「パチュリー様が新しい本が欲しいって……一千万かぁ………」

小悪魔も焦ったように走り出した。
魔理沙は早苗に話しかける。

「どうする……?」
「あの、私…」

早苗も皆の後を追う。

「私も見に行ってきます」
「私も……一応は見ておく必要があると」

リグルも早苗の後を追うようにして、行ってしまった皆を追いかけに行った。
魔理沙の横に居たにとりもいつの間にか姿を消していた。

ただ、立つ事しかできなかった。

~

「ハアッ、ハアッ……!!」

数人分の荒い息がする。
チルノ、萃香、パルスィに霖之助、ナズーリンと小悪魔にリグル。
それ相応で足音も大きい。

「追い込んだ!!」

チルノが声を上げる。
それに合わせて他の皆もそっちに向かう。

「……」

チルノ達が追い込んだ先には、小さい影がぽつんと、チルノ達を見て震えていた。
その場に居る全員が歩み寄り、先程持ち出した銃を小さい影に向ける。

そいつは葱を差し出し、懇願している。

「あ、葱? いらないよ!!」
「落ち着け」

少々気が立っているパルスィを霖之助が宥める。
萃香が小さい影……ねぎ星人に近寄り、胸ぐらを掴み上げた。

「……」

ねぎ星人は泣き出し、鼻から大量の鼻水を出した。
それに驚き、萃香は慌ててねぎ星人を離した。

「うおわっ!! 汚っ!!」
「ちょっと、放すなよ!」

放たれたねぎ星人は走り出し、その場に居た皆の間を抜けて逃げ出した。
その後を萃香以外の皆が追い、遅れて萃香が後を追った。

「待てって!!」

ねぎ星人は逃げ続けていたが、再び追いつめられた。
周りは塀に囲まれていて、逃げられそうにない。
奥は祠になっていて、それより手前が人間の手によって作られた壁、広さは複数人が入れる程であった。
祠は奥行きが余りなく、月明かりだけでも十分に見渡せた。

その奥でがねぎ星人が何とか逃げようと、壁をガリガリと掻いていた。

チルノ達は再び中を手に取り、ねぎ星人に向けた。
そして霖之助が最初に引き金を引いた。

ギョーン

間延びした音が響く。

「?」
「何も、起こらないが」

銃のは怪しげに青く光っていて、ユニットがX状に広がっている。
しかし何も起こってはいない。
早苗とリグルは引き金を引いていないし、銃を向けてすらいない。

その時、

パアアアァァァァァン!!

何かが弾ける音、それと同時に、その場に居る皆に何かの飛沫がかかった。

「……は?」
「何、これ……」

チルノとナズーリンは手に付いてる緑の液体が何かを理解しようとする。
見ると、ねぎ星人が祠の中で呆然としていた。
片方の腕が無くなっていた。

「待てって、……何だって…うえぇ……」

小悪魔がうずくまり、吐いてしまう。
そんな小悪魔を押しのけて、ナズーリンがねぎ星人にXガンを乱射する。

「ちょっと! 止めて下さいよ!!」

早苗が止めようとするが、小悪魔とリグルを除く他の皆が制する。
早苗とリグルは後ずさり、ナズーリン達を見る事しかできなかった。

「……ん…うぅっ!!」

次の瞬間、ナズーリンの左足が無くなっていた。
無くなった膝から先は早苗達の足下に転がっていて、血飛沫が飛んでいる。

「うわあぁっっっ!!!」

早苗が驚いて目線を前に向けると、ナズーリンのすぐそばにもの凄くでかい人物が立っていた。
そいつは、でかい図体だけでなく、両手の先から長い爪が伸びている。

「何だ……何だって……うあっ!!」


でかい影はナズーリンの頭を両手で掴んで握りしめ始めた。
爪が食い込み、食い込んでいる位置から血がにじみ出てきた。

「わ、悪かったって!! 悪かったってさあぁっ!!」
「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

取り囲んでいたチルノ、パルスィ、霖之助、萃香、それに加えて、急いで立ち直した小悪魔が銃を、でかいそいつに向けた。
向けた皆の、銃を握っている手は震えている。
そんなこんなをしている間に、爪がナズーリンの頭に食い込んでいく。

「う……」

萃香が唸るように声を上げる。

「撃てえええええぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」

銃を構えていた全員が一斉に引き金を引いた。
しかし、でかいそいつ……大ねぎ星人はナズーリンの体を建てにし、銃の攻撃を防いだ。

「ぁ……」

間抜けた声が聞こえる。
次の瞬間、

パアアアアアアァァァァァァァァァン!!

ナズーリンが破裂した。
その血飛沫と内蔵が辺りに飛び散り、銃を構えた皆と大ねぎ星人にかかった。

「うあああぁぁぁぁぁっ!!」

次に、大ねぎ星人はパルスィに襲いかかって、首から上を吹き飛ばした。
首が宙に舞い、頭部があった場所から噴水のように血が出る。
吹き飛んだ頭部はまたしても、早苗の足下に落下した。

早苗はリグルをかばった。

霖之助が銃を構えて反抗しようとするが、構えるや否や肘から先が無くなり、持っていた銃とその手は地面に落ちた。
大ねぎ星人は次々と襲いかかり、チルノ、萃香の順に殺していった。
萃香の場合は斬り殺されるのではなく、叩き潰されるように殺された。

殺された事自体に気づいていなかったようだ。

「!!」

小悪魔が顔を上に向けると、大ねぎ星人の腕が眼前にまで迫っていた。
咄嗟に身を捻ってかわそうとするが、爪は小悪魔の体を引き裂いた。

「ぎゃあああぁあぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
「!!」

早苗は顔を前に向け、リグルを突き飛ばすと大ねぎ星人に立ち向かった。
そして拳を後ろに引く。

~

「はあぁっっっ!!」

魔理沙がようやく到着。
目の前は血の海と化していて、死体がゴロゴロしている。

「……早苗!!」

目を再び前に向ければ、早苗が大ねぎ星人に向かって突っ込んでいるところだった。
魔理沙は駆け出す。

「くらえっ!!」

早苗は拳を大ねぎ星人に向かって振り、顔面に直撃させた。
鈍い音がし、手応えが少しは有ったが、全くダメージが与えられていなかったようだ。
大ねぎ星人は早苗を吹き飛ばし、壁に激突させた。

「ぐっ!!」
「!」

リグルは素早く立ち上がって大ねぎ星人に向かうと、足を上げて側頭部を思いっきり蹴った。
体勢を崩した相手に更に、拳と蹴りをお見舞いし、最後に腹を蹴って吹っ飛ばした。

しかし、すぐに立ち上がって反撃される。
リグルは後ろに飛ばされ、壁に激突した。

「うぐうぅっ!!」
「があああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

魔理沙はXガンのトリガーを引き、大ねぎ星人に向けて発射した。

ガァァァァンッ!!

しかし狙いは外れ、祠の奥の分社が砕け散った。

「ぐぎゃあああああああぁぁぁぁぁっ!!」
「くっ!!」

大ねぎ星人は魔理沙に向かって突進を始め、両手の爪を振り上げた。
魔理沙は反射的に両腕を顔の前で交差させて、目を閉じる。

「危ないっ!!」

突然の叫び声とともに、X銃の間延びした銃声が辺りに響いた。
次の瞬間には大ねぎ星人は前のめりに倒れ、魔理沙の手前一メートルにうつぶせになった。
そして数秒後、大ねぎ星人の右腕が破裂し、辺りに体液を飛び散らせた。

「あ、早苗!!」
「魔理沙さん、下がって下さい!!」

魔理沙が下がると、早苗は引き金を三回ほど連続で引いた。

パァン、パァン、パアァァァン!!

原形をとどめないほどに、大ねぎ星人は破裂を繰り返した。

~

「……やったな、早苗」
「えぇ……」
「さ、早苗さん……あれは?」
「はい?」

リグルだけは早苗達と反対の方向を向いていて、Xガンを構えていた。
二人がその方向を見ると、大ねぎ星人がもう一体いるのが確認できた。

「は…はあぁ?!」
「も、もう一体なんて!!」
「リグルはここで待ってろ!! 行くぞ、早苗!!」
「はい!」

かけ声とともに魔理沙と早苗の二人は駆け出し、祠と反対側の大ねぎ星人に向かって強襲した。
爪の長い腕が前方五センチ前を通るたびに、ビュンビュンとすごい音がする。

「うらあぁっ!!」

魔理沙は右ストレートを大ねぎ星人の顔面に直撃させる。
そこにコンボを繋げるように、早苗の左アッパーと右ジャブがクリーンヒットする。

「があああぁぁぁぁっっっ!!」

瞬間、耳をつんざく咆哮が鳴り響く。
その所為で魔理沙と早苗は怯んでしまう。

「しまっ……!」

次には魔理沙は大きく吹き飛ばされて壁に激突、早苗は地面に叩き付けられた。
大ねぎ星人が両腕を振り上げ、早苗に向かって振り下ろす。

「うわぁああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「邪魔だよ」

しかしその両腕は振り下ろされる事が無く、逆に、大ねぎ星人は早苗の向いている方向に吹き飛ばされた。
地面が少しばかり抉れる。

タッ

早苗の前に一人の影が降り立った。
先程まで姿を見せなかった、河城にとり。

「あ、お、おま、さっきまで……何処にいたんだよ!!」

後ろから魔理沙の声。
にとりは冷静に答える。

「さっきまで……ていうか最初から……近くに居たよ、見てたし」
「噓を……まあいい」
「気にしないでって」

にとりはXガンにも似た銃を大ねぎ星人に向け、引き金を引いた。
銃から何かが射出され、立ち上がった大ねぎ星人を巻き取り、地面に『縛り付けた』。

「でもなかなかやるね、魔理沙達」

気づけばリグルは戻ってきていたが、にとりはあえて気づかないふりをしていた。

「とりあえず、この点は魔理沙か早苗にあげるよ」
「点……?」
「このでっかいのを倒した場合の点数だよ」

にとりはXガンを放り投げ、魔理沙に渡した。
魔理沙は銃を持ち直し、縛り付けられている大ねぎ星人に照準を合わせた。
しかし、その手はがたがたと震えている。

「…………うぅ…っっ……」
「ほら、撃ちなよ。 いい点あると思うよ?」
「む…………無理だ……」
「はあ?」

にとりは呆れた。
そして、魔理沙の持っていた銃を取り上げて、大ねぎ星人に向けた。

「そんなことじゃ、次は死ぬ………殺されちゃうよ?」

その台詞を言い終わったにとりは引き金を引いた。
静寂に包まれた空間に、ギョーンと間延びした銃声が鳴り響き、このゲームが終わることを告げる。
魔理沙は肩を落として一息つき、早苗とリグルの二人は銃を下ろした。

そして。































パアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァンッッ!!




















































「……」

始めににとりが転送され、それに続いて魔理沙、早苗、リグルが転送された。
にとりは他の三人が転送されてくる前に、壁に寄りかかって何かを待っていた。

「にとり……」
「あ」

早苗が後ろを振り向くと、もう一人転送されてきているのが判った。

小悪魔は転送され終わると、自分の両手、体を捻ったりして色々と確かめた。

「あんた、セーフだったんだ!!」
「はあ、は、ぁぁぁ、ほへぇ?! にとりさん?!」
「いくらやられても死んでなければセーフなんだ。 運が良かったね」
「……」



チーン。



「は?」

部屋の中にある黒い球から突然、そんな音が鳴った。
魔理沙が後ろを振り向くと、球の表面に何か文字が表示されているのが判った。

『それぢはちいてんをはじぬる』

「『ガンツ』が採点を始めるよ」
「ガンツ?」

リグルはにとりの方を向いて訊いた。

「それって、この球の名前?」
「もしかして」

魔理沙は何かを閃いた。

「にとり、お前がその名前をつけたのか?」
「いや、前から付いてる。 私がここに来る前から」

『こあくま
 0てん
 そんざいかんなちすぎ』

「存在感……」

小悪魔は納得したように呟いた。



『まりさ
 0てん
 かっこよかったけどたおせなくてださすぎ』



「はあぁ!? どこがだよ!!」

魔理沙は半ばキレた。



『さなえ
 3てん
 TOTAL3てん
 あと97てんでおわり』

『にとり
 3てん
 TOTAL90てん
 あと10てんでおわり』

「たった3点か……ふん」

にとりは銃をラックに戻した後、再び壁に寄りかかった。

「おい」

魔理沙はにとりの前に立った。
にとりは顔を上げ、疑問を持つ魔理沙に「何?」と聞いた。

「何だよこれ」
「遊びってとこじゃない?」
「巫山戯るなよ……!?」
「ま、魔理沙さん」

早苗は二人の間に割って入って止めた。
だがその早苗の顔も多少ばかり、怒っているように見えた。

「でも、近くで見ていたのなら何故助けなかったのですか?」
「判ってないね」

にとりは立ち上がり、早苗に近づいた。

「いいじゃん、早苗も、魔理沙も生きている事だし」
「……」



数日後。

「……」

魔理沙は自宅でボーッとしながら、にとりの言葉を思い出した。
あれが終わった後、にとりが何かを教えてくれたのだ。

『たぶん、私の推測だとオリジナル……もとの本体は死んでいる』

『今ここに居る私たちはコピー……複製されたモノのようなものなんだ』

『帰ってもここのこと、ここであったこと、それらは全部誰にも言っちゃ駄目だよ』

『どうせ信じてもらえないし』

『誰かに話したら、頭がパーンだから……』

魔理沙は踞った。

『稀にオリジナルが生きている事はあるみたいだけどね』

にとりのあの余裕に、魔理沙は少しばかり疑問を覚えた。
ねぎ星人:一体、点数:1点
大ねぎ星人:二体、点数:3点

そんなわけで東方×ガンツ第一話です。
ねぎ星人編は、本編では一応最初の話である為、それほどの難易度は無いと思っています。
漫画とアニメを両方見て、映画版のシーンを幾つか織り交ぜた形でお送りしました。
いろいろと違う感じで、スーツを着ていたり着ていなかったりとややこしいですがご了承ください。

解説

ガンツスーツ:アタッシュケースに入っている、上下ツーピースから成ります。
   Xガンなどを収めるホルスターが付いていて、内部は特殊なゲル状の物で満たされています。
   スーツはそれぞれオーダーメイドで、個人それぞれのスーツは、その人以外は着る事ができません。
   超音波や高熱から守り、Xガンの効果も無効化してくれます。
   一定ダメージを受けると過負担がかかり、レンズ状の部分からゲル状の物が漏出し、機能を失います。
   レンズを破壊された場合は即座にスーツの機能が無くなります。
   転送後は修復されるようです。

Xガン:メンバーが使う一般的な銃で、太い円筒形の本体にグリップを付けたような形をしています。
   スーツのホルスターに入れられるコンパクトサイズで、初心者にも扱い易いそうです。
   上部にあるダイヤルでエネルギーの放射量が変更可能、本体後部には対象を、レントゲン機能のモニターがあり、相手の弱点を知る事ができます。
   発射時には本体の前後がX型に変形し、トリガーの上はロックオン用、下は発射用となっています。
   なお、複数の対象をロックオンしてからのチャージショットも可能です。

Yガン:標的を捕獲・転送する為の武器で、殺傷機能はありません。
   3つの砲身はYの字状に配置されていて、上下のトリガーを同時に引くとブローバックし、それぞれの銃口から実弾の「アンカー」が発射されます。
   アンカーはそれぞれレーザー通信により同期していて、スラスターにより自己推進が可能です。
   目標付近でワイヤーを実体化させ、対象を緊縛、アンカーを地面に固定させる事で拘束します。
   更にその状態でトリガーを引くと転送されます、『上』に。
   ロックオンをしていれば、追尾もしてくれる便利な武器です。

コントローラー:光学的な周波数を変えて、使用者を不可視状態にします。
   的の位置を表示するレーダー機能や制限時間、戦闘エリアを表示したりしてくれます。

次回、東方×ガンツ第二話、田中星人編です。
ヨーグルト
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/05/03 02:27:39
更新日時:
2011/05/04 09:57:05
分類
魔理沙
にとり
早苗
リグル
小悪魔
ガンツ
グロ
1. 名無し ■2011/05/05 10:42:10
最近ガンツみておもしろかったので期待!
特に大阪編が気になる
2. 名無し ■2011/05/05 11:26:58
ガンツっていうとギャグ要素しか記憶にないわ
3. 名無し ■2011/05/05 19:43:27
タエちゃんのポジションがどうなるのか気になるな
4. NutsIn先任曹長 ■2011/05/06 08:26:00
今のところ、Wikiで仕入れた基礎知識どおりですね。
この後、どう東方流にアレンジするか楽しみです。
5. ヨーグルト ■2011/05/06 19:36:25
>1様
あまりに期待されると重いのですが、頑張ってみます。
大阪編はちょこっとしか見ていないので、急いで見て来ます。

>2様
私の場合はギャグも頭に入っていますが、戦闘シーンの方が脳裏に刻まれていますね。

>3様
もう既に決まっていますが、原作の形にするか映画版の形にするかは非常に迷っています。

>Nutsln先任曹長様
一応、ガイドブックをちらちら見ながら書いております。
アレンジは3〜5割程度ですかね。
6. 名無し ■2011/05/09 20:23:31
渋の漫画で描いてる人もいるがどっちもにとりが西君で吹いたw
7. ヨーグルト ■2011/05/11 19:43:25
>6様
被って……はっ…………。
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