作品集: 26 投稿日時: 2011/06/04 22:50:49 更新日時: 2011/06/04 22:50:49
――からん、からん。

ドアに付けられたベルが鳴る。


「こんにちは、霖之助さん」

霊夢はにっこり笑いながら、ぺこりと軽く会釈をした。


「…なんだ、君か。で、今日は何の用だい?」

「別に用はないけど…。って、用が無いのはいつもの事じゃない」


そう言って、ふたりは笑いあう。


「あら、この鏡…なんだか素敵ね」

そう言って霊夢は、棚の横に立てかけられている、

ひとかかえほどの大きさの紫色の鏡を指差した。


「それかい?…それはたしか、数日前に魔理沙が拾ってきた物だな。

けっこう小さな傷が多いから、もしよければそのまま持って帰ってもいいよ」

それを聞いた霊夢は、目を輝かせながら、

「…え、本当!?うれしいわ!うちの鏡、この前割れちゃったのよ。…ありがとう霖之助さん!」

そう言うと霊夢は軽くおじきをして、さっさと帰っていった。

途中、鏡をドアか何かにぶつけたようで、ゴンッと鈍い音が響いてきた。





「ふふふーん、ふーん♪」

ご機嫌に鼻歌を歌いながら、霊夢はその鏡を取り付ける。

紫の鏡は、和風の部屋の中では少し浮いていた。

鏡に映っている夕日が、霊夢にもう夕方なのだ、と思い出させた。


***


次の日、霊夢は着替えを済ませた後、くしを持って鏡の前へ立った。

そして、髪をとかしていると、ふとあることに気づいた。


「…ん?なんか……少し…太った?」


昨日鏡をのぞいたときよりも、ひとまわり顔が大きくなった気がする。

そういって自分の頬をつまんでも、特に変わった様子はなかった。

「……気のせいかな」

口ではそう言いながらも、内心不安になった。


――最近ちょっと茶菓子を食べ過ぎてたかしら?





いつものように、魔理沙が家にやってきた。

「…でさー、その後パチュリーがぶっ倒れてさ…」

気になった霊夢は、思い切って聞いてみることにした。

「あのさ…魔理沙」

「ん?なんだよ、霊夢」




「え…えっと、……か、鏡!持ってない!?」

恥ずかしくて苦し紛れに発したのは、なんだか訳の分からない事だった。

「え?あぁ、あるぜ」

そういって特に気にする様子もなく、魔理沙はポケットから手鏡を取り出した。

ピンク色の、魔理沙が持つにしてはとてもかわいらしい鏡だった。

「あ、ありがと」

そう言って霊夢は自分の顔をのぞいた。



「……あれ?」


そこに映っていたのは、昨日鏡で見た自分の顔だった。


――おかしい。


「霊夢、どうした?」

魔理沙に言われて、霊夢ははっと我に返った。

「いや…なんでもないわ。鏡、ありがとう」



――たしかに、あの鏡で見たときは太って見えたのに。

霊夢は魔理沙を見送った後、いそいで鏡の前に行き、鏡をのぞいた。


やっぱり、霊夢の顔は少し太って見えた。


***

その翌日の朝。

…霊夢は、いつもより少しだるかった。

どうせ風邪だろう、と思い霊夢はふとんから起き上がる。


見ないようにとは思っても、やっぱり人はちょっとした興味が出てしまうものだった。

「…まぁ、気のせいだったんだよね」

そういって鏡の前に立つ。






…そこには、しわだらけの醜い老婆が映っていた。


「いッ…ひぃ、いやぁああああぁああぁあああああああああ!!!」


自分の顔に触る。

昨日までと変わらない、感触。


「えッ…あぁ…なん…で……」

鏡の中の霊夢は、しわだらけの顔をさらにしわくちゃにして泣いていた。




――その後、何をしたのか覚えていない。

でも、気がついたらふとんの中で眠っていた。


近くに放ってあった熱計りで熱を計ったら、39度だった。

風邪薬を飲む気力もなく、そのまま死んだように眠った。


瞼の裏では、ずっとあの場面が繰り返し再生される。

醜い老婆の姿が、目に焼きついて離れない。





ここはどこ?

…あぁ、夢の中。


あれ、何で動けないんだろう。

何で声が出ないんだろう。

何で視線をそらせないんだろう。


目の前に私がいる。

鏡に映った、わたしが。


じっと見ていたら、気がついた。

少しずつ、でも確実にわたしは成長しているのだ。


ついさっきまで20代くらいだったのに、もうしわが目立ってきた。

しわがどんどん増えて、背も比例して小さくなっていく。

服ももう、ぼろぼろになっている。


やがて、しわだらけになったわたしは腐り始めた。

虫がわたしの体を食べていると思うと、気持ち悪くて吐きそうになる。


私はふと感じた。

――本当に夢?


大丈夫、こんなの夢に決まってるよ。

だって、夢じゃなかったらこんな風に私が腐っていく様を見るわけ無いし。

でも、じゃあ何でいつまで経っても夢が覚めないの?

何で体が動かないの?何で声が出ないの?何で視線をそらせないの?


そう思った次の瞬間、腐っている途中だったわたしは、一瞬にして骨だけになった。

目があった場所はぽっかりと穴が空き、その奥には闇が見えるだけだった。



……あぁ、なんで私は、自分の死後を見ているんだろう。



――その時、体が開放されたように感じた。

叫ぶ気力も失せて、私は吐しゃ物をそこらじゅうに撒き散らしながら倒れた。


***


――ここはどこ?


はっと目が覚めた。…いつも通りの、朝。

部屋に差し込んだ朝日は、いつものように霊夢をさわやかな気持ちにはさせてくれなかった。

――本当に嫌な夢だった。その割には、冷や汗らしき物を一切かいていなかった。


あの紫の鏡のあった場所に行くと、そこはがらんと空いていた。

今度は鏡じゃなくて別の物を取り付けよう、と霊夢は思った。


「おーい、霊夢ー!遊びに来たぜー!」


縁側の方から魔理沙の声が聞こえた。

どうせお茶をたかりに来ただけだろう、と思いつつ、霊夢は縁側の障子を開けた。





「うわぁあああああああああああああああああああああああッ!!!化け物ォッ!!」





…魔理沙が驚いたのも無理もない。














障子の向こうから出てきたのは、ただの動く骸骨だったのだから。
どうも、ゆう宮です。

次回は…未定ですorz
ゆう宮杏
作品情報
作品集:
26
投稿日時:
2011/06/04 22:50:49
更新日時:
2011/06/04 22:50:49
分類
霊夢
グロ無
1. NutsIn先任曹長 ■2011/06/05 11:10:36
これは夢なのか?
霊夢の夢なのか?

鏡の夢だったのか?
2. 名無し ■2011/06/05 21:10:09
ぬえェ……
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