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『恍惚の青年』 作者: ND

恍惚の青年

作品集: 28 投稿日時: 2011/08/10 09:41:19 更新日時: 2011/08/10 18:52:26
8月1日


最近、物忘れが酷くなってきた。

商品のある場所や、必要な物がどこにあるのかが分からなくなってくる。

たまに、何故店に置いてあるか分からない物が置いてある。

商品を調べても、ただ用途を見ても、思い出せない。

そのような事が、日に日に増えていく。

『僕もそろそろ……年かな』

そう言って、僕はおもむろに立ち上がり、外の風景を見る

その風景は、大分見慣れたもの

恐らく、この気持ちの良い風景を忘れることは無いだろう。

『香霖ー!邪魔するぜ!』

魔理沙が、元気な声で僕の店へと入ってきた

『今日は何のようだ?』

『は?やだなぁ。お前、昨日私の八卦炉を直してやるって言ってたじゃねえか』

そんな約束をしたか?

僕は、そう疑問を感じながら首を傾げる。

すると、魔理沙は不機嫌そうな顔をする。

しかし、机の上に目を向けると、急に明るい表情になった

『あ!あったあった。これだよこれ。なんだ。結局はちゃんと直してんじゃねえか。』

魔理沙がそう言って八卦炉を見つめると、僕は考える仕草をした

いまだに、直した覚えが無いのだ。一体いつ、僕はこれを直したのだろうか

『あんがとな!んじゃまた頼むぜー!!』

そう言って、魔理沙はそのまま飛んでいった。

『あ、そうそう。明日は何か貰っていくから覚悟しろよー!!』

全く、いつまで経っても元気な奴だ。

そう呆れながら僕は腰をかけた。

そして、小説の方に目を向けて、手に取った。

開くと、見たことの無い文字列が目に飛び込む。

表紙は見たことがあるのだが、中はどこか新しく頭に入るようだった。

『………そんなに昔に読んだ物じゃないよなぁ……』

僕は疑問を感じながら、本を読んだ。

だが、どこをどう見ても、新しい言葉が頭の中に入ってくる。

色々と疑問を感じたが、面白い書物だった為、特に気にはしなかった

『あら、また同じ本を読んでる』

霊夢が、呆れるように僕を見つめた

『いらっしゃい。今日は人が良く来る日だ』

『客と言ってくれないかしら?』

『ツケを全額払ってから物を買ってくれるならね。』

そう皮肉を言うと、霊夢は少しむくれた態度を取った。

店に置いてある自分用の茶飲みを持ち、茶を入れる

そして、戸から勝手に茶菓子を取り出し、十分にくつろいでいた。

『………やはり、君を客と言う日は来る事は無さそうだ』

『別に良いじゃない。私は構わないわよ』

『僕が嫌なんだ』

そう言っても無駄な事を知っており、僕は再び本に目を向けた

『その本、何度も読んで面白いかしら?』

霊夢が何かを言っていたが、僕は気にしないことにした





8月2日

店の中が、どこか異様な感じがする

この場所に、何も覚えの無い何かが存在していた。

店の商品も、どこか拾ってきた覚えの無い物が多かった。

それに、本もどれも見たことが無い。

いや、どれかは覚えているのはあるのだが

どういう事だ?

そして、店の中に魔理沙がやってきた

『よ!香霖!』

魔理沙は、何も起こってなど居ないかのように普通に接した。

『なぁ魔理沙……。この店は…』

『相変わらず、新しい物はあまり無えなぁ。どこもかしこもガラクタばっか』

魔理沙はそう愚痴を言いながらも、商品に目を向けた

『お!これはなんだか面白そうだぜ!これはなんて言うんだ?』

魔理沙が輝いた目で僕を見ている。

だが、僕はそんな魔理沙に『知らない』と言う

『知らないとかじゃないだろ。香霖ならこの用途くらいは分かるはずだろ?』

『そんな事を言われても、知らない物は知らないんだ。』

魔理沙は何を言っているのか、そんなわけの分からない物が分かるはず無いじゃないか

僕がそう言うと、魔理沙は少しだけ面倒臭そうな顔をして、納得した振りをした

『ふぅん……。使えねぇな!』

そう言って、魔理沙は全力疾走で店から逃げて言った。商品を持って

だが、これは好都合かもしれない。あんなわけの分からない物を店に置いて行きたいとは思わない。

何も言わずにただ魔理沙を見送ると、魔理沙はこちらを振り向く

ただ、不安そうにこちらを見て、そしてそのまま走り去っていった。








8月3日

これはなんなんだ?

全く見覚えが無い。

どうして、こんな物が店の中にある?

この壷の中には、何か恐ろしい物が入っているのだろうか。

いや、この壷の前には、ここには何が置いてあった?

いや………分からない。

『香霖……?』

魔理沙が心配そうに僕を見ていた。

『どうした?何のようだ。』

僕は冷たくそう言うと、魔理沙は

『……このごろの香霖、なんだかおかしいぜ?昨日も私が商品盗もうとしても、追いかけてこなかったし』

僕は、魔理沙が何を言っているのか分からなかった

『昨日?魔理沙、昨日僕の店に来たのか?』

『来たよ!!何を言ってるんだよ!香霖!!』

ちょっと待て。魔理沙が昨日来た……?

そんなはずは無い。そんな覚えなんて無いのだから……

だが、どういう事だ?

この店に置かれている謎の壷と言い、何か関係があるのだろうか……。

『なぁ香霖……。ちょっと永琳の所に行かねえか?』

『永琳って、誰だ?』

『……………』








永琳の場所に辿り着いた僕たちは、その永琳という人に診察してもらった。

診察の結果、彼女は言った

『特に問題は無いわね』

そう言われ、その場所から追い出された

『ちょっと待てよ!明らかにおかしいんだって!香霖がなんだか忘れっぽくなって……』

『多分、暑さで頭をやられてるんじゃない?』

そういう彼女に、魔理沙は憤りを感じていた

『てめぇそれでも医者か!!』

『医者だから医者なりの答えを出しただけよ』

そう言って、彼女は扉を閉めた










8月4日

店に、見覚えの無い物が置かれている

本棚には、どれも見覚えの無い本が並べてある。

中身を読んでみても、やはりどれも読んだことが無い。

この店は、どこかおかしく感じた。

所々探検すると、倉庫らしい部屋に辿り着いた。

その倉庫の中にも、どれも見覚えの無い物が置かれていた

『霖之助さん』

誰か来たようだ。

僕は急いで店の入り口の場所まで戻る

『いらっしゃいませ。何をお探しで?』

僕がそう言うと、お客さんは少しだけ意外そうな顔をする

そして、少しだけ寂しそうな顔をした

『………魔理沙から聞いたけど、本当に忘れっぽくなってるわね……』

『?……一体どうしたのですか?』

僕はそう言うと、そのお客さんは店の中に入ってきて、戸を開けた

『ちょっとお客さん?それは商品じゃないので、勘弁をしてもらえますか?』

『ちょっとも何も、これは私の茶飲みよ』

お客さんは、戸の中にあった茶飲みを取りだす。どこか見覚えのある茶飲みだった。

僕は首を傾げて、お客さんに質問をした

『……初対面……じゃないのか?』

そう質問をすると、お客さんの目が見開かれ、驚いた表情をした

そして、俯いてその茶飲みを棚に戻した

『…………もういい』

そう言って、お客さんはそのまま去って行った。










8月4日

ここはどこなのだろう

見覚えが無い。

何も、分からない

どうして僕はこんな所に居るのだろう。

いや、正しくは僕はなんなのだろう。

歩いても、手を見ても分からない。

ここはどこなのか。僕は誰なのか

しばらく、ぼーっと座りながら外の風景を見た。

この風景だけが、どこからか見たことがある。

ここは、店なのだろうか。

いろいろな商品が置かれてあるが、どれも値札が無い。

とても、店とは言い難いが。

すると、入り口から沢山の人が入ってきた

『………どちら様だ?』

『昨日、来た者だけど』

先頭の赤い服の少女がそう言った。だけど、僕はその子に見覚えが無い。

首をかしげていると、少女は悲しそうな顔をした。

沢山の人が、沢山こちらに歩いてくる。

メイドの服を着た人が、一つのティーカップを取り出した

『こちらは……貴方の店で買った物なのですが……』

その言葉で、僕は疑問が生じた

『ここは……やっぱり店なんですか?』

その言葉に、メイドの表情が変わる。

無表情な物から、悲しそうな顔に

何かが、抜けたような顔だった。

『………店主さん』

次に、刀を持った少女がこちらに歩んできた

『私の事……覚えてませんか?私は、前に貴方に物を取られて、返してもらう為に働かされた事があるんですけど……』

そう言われた瞬間、僕は驚きが隠せなかった。

僕は、こんな少女の物を取って働かせていたのか。

申し訳ない気持ちが、湧き出てきた。

『そう…だったのか。すまない。そんな酷い事をしてしまって……』

『い……いえいえ!そんな事ありません!私……店主さんの事は大好きですから!』

僕は、それが励ましの言葉に聞こえた。

気にしていない、許してもらえているならば、それで僕は安心して笑顔になれた。

『ありがとう』

僕がそう言うと、少女の顔は真っ赤に染まり、そのまま退散してどこかへ去ってしまった。

一体どうしたのだろうか。何か悪い事を言ってしまったか?

どちらにせよ、彼女には申し訳ない気持ちがあった

『本当に何も覚えてないの?』

今度は、背中に羽の生やした少女が僕を見つめた

『だったら、本棚に貴方が持ってる私の本がある。それを私に返してもらえるかしら!!?』

少女が大声で言った。

『僕は……君の本を勝手に盗ってしまっていたんだね。』

僕がそう言うと、少女は少しだけ戸惑った顔になる。

僕は、少女が指を指した場所の本を抜き取り、彼女に返した。

『はい。これだね?勝手に盗って済まなかった。』

僕がそう言うと、少女は慌てる感情と戸惑う表情が合わさった表情になる

『ほ………本当に良いの?』

少女がそう言うと、僕は頷いた

『ほ…本当に持ってっちゃうよ?』

少女がまた言ったので、僕はまた頷いた

『ね……ねぇ!本当に……本当にこの本は戻ってこないんだよ!?良いの!?』

『うん。今度は盗られないように大事にしてくれ』

『…………!!!』

僕はそう言うと、少女の目には涙がたまっていた

そして、本をこの場へ投げるように置いていって、走り去っていった。

その顔は、泣いていた

どうして、彼女は泣いて本を置いていったのだろうか。

本が戻ってきたことを、喜ぶべきじゃないのだろうか。

なんだか、疑問が増した。

そして、それに続くように。みんなの顔は悲しそうな顔で、

この店から次々と出て行った。まるで何かを見たくないかのように。

『霖之助さん』

今度は、どこからかスキマから女性が現れた。

その女性は、どこか胡散臭く、あった瞬間少しだけ嫌な予感がした

『本当に、何も覚えていないのですか?』

女性はそう言って、僕の頬を撫でる

『………貴方は、僕のなんだった人ですか?』

僕がそう言うと、その女性は微笑み、答えた

『貴方の妻です』

『え?』

『『紫!!!!!』』

全員の声が重なった。

全員と言っても、ほとんどの人が出て行って、もう二人しか居ないのだが

『霖之助さん!こいつの言った事は無視して良いから!!無視!!無視!!!』

全員が必死な表情でそう訴えた。

一体どういうことかまだ混乱した。

僕には、本当に妻が居たのだろうか。そしてそれが、この人なのだろうか。

だが、全く覚えが無い。どれも、これも

『霖之助さん』

スキマの中の女性が言葉を発する。

その言葉は、少しだけ悲しそうな顔だった。

『貴方は。若年性急性アルツハイマー病という病なの』

女性がそう言うと、その場に居た二人は恐ろしい物を見るような顔でこちらを見た

『ちょっと紫……それってどういう事よ……!!』

『どういう事も何も、その通りの言葉よ。』

二人は、この病の事を知っているのだろうか。

『だったら!だったらなんで永琳は知らなかったんだよ!』

『彼女は薬で治らない病気はほとんど知らないわ。いえ、この病気自体は知っていたけど、見ただけでは分からなかったか、それとも認

めたくなかったのかもしれないわね』

紫がそう言うと、二人は膝を地に落とすように崩れた

それを見た紫は、ただ悲しそうな顔で僕を見た

『霖之助さん。私は、貴方の事が好きだったのよ』

紫はそう言って、スキマから出てくる。

『もう残された時間は少ないかもしれないけど、死ぬまで一緒に、居させてくれないかしら?』

紫がそう言うと、二人も立ち上がって僕に面を向けて答える

『私も……私も死ぬまで一緒に居るわ……。』

赤い服の少女がそう言った後、黄色い髪の少女は腕を震わせながら答える

『いや……死なせねえよ……香霖…!!!』

そう言って、外へと飛び出して言った。

彼女は今日、帰ってこなかった














8月5日

ここは、どこだ

僕は誰だ

この人たちは、誰だろう。

僕の手をつないで、

一人は僕を見て、一人は僕の手を握っている

誰だ。この人たちは誰だ

『霖之助さん……。』

その人が、声を出した。とても悲しそうな声だった。

『君は……誰なんだ?』

僕は、彼女に質問をする

彼女は、悲しそうな顔をして、僕の首に手を回して、抱きついてきた

この人はどうして、こんな顔をしているのだろう。

どうして、泣いているのだろう。

手をつないでいた少女が目覚めると、僕の方を見た

『……何をしているの?』

少女がそう言うと、僕は答える

『僕も分からない。』

そう言うと、少女は僕の方を見て答える

『……霖之助さん。私の事、分かる』

僕は、首を横に振った、

すると、少女も悲しそうな顔をする

どうして、初対面の人に泣かれるんだろう。

僕の疑問は、まだ生まれて行く

そして僕は立ち上がる

『霖之助さん?』

少女は心配そうな声でそう言った。

僕は目の前の戸を開くと、その場所には店があった。

所々に、どこか商品のような物があった。

不気味な置物、小さな壷、歯車……ガラクタばかりだった

『霖之助さん、ここは…貴方の店なのよ?』

彼女がそう言った。ここは僕の店?

こんなガラクタだらけの店が?

こんな店を開いていた……というのは、なんだか恥ずかしく感じる。

僕は、店の商品を叩き落す

『霖之助さん!?』

少女が、声をあげる

だが、僕は商品を落とすのをやめなかった。

落とそうが、これは僕の店の品。それに全部ガラクタだ。

落として損をする人は居ない。

楽しくなって、笑い出してしまう

笑いながら、商品を落として言った

『止めて!!霖之助さん!!』

少女が僕を止めにきた。だけど僕は止めない。

見知らぬ少女に、止められる覚えは無い。

僕は手を止めずに商品を落とし続けた。

少女が邪魔だったので、払いのけた

おかげで、楽しく楽に商品を全て叩き落せた。

バラバラになったガラクタが、辺りに散らばる

少女と彼女は、悲しそうな目で僕を見る

そして、奥の部屋へと戻って言った。

僕は、このガラクタのゴミだらけの部屋を見て、掃除が大変そうだなぁと思った。








椅子に座ると、僕はボーッとした。

ぼー……っとしているのが好きだった。

何も考えずに済むから。

何も考えたくなかったから。

どうして、彼女達は僕の家に居るのだろうか。

どうして、僕はこんなガラクタの店をやっていたのだろうか。

そんな事はもうどうでも良い。楽しかった

ただ、楽しかったのだ。

だが、今この状態は、少しだけ胸が引きつめられる

どこかが、悲しい

何が、悲しいのだろう。

今の僕には分からない。永遠に分からないだろう。









少女が、僕の後ろを抱きしめて言った

『霖之助さん……。私は、貴方がとても大切だったんだよ……?』

少女は、そこでしばらく黙ってしまった。

そして、言葉を出した、つらつらと語りだした

『でも……でも……、こんな……こんな大切な人が、だんだん居なくなって行くなんて……嫌……嫌だよぉ……霖之助さん……』

少女は泣いていた。

大粒の涙が僕の肩から流れた。冷たかった。

同時に、どこか暖かかった。










8月6日

椅子、座る

ただ、座る

少女が、居る

この少女は、誰だ

誰か、分からない

だけど、泣いている

悲しそうな顔をしている。

女の人が、居る

その人は、僕を見ている

とても、とても悲しそうだった

『香霖!!』

黄色の髪の、女の子が入ってきた

『香霖!!これを見てくれ!!』

女の子は、写真を見せた

その写真は、女の人と、少女と、女の子と男の人が移っていた

『香霖と……私と紫と霊夢の写真だよ…。なぁ、思い出せねえか?』

女の子も、泣きそうな顔をしている

どうして、泣くんだろう

僕には、分からない。

『香霖……じゃぁこれだ!!』

女の子は、今度は別の写真を出した

これは、男の人が店の前に立っている

『香霖の店がオープンした時に撮った写真!!なぁ、分かるか香霖!!』

店?

『店って、何?』

僕は、質問をした

女の子は、目を見開いた

女の子は、泣いた

その涙は、なんだろう

胸が、だんだん痛くなってくる

『魔理沙……もう良いのよ。』

少女が、女の子をなだめた

女の子は、泣き叫んだ

『うわぁあぁああああああ!!こうりん……こう……りん……!!!』

声が、上手く聞き取れない

少女は、僕の手を握る

『霖之助さん。私は忘れないよ。絶対に忘れない。』

少女は、笑顔になる。でも、涙を流している

『霖之助はね、私達に大切な事をくれたの。とっても大切なこと。私達は、それを絶対に忘れない。』

女の子も、僕の手を握った

女の子の顔は、涙を流し、悲しそうな顔をして俯いていた。

だけど、どこか決心していた

『………なぁ、どうしてこうも現実って残酷なんだろうな……』

女の子は、震えながら泣いていた

後ろからは、女性に抱きしめられた

女性の顔は、とても笑顔だった

『愛してるって意味は分かる?それは、いつまでも続いていく。とても大切なこと』

女性の目からも、涙が流れる

『絶対に忘れられない。大切なこと』

女性の腕が、強く握られる

『私は……絶対に忘れない。霖之助さんと出会った事、過ごした事。そして好きになった事。私だって女の子なんだから、恋だってする

のよ?』

僕は、ただされるがままに手を握られ、抱きしめられていた

『貴方は、この私の告白も忘れちゃうのでしょうね。でもね、私は後悔していない。私には残るから、この告白した事実が、私には』

『大切な人が居なくなっていく程辛いことは無いよ。でも、私達はその辛いことを忘れないで生きていくよ。永遠に大切な思い出を』

『香霖、お前はさ。消された記憶の中に大切な事があったんだぜ?その記憶は、ずっと私達が引きづいていくからよ』

どうして、この三人は初めて会うのに、僕をこんなにも大切にしているのだろう

どうして、僕はこの人たちに初めて会うのに、

こんなに、愛しく感じるのだろう。

さようなら

僕の中で、この言葉が生まれた

『霖之助さん。………さようなら』

三人は、それぞれ僕の体から手を離した。

皆、笑顔で僕を見てくれていた。

その笑顔がなんだか嬉しくて、僕も笑顔になった。

笑顔、とても嬉しい笑顔

優しい気持ちが、表に表れる笑顔

僕の最後の記憶は、その笑顔だけが残っていた。










8月7日





























《完》
超お久しぶりです。なんだか地獄の城以来、この東方SSの創作意欲が出なくなりました。
その瞬間、妙な危機感を感じました。ですが、またネタが思いつけて嬉しいです。
pixiv小説では、別の小説を連載していますが。またちょくちょくと小説を投稿したいと思います。
地獄の城が、最後の連載という感じなので、連載物はもうやらないかもしれないですが、また次の作品を気長に待っていただければ、幸いです。

後、書いてないから分からないと思いますが、8月4日の少女の中にはちゃんと永琳とうどんげが居ました。(少女じゃねえよ!!)
ND
作品情報
作品集:
28
投稿日時:
2011/08/10 09:41:19
更新日時:
2011/08/10 18:52:26
分類
霖之助
霊夢
魔理沙
短編
1. NutsIn先任曹長 ■2011/08/10 21:24:15
貴方の久々の香霖+幻想少女三人組の切ないストーリー、堪能させていただきました。
連載物も良いけれど、こう、暑い日には、さっぱりと、短編を味わうっていうのも乙な物です。
晩酌の安酒が美味くなりました。



忘れる。忘れて行く。
何を忘れたっけ。

知らない。何も知らない。
名医だって、ヤブと罵られる屈辱を甘んじて受けなければならないこともある。

思い出して。ねえ、思い出してよ!!
これ、大事な事だから!!

何何なあに?
ゴミばっか。
お片づけして、うん、スッキリした。
でも、お嬢さん達、何故泣くの?

真っ白。
頭の中、真っ白。
ココロも真っ白。

忘れる。

忘れて、逝く。
2. みそしる ■2011/08/10 21:58:15
切ない……。
さりげなく8月4日分を二回書いてたり。

しかし、最後まで書けた、香霖頑張った。
少女達は、これを見つけたら、
3. 名無し ■2011/08/10 23:19:16
あれ?目から水が溢れてとまらない…………………
4. ヨーグルト ■2011/08/11 00:36:05
感動させていただきました。
百物語の作業の息抜きにと見たら、死んだ。

こう、何か、忘却は罪みたいな感じですかね。
どんな思い出でも忘れることは許されない、みたいな。
5. 名無し ■2011/08/11 01:22:08
なんちゅうもんを.....なんちゅうもんを.......
6. 名無し ■2011/08/19 15:48:20
これ見て三日は家に出たくなくなった。
欝になる。でも切なくて悲しくて、でもやっぱりどこか優しい。
7. 名無し ■2011/08/19 18:43:01
なんという切なさ、なんといういう喪失感
ND氏の真髄を見た
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