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『産廃百物語A 『ミライカメラ』』 作者: 零雨

産廃百物語A 『ミライカメラ』

作品集: 28 投稿日時: 2011/08/19 08:55:20 更新日時: 2011/08/19 17:55:20
「うぁー、参ったなぁ……。どこで落としたんだろ……。」

そう呟きながら何かを探す天狗。
彼女は射命丸文。新聞記者である。

「まさかカメラを落とすなんてね……。」

妖怪の山は広い。
落としたと気づいても見つかる可能性は低いだろう。

「こりゃ新しいのを作ってもらうしかないか……。」

がっくりとうなだれながら自宅へと飛ぶ文。
この世の終わりのような顔をしながらゆるゆると飛んでいく。
そのとっき文の視界の端に何かが映った。

「?」

ふらふらと飛ぶ文。
そこには、カメラがぽつんと置いてあった。

「おお!?カメラよ!……でもちょっと変わったカメラね。私のじゃないけど、使わせてもらうわ!」

さきほどまでの落ち込みっぷりはどこへやら、意気揚々と自宅へと飛んでいく。



「それにしても、変わったカメラね。」

自宅に帰った文が、新しいカメラを見て呟く。

「はたてのとも違うみたいだし……。あら?ボタンがあるわね。押してみましょう。」

そういってボタンを押す文。

「!?こ、これは……?頭の中に文字が……!?」

文の頭の中に、グルグルと文字が回り続ける。
『撮影対象』『時間』この2つの文字が頭に響く。

「く、なんなのよこのカメラ……!?頭が痛い……。呪いか何かなの!?」

ガンガンと痛みが走る中、『撮影対象』『時間』の意味を考える。

「文字通り、対象と時間を決めればいいの……?えええい、とりあえずやってみればわかるわ!『撮影対象:椛』『時間:3時間』よ!」

そう叫んだ瞬間、カメラが光り頭の痛みが消えた。
そしてカメラから写真が出てきた。

「な、これは……?」

椛とにとりが大将棋をしている写真だった。
それだけならただの念写と同じだった。
でも、この写真は違った。

「時間が……?」

写真には日めくりカレンダーと時計も写っていた。
そして時計は19時を、日めくりカレンダーは今日を示していた。

「今は16時のはず……。まさか、この写真!念のためにもう一枚とりましょう。」

そしてもう一枚撮影した文。
そこで、このカメラの能力を確信した。
この、カメラは未来の写真を撮れる!

「これはすごい!スクープ撮り放題よ!」


     ◆◆◆


それからというもの、文の新聞の売り上げはうなぎのぼりだった。

「いやー、ホントこのカメラに出会えてよかったわ。」

そう呟く文は紅魔館を目指して飛んでいた。

「今日は紅魔館でパーティだからね。楽しむとしましょうか。それにしても、くるのが早すぎたかな?」

文はいていより1時間も早く到着した。

「門番は……寝てるわね。まあ、お誘いを受けたんだし入らせてもらいましょうか。」

紅魔館に入る文。
少し進んだ廊下で、館の主人レミリアに出会った。

「これはこれはレミリアさん。本自治はお誘いありがとうございます。」
「ああ、パーティだからね。それよりは、面白そうなモノを持ってるわね。」

レミリアが文のカメラを指さしながら言う。

「このカメラのことですか……。よくわかりましたね。」
「当たり前よ。そのカメラから私と似たようなモノを感じたからね。」
「同じような、というと運命ですか?確かに似ているかもしれませんけど。」
「そう、運命よ。運命を見るっていうのは、未来を見るようなモノだからね。そして、運命は変えることができないから運命なのよ。あなたに1つ忠告しといてあげるわ。そのカメラはもう使わないほうがいいわよ。」
「な、なんですかいきなり!」

文がレミリアに非難の眼差しを向ける。

「別に使うなとは言ってないわ。あくまでも忠告よ。」
「もういいです。今日は帰らせてもらいます。」

文はレミリアに背を向け、来た道を引き返した。
文の背中が見えなくなったあとレミリアはぽつりと呟いた。

「さよなら天狗。もう会うことはないかもね。」


自宅に引き返した文は気晴らしに記事を書くことにした。

「やっぱり記事には写真が必要よね。」

レミリアの忠告などなかったかのように文は霊夢を念写した。
そして、出てきた写真は

体が緑色に変色した霊夢が神社で吐血している写真だった。

「は!?なによコレ……。」

文は戸惑いつつも、念写を続ける。
魔理沙、チルノ、椛、そして紫。
だが、出てきた写真はどれも先ほどの霊夢と同じく変色した写真だった。
魔理沙にいたっては、体が崩れてほとんど原型を失っていた。

「あ、ああああぁあぁあぁあ!!!?」

ここで、文は「レミリアの忠告を思い出した。
彼女が言っていたのはこのことだったのだ。
思えば、レミリアが文をパーティにさそうのは不思議だった。
多分、彼女はコレを見て最後に盛大なパーティでも開こうとでも思ったのだろう。

「あははははは……。」

思わず笑ってしまう文。
次に彼女がとった行動は……




妖怪の山の文の家。
そこで、家主の射命丸さやは首を吊って死んでいた。
しかし、誰にも気づかれることはなかった。
そう、この幻想郷に生き物はもういない。
みんな死に絶えてしまった。
蓬莱人は生き残ったが、どこかにいってしまった。
未来を見てしまった文は先に死ぬことを選んだ。

机の上には、新聞が残されていた。
見出しはこうだ。



【号外!幻想郷で奇病蔓延!?】
零雨です。
最初に予定していた怪談ぽいものとはぜんぜん違う話になってしまいました。
(文がカメラに呪い殺される話)

次はギャグ的なものに挑戦してみようかと思ってます。
思ってるだけなので、書くかどうかはわかりませんが。

こういう企画モノはテンションあがりますよね!
零雨
作品情報
作品集:
28
投稿日時:
2011/08/19 08:55:20
更新日時:
2011/08/19 17:55:20
分類
産廃百物語A
レミリア
1. んh ■2011/08/19 23:10:43
すごいな、蓬莱人はともかく種族関係なく死ぬのか。
文ちゃんは相変わらずヘタレだなあ
2. 穀潰し ■2011/08/19 23:15:26
久方ぶりに情けない文を見ました。
呪い殺されるほうも是非……!!
3. NutsIn先任曹長 ■2011/08/20 05:15:33
ああ、レミリアは、文の運命を『視た』のですね。

滅びる『運命』でも最後まで生を愉しむ者と、
『予定表』を見ただけで悲観してしまう者。

大物と小物の違いってヤツですね。
4. 幻想保査長 ■2011/08/20 12:57:26
新聞を最期まで配るのが新聞記者だろ・・・
5. ウナル ■2011/08/22 17:24:11
未来が見えることが幸せとは限らないですよね。
というか、文は何も手を打たなかったのか
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