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『帝國オペラ』 作者: シ骸中尉

帝國オペラ

作品集: 29 投稿日時: 2011/12/02 05:20:08 更新日時: 2011/12/02 14:20:08
私が「わたし」を幻視するようになったのは、貴方に瓜二つ?のように
美しい地上の人間と関係を持ったあの時からだった。
若き日の、過ち。誰も知らない。私と「わたし」だけが知っている。
彼女は貴方と同じ、滑らかで美しい金髪のロング。
対する私は、ただの、月の人間。穢れていない点を除けば、ただの人。
「わたし」は、妄想の産物。私の姿をして、貴方の声で、
貴方の人格で、囁く。

実際、私は未だに、あの方が何故地上へ堕ちたのか、
どうして堕ちたのか分からないままで居る。
唯一つ分かっているのは、私達は「月に堕ちていた」のです。
羨望と憧憬の眼差しで見つめられている、
堕ちた兎共・・・

私は、一人で、地上に堕ちました。

そして私は「わたし」となり、髪を変え、顔も変え、
「時間しか分からない神」を降ろし、「宇佐見蓮子」と名を変えて
暫く生きました。そこで、「彼女」に出逢ったのです。

「あの時の彼女」は「マエリベリー・ハーン」という名前の、
極普通の女性。大学に通う、極普通のオカルトサークルの女性。
わたしは「メリー」と呼んでいた。
境界が見えると言っていた。それは本当で、わたしとメリーは
よく境界を見つけてはその先に入った。
あらゆる物を見た。今思うに、あれこそが幻想郷だったんだね。

過ちの原因はわたし。わたしは京都に旅行した時、ホテルでシャワーを
浴びて戻った時に、月をバックに見えるメリーの姿が、
とても魅惑的で魅力的な、ミロのヴィーナスのような芸術に見えたのです。
その時私は何を思ったのか、はたまた本能に通じる愛情によるものか
メリーを押し倒し、行為に及んだ。

そう、及んだのです。

都合よく、性愛を司るような神のようなもので、股間に
あるわけがない男性器を生やして、メリーを犯すように、
男を知らない秘所を貫いたのです。

気持ちよかったよメリー。きっと衝動的にやったから、
より一層気持ちが良かったんだ。

メリーの膣内とは相性が良くて、肉棒を熱い肉襞が絡み付いて、
子宮口を小突くと、きゅうっとメリーの膣が締め付けてくるのです。

破瓜の痛みもあるだろうに、メリーの膣からは血と愛液が混じった
液体が垂れていたのに、メリーは私にわたしに微笑みました。
その被虐的な何かがわたしの何かを侵したのでしょうか。
メリーの子宮口に熱いキスをした瞬間、私は達しました。

膣内射精。びくりと肉棒が膣内で跳ねて、メリーの膣に射精しました。
跳ねる度に、精液がメリーの中に注がれていった。
精液が子宮に注がれるたびに、メリーの膣が締め付けてきて、
まるで搾り取られるように、暫くメリーの中に射精しました。

引き抜くと、メリーの膣から白濁液が溢れてきました。
わたしもメリーも私も暫く放心状態だったけど、
その後すぐにメリーと繋がった。何度も、何度も、朝まで。

その後はあまり覚えていません。
気がつくと金閣寺を見ていました。

その時から、メリーはメリーでなくなった気がした。

あの時から、わたしはメリーをメリーだと思えなくなった。

恐い。恐いのです。言いようの無い恐怖。
まるで貴方が
      人間の境界を越えてしまったように。
まるで彼女が

後は同じよ。月面旅行で盛り上がっていたあの時
わたしはメリーの前から居なくなった。
私は彼女から、逃げるように月に戻った。

何が一番怖かったと言えば、あの時、半ばボケた脳が記憶していた
彼女の貴方のあの微笑み。金閣寺で見せたあの笑みが、
私にはわたしには何故かとても恐ろしいものに見えた。

その時から、私はわたしに囚われました。
どうしようもないのです。
四六時中ずっとわたしが私の中に居る気がしてたまらないのです。
ただの一時の過ちの筈なのに、ずっと、張り付いて・・・

あの時、「八雲紫」がやってきたあの日、私はとうとう
追い詰められたと思いました。
何故なら、八雲紫こそがあのマエリベリー・ハーンなのです。
幸い、貴方はわたしに気付かなかった。
でも、私は気付いていた。

時間軸がおかしいのは気のせいよ。
だってこれで正解なのですから。

紫、いえメリーがやってきたあの日からわたしがどんどん
肥大化して遂には私になっていました。人前では私、
一人だとわたし。二重人格のような病。
私は気狂いに成り果てたのです。

メリーから逃げた罪悪感、貴方の純潔を奪ってしまった後悔。

       私を押し潰していったのです。
あらゆるものが
       わたしを押し潰したのよ。

ある日、貴方の住処から来客が来た時、わたしは完全に
追い詰められた。追い詰められたのです。
博麗霊夢。私には分かる。あの巫女は私とメリーの娘です。
言ってしまえば人間(妖怪)と月人のハーフ。
だから、あんな神までも降ろせた。だからあんな芸当が出来た。
だって、わたしとメリーの血が流れているのだから。

あの子が帰った後、わたしは私は手紙を書く事にした。

これを読んでくれたら、どうか都の外れの館へと
誰も連れずに来て下さい。

綿月依姫



















「で、私と貴方が居るわけね」
「そういうことね〜」
月の都の外れに建っていた洋館の前に、二人は居た。
境界の妖怪、八雲紫。
綿月依姫の姉、綿月豊姫。
「最近、様子がおかしいと思ったらこんな手紙を
 送ってくるなんてね」
「私だってびっくりよ。だってあの子が蓮子だなんて。
 どうしてばれたのかしら」
「さぁ?メリーの香りでもプンプンさせてたんでしょう?」
「臭いみたいに言わないで欲しいわ。桃臭いわよ」
二人はクスクスいつものように笑いながら、門を通った。

今思うと、メリーのあの笑みは私へのわたしへの愛情の証だったの
でしょう。悪意が混じっているような私の愛を、貴方は
純粋な愛情で応じた。
でも、どうしても私には、恐怖を生み出す原因だった。

だから、この場所で貴方とお姉様と話したかった。
私として
わたしとして
宇佐見蓮子として
綿月依姫として。

愛を愛で返せなかったわたしは敗北者です。

「とっ豊姫様!依姫様がっ・・・!」
「え・・・?」
「どうしたのよ?いきなり携帯みたいな機械出して」

「首を吊って・・・」

「「!?」」



せめて、これを読んだ貴方が私のような過ちを犯さないことを祈る。

「蓮子!」「依姫!」
二人が同時に違う名前を叫び、部屋のドアを開けた。

ごめんなさい、メリー。
ごめんさない、お姉様。

私は敗北者だった・・・

そこには

連子の帽子を被った
依姫の服を着た

宇佐見蓮子
     が首を吊って待っていた。
綿月依姫

せめて、これを読んだ読んだ貴方が私と同じ道を辿らない事を祈る。


宇佐見蓮子
綿月依姫
モデルは「悪霊」と「ジキル博士とハイド氏」
依姫=蓮子、霊夢=二人の子という新しい説。
私も、「悪霊」の「彼」が恐れたマトリョーシャの笑みを
幽々子から貰いたいものだ。

まあ何が言いたいかというだな。
私は今、とてもACVが待ち遠しい。

そして、私達もきっと何かから逃げているのかもしれない。

そしていつか必ず追い詰められる。

ほら!窓に!角に!扉に!

諸君も追い詰められるだろう!
人類とは追い詰められる生物なのだから!
シ骸中尉
作品情報
作品集:
29
投稿日時:
2011/12/02 05:20:08
更新日時:
2011/12/02 14:20:08
分類
綿月姉妹
秘封倶楽部
1. NutsIn先任曹長 ■2011/12/02 21:24:56
どうしてこうなったのだろうか?
罪には罰が付き物ですが、彼女は罪人か?
血塗れでゲラゲラ笑っていたら、一発でイッちまっている事は分かりますがね……。

出会いと別れ、自作自演。
もっと愛して、怖い怖い。
何時まで、こうしている?
何時も、こうしている。

依姫、蓮子、霊夢、書籍、音楽、境界、混沌。



フロイライン幽々子の管轄になった彼女は、どっちに分類されるのだろうか?
月の要人? 外界の女?
それとも、愛しの中尉殿にキメてもらう?
2. んh ■2011/12/02 22:45:17
スタヴローギン蓮子ちゃんはちゃんと縄に石鹸塗り塗りしたんだろか?
3. 名無し ■2011/12/03 20:45:57
それはとても悲しいことなのです・・・
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