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『リーインスカーネイション 睦月』 作者: ぐう

リーインスカーネイション 睦月

作品集: 29 投稿日時: 2012/01/14 13:23:42 更新日時: 2012/01/14 22:23:42
新年を迎え、十日余りが経過した。
幻想郷は新年ムードから一転、誰もが仕事始めに精を出していた。

「ふふふふ〜んふ〜ん♪」

こちらの二人もまた同様の普段通りの生活に戻った。
男が仕事に出かけている間、魅魔は主婦のように家事をこなしていた。
はたきと箒を手に、今は男の部屋を掃除中だった。

「あいつ今日は早く切り上げて帰るって言ってたから、早めに綺麗にしなくちゃ」

今や近所でも噂の鴛鴦(おしどり)夫婦として二人の名は知れ渡っていた。もっともまだ婚約はしていないのだが。
鼻歌を歌いながら、魅魔ははたきで本棚のほこりを落としていった。

「んっ? 何か落ちたね」

その時、本の間から紙のようなものがはらりと舞い、魅魔の足元に落ちた。
手に取ってじっくりと眺めてみると・・・

「随分古ぼけた写真だね、かなり前の頃じゃないかな」

白黒の少し汚れかけている写真は、傷み具合からしてざっと10年以上前のものと推定される。
そして肝心の内容はというと、仲がよさげな4人家族が写っていた。

「この父親っぽい人、あいつにそっくりだこと。じゃあこの男の子は・・・」

寄り添うように並ぶ父親と母親、そして男女の子供が嬉しそうな顔をしていた。
魅魔の言うとおり父親らしき男性は、魅魔の旦那の男によく似ていた。とならばこの男女は両親で、子供のうち男の子のほうは彼だろうか。

「そういえば、あいつから家族のことの話を一度も聞いたことがなかったな。帰ってきたら聞いてみるか」

写真を懐に仕舞い、魅魔は掃除を続けた。



「ただいまー」
「おかえり、お勤めご苦労さん」

それからしばらくして、男は家に戻ってきた。
時刻は午後の1時過ぎで、男は先に魅魔が作っておいた昼食を食べることに。

昼食後、魅魔は例のことを伝えるため声をかけた。

「なぁあんた、ちょっといいかい?」
「何だい魅魔様?」

魅魔は懐に仕舞っておいた写真を取り出し、男に見せた。

「今日あんたの部屋を掃除してたら、本棚から出てきたもんだからさ。そてにあんたから家族のことを聞いたことなくて、ちょっと気になってさ」
「うわぁ懐かしいなぁ、ずっと探してたけど本棚にあったのか」

男はしみじみと写真を眺め、思い出に入り浸っていた。


「この家にもあんた一人しかいなかったみたいだし、一人で離れて暮らしているのかい?」
「ああ、今までちょっと言いにくかったけどな・・・」

口を開いた男の顔は、少し暗かった。

「俺の家族は・・・18年前に亡くなったよ・・・」
「・・・えっ?」





男の口から出た突然の言葉、彼の過去に何があったのか。

「な・・・亡くなったって一体またどうして?」
「思い出すと辛いから今まで一度も口にしなかったけど、今こそ話すよ・・・」

うつむいたまま、男は過去を話しはじめた。



男は現在25歳、18年前ということは7歳の頃になる。
とある平凡な家庭で、両親と2つ年上の姉の4人で暮らしていた。

わんぱくで元気いっぱいだが、優しい一面を持つ少年だった男。
時として悪戯をして叱られることもあったが、そんな彼と姉は両親にとって何よりの宝物だった。


ところが男が7歳のある冬の日・・・
一家が寝静まってしばらくした後、消したはずの囲炉裏の火が実は微かに残っており、それが4人の知らぬ間に再度燃え上がりはじめた。
しかもその時は空気が乾燥して瞬く間に大きく燃え上がり、床板に引火して家全体を炎で包み込んだのである。

男が目が覚めた時には周囲は完全な火の海で、両親も姉も見えない。
幼いが故に何もできず、彼の周囲も炎に焼かれる寸前、男は気を失った。

その後里全体で消火が行われたものの、あまりの炎の大きさに実に3時間は掛かったとのことだった。
そして家はほぼ全焼。男は偶然助けに入った人のおかげで軽い火傷で済んだものの、他の3人は寝たまま最後まで火事に気づかず、後に遺体として焼け跡から発見された。



「・・・・・・ということがあったんだ」
「・・・・・・」

男の涙を堪える声を聞いていると魅魔まで胸が痛くなり、何も言えないでいた。
ほぼ全焼し遺品も何も残らない中、偶然にもこの写真だけが僅かに焦げた程度で発見されたという。

「あんたも辛い過去があったんだね・・・ぐすっ・・・」

いつしか魅魔の目には涙が流れており、それを拭わずにはいられなかった。

ちなみにその後、男は父親の親戚に養子として育てられ、無事に成人を迎えられた。
しかしその後、その親戚も重い病によってこの世を去り、またしても一人ぼっちとして現在に至るのであった。


「父さんや母さんや姉さん、それに叔父さんや叔母さんのことを考えるととても辛いよ。だけど俺は、みんなの分まで一生懸命生きてやるって誓ったんだ・・・!」
「・・・・・・」

目に涙を浮かべながら強く訴える男、そして涙が溢れて止まらない魅魔。
もしかしたら男にとってタブーな話かもしれない、そう考えると軽々と訊ねたことが失礼としか思えなかった。

「ごめん・・・あんたの気持ちも知らないで興味本位で・・・」
「いや、魅魔様は何も悪くない。今まで話さなかったから、気になるのも無理はないと俺も感じてたし」

しばらくの間、2人の空間を重い空気が包み込んだ。





それから数時間後、2人は家を出てある場所へと向かった。男の手には線香、魅魔の手には花がそれぞれ持たれていた。
その場所は魅魔にはわからないため、男の後をついて行くしかなかった。

家から歩いて約15分、2人がやってきたのは常に静寂に包まれている墓地。
その奥のほう、ひとつの墓石の前で足を止め、男は声をかけた。

「父さん、母さん、みんな・・・。俺はもう、ひとりじゃないよ。人生を共にする素敵な人を見つけたんだ」
「・・・・・・」

魅魔は瓶に花を生けて水を注ぐと、男から火のついた線香を受け取って供えた。
そして一緒に拝むと、墓石に向かって言った。

「ご遺族の方々、正直あなた方にはあたしはどう見えるのかわからない。悪い言い方をすればあなた方と同じ幽霊としての存在さ」
「・・・・・・」
「だけど、彼は心からそんなあたしを愛してくれている。そしてそれはあたしも同じ。あなたたちの魂とともに、あたしは彼と生涯を共にしてゆくよ。だから、あたしたち2人をこれからも見守っていただきたいんだ」

彼女なりの精一杯の言葉だった。

「魅魔様・・・」
「今はまだふたりだけど、いずれ生まれてくるあたしたちの子供、そしてあんたの家族みんなのためにも、あたしたちはこれからも歩んでいこうよ」
「ありがとう・・・俺は本当に最高の嫁をもらったよ・・・」

まぶしい夕日と冷え込む北風が、2人の新たな誓いを見届けているようだった。





「そうと決まったら、今日はあたしがおふくろの味を作ってあげるよ。何がいいかい?」
「うーん、急に言われると迷うなー」

帰路を辿る2人はこれまでとうってかわって笑顔に包まれたものだった。
この仲良さそうな2人を、男の遺族は見守ってくれることだろう。

「しかしこの時間は急に冷え込むなぁ、うぅ寒い・・・」
「ホントホント、あたひも鼻がむずむずひて・・・ふぁぁ・・・」

ただでさえ寒い冬は日が沈む頃になると一気に冷え込むもの。魅魔の鼻に突如むずつきが走った。

「ふあっくしょん!!!」

帽子がずれるくらいの盛大なくしゃみを放つ魅魔。飛んでる烏たちも驚いたことだろう。



しかし、同時に魅魔の身体が硬直し、男は声をかけた。

「おーい魅魔様、何してんのー?」
「い・・・今のくしゃみで・・・ああ・・・」

途切れ途切れに言うため、どういうことかはよくわからない。
しかし男は過去の経験から捉え、もしやと思い魅魔の後ろへと回り込んだ。

「あーあ、やっぱりか」
「実は線香立てる時からずっとお腹が冷えてて・・・家まで我慢しようと思ったけど・・・」

スカートをめくると予想通り、茶色の液体で濡れる下着がお目見えになった。
ブジュブジュと音を立てて茶色の染みは広がり、濃厚な便臭が辺りに立ち込めた。

「じゃあ晩飯はカレーを頼もうかな、なんてね。ははっ」
「ちょっ・・・人が致したのにそれは反則だよあんた!」

漏らしたことさえひとつの話題にできる、2人の今後は山あり谷ありとも上手くいけそうだ。
夕日が輝く帰路を、2人は思い新たに辿るのだった。
本来なら新年にちなんだネタをやろうと思いましたが、それは別のキャラに譲ったのでこんな話にしました。
辛い過去があるからこそ、幸せな今がある。「辛」も好きな人と「一」緒なら「幸」になる男の人生。

残りあと2話、どうかお付き合いくださいませ。
ぐう
http://www.pixiv.net/member.php?id=1295155
作品情報
作品集:
29
投稿日時:
2012/01/14 13:23:42
更新日時:
2012/01/14 22:23:42
分類
魅魔
スカトロ
お漏らし
1. NutsIn先任曹長 ■2012/01/14 23:01:15
彼氏にこんな過去が……。
悪霊と恋に落ちたのも、因縁めいたものがありますね。
半ドンが幻想入りしたのかな? 古き良き日本の風景。

で、最早義務と化した、アレをやらかす、と。
その場でおっ始めなかっただけでも良しとしますか。

春には終わってしまうのですか、このシリーズ。
残念ですが、続きは楽しみにさせていただきます。
2. ぐう ■2012/01/25 14:46:16
>先任曹長さん
過去が辛かった分、今とこれからは魅魔様共々幸せになってもらいたいものです。
次回大変なことが・・・
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