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『拷問』 作者: ぼく

拷問

作品集: 30 投稿日時: 2012/05/15 05:18:40 更新日時: 2012/05/15 14:18:40
「おはよう。気分はどう?」

真っ暗な視界。たった一本の蝋燭。
ゆらゆら揺れるそれを見る。視線を精一杯一箇所に集める。まだ醒めきらない脳は徐々に覚醒していく。
非日常に置かれた自分の身体が、脳が、がんがんという痛みになって訴えかけてくる。

「最悪だわ。」

自分の声が予想以上に響く。
なんで私が、こんな目に。なんで私達が、こんな目に。



時はほんの少し遡る。





昨夜。
私ことレミリア・スカーレットは食事を採っていた。同じ席に居たのは、妹のフランドール・スカーレット、親友のパチュリー・ノーレッジ。後はメイドの十六夜咲夜と門番の紅美鈴。普段は誰かと食事の席を共にすることなどない私もこの日は皆一緒に席に着いた。確か美鈴の誕生日で、皆でご馳走を囲んで。ささやかなパーティーを催してみたりして、フランが美鈴に花を渡したところで美鈴が泣き出して。………素敵な夜だった。
パーティーも終わり、咲夜がてきぱきと片付けを始めた。フランがケーキを頬張りながら「もっと食べるの、片付けちゃ駄目!」なんて我が儘言うから私が取り上げて。苦笑する咲夜に「早く下げて、」って言った。ほんとにみんな家族みたいに、幸せな毎日だと思った。


けれど。


先ずはじめに咲夜が倒れた。駆け寄るフランが倒れた。驚いて声をあげた美鈴が倒れた。

次に、私が倒れた。
急に力が抜けて意識が遠ざかって───。


パチュリーの顔は、見えなかった。





「とっても素敵だわ、レミィ」
身体が動かない。木製のがっちりした椅子に荒縄で縛り付けられた身体を捻ってみようにも、ぴくりとも動かない。ご丁寧に足首、手足にもきっちり拘束具が嵌められ、椅子から離れられたとしても歩くことすらままならないだろう。せめてもの抵抗として相手を睨む……視線の先には、パチュリー・ノーレッジ。紫色の美しい髪を払いながら微笑む彼女。こいつが私を縛り上げたんだと思うと、親友だったことなんて忘れそうになる。冗談にしてはやりすぎだし、こいつの目は、冗談には見えない。恐怖なんかより怒りが勝ってる。何のつもりだこいつは。

「早く解きなさい。殺すわよパチェ。」

「あらあら怖い。でも無理よ、あなたの身体じゃ無理。あなたたち全員に薬を飲ませたから。永遠亭の最高傑作…力、入らないでしょう?ふふ、力が入らなくなる薬…凄いわ。副作用なんかも無いみたいだし。他のコたちもそろそろ起きて異変に気付く頃よ。楽しみ…ふふ。」
愉快そうに、楽しそうに。パチュリー・ノーレッジという女はこれほどまでに饒舌な女だったであろうか。それより今は…
「フラン、フランはどこ!咲夜は!美鈴は!?」
「ちゃんといるわよ、すぐ近くに。」

かちり。軽い音がして、ぱっとあたりが明るくなる。照明が点いたようで、暗い場に慣れた瞳には眩しい。それでもゆっくり瞳を開く…周りは簡素なつくりで、どうやらここは地下牢らしい。ただ紅魔館ではない。大昔に作られたのであろうここは、じゅうぶん過ぎるほど広い。目を引くのは散らばった拷問器具の数々。そして、手足を縛られ横たわる、妹とメイド。

「フラン!フラン…咲夜!起きなさい、ふたりとも、しっかりして!」
ぐったりと横たわったままぴくりとも動かない二人に向かって何度も叫ぶが、無駄なようだ。

「何かしたの…」
「ん?何もしてないわよ。まだ、ね。ああ、美鈴はね、随分前に起きたのよ。薬盛る量間違えちゃったかしら。ふふ。ああ、レミィ。そんなに怒らないで。拘束、解いてあげるから。」

美鈴。そうだ、彼女は一体どこへ?パチェが慣れた手付きで縄を解いていく。足枷を外されて少し安堵する。手首の拘束具、あとは二の腕と胸のまわりを何重にも巻かれている鎖以外には全て外され、歩けるようになった。

「どういうつもりよ」
「来て。美鈴に会わせてあげる。」
ぐい、と鎖の一部を引かれ、もたつく足取りで着いていく。牢を出ると、真っ白で無機質な廊下があって、次の牢の入り口が見えてくる。こんな大規模な地下牢が紅魔館以外にあったとは。

「ここ。」
おかしい。促された牢は、普通とは違った。入り口の扉を開けると目の前に大きな穴が現れる。これは?穴は深さ5メートルほどで浅い。おそるおそ覗き込んでみるとそこに、美鈴が見えた。

「美鈴!大丈夫なの!?」
「……はひ、?」
私の声に反応して此方を向く美鈴。ぱしゃりと水音が響いて耳に入る。暗くてよく見えないがどうやら水に浸けられているらしい。狂ってる、やりたいことが解らない。彼女の態度から、恨みで、とか復讐、とかではなさそうだけれど。

「れみぃや、お嬢様…?」
呂律の回らない惚けた彼女がぐるりと上を向く。

「ちょ、何なの、やだ…ちょっと出しなさいよ、出しなさい、パチェ!」
「いいわよ、ふふ」
すんなり答えると小さく呪文を唱えて…その瞬間、ふわりと美鈴の身体が浮く。すーっとゆるやかな速度で上がってくると、私の真横に降りる。

「な、え、?」
驚きで声が出ない。水に浸けられ続けた人を見たことはあるだろうか。肩あたりまで水は張られていたらしい。肌は異常に冷たく、白くなって。水を吸った表皮がふやけて膨らみ皺を寄せて柔らかくなり。余りに水を含みすぎた部分から剥がれはじめて…美鈴の健康的な脚は見るも無惨に、老人のような脚になっている。当の本人は…
「あ、うっ…う…」
泣いている。当たり前だ、『水牢』と呼ばれるこの拷問は本来、水に浸けられた人間は呼吸をするために立ち続け、寝ることはおろか座ることもできない状態を作り出して精神的に痛めつけるものであるのだから。精神が壊れなかった美鈴は意志が強い方であったのだろう。ぞっとする。私達はこれから何をされるんだろうか。ぞっとする。

「さあ、美鈴を連れて戻りましょう。みんな起きてると思うわ」
嬉々として歩き出すパチェを無視して美鈴に視線を向ける。泣いているその瞳を拭ってはやれない。背中をさすってはやれない。抱きしめてはやれない。拘束具が、そうさせない。悔しさに唇を噛んで仕方無く牢を出る。美鈴もよたよたしながらついて来る。

戻ってきた。牢に入った途端、罵声が飛んでくる。
「お姉様を離せ!!美鈴まで!!!これはおまえがやったのね!?許さない!殺す!殺す!!これ外しなさい、一撃で殺してあげるわ!!!」
フランだ。私の愛する妹は、その可愛らしく幼い顔を鬼の形相に変えている。手足に巻かれた荒縄をぎしぎしと力で千切ろうとするも敵わず細い手足が赤く染まりながら肉に食い込んでいる。今にも飛びついてきそうな迫力に竦むどころか、幸せそうに微笑むパチェに絶望にも似た感覚を抱く。

「煩いわよ、静かにして頂戴。これから美鈴を拷問しちゃおうと思うから。…あら、咲夜まだ寝てるの?やっぱり人間にはちょっときつかったかしら。改良が必要ね…」
部屋の隅で未だに動かない咲夜を見てやれやれと肩を竦ませる彼女。そのまま美鈴に近付くと、にい、と口角を釣り上げて「始めるわよ」と呟く。嫌な予感がする。嫌な予感しかしない。何をする気なの、止めたくても止められない。

「ひ、ぎゃ、いぎゃあああああ″ああぁああぁぁああああああああああああああああああああああァァァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁあぁああああ!!?うぎい!やめ″、いだいイイいいいいいいい!!!!!!!!!いだいいだいいだああぁぁあ″ああァあ!!あぎゃああああああ!!!!」
痛々しい、つんざくような悲鳴が耳を突く。
一瞬、何が起こったか理解できなかった。パチェは美鈴の衣服をはだけさせると胸元に手をかけて一気に右胸をちぎり取ったのだ。

「いぁあう″う″…わだじのおっぱい″ぃ……ふーっ、ふーっ…いだいよお……」
先程の水によってぶよぶよにふやけた皮は簡単に剥がれ落ちてしまい、後には黄色と白の混ざった脂肪がすんなり顔を出し、滴る血と零れ落ちる脂肪の塊のグロテスクなコントラストはフランを黙らせるにはじゅうぶんだった。息を呑むフランを気にしてか知らずかパチェがぽたぽたと流れ続ける血液を見て焦ったように「止血しないと」と呟く。
そうして取り出したのが、業務用の巨大なアイロン。力無く泣き崩れていた美鈴もこれにはたまらず暴れ出す。何をされるかわからない。怖い。涎と涙を撒き散らしてどうにか逃げようと身体を揺らす。
しかしパチェは暴れる美鈴に馬乗りになってアイロンを押し付ける。胸元にあてがわれたそれはジュッ、と唸り、噛みしめるようなジュー…という肉が焼ける音を生み出す。狂ったように髪を乱し頭をぶんぶんと振るも、抵抗虚しく。焦げるような嫌な臭いが充満しはじめる。
美鈴と妹の表情が露骨に歪む。

「お姉様……」
「……」
何も言ってやれない。私達は無力だから。

「あづいあづいあづいからあ!やめでぐださぃいッ嫌ああああああああぁ…」
「止血してあげてるのよ、死にたいの?」
冷たい言葉を投げかけると、理解したのか諦めたのか、耐えはじめる。漏れる喘ぎには明らかな苦痛が感じ取れた。

「ぐ……ッひ…!」
「はいはい、終了よ。良くできたわ。………あ。アイロン見て思いついちゃった。ちょっと悪いわね、もう少し遊ばせて頂戴」
おもちゃを見つけた言葉のように目を輝かせれば、相手の頬にキスを落とし。左耳を上にするように寝かせると、自身の膝に頭を乗せさせて。

「ふふ、動かないで」
もう抵抗する気力が残っていないのか、ぐったりと力を抜いてされるがままになっている美鈴の耳の上で、パチェは鋳鉄の塊を取り出す。手袋らしきものを装着して、左手にトングに挟まれた鉄塊を持ち、右手に熱された業務用アイロン。それらをくっつけて─────、

一滴。
耳の穴、奥へと落ちる。

「はぎゃ、ああああああああああああああああああがああああああああああああぁあ!?????なにするんですkああああああああああああああああああああああああああああああああああぁああああああああああひいいいいいいいいいいいいいいぃぎいいいいいいいいいいいい!!!!!いだいあつい″いいいい!!!やめてやめて嫌あぁああああああぁああぁぁあ!痛いですがらあ!!耳が!ひいいいいぃいいいぃィッ」

ぽたり。またぽたり。
熱された鉄が液体となり、吸い込まれていく。

「だずけでえええ殺される!!嫌だぁあああァアあッ…………」

余りに耐え難い局面に出会ったとき、人間の脳は意志とは関係なく意識を手放す。そうして逃避することで、精神を守るのだという。

美鈴は気絶した。
かくん、と全身の力を抜いて白目を剥いて。再び静寂が訪れる。

「あら。これくらいで気絶するなんて。妖怪でも痛みには耐えきれないのね。良いデータがとれるわ……でもまあ、今日はこれくらいにしようかしら。ふふ。ああ、そうだ食事が必要ね。」
ぱちん、と指を鳴らせば使い魔の小悪魔が現れる。美しい赤混じりの髪を靡かせて現れた彼女の手には綺麗に詰められた手作りであろうお弁当がひとつ。少し眉を下げた彼女は申し訳無さそうな表情を浮かべるとそれを足元に置いてすぐに消えた。

「私も今日はこれで。食べて寝て、明日に備えて。ふふ…おやすみなさい。」

忌まわしき女は、しっかりと幾重にも牢に錠をして出て行った。
可愛らしいお弁当を前にしても、全く食欲はない。どうなるにしろ、とりあえず今日は終わった。一気に力が抜ける。フランも同じなようでお互い寄り添い、慰め合うように瞳をとじた。






これがすべて


夢ですように。







こうして私達の拷問は始まった。
これから起こる想像もできないような出来事の数々を
まだこのときは知らない。







一日目
終了

死亡者 なし。
本日の負傷者 紅美鈴
お久しぶりですぼくですぼくぼく。
覚えてる人いるんでしょうか。

なんか過去の見返したら恥ずかしすぎて消しちゃいました本当にごめんなさい

さて。
拷問です。ぐろいの書きたいんです。
いろいろ考えてます。需要あれば続き書きます。どんどんぐろくしていく予定…。
ぼく
作品情報
作品集:
30
投稿日時:
2012/05/15 05:18:40
更新日時:
2012/05/15 14:18:40
分類
紅魔館
拷問
水牢
鋳鉄
長編予定
1. 名無し ■2012/05/15 20:56:13
>どんどんぐろくしていく予定
おう、早くしろよ(期待)
2. ハモン ■2012/05/16 01:02:34
>ぐろいの書きたいんです。
書いてください
3. 名無し ■2012/05/16 02:33:54
久しぶりに産廃らしい作品だわ
4. 名無し ■2012/05/16 20:06:11
>需要あれば続き書きます。
あるよ、おおありさ
5. 名無し ■2012/05/16 23:46:27
>需要あれば続き書きます。
是非書いて下さい。
これだから産廃はやめられない。
6. ぼく ■2012/06/01 08:55:30
1さん、ハモンさん>期待はしないで待ってください。できるだけがんばりますよ、がんばる。

3さん>そういってもらえるの嬉しいです、もっとぐろくてえぐいの書きたい。

4さん>嬉しすぎてにやにやする。期待を裏切らないようになんとか…します

5さん>最高の褒め言葉です。ありがとう
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