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『願いの鏡』 作者: ブレンヒルト・シルト

願いの鏡

作品集: 31 投稿日時: 2012/11/02 20:12:27 更新日時: 2012/11/03 05:12:27






「なんだろこれ…」

サニーは博麗神社の蔵にいた。
ルナとスターの三人で霊夢にいたずらをしかけ、逃げようとしたところをサニーだけ捕まってしまい、罰として蔵の掃除を命じられたのだ。

なぜ私だけと思いながら渋々掃除をしていたサニーだが、そんな中奇妙な箱を見つけた。
外見は古ぼけたただの木箱だが、表面に「危険」「開けるべからず」等と書かれた御札が何枚も貼ってある。

「なにが入ってるのかしら」

御札の書かれた言葉に若干気後れしながらも好奇心には勝てず、箱に貼られた御札を一枚一枚剥がしていく。
あっけないほど簡単に全ての御札をはがし終わる。何か起こるかと思ったが特に異常は感じられなかった。

「拍子抜けね…中身も期待できそうにないなぁ」

サニーは箱を開けたとたん息を飲む。
そこには細工の凝った一枚の古ぼけた銅鏡。
特別美しいわけではないが、誰にも見せずに自分だけで独占したくなるような不思議な魅力を放っていた。
しばらく呆けたように銅鏡を見つめていたサニーだが、箱の中に古ぼけた紙が一緒に入っていたのに気付く。

そこには、
「これは願い事が叶う鏡です。回数制限もありません。
 ただし......に......が......になります。
 あまり使用はすすめません
 ...代目 博麗...」
と書いてあった。

「願いが叶う鏡!?」

願いが叶うという言葉に舞い上がったサニーは、かすれて読めない部分を全く気にしなかった。

「あんなに厳重に封印してあったんだもん…本物だよね?」

鏡の真偽を確かめるためにも、蔵の掃除が終わるように鏡に願いを込める。
するとどうだろう。たちまちのうちに蔵の荷物が整理され、ほこり一つ残っていなかった。
やはり鏡は本物だったのだ。
サニーは鏡を懐に隠し、掃除を終えたことを霊夢に報告すると、意気揚々と家に帰っていった。



あれからサニーの生活は一変した。
全てが自分の思い通りになるのだ、楽しくないわけがない。
段々と一人でいる時間が多くなり、ルナとスターとも一緒に遊ばなくなっていった。

「今日はなにをしようかしら…」

部屋で鏡を磨きながらサニーは考えていた。
人里や紅魔館、博麗神社など、主な場所でのいたずらはやりつくした気がする。

「それにしても霊夢さんの怒った顔…ふふっ、面白かったな〜」

「サニーミルク!いるのはわかっているわ!でてきなさい!」

サニーが思い出し笑いをしていると外から怒声が聞こえてくる。

「霊夢さんの声…?」
「早くでてこないと家ごと吹き飛ばすわよ!」
「もしかしていたずらしたのが私だってことがばれちゃったの…?」

ばれそうになっても銅鏡の力で難をのがれてきた。
犯人を特定するような証拠なんてないはず…
どちらにせよ家を吹き飛ばされてはかなわない。
サニーは銅鏡を懐にいれると、大人しく出ていくことにした。

「出てきたわね」

外にいたのは霊夢だけではなかった。
人里の上白沢慧音、紅魔館の十六夜咲夜、レミリア・スカーレットなど、
今までいたずらをした場所の代表者が集まっていた。

「れ、霊夢さん…何の用でしょうか」
「わかっているでしょう?自分の胸に手を当てて考えてみなさい」
「う…」

やはりいたずらがばれたのだ。
こうなったら銅鏡を使っていたずらをなかったことに…
懐に手をのばしたところで、

「鏡は使わないほうがいいわよ。もう今更かもしれないけどね」
「え…」
「ところで、いつも一緒にいる妖精はどうしたの?」
「ど、どういうことですか…」

そういえばここ1週間ルナとスターの姿を見ていなかった。

「その鏡は願い事を叶えてくれるわ。あるものを代償にしてね」

いやな予感がする。

「鏡を使い始めてからの二人の様子を思い出してみなさい」

思い出す。
人里でいたずらをして家に帰ると、スターとルナの顔色が悪かったことを。
思い出す。
紅魔館でいたずらをして家に帰ると、スターとルナが具合がよくないと部屋で休んでいたことを。
思い出す。
博麗神社でいたずらをして家に帰り、スターとルナに声をかけても返事がなかったことを。

「あの鏡は使用者の一番親しい人の生命力を使って願い事を叶えるの」
「うそ…じゃあルナとスターは…」
「もう手遅れじゃないかしら」
「そんな…私のせいで…」

地面に泣き崩れるサニーに霊夢が近づく。

「というわけで鏡は返してもらうわよ。被害はそれほどでもないし、謝れば許してあげるわ」

「いや!」

懐にある鏡をにぎりしめ、霊夢から飛び退く。

「鏡に願えばいいのよ!二人を生き返らせてって!」
「やめなさい!」

光が輝き、あたりに凄まじい光につつまれる。
光がおさまった時にそれはあった。

赤と黒で構成された小さな人型の肉の塊が二つ。
トレードマークの青いリボンと黒いリボンのついた帽子。
ちょうどスターとルナと同じくらいの大きさで…

「いやああああああ!」
「だからやめなさいといったのに…」


おしまい。
SS初投稿。
短めなのは勘弁な。
ブレンヒルト・シルト
作品情報
作品集:
31
投稿日時:
2012/11/02 20:12:27
更新日時:
2012/11/03 05:12:27
分類
サニーミルク
1. NutsIn先任曹長 ■2012/11/03 06:59:27
初投稿作品だけあって、基本的な『願いと代償』のお話でしたね。
今後も投稿を楽しみにしています。
2. 名無し ■2012/11/03 11:10:31
知ってても自分自身に危害がないなら好き放題使う奴いそうだな
某魔法使いとか
3. 紅魚群 ■2012/11/03 13:23:17
排水口へようこそ!
サニーちゃんはおバカだね世の中旨い話には裏があるんだようふふ
4. 名無し ■2012/11/03 14:37:28
ルナとスターをちゃんと再生させるために、ここからサニーが新たに親しい人をなんとか作ろうと人間や妖怪と関係を築いていく。
しかし、打算目的で仲良くなったのに新たな友人たちに親しみを覚えてしまったサニーは罪の意識に苛まれ、ルナとスターの二人を見捨てるわけには……と秤にかけ、結局、新しい友人たちにイタズラを仕掛け、すっかり嫌われ者になった後で「今、私が親しいのは自分だけ」という状況を作り出して鏡に願い、ルナとスターを見事再生させる。
再生した二人はそこで、サニー自身が消滅するところを目撃してしまい、今度は彼女たちがサニーをよみがえられようと鏡に……。

というところまで幻視した。
5. 名無し ■2012/11/03 17:57:36
>>4
評価する

使うと孤独になる鏡だけどはじめから孤独な人は使えるんですかね(諦観)
6. 名無し ■2012/11/03 21:36:22
>>5 友達が欲しいと願って消える自分を幻視
7. 名無し ■2012/11/04 11:30:57
王道だがそれがいい
三月精の中で一番酷いことをしたくなるのはサニーだけどなんでだろう
8. 名無し ■2012/11/04 13:42:34
一番行動的で明るくて無謀で無邪気でフレッシュで原作ではまだ泣かされていないからさっ!
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