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『妖夢研究には色々と施設とか資材が居るの。そういう、家具付き物件を探しているの。射命丸不動産にそういう物件は有る?』 作者: ギョウヘルインニ

妖夢研究には色々と施設とか資材が居るの。そういう、家具付き物件を探しているの。射命丸不動産にそういう物件は有る?

作品集: 32 投稿日時: 2014/02/19 05:33:51 更新日時: 2014/02/19 14:33:51
 老後は1人でやっていくと決めた射命丸は、幻想郷駅前という好立地で不動産屋を始めた。大方の予想に反せず悪徳不動産だ。

 取り扱っている物件は大体事故物件なのだ。ただ、これは幻想郷のどの不動産屋でも言える事でもある。幻想郷はそういうところなのだ。

 そして、基本的に不動産屋は待つ仕事なので射命丸は新聞を破いていた。他人の書いた新聞なんて滅びてしまえばいいと思っているのである。

 すると、そこのにパチュリーがやって来た。最近、弁護士をやめて気がついたら妖夢専門の教授になっていた。小悪魔だけが真相を知っている。

「ようこそ、パチュリーさん今日はどうしました?」
「妖夢研究のために家探しているの。研究が出来て安い物件ある?」


 今までは、紅魔館の図書館で妖夢を研究していたパチュリーだったが、色々あってレミリアと不仲になっていた。そこで、図書館を出て何処か違うところで研究をしようと思っていたのだった。

「研究ですか? では、にとりさんの家とかどうでしょう? にとりさんの家なら、研究に使えそうな道具や資材がありますよ」
「にとりの家? にとりはどうしたの?」
「もちろん住んでますよ。置物だと思えば良いのではないですか?」
「無理よ。うちにはコアも居るのよ。私1人なら問題ないけれど、コアがにとりのこと見て話しかけてしまうかもしれない」
「じゃあ、にとりさんの家は駄目ですね」


 そもそも射命丸は、にとりの家、家主のにとりと賃貸契約していない。行き当たりばったりだった。だから、パチュリーが気に入らないのであれば次の物件をおすすめするつもりだった。


「魔理沙の家とかはどうでしょう? 魔理沙さんは色々実験をしていたからやはり研究に使えそうな資材や道具があるのでは?」
「ああ、魔理沙の家ね」

 魔理沙は映姫に解剖されてしまった。だから、魔理沙が家に帰ってくることは無いだろう。たとえ、帰ってきたとしてもまた誰かに殺されるだろう。

「ちょっと、魔理沙さんの垢で黒ずんでいるところはありますね。あ、当該物件の写真です」
「壁紙が私の趣味ではないけれどこれは張り替えてもらえるの?」

 射命丸は魔理沙の家の見取り図と現状の写真を出してパチュリーに見せた。垢で黒ずんでいるところは、気にくわなかった壁紙を張り替えればついでになくなりそうだ。

「故人の思い出ですよ? パチュリーさんは魔理沙さんと友達以上の関係でしたよね?」
「でも、壁紙の趣味が違うの。思い出はこれから別の人と作ればいいけれど、壁紙は張り替えないといつまでも私の趣味にならない」
「では、別途料金で3万円掛かりますがよろしいですか?」
「お金を取るの? なら別のところが良いわ」


 一応パチュリーはお金をそれなりに持っているが、妖夢研究にはお金がたくさん掛かるので余計な事には使いたくない。世界では、妖夢に苦しむ幽々子達が待っているのだった。
 
 射命丸は次に出す物件を探し始めた。研究出来るというのが少しネックになっているのだった。

 医療施設がある永遠亭なら研究が出来る。だがは住民が住んで居るし、家主のてゐとは賃貸契約していない。人数も多いから、にとりのように強引にというわけにもいかない。

 暫く調べていると、掘り出し物件が出てきた。しかも、今度はちゃんと家主と賃貸契約していた。

「……アリスさんの家とかどうでしょう? 1人暮らしですから、部屋が余っていて誰かに貸したいそうですよ」
「アリスの家? 写真はある?」
「これですね」
「まあ、綺麗で良い家ね。このベランダとか良い趣味しているわ」
「そうですね。庭も綺麗です。良く手入れがされています」

 パチュリーはアリスの家が気にいっているようだ。紅魔館とはまた違った上品さを感じさせるその雰囲気の家だった。

「それで、ここに住んでいるアリスの写真見せてくれる?」
「え? 知り合いですよね?」
「まあ、そうだけれども。一応どういう顔していたか気になったのよ。こんな綺麗な家に住んでいるのだから。とても上品なのでしょう?」

 家主の写真は賃貸の資料とは一緒に無かったが、かつて、森近霖之助痴漢事件の時に撮った被害者がアリスだったことを思い出してそれを持ち出した。

「これが、同居人のアリスさんですよ」
「駄目ね。ぜんぜん、駄目。アリスの髪色、服の趣味、後ろに一緒に居る人形どれも私の趣味に合わない。まるで、パルスィがアリスの服を着ているみたいじゃない。こんなのとは同居できないわ。別のにして」
「あの、もしかしてですよ。ただたんにアリスの悪口言いたかったのですか?」
「ばれた?」
「まあ、時々人の悪口言いたくなる事だってありますよね」

 射命丸の口は笑って居たが、眼はまったく笑っていなかった。お客だから許せるがこれ以上は堪忍袋がもちそうもない。

 
「そうだ。余りおすすめできませんが、これはどうでしょう。家主が下着泥棒の罪で死刑になってしまったので今は空き家ですよ。それに、外の道具がたくさん収蔵されているらしく、研究にもつかえるのでは?」
「霖之助の家?」
「そうですね。あの稀代の変態王と謂われた森近霖之助の家です」
「……間取りとかは問題なさそうね」
「ただ、この物件には問題があるんですよ」
「問題って何? 家が傾いているとか?」

 妖夢研究には、丁度いいのがこの森近霖之助の家、つまり、香霖堂だ。

「出るんですよ」
「もしかして、霖之助の幽霊が出るの?」 

 霖之助の幽霊が出るのであれば見た日には1日欝になってしまうだろう。喘息の発作も出てしまうかもしれない。

 それは、嫌だった。 

「違います」
「じゃあ、何が出るの?」
「霖之助さんが攫った少女達の」
「幽霊? 幽霊なら困る。妖夢の半霊が科学反応起こしてしまうかもしれない。不可逆的なことがおきてしまってからでは遅いのよ」
「いいえ。幽霊では有りません。……死体が出るんです。今でも何体も」

 死体が出る物件なんて、誰も借り手が付かないだろうと、射命丸は思っていた。だから、余りおすすめできない。

「この物件にするわ」
「え? これで、良いのですか?」
「別に直接害が有るわけでもないし」
「契約されるのですね」
「ええ。それに、死体探しとかワクワクするでしょう? 昔そういう映画あったじゃない。私が研究に没している間、コアが暇そうなのよ丁度良い暇つぶしになると思わない」



 こうして、パチュリーは賃貸契約を済ませて帰っていった。



   

 射命丸は思った。ある人から見れば異常なことだけれども。別の人が見ればそれはまた違う風に見えているのだと。だから、本当は事故物件なんて無いのではないか。

 事故物件ばかり扱って来て後ろめたいところがあったが、なんだか床に置いた荷がそのままだった気分になれた。

 
射命丸不動産は敷金・礼金0ヶ月です。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
32
投稿日時:
2014/02/19 05:33:51
更新日時:
2014/02/19 14:33:51
分類
射命丸
パチュリー
1. NutsIn先任曹長 ■2014/02/19 21:17:32
いつ、暖まった文の堪忍袋が爆発するかハラハラしましたが、無事契約成立して良かった良かった♪
2. 名無し ■2014/02/24 12:35:19
死体が出る家って完全にホラーじゃん!
3. 名無し ■2014/06/02 23:57:06
きゅるってる…
4. ふすま ■2014/06/11 19:50:52
妖夢に苦しむ幽々子達…って1人しかいないじゃん
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