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『レオタード絞首刑の都(レオタード・ハンギングのくに)』 作者: 犯愚男

レオタード絞首刑の都(レオタード・ハンギングのくに)

作品集: 最新 投稿日時: 2021/07/10 12:17:15 更新日時: 2021/07/10 21:17:15
外の世界では「残虐だ」「非人道だ」と廃止されつつある死刑だが、月の都が「清く、楽しく、美しい死刑」を提唱し、『Lunatic』(ルナティック)とは住民である彼等が語源だったのか・・・と、幻想郷の住人は月人達の正気を疑った。
「どのように処刑するのですか?」
妖怪の山から派遣されたリポーター、射命丸文が担当官の女性―余談だが、最近文の棲家の近所に住み着いた山女郎と、生き別れの姉妹ではないかと疑うレベルで似ていた―に尋ねる。
「丁度、本日分の処刑を執行する時間なので付いて来てください、絶景を拝める特等席に案内します」
仕分けられたひよこのオスだけが詰め込まれたコンテナを目の前に置かれた様な顔になるが、大人しく担当官の後ろを付いて歩くリポーター。
通された部屋は入り口から見て正面が透明な分厚いガラス製の壁で、そこから隣の部屋―『処刑室』が一目で見渡せた。
『処刑室』は床に赤い二重の正方形が3つ横に並んで描かれ、それぞれの周りに床の切れ目が見えた。
彼女達のいる部屋から見て右と中央の四角の真上から、下を輪状に―所謂ハングマンズノットと呼ばれる結び方で―結んだ縄が垂れ下がっている。
担当官に聞いた所、この部屋と隣室を隔てる壁はマジックミラーになっており、こちらで何があっても処刑は滞りなく執行されるそうだ。
「あやややや、絞首刑ですか」
「はい、多少首が伸びる以外は五体満足の遺体が残る処刑法です」
「刑場を見た分では “普通の”絞首刑のようですが・・・」
「いいえ、我々が執行するのはレオタード絞首刑(レオタード・ハンギング)です」
「れ、れおたーど!?レオタードって新体操選手のユニフォームの、あの?」
「はい、器械体操、トランポリン等の女子選手が着ているあれです、それより今回の主役達の入場ですよ」
係官の玉兎兵に連行され『処刑室』に入室した二人の死刑囚の格好に、それこそ首吊り死体の様にレポーターの目玉は飛び出した。
両者共見た目麗しい成人女性だったが、後ろ手に手錠をかけられ、その身体は























体操競技用のレオタードに包まれていたのだ! !
それも死刑囚自身の身体を採寸したらしく、体格にぴっちりと合ったレオタードを纏っている。
前を歩く金髪の女性は黒をベースカラーとしたレオタードでふっくらと熟した身体を覆っていた。
もう一人の死刑囚は銀髪でメリハリのあるバランスの良いプロポーションの肢体、こちらのレオタードは紫色が基調となっており、トライバルのような黒い紋様が入った白のジャケットを羽織っていたが、縄の下に着くと上着は脱がされた。
二人はこれから殺される為か、頭を俯け、目のハイライトは消えていた
が、その頬は少し赤かった―やはり恥ずかしいらしい。
「えぇ・・・(困惑)」
「見てください!これから止まる心臓を守る為のミサイルのようにレオタードの布地を盛り上げる双丘、ハイレグカットで大胆に露出した鼠径部、正に現世に降臨した女神!!」
その喩えなら天女では? レポーターは内心首を傾げた。
そもそも近所の小母ちゃん、農家、ダッチ◯イフの川流れetc.女神の知り合いの多い彼女には、あまりピンと来ない比喩であった。
「そして、あの美しい姿で処刑する事で、死刑囚は文字通り天国へ迎え入れられるのです!」
「いや、ただのセクハラでは・・・」
「なんてことを言うのですか!」
担当官は狂人を見る目で、リポーターを睨め付ける。
「あのレオタードの色やデザインは受刑者自身に選ばせているのですよ! 経費の関係で生地を減らす為にぴったりサイズにしていますが」
「月も世知辛いのですね・・・(本格的な羞恥プレイだ・・・)」
リポーターは困惑した。
「それに処刑後の死刑囚に取ったアンケートの文字グラフがこれです」

レオタード姿で首を吊った方が苦しくなかった60%
レオタード姿で首を吊った方が気持ちよかった30%
レオタード姿で首を吊ったお陰で新しい自分に目覚めた20%
綿月姉妹の人気投票における順位は儚月抄アンチによるフェイクニュースである。
綿月依姫に票を入れなかった者は東方厨の内1%しかいない工作員のみであり、彼らの工作が無ければ東方Project 人気投票の結果はわた、綿月依姫が毎回1位の筈である。
なお、姉の方は別に工作されていないか、喩えあっても彼女の人気投票の順位に影響は無い。99%

「貴女『グラフ』の意味が解って喋ってんですか!?全部肯定的な回答の時点で作為的な物しか感じませんし! !最後の怪文書を別にしても全部足したら100%超えているじゃないですか! ! !死んだ人間がアンケートに答えたのはイタコでも呼んだんでしょうけれどぉお! ! ! !」
絶叫するリポーター、全くである。
「兎に角、今すぐ地上に帰って、賢者達に報告させてもらいます!」
通せんぼする(実は居た)モブ玉兎兵。
「まあまあ、黙って処刑を見てくださいよ、後で記者さんにも死刑を体験して楽しんでもらいますから」
「はいはい・・・んっ!?」
「処刑は、私がボタンを押す事で死刑囚の足元の床が開き、受刑者の心停止を確認するまで吊るす方法で執行します。
本来は担当の係官5人が押したボタンに無作為に連動して床が開くのですが、全員怖気づいたので私が執行しています。
せっかく、合法的にあんな美しいレオタード美女を殺すことができるのに・・・
本当に彼女らは頭がどうかしていますよwww」
その時、遅まきながらリポーターは気付いた。
このイカれた処刑法を決定したのは、目の前の女であることに・・・
「よし、これからボタンを押すのでそこの床から離れなさい・・・
では、死刑囚も首に縄をかけて落とし穴の上に立ちましたし、丁度、時間になりました。」
隣室の係官に指示を出し、担当官はリポーターの方に向き直る。
「これより死刑囚、『稀神サグメ』及び『純狐』の処刑・・・レオタード絞首刑(レオタード・ハンギング)を執行します」
彼女の指は躊躇わず、ドクロが描かれた丸く大きな赤いボタンを押し込んだ。

厚いガラスの壁により、刑場の床の開く音は聞こえない。
二本の縄だけ残し、レオタード姿の美女二人は姿を消した。

担当官は処刑ボタンの隣の、2つに両断されたひし形のボタンの下の方を押した。
リポーターは体に軽い浮遊感を感じた、この部屋はエレベーターになっていたのだ。
移動が終わり、リポーターは急な降下に驚いて動かした視線を、真正面のガラスの向こうに戻す。
すでに金髪の女は動かなくなっていた。
そのふくよかな体が良い重りになったのだろう、死に面こそ心地よい眠りに落ちた様に穏やかだったが、その首は奇妙な角度に捻じれ、そのレオタード姿を恥ずかしいと思う必要の無い世界に旅立ったのだ。
それに対し銀髪の死刑囚は、まだ悶絶していた。
防音性も高い特製のマジックミラーに遮られ、淫夢の様なサイレントショーが続く。
上の階の光が四角い天窓から差し込み、死に切れない、哀れな女のレオタードに包まれた肢体を照らす。
レオタードが覆った、後ろ手に手錠をかけられた腕が、無意味な上下運動を繰り返す。
レオタードが包む双丘から、小さな乳首が勃起する。
レオタードを纏う胴に、整ったへその形の陥穽が顕れる。
レオタードから飛び出した御御足は、平泳ぎの足掻きをゆっくりとやめる。
舌を突き出した美貌は、シロップをケチったブルーハワイの色に変貌した。
そして、紫色を纏った女は、隣の黒いレオタードに包まれた肉塊と同じ世界に旅立った。

「後、数分であの二人の処刑も完了ですね」
「そうですね。では、私はそろそろおいt・・・」
「さあ、記者さんのレオタード絞首刑(レオタード・ハンギング)体験を始めましょう!」
担当官は忘れていなかったようだ。
「えっ、悪いですよ!元々の処刑予定もあるでしょうし、私に着せるレオタードももったいないですよ」
「あんしんしてください、だいじょうぶです、予め用意した予備のレオタードはありますし、速く貴女を吊るさないとビデオの録画時間に収まりません」
「えっ、びでお・・・」
「はい、希望者に発売しています。後、遺体は月のお偉方にダッチw・・・」
時間が無くて慌てているのか、最重要機密事項を暴露し出す担当官。
困惑したリポーターの目は、隣室にぶら下がった、レオタードを着た死体2個を捉えて止まる。
「あれ、失禁していない!?でもハイレグの所は変色しているし、お尻の部分が膨らんでいる・・・?」
「お気づきになりましたか」
何故か嬉しそうな担当官。
「処刑用のレオタードにはハイレグ部分に特殊な加工を、わかりやすく言うと紙おむつと同じ仕組みを施してあります、これにより刑場が清潔に保たれるのです」
「はあ・・・」
「そう、これこそが「(処刑後の刑場が)清く、(見ている方は)楽しく、(レオタード姿の)美しい(死体が残る)死刑」、レオタード絞首刑(レオタード・ハンギング)なのです、さあ逝きましょう」
「アッハイ」
リポーターは、もうどうでもよくなった。

「すみません、着替える前にトイレに行ってきてもいいでしょうか?」
「確かにレオタードを着た状態で用を足すのは大変ですけれど、何方道これから死ぬ時に全部出ちゃうんですから、我慢してもらえませんか?」
「いえ、便秘気味だったので今出しとかないと、ぶら下がった時にお尻と太ももの境目からはみ出ちゃうかm・・・」
「此処に来る途中の右の部屋がお手洗いです、手短にどうぞ」
部屋を出たリポーターは処刑を鑑賞した部屋に戻り、部屋の隅の机―さっきの会話の際に担当官が目を向けた所―を見た
処刑ビデオの注文書と、それを入れるポストが置かれていた。
注文希望の欄に今日の日付、受取人の欄に上司の自宅の住所を、書き込む。
彼女にとって幸運な事に、料金は着払いであった。
ガラス壁を眺めると2つの死体は降ろされ、紫色のレオタードの女性だった物の顔には白い布がかけられていた。
(一人ぼっちで吊られるのですね、私は)
急いで戻る途中に便所に入り、一見死角になっている隙間に、取材中ずっと身に付けていた物―電源を切ったボイスレコーダーを押し込む。
このボイレコが何らかの役に立つことは無いだろう、しかし身に付けたままでは、レオタードに着替える際に確実に回収される。
そうなるよりはマシだ。
「此処からはオフレコか・・・よし、逝くぞ」

担当官の待つ部屋に入室したリポーターは最初に裸にされ、レーザーメスで羽を切除された。
この処理は、無意識的な羽ばたきによる延命を封じ、少しでも速く受刑者の苦しみを終わらせる為だと、説明される。
慈悲深い事だ、実際の所、録画時間に収める事と、レオタードを着せるのに羽は邪魔だという考えしか無いだろうに・・・
リポーターは剥き身の肢体を採寸され、その結果に合わせたサイズのレオタードを渡された。
時間が無いので色などは選べないと言われたが、元々どうでもいいことだ。
引き締まった身体をピッチリと覆うレオタードを身に着けたリポーター、その後ろ手に手錠がかけられる。
そのまま処刑室に入室し、中央の四角の上に誘導される。
意外と大きな頭を支える首に縄をかけられる。
後、数分で全て終わりだ。
「これより、幻想郷の妖怪の山所属の記者、『射命丸文』のレオタード絞首刑(レオタード・ハンギング)を執行します」
担当官が隣室の操作盤から取り外して来た、例のスイッチを入れるのが見える。
バタン!
先程の処刑では聞こえなかった奈落の開く音が響き、
ギュッ!
リポーターの露出した喉に、縄が食い込む。
「ぐうぅ・・・」
声にならぬ声が絞られた喉から漏れる。
移動速度を上げる為に体重を絞っていたのが祟り、この苦痛なダンスショーはまだ続きそうだ。
上の孔から差す光が、陸上選手の様な筋肉を、汗で張り付いたレオタード越しに浮かび上がらせる。
「本当に速くなりたいのなら、まずはその脂肪の塊を切り取るんだなwww」とやっかみ半分に馬鹿にされた双丘もレオタードに包まれ、縛った方を抓まれたたまごアイスのように揺れる。
肌を擦るレオタードの感触が、ただただ気持ちいい。
ふっと、目の前が明るくなったと感じるリポーター。
その体はいつの間にか全裸になっていた。
(ああ、そういうことか・・・)
リポーターはレオタード、そもそも衣服を必要としない者、魂だけの存在になったのだ。
それは、誰にも見られること無く”上”の世界へと旅立った。
リポーターのレオタード絞首刑(レオタード・ハンギング)は最初の部屋に入室してから、一時間で終了したことになる。
リポーターが幻想郷に送ったテープが日の目を見たのは、
彼女の処刑から数ヶ月後、月の都で政変が起き、嫦娥、綿月姉妹を始めとする貴人達が依姫が提唱したイカれた舞を首に縄を巻き付けて舞い、
更に数ヶ月後、窒息オナニーに失敗した、リポーターの上司の首吊り死体が発見された時であった。

7月だから文ちゃん吊りました!
(七夕に投稿するつもりだったのに、どうして・・・)
なお、元ネタは『 小説 絞首刑 女 』でググると出ます。
犯愚男
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2021/07/10 12:17:15
更新日時:
2021/07/10 21:17:15
分類
射命丸文
綿月依姫
死刑
処刑
絞首刑
首吊り
レオタード
名前 メール
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