大腸液の採取は長さ1m近くある硬質のゴム管によって行われる。
ゴム管は肛門から挿入され、直腸及びS状結腸を経由して下行結腸まで到達するのだが、その役割は単に粘液を汲み上げるのみに留まらない。管の挿入に伴い直腸壁は伸展しS状結腸は押し上げられ、後腹壁に半ば理没している下行結腸も強制的に腹腔内側に伸長される。
このときに生じる腹腔が引き攣るような疼きは、やがて際限なく湧き上がる強烈な便意へと昇華し、最終的には耐え難い嘔吐感となって魔理沙を苛む。
通常ではあり得ないほどに押し曲げられた臓器が便の過蓄積を誤検知し結腸反射の暴走を引き起こす為である。
その結果、粘膜を保護し、かつ排泄を促すために大量な大腸液が分泌される。
大腸液分泌の促進。これこそがゴム管のもう一つの重要な役割だ。
こうして採取された腸液は然るべき殺菌工程を経たのち魔法店の商品棚に並ぶ。
このとろみのある深い琥珀色をした液体は好事家たちの間で人気が高く、かなりの高値で売れるのだ。
魔法使いの腸液特有の香り高い甘さと、純魔法使いの物には無い格調高い仄かなエグみ。
まさしく特級品であるといえるだろう。