もしかすると発声ができるとても珍しい魚なのかもしれない。
そんな貴重な魚を食することなぞ許されないのではなかろうか。
しかもこの魚、よくよく見ればとても可愛い、胸を打つような可愛さだ。
とりあえず見つからないようにさっさと小屋に持って帰ろう。
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「やっぱり駄目だ、こんなかわいい魚ちゃんを殺傷することなんてできない!」
そうつぶやき、私は手際よく釣った魚を宙吊りにする。次は血抜きをしなければならない。
そういえば、私は魚なんてパックの切り身でしか見たことがない。血抜きってどうするればいいんだ?
大変だ、こんなところで夕飯の準備が滞るとはな。出鼻をくじかれた。
かくゆう魚はといえば、宙吊り哀れにもめくれた衣服をなおそうとしていた。赤くなってる、可愛い。
「魚のくせになまいきだぞ!!!!!!!!!!!111!」
私はそう優しく耳元で囁くと、とりあえず手持ちの包丁をパイルバンカーよろしく胸に打ち込んだ。
「〜〜〜〜〜〜……」
勢い良く噴出する血液。密室に響き渡る断末魔とも言えぬ声。
私は激しい空腹さえ忘れ、その姿と声に感動してしまう。
やがて声はなくなり、コポコポと気管から高級ワインのような赤が零れだすのみ。
静寂に包まれた密室に、ふと零れた『つぶやき』のみがただ悲しく響く。
「……やっぱこれ魚じゃない気がするわ……」
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ひと通り血が抜けたところで地面に降ろし、綺麗に流水で洗い流す。
その際に私は魚にはあるはずのない可食部分を発見してしまった。
そう、腕である。
「なんということだ……やっぱりこれは魚なんかじゃなかったんだ……」
そうつぶやきながら、当然邪魔なので腕は落として生ゴミBOXへ。
ついでに頭も落とすが、尾頭付きとやらにしたいので捨てずにとっておく。
次に腹をさばいて内蔵を取り出す。
魚は卵生のはずなのに子宮らしきものを発見した。
魚のはずなのになんでこんな不要な器官があるのだろうか?
よくわからないのでぶっかけて
(これ以降は何か液体をかけられたのか、滲んでいて読めない)