「ルナねえのたまご」は、思考実験の名称である。まず、精液風呂を用意して、この中にルナねえを一匹入れる。風呂桶の中には精液の他に、放射性物質のラジウムを一定量と、狂人さんセンサー(股間)を1台、金玉を1対入れておく。もし、箱の中にあるルナねえがたまごを産むと、これを狂人さんセンサーが感知して、その先についた金玉が作動し、精液風呂に入ったルナねえはたまごをうむ。しかし、ルナねえがたまごをうまなければ、金玉は作動せず、ルナねえはたまごをうむ。一定時間経過後、果たしてルナねえはたまごをうむかうまないか。この系において、ルナねえのたまごの有無は精液が出たかどうかのみにより決定すると仮定される。そして、精液はルナねえの産卵にともなって放出される。このとき、例えば1時間で風呂桶に入れた量のルナねえが産卵してから精液が放出される確率が50%だとする。この風呂桶の蓋を閉めて1時間放置したら、俺が観測する(お前らは下がってろ)までは、ルナねえたまごをうんでいる確率は50%で、うんでいない確率も50%となる。したがって、ルナねえは、たまごをうんでいる状態とうんでいない状態が1:1で重なりあっていると解釈しなければならない。
我々は経験上、ルナねえがたまごをうんでいる状態とうんでいない状態という二つの状態を認識することができるが、このような重なりあった状態を認識することはない。
この思考実験は、ノイマン-ウィグナー理論に対する批判として、オノノクーディンガーによって提出された。まず、ルナねえ産卵の確率解釈を容易な方法で巨視的な実験系にすることができることを示し、そこから得られる結論の異常さを示して批判したのである。オノノクーディンガーは、これを「ルナサ・ソロライブ」と呼んだ。現在では「ルナねえのたまご」のような巨視的にルナねえ学の効果が現れる実験系が知られており、「ルナねえのたまご」はルナねえが引き起こす奇妙な現象を説明する際の例示に用いられる。