」ちょうど帰ってきたフランちゃんと玄関前で鉢合わせした。
「あ、あの、えっと……これはその…」
弁解しようとして、しかし、何と言えば良いのか思いつかずに狼狽するフランちゃん。
『外出するときは2人で』というルールを破ってしまったのだ。罪悪感と叱られる恐怖で胸がいっぱいなのだろう。
「窓の外に小さな猫がいてね。私のことを遊んで欲しそうな目でじーっと見てきて、外も曇ってたから近所までなら大丈…」
言葉の途中でフランちゃんの頬を思いきり叩いていた。感情の制御ができなかった。指の第二関節から感じる痛みで、叩いた手が拳を作っていた事に気付いた。
フランちゃんを心配する気持ちや、喪う恐怖、愛情、醜い独占欲、禁を破った怒りだとかがグチャグチャに混ざりあい、その結果とった行動がコレだった。フランちゃんに明確な暴力を振るったのはコレが初めてだった。
フランちゃんはこの理不尽な暴力をどう捉えたのか、顔を横に向けながら倒れる彼女を見ながらそんなことを思った。
雨が本降りになった。
「お願い…お家の中に入れて…」
雨音が響くなか、そんな微かな声が、雨に打たれ鼻血を流すフランちゃんから発せられた。
その瞬間、自分はなんて愚かな事をしてしまったのだと後悔した。
四六時中家の中の居て退屈に決まっている。一人で寂しいに決まっている。そんなことも察してやれない自分が殺したい程憎かった。
雨に打たれて、痛々しい火傷の痕を作っては治してを繰り返すフランちゃんを覆いかぶさるように抱え、家の中に駆け込んだ。
浴室、流水に気を付けながらフランちゃんの体を温めて清める。
彼女の体を洗っている間『お願い…お家の中に入れて…』という言葉がずっと頭の中をループしていた。
外の雨は、まだ止みそうになかった。
入浴を終え、ベッドで寝かせた、パジャマ姿のフランちゃんの横顔を眺めながらぼんやりと考える。
フランちゃんを拾う前、彼女がどういう生活をしていて、どんな経緯で孤独になってしまったのかを知らない。ひょっとしたら、誰かと一緒に住んでいて何かのトラブルで追い出されたのかもしれない。そして今回、また追い出されるのではないかという恐怖から、あんな言葉を漏らしたのかもしれない。そんな妄想に浸った。
「…ん」
眠っていたフランちゃんからそんな小さなが漏れた。直後、彼女の目がゆっくりと開いた。安堵する自分。さっきの事を深く謝ろうとした矢先。
「ひ、ひィ!!」
自分を見た瞬間、フランちゃんの体はビクリと跳ね上がり、温かかった布団を蹴飛ばし、部屋の隅に駆け出した。
追い込まれたネズミのように、部屋の角でその身をガタガタと震わせ始めた。
「ち、違うの!そんなつもりじゃなくて!」
「フランちゃん?」
錯乱した様子のフランちゃんをベッドに戻そうと手を差し出す。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
すると頭を抱えて謝りだした。
「フランちゃん?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「こっちおいで?」
「痛いのはもういや」
差し伸べた手からできるだけ遠ざかろうと、壁に自分の体をグイグイ押し付ける。
「おいで、何もしないから」
怯えるフランちゃんをこれ以上見たくなくて、その腕を掴んで、体を強く抱きしめていた。
「さっきはぶって本当にごめんね」
乾きかけの髪と、小刻みに震える背中を優しく撫でながら言う。
「二度とぶたないから、追い出したりもしないから。ベッドに戻ろう?」
荒かった息が徐々に小さくなっていくのがわかった。
「ひどいことしない?」
「しないよ。だから戻ろう?」
「……うん」
ベッドに潜ってもずっとフランちゃんを抱きしめていた。
抱きしめている間に、色々と話した。1人での外出も認めること、その条件として門限の設定や行動範囲、外出中はGPS機能付きの携帯を持っていることを決め、次の休日に携帯と合鍵を買いに行こうと約束した。携帯は多少見た目がダサくても防犯ブザー機能付じゃないと駄目だと言うとフランちゃんはちょっとむくれた。
お互いのわだかまりが解けた所で、自分はベッドから起き上がり、フランちゃんに体重をかけないよう気を付けながら馬乗りになった。
「そういえば、ルールを破った罰がまだだったね」
「何するの?」
少しだけ強張った表情のフランちゃんが、自分の悪戯心に火を付ける。
「今からフランちゃんをレイプするね。いつもみたいに優しくしないよ」
まだ薄っすらと赤く腫れた頬をそっとなぞる。
続いて乳首があるであろうその位置、右胸を、衣服の上から軽く摘まんだ。
「うん、いいよ。罰だもんね。いっぱいお仕置きして」
果たして両者合意のレイプがこの世に存在するのかと首を傾げる。
パジャマの上からでもわかるくらい、フランちゃんの右側の乳首は固くピンと立っていた。
外の雨はもう止んでいた。
このあと滅茶苦茶セックスした。