「ゴメン・・・私、こういうの初めてだから・・・下手っぴだよね・・・」
男の『モノ』から口を離したフランはそうつぶやいた
男と暮らし始めてから数日が経った。
一緒に遊んでくれる。他愛も無いお喋りに付き合ってくれる。頭を撫でてもらえる。添い寝してもらえる。
ここでは、自分の望んでいたものが簡単に手に入る。 とても幸せだった。
・・・ただ、空腹は満たされなかった。
吸血鬼の主食は人間の血液。 人間の里に来てからフランは食事をしていない。
ずっとずっと空腹なのを我慢していたのだが、不意に我を忘れ、男の首筋に牙をたててしまった。
正気に戻ったフランは慌てて牙をはなした。 恐る恐る男の顔を見ると、男は優しく微笑んだ。
そして『気づいてあげれなくてゴメン』・・・と
フランは男に飛びついた。そして、ここ数日は忘れていた涙を流した。
何かお礼をしなくては・・・。今の自分に出来ること・・・。男が喜ぶこと・・・。
館の『図書館』で暇つぶしに見た本の内容を思い出した。
『モノ』を小さな口いっぱいに頬張り、吸い上げたり、舌先でチロチロなめたり、袋を口に含んだり。
本に書いてあった内容どおりに行為を進めた。だが、男の『モノ』は大きくなることはなかった。
行為を一時中断して謝るフランに、男は優しく頭を撫で
『無理をしなくていい・・・。僕はキミが傍にいてくれるだけで幸せだから』
そう言って、男はフランを抱き寄せ、目を閉じた。
なんとも複雑な気持ちだったが、自分も目を閉じた。
男は寝息を立て始めたが、フランは眠れなかった。
未遂に終わったが、初めての行為・・・ドキドキして眠れない。
寝ている男に何度も口付けをする。不思議と安心できる。
舌で男の唇をなめたり、吸い付いたり、あま噛みしたり・・・。
幸せな気分に浸っていると、
ポツリと、男は自分ではない女の名前を呼んだ・・・。